2018年10月10日 決算特別委員会
教育委員会に対する関連質疑(大要)
・県央部県立高校バレー部員の自殺事件について
【斉藤委員】
以前の盛岡一高での事件だが、今は二審の係争中。しかし一審で、この顧問の教師の暴言が「不法行為」だと認定された。罰金20万円が課せられている。不法行為と認定された具体的な内容、判決をはっきり示していただきたい。
2点目、教育長は、県教委の詳細調査について触れたが、この中では、バレー部顧問の言動と自死との関わりについてバレー部員に問いているところがある。その多くは、バレー部の顧問の言動が影響したのではないかという、具体的な聞き取りの結果がたくさん出ている。県教委は、「自死と顧問の指導との関係ははっきり認定できなかった」と。それはあり得ることだと思うが、詳細調査の結果を見れば、顧問の指導に問題があったと多くのバレー部員は言っていたのではないか。特に、県高総体の決勝で、今まで勝っていたが負けてしまった。そのときに顧問からどういう発言があったのか。そして、東北大会、天皇杯というわずかな期間で、顧問の厳しい指導が続いたということも詳細調査で言われている。一番ストレスのかかる決勝での敗北、それについての顧問の厳しい言動がバレー部員を追い詰めたのではないか。私も遺書を読ませていただいたが、たしかに「バレーは嫌いだ」ということを言っている。この生徒は、中学時代から全日本に選ばれるような優秀な選手で、高校時代もそうだった。強豪大学への推薦も決まっていた。だからそれだけプレッシャーがかかっていた。そういう中で、高総体で負けて、顧問から厳しい叱責を受けると。これはきわめて大きなポイントだったのではないか。具体的に、バレー部員から顧問の指導についてどのような指摘があったか。
3点目、学校長の対応が大問題だと思う。本日の新聞にも公開質問状を出したという記事が載った。いわば、学校の調査でも、バレー部員やクラスの同級生のさまざまな証言が出ているが、そこでも顧問の指導に関わることがたくさん書かれていた。ところが学校長は、新聞のコメントに何度も「顧問に問題はなかった」と言っている。県教委でさえ「因果関係ははっきりできなかった」と言っているときに。さらに遺族のところに行って「私は顧問を信頼しています。6年経ったのであとは転勤させます」とまで言った。こんなことでは問題が解決するどころか、ますます不信感を広げる。学校長が管理監督していたというが、こういう立場だったら、まともな管理監督と言えない。
なぜこういうことが起きてしまったか。この顧問は勝利至上主義であり、勝てば喜ぶが負ければ厳しく叱責する。監督の責任にするならともかく、生徒の責任にするような、こういう顧問のスタンスがバレー部員を追い詰めたのではないか。
【教職員課総括課長】
一審判決において認定された不法行為の具体的な内容だが、「体育教官室における指導・叱責の場面で感情的になり、至近距離で対面していた元生徒に向かって目の前の机を拳で叩いた」、「手に持っていた部屋のカギを壁に投げつけた」という行為が、「指導としても社会的な相当性を欠いた」ということで、違法行為あたると賠償が命ぜられている。
バレー部顧問の具体的な言動だが、厳しい口調での発言については、体育館の練習の中で行われたものであるので、練習の内容や場面によっては、これらについて大きな声で指導する場面もあったかと存じている。具体的な内容については、県教委の調査については、ご遺族にご報告をさせていただいているので、詳細な内容については差し控えたいと思うが、そうした大きな声で強く指導するということについては、当該教諭も「練習中にそういうことがあった」と認めている部分はある。
学校長の対応だが、この事案が発生してから学校長の対応が報道されているが、校長としては、実際に指導状況を観察していた立場から、そのような発言をしたものと存じているが、県教委としては、学校や県教委が行った調査結果から、自死と指導との因果関係については、その有無を含めて判断することは困難ということで、今般第三者委員会の検証調査に委ねると判断したところである。そうした第三者委員会の設置を検討している現時点において、行き過ぎた言動等を全面否定したととられるような発言を行ったことについては、慎重さを欠いたのではないかと考えているところであり、学校長に対しては、今後の発言等について指導したところである。
勝利至上主義ということのご指摘だが、当該教諭についてはたしかに知識・経験も豊富な教諭ということであり、部活動指導に実績をある程度有している教諭だが、前任校における事案での反省等も踏まえ、その指導については、自主性を育てていくということだとか、特に当該生徒については非常にレベルの高い選手だったという期待も込めて育てていかなければならないという責任感を持って指導してきたと聞いているので、勝利ありきで指導してきたということについて、当該教諭からの聞き取りではそのようなことは直接は聞いていない。
【斉藤委員】
一審判決において、体育教官室での暴言が、征途に対して精神的な重要な影響を与えたというので不法行為に認定された。今回も、体育教官室に呼んだということが調査で書かれている。本当は中身も詳細に調査しなければならない。
県高総体の決勝で負けたことについて、答弁は抽象的だったが、「ミドルとセッターのせいで負けた。この2人のせいで負けたんだ」「お前のせいで負けた」と言っている生徒もいる。高総体という一番重要な大会の決勝戦で負けてしまったときに、その生徒の責任にされた。こんな指導はあるのか。
クラブ活動には、当然勝ち負けがあり失敗もある。そこを糧に成長させるというのが本来の指導ではないか。そういうことはほとんどなかった。
ミスをすれば、「お前は小学生か。バカか」と、こういう言動が何度もある。部員の証言を見ても、本当にその生徒の将来性を生かして育てるという指導では残念ながらなかった。他の生徒は、この生徒も優秀な選手だが、この顧問に指導を求めたら無視された。この部員も「もうクラブを辞めたくなった」ということも言っている。
勝利至上主義について触れたが、春高バレーで優勝したときに、この顧問は体育館で大の字になって喜んだと。それを取材していたマスコミの記者が「おかしいのではないか」と驚いた。
盛岡一高の時代に問題になり、一審判決は全体は認められなかったが、体育教官室での暴言が一番の問題で、それが不法行為と認定された。
いずれ第三者委員会を設置するが、遺族が「こうした問題について詳しい弁護士等を入れた第三者委員会にしてほしい」と要望している。遺族に寄り添うというのなら、こうした要望をしっかり受けた第三者委員会を早期に設置して真相の解明を行うべきではないか。
【教育長】
教育委員会の調査で、生徒や関係者等からの聞き取りを行っているが、ご指摘のあったような発言があるのは事実だが、一方で、強豪校であるので、そういう指導は生徒の能力を開花させるためには普通のことだというような評価をしている生徒もおり、保護者からは現在も「部活に復帰してほしい」というような信頼を得ている面もある。ただ一方で、それが客観的に阻害できるものがなかなか難しいということで第三者委員会を設置するということにしたものである。
第三者委員会の委員の人選については、これは保護者からそのような要望を受けており、いずれ第三者委員会は公平・公正な審議をいただく方々を人選することが大事だと思っており、これは県内外を含めて適任者を選任したいと考えている。