2018年12月6日 12月定例県議会本会議
高田一郎県議の議案に対する質疑(大要)
・人事委員会勧告にともなう給与改定について
【高田議員】
日本共産党の高田一郎でございます。議案に対する質疑を行います。
議案第1号は、2018年度岩手県一般会計補正予算(第 4 号)であります。人事委員会勧告に伴う給与改定の所要額が計上されました。給与表全体の水準を0.17%給与改定額 592 円、ボーナスを0.1ヶ月引き上げ年間平均給与額は4万7千円増となるものです。給与引き上げは昨年に続くものですが県職員は平成11年から連続して引き下げられ今年度は管理職手当及び今年度は退職手当てを大幅に削減されました。ピーク時からどの程度削減されているのでしょうか。
今回の人事委員会の給与に関する報告では「長時間勤務の解消取り組み推進」や「会計年度任用職員制度導入へ円滑な導入に向け適切な対応」が明記されています。県職員の長時間労働の実態と取り組む方針はどうか。また会計年度任用職員制度は、1 年任期の職員として非正規職員を制度化するものですが、勤務時間は業務内容も同じなのに非常勤として任用させることには大きな問題があります。どう県は対応されるのでしょうか。
【佐藤企画理事兼総務部長】
まず今回の給与改定後の状況についてでありますが、40歳の主査クラスの職員を例に今回の給与改定後の給与額と、平成11年度の給与改定前の給与額を試算して比較しますと、年収額については約82万円退職手当については約519万円の減となります。
次に会計年度任用職員制度への対応についてでありますが、会計年度任用職員制度は地方行政の担い手となっている、臨時・非常勤職員の適正な任用や勤務条件の確保を趣旨として2020年から導入されたものです。この制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、昨年8月に国から事務処理マニュアルが通知されており、この中で個々具体の食の設定にあたっては職務の内容や勤務形態に応じ、常勤職員、任期付職員及び会計年度任用職員を含む臨時・非常勤職員のいずれが適当かを検討することが必要と示されています。県としては現在任用している臨時・非常勤職員の職務内容や勤務形態等に応じ、マニュアルに示された職の設定の考え方を踏まえながら、適切な任用となるよう対応を検討しているところでございます。
次に知事部局職員の長時間労働の実態等についてでありますが、平成30年度10月までの職員1人当たりの月平均超過勤務時間数は、速報値であるが全庁で12.4時間となっており平成29年度の10月までと同水準になっています。これまでも超過勤務の縮減に向けて、事前命令と事後確認の徹底や定時退庁日の設定、事務分担の見直し業務支援の活用等により縮減に努めてきたところです。今年度からは所属長が職員の事情を適切に把握するためのワークライフバランスシートを全庁に展開したほか、さらに8月からは部局ごとに管理課長等を「働き方改革推進員」に指名するとともに、働き方改革の取組みを全庁で集中的に実施する強化月間を設定するなど、取組みの強化を図ったところでございます。今後においても超過勤務の縮減や休暇所得の促進などに努め、職員の健康保持や仕事と生活の両立に向けた働き方改革に取組んでいきます。
・工業用水の需要拡大に対応するための浄水場建設について
【高田議員】
議案第5号、岩手県工業用水道事業会計補正予算(第2号)は、東芝メモリの進出に伴う工業用水の需要拡大に対応するための浄水場建設に関わる詳細設計について債務負担行為補正を追加するものです。第一北上工業団地は日量 25,970 トンで給水率 69.9%(給水余力11,323?)となっています。当初計画より10%減の給水率となっています。新しい浄水場は147億3000万円もの事業費を投資する計画になっているだけに需要量については県民に根拠のある充分な説明をすべきであります。これまで「企業からの情報と企業局の予測をあわせだされた日量60,000?」としていますが「詳細はつめている段階」としています。東芝メモリの使用計画はどうなっているのか、需要量の設定について企業局の考えを示してください。
【企業局長】
浄水場工事用水需要量の考え方についてでございますが、今般の東芝メモリ株式会社の北上市への進出にあたり、東芝メモリ側からは今後の工業用水の使用計画を提出していただいているところであり、この工業用水使用計画などを基に企業局において、北上工業団地における将来の工業用水の需要量を予測し、日量6万トンの給水能力を有する浄水場を新たに整備することとしたものでございます。なお企業の経営情報であるため詳細な使用計画などは申し上げられませんが、東芝メモリ株式会社とは今後の工業用水使用水量などについて双方で確認した「工業用水供給に関する覚書」を取り交わしているところでございます。
・災害公営住宅の入居状況、自治会等からの要望対応について
【高田議員】
議案13号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例です。災害公営住宅は沿岸部では今年度中に県営部分はすべてが完了する予定であります。現在の入居率(10月現在)は、89.1%(空き家162戸)となっており、介護施設入所、子どもとの同居による転居などが入居率の低下も予想されます。「一般の入居はすべての希望者に対応できると判断したとき」としていますが、現在の災害公営住宅への入居希望者及び再建方法未定者はどうなっているのでしょうか。
先月陸前高田市の県営栃が沢災害公営住宅に調査に行き、自治会役員と懇談を行ってきました。入居者の情報がなく自治会活動に困難をきたしていること、災害時の対応の課題など、せっかく建設した集会所に使い勝手が悪いなど自治会等入居者からの要望や課題にどう対応されているのでしょうか。
【県土整備部長】
まず災害公営住宅への入居希望者及び再建方法未定者の状況についてでございますが、本年10月末現在みなし仮設住宅を含む応急仮設住宅に入居している1,525世帯のうち、災害公営住宅への入居希望者は427世帯、再建方法が未定の方は9世帯となっています。
次に自治会等入居者からの要望や課題に対する対応についてですが、災害公営住宅の自治会運営やコミュニティ形成に係る要望や課題については、自治会から公営住宅管理を所管する県の各公所に連絡いただくほか、災害公営住宅コミュニティ支援事業によるコミュニティ形成支援員からの連絡やコミュニティ形成支援団体との意見交換等の機会を通じて要望をいただいています。要望に対してはその内容に応じて関係機関等と連携して対応しているところです。
・一般国道340号(仮称)今泉大橋(上部工)工事の請負契約について
【高田議員】
次に議案第18号、一般国道340号(仮称)今泉大橋(上部工)工事の請負契約の締結を求めることについてであります。入札参加申請者数は今回も1社となり落札率は 96.82%となりました。橋梁工事をめぐっては9月議会には主要地方道一関・北上線柵の瀬橋旧橋撤去(上部工)工事、6月議会には一般県道大ヶ生徳田線徳田橋(下部工)も1社入札となり落札率は99%となっています。この間の答弁でも「20社及び30社の参加を見込んでいる。適正な入札だった」と繰り返しています。橋梁工事等をめぐっては競争が働かない現状が続いています。なぜなのでしょうか。
【佐藤企画理事兼総務部長】
一般国道340号(仮称)今泉大橋(上部工)工事の請負契約についてですが、県営建設工事入札については入札参加資格要件の設定の際に、施工実績等から入札への参入見込者数を検討した上で手続きを進めておるところであり、本件橋梁工事についても同様であります。本件及び他の2県の橋梁工事については、いずれも大規模かつ技術的難度が高い工事でありそれぞれ入札参加条件を付し、その入札参加見込者数は20 者以上が見込まれたが結果として参加者は1者であったものです。建設業者の入札参加の関してはそれぞれの発注工事の内容や全国あるいは東北地区、県内の同種工事等の発注状況、さらには入札参加見込者が抱える手持ち工事の状況や配置技術者数など、個々の事情も考慮してそれぞれ参加の是非を決定しているのではないかと推測しています。結果として1者入札ではあるが一般競争入札により、入札の機会の公平性が確保されていること、また電子入札制度のより入札参加者は他の参加者の状況が分からないことなどから、競争性は確保されているものと考えております。
・各変更請負契約の締結について
【高田議員】
議案第16号、19号、29号は変更請負契約の締結に関し議決を求めるものです。一般国道大ヶ生(仮称)徳田線(下部工・第二工区)は本年7月5日契約直後の詳細な現地調査の結果などの理由により(築島盛土の増工、電圧変動対策、建設機械の退避路を増工は?)140,049千円増額となっています。
甲子川筋甲子川水門土木工事は、当初契約32億3,784万円から75億1,270万円と2.3倍に。
野田地区海岸防潮堤ほか工事は42億4200万円から75億7,805万円と1.8倍となりました。当初の設計や金額の妥当性がどうだったのか、詳細な調査の結果による変更契約とありましたが、詳細設計や地質調査は早くできなかったのか水門防潮堤工事はそもそも特別な事業であり止むを得ないと考えているのでしょうか。
【県土整備部長】
変更請負契約の内容についてでございますが、議案第16号の徳田橋(下部工)(第 2 工区)工事については、当初工事契約後に実施した測量の結果、河川内の地盤が設計段階よりも低下していることが判明し、新たな盛土や出水時の退避路などの仮設工変更が必要となったものでございます。
議案第19号の甲子川水門土木工事及び議案第29号の野田地区海岸防潮堤工事については、当初早期の復旧・復興を図るため、いわゆる「標準断面図等による発注方式」により契約したものですが、その後の詳細設計や詳細な地質調査の結果を踏まえ、必要となる工法の採用等十分な精査の上変更契約を提案してまいったところでございます。
甲子川については第二期工事となる右岸側の仮締切が終了し、施工範囲の詳細な地質調査が可能となったもので、その結果により地中の巨礎や転石により対応可能な基礎杭の打設工法を採用する等の変更を行なうものであり、野田地区については軟弱地盤対策として、防潮堤全線の基礎杭の追加及び河口閉塞対策として突堤工等を追加しているものでございます。
・損害賠償請求事件に関する和解及び賠償額について
【高田議員】
議案第39号、損害賠償請求事件に関する和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求める議案です。平成27年7月に大船渡市日頃市町鷲生ダムにおいて県職員が操船する巡視体験で乗車していた参加者が負傷したことに伴うものです。事故になった原因と賠償額953,955円の根拠、事故から3年以上も経過して和解した要因は何か。
【県土整備部長】
鷹生ダムにおける事故に係る損害賠償請求事件についてでありますが、事故の原因は平成27年7月の森と湖に親しむ旬間イベントとして開催した鷹生ダムのダム湖の巡視体験において、県の職員が操船する巡視船が浮桟橋に接触したものであり、被害者がその弾みで船体に右頬を打ち負傷したものでございます。
賠償額については自動車損害賠償責任保険の基準に準じて金額を算定したところ慰謝料として93万円、これに治療費の実費等2万3,955円を加え、95万3,955円としたところでございます。また和解までに時間を要した要因は経過観察を含め、診断結果を得るまでに時間を要したことなどによります。
・指定管理者の指定、雇用状況について
【高田議員】
議案第45号〜第50号は指定管理者の指定に関する議案であります。アイーナ内にある「県民活動交流センター」「岩手県立視聴覚障がい者情報センター」及び「岩手県立図書館」、県営住宅等の管理についても引き続き同一の団体が指定管理となる提案です。指定管理は本来、民間事業所等のノウハウを活用することにより住民サービスの質の向上を図る目的で設けられたものであります。指定管理者の指定でどう貢献されているのでしょうか。
5施設の指定管理者の非正規の割合は68%となっています。正規雇用の拡大などの雇用対策を進める県は逆行していないか。月収、年収など雇用環境の改善は図られているのでしょうか。
【佐藤企画理事兼総務部長】
指定管理者の指定による住民サービスの向上についてですが、今回提案している施設で申し上げますと県民活動交流センターなど、5つの施設の維持管理業務については民間事業者等のノウハウを活用した、趣向を凝らした幅広い年代向けの各種催事の開催や利用者のニーズに対応したきめ細やかなサービスが提供されているほか、良好な施設環境の維持や速やかな修繕等が実施されているところです。
また県営住宅等県営特定公共賃貸住宅等については、入居者からの苦情・要望等に対し職員全員が情報を共有するためのデータベースを構築し、迅速かつ的確に対応しているほか、指定管理者の自主事業として高齢者世帯の見守りや相談対応なども行なっており、時代のニーズに沿ったサービスが提供されているところです。
岩手県立図書館(管理運営)については開館日数の増加や閉館時間の延長、レファンレスサービスの充実とコンシェルジェの配置等により、サービスの向上が図られた結果来場者数が増加しているところです。
次に職員の雇用環境についてですが、5施設の清喜職員数は平成29年度は51名・29.7%、平成30年度は53名・31.9%となっており、前年度実績と比較して、正規職員が2名増えてその割合が2.2%増加しているところです。職員の月収、年収については雇用条件等により、月収、年収の統一的な把握は困難であるため1時間当たりの平均単価から試算してみますと、正規職員及び有期採用職員とも増加傾向にあるところです。