2018年12月7日 商工文教委員会
県立高校バレー部員自殺事案にかかる第三者委員会設置に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
補正予算の教職員人事費で、県央部県立高校バレー部員の自殺事案に関わる第三者委員会の設置費用が盛り込まれている。
一般質問でも聞いたが、遺族からも第三者委員会の設置について具体的な要望があったと思うが、その要望にどう応えたのか、応えられなかったのか。
そして12月上旬を目途にということだが、現段階で具体的な設置の目途はどうなっているか。
【教職員課総括課長】
まず、第三者委員会の設置にあたってのご遺族からのご要望については、委員会の所掌事項だとか公開のあり方、委員の遺族推薦枠の設置、あるいは委員の活動地域、地域の委員会開催など多くの点をいただいた。
県教委としては、ご遺族のご心情に配慮した対応をする必要があるとの考え方から、設置要綱案を事前にお示しし、可能な限りの修正をして、できるだけ多くの要望を取り入れるようにしてきた。
その中で、委員として特定の方を入れるようにということがあったが、ご遺族の主張と学校側との認識に大きな隔たりがあり、中立公平な調査をしていただくために、要綱決定前に要望を受けた遺族枠の設置の同様の理由から、これはお答えできないということで、ご遺族には回答したが、推薦をいただく職能団体に対しても、ご遺族が求める委員の専門分野だったりとか、活動域などあわせてお伝えしており、現在その具体的な人選を各職能団体にお願いしている。
開催の目途については、現在具体的な人選をお願いしているところであり、12月上旬ということで、可能な限り速やかに推薦手続き等を終えて、早期の第1回目の開催をしたいと考えている。
【斉藤委員】
今の答弁で、「遺族と学校側に大きな認識の隔たりがあった」と。これはきわめて重大な話だと思う。どういうところに大きな隔たりがあったのか。
【教職員課総括課長】
当該教諭の指導と自死との因果関係の有無について、これについては、これまで行ってきた県教委の調査や学校側の調査等を鑑みると、やはり因果関係があると断定できるだけの根拠がなかったということで、認識の差異があったと考えている。
【斉藤委員】
遺族の方が、バレー部の父母や部員からも話を聞いたうえで、そして学校長の調査、県教委の詳細調査を踏まえて、顧問の指導に問題があったのではないかという思いを強めた。これは当然のことだと思う。それに対して学校長の「指導に行き過ぎはなかった」という発言が二度にわたって新聞報道されると。これこそ行き過ぎだったのではないか。県教委はこのことについて指導したと思うが、いつ、どういう指導をしたのか。
【教職員課総括課長】
今年の10月1日、県教委において当該学校長を呼び、教育長から直接指導したところである。
内容については、ご遺族に寄り添った丁寧な対応をしていく状況にある中で、まずその認識に立って、ご遺族との接触だとか事案を理解していくこと、またそうした過程の中で、学校や当該顧問に問題がなかったということが受け取れるような発言については、やはりご理解いただけないということで、そういう発言のあり方についても注意申し上げた。
【斉藤委員】
10月1日の教育長の指導というのは遅きに失した。7月3日の自死事件から約3ヶ月後である。ある意味、学校長の「行き過ぎ」な発言を放置していた。
だから先ほどの総括課長の「認識に大きな隔たりがあった」という発言は正確ではない。「学校長の発言に行き過ぎがあった」と言うべきではないか。それを10月1日に教育長が学校長に対して、総括課長が話された2点―@遺族に寄り添って丁寧に対応すべきA学校長の発言は誤解を招くもので、慎重に対応すべき―と。
この間の経過からいったら、最初に遺族と学校に大きな隔たりがあったということを理由にしたらおかしい。学校長の対応に行き過ぎがあり、それを遅きに失したが10月1日に教育長が正したということではないか。
【教育長】
学校長の発言は、これまで学校での調査、県教委での調査の内容について、聞き取った内容を保護者の方にまずもって速やかにお伝えするということで、聞き取りの内容そのものを、特に我々の考え方ということを、その中身には触れないで客観的な情報をお伝えするということがまずもって必要だと考え、そういうことをお伝えしたところである。
そういう中で、学校や県教委として、さまざまな情報の中で一定の考え方ということを整理する作業も同時に行ったところだが、なかなかその辺を集約することが難しいという中で、第三者委員会の設置という判断をした。
そういう議論の中で、学校長の発言が、第三者委員会に今後真摯に対応していくべき状況で「一切学校側の責任がなかった」ということは、第三者委員会の調査の中で明らかにされていく、真摯に対応していくという状況の中で、そのような発言をしてしまった。また、これは新聞報道で、途中でいくつかのやりとりがあったと推測するが、そういう受け止め方をされたということは慎重に対応すべきだということを注意し、そして今後真摯にこの問題に向き合っていこうということで指導したものである。
【斉藤委員】
いずれ学校長の発言に行き過ぎがあったから教育長は10月1日に指導した。
こういう重要な事件が起きたときの初動の対応は本当に大事である。文科省のガイドラインで、初動の対応で「遺族に寄り添って対応を」となっている。それが「顧問の指導に問題はなかった」と、これは聴聞のときからそういう話をしている。そして新聞報道でも二度にわたりそういうコメントが報道された。初動で学校の対応がきわめてまずかったと思う。やはり遺族に寄り添って丁寧に対応するということは徹底しなくてはならない。
第三者委員会の設置については、もう推薦依頼をしているので、今から変えるべきということは言わないが、宮城県の場合は、遺族枠を設けて第三者委員会を設置する。だから、遺族枠を設けることが問題だとはならないと思う。特に、県教委の対応も第三者委員会の調査事項である。それは、前任校でああいう事件があって、訴訟が提起されて、不法行為が認定された。その教師が再び別の強豪校で顧問に就き、因果関係は別にして、自死事件が発生してしまった。だから、そういう県教委の人事政策も今回の調査事項に入っている。調査されるべき県教委が、こうでなければならないとやること自身が矛盾に満ちているのではないか。
ご遺族は、だいたい今の方向で理解・納得されているか。
【教職員課総括課長】
この事案にかかる県教委のさまざまな対応については、第三者委員会の設置要綱の中の所掌事項に、「学校および県教委の対応についての妥当性」を考察するということで、これを踏まえて第三者委員会が県教委の対応について調査するかどうか、その内容についても精査されると考えている。
ご遺族とのやりとりについては、これまでも数回、事案発生から第三者委員会の立ち上げ、設置要綱についての要望ということで、直接お会いする場面だとか書面でのやりとり等も何度かあった。そういった中で、先ほど申し上げたようなご遺族からのご要望については、できる限りお応えするという観点から設置要綱への反映、推薦にあたっての公平中立な立場から、遺族枠は設けないにしても望ましい属性をうかがい、それを職能団体にお伝えしたうえで一律にお願いするといった対応はとってきたところである。
【斉藤委員】
5つの団体に推薦依頼をされていると。日弁連には複数ということで依頼されていると思うが、現段階で何団体から推薦されているか。
【教職員課総括課長】
現時点でまだ正式な手続きには至っていないので、まさに人選の調整中ということでご了承いただきたい。