2018年12月13日 12月定例県議会最終本会議
議案に対する反対討論全文


 日本共産党の斉藤信でございます。議案第45号、46号、49号、50号に反対の討論を行います。

 議案第45号、46号、49号は、県民活動交流センター、県立視聴覚障がい者情報センターの指定管理者の指定、県立図書館の維持管理業務の指定管理者の指定に関し議決を求めるものであります。指定管理者は5者による「結(ゆい)グループ」であります。
 反対する第一の理由は、応募団体が1グループだけであり、競争性が確保されていないことであります。
 第二に、指定管理者「結グループ」の職員の労働条件が劣悪なことであります。職員86人のうち、正規職員はわずかに17人、非正規職員は69人で8割を占めます。非正規の清掃員の時給は、最低賃金ギリギリの780円となっています。正規の警備員の場合も、月給制ですが、時給換算で900円台にとどまっています。岩手県の事業でワーキングプアを大量につくることはあってはならないことであります。
 指定管理者制度の必要性とあり方を根本から検証し見直すべきであります。

 議案第50号は、岩手県立図書館の運営業務の指定管理者を指定することに関し議決めるものであります。
 そもそも、県立図書館に指定管理者制度の導入を行うこと自身が問われています。日本図書館協会は、「図書館への指定管理者制度の導入はなじまない」(2017年3月)との見解を出しています。その理由は、図書館というのは、憲法、教育基本法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、社会教育法、図書館法という法体系の中に位置付けられる教育機関だからであります。
 教育機関として機能するためには、@政治的な価値判断に左右されることがない「政治的中立性」、A教育を担うものとしての「専門性」、B安定的で長期的な運営方針による「安定性・継続性」の確保が求められます。
 指定管理者制度は、指定期間が5年間で、次回も指定されるとは限らず、職員の安定した雇用の確保にとっても、専門性の確保にとっても保証されないものであります。図書館利用は無料が原則となっていることから、事業収入も見込めないものです。また、政策決定と運営主体との分離は、図書館運営の維持発展を大きく阻害するものであります。さらに、他機関の指定管理では、市町村図書館との密接な連携を図ることも、そのための専門職員を配置することも困難です。指定管理者制度は、本来の図書館の在り方に反するものだといわなければなりません。
 今回、県が指定しようとする指定管理者の株式会社図書館流通センターの実態は、職員配置では47人中正規職員は13人、非正規が34人で72%となっています。株式会社図書館流通センターの企画提案書では、「県立図書館の設置目的及び運営の基本的考え方」として、「次の100年に向けて県立図書館に公文書館の機能を持たせること」を提案しています。指定管理者には図書館の運営方針を決める権限はありません。次の100年を構想する権限も、公文書館の在り方を検討する権限もありません。県立図書館の運営方針は、指定管理者ではなく岩手県が派遣している館長、副館長等9人の県職員で決定するものであります。
 今回の指定管理者の申請者の企画提案の内容は、指定管理者の逸脱と教育委員会の指定管理者に対する丸投げという深刻な実態を示すものであります。この内容の企画提案書が、選定委員会でも全く審議されていないことも重大であります。公文書の管理は教育委員会ではなく、県庁知事部局が検討すべき課題です。
 実際、都道府県立図書館で指定管理者制度を導入しているのは、4府県5施設にとどまっています。運営業務まで指定管理者を導入しているのは岩手県のみです。全国の図書館の指定管理者制度の導入状況は、総務省の調査(2015年)では15.2%にとどまっています。全国的な状況をしっかり踏まえて、県立図書館運営の在り方、指定管理者制度の在り方について根本から見直すべきであります。

 以上を申し上げ、議案第45号、46号、49号、50号に対する反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。