2019年1月9日 商工文教委員会
ラグビーW杯2019釜石開催に関する質疑(大要)


【斉藤委員】
 仮設施設整備が9億5400万円で、これは県と市が半分ずつ負担し、その後に国の特別交付税措置が半分ずつ措置されると。
 新聞報道を見ると、運営費についても、「総額10億円程度と釜石市は想定している」という報道があるが、運営費10億円の根拠を示していただきたい。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 運営費については、29年度は実行委員会負担金ということで、県と市それぞれ2000万円ずつ、30年度は4600万円ずつ負担している。当該年度の運営費の関係については、本番時に開催都市としての責務として行う観客の交通輸送やファンゾーンの運営、最寄り駅からの警備、開催都市ボランティアに関する経費等、さらなる精査が必要であるということで、現在総務部との調整を進めているところである。

【斉藤委員】
 これは現時点での試算だと。
 仮設スタンドについて、7月にテストイベントが行われ、16000席で開催すると。仮設スタンドはいつ完成するのか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 現在、釜石市で発注手続きを進めており、1月7日に、仮設施設運営に関する一般競争入札の公告を行い、今後2月上旬に契約を締結、仮設施設の設営に着手し、6月末を目途に完成を見込んでおり、ただ間に合わないのは照明車の一定のところは配置はされないが、それ以外の仮設の部分については全て整った形で、テストイベントを実施すると。そして16000人に合わせた形でバスや駐車場等の確保もあわせて行うとしている。

【斉藤委員】
 仮設トイレが約240基ということで、この数で対応できるのか。いわて国体のときはどうだったのか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 昨年行ったオープニングイベントの際には、常設が18、仮設が30の計48で、非常に足りなかったことがあった。今回は、仮設が240、常設も18から40にし、280基を本番に向けて用意するという形になっており、事前に開催都市でトイレの準備状況を聞くと、平均でトイレ1基当たり82人が使用ということになっているが、釜石の数だと68人となり、数自体は他の開催都市よりも多い数で準備している。ただ、ハーフタイムなど人が集中するので、そこの面での混雑はあるかとは思うが、最大限数を用意したところである。
【文化スポーツ部長】
 国体の一番大きな規模の総合開会式においては、国体および障がい者スポーツ大会それぞれ3万人2万人という想定で、約400基ほど用意した実績がある。16000人対して280基ということで、同等以上の準備はしているという認識である。ただ、ハーフタイムに一気に人が押し寄せ、私も神戸などを見た際に、立派なスタジアムに38000人というところで、トイレは瞬間的に混雑するので、いくらあっても足りないということはあるが、ハーフタイムでどれだけさばけるかということで、それぞれの施設での1基当たりの回転率を参考にして、苦情が生じないレベルには確保できているのかなと。
 さらに、テストマッチは我々が誘致を努力した結果、日本代表が試合をしてくれることになり、ここでの検証も含めて、さらに必要な措置があればとっていきたい。

【斉藤委員】
 組織委員会と地元の関係について。大会そのものは組織委員会が責任をもって運営すると思うが、組織委員会はどこからどこまで運営し、地元の県や市はどういうことをやるのか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 大会そのものに関わる部分については、組織委員会で行うことになるが、開催都市が組織委員会との契約により行わなければならないことということでは、今釜石市で整備している試合会場の提供、観客にかかる交通、道路交通規制ということでの警察、チケット販促等への間接的な支援、開催都市としてファンゾーンを設営すること、都市の装飾、イベントスペースの提供ということで歓迎イベントや交歓会、スタジアムの中については組織委員会のボランティアということになるが、最寄り駅からスタジアムまでのボランティアを開催都市で行うこと、大会の成果を今後に生かすというレガシーのプログラムという部分に取り組むことなどが開催都市の大きな責務としている。

【斉藤委員】
 大会の範囲がどこからどこまでなのかというところが厳密に分からない感じがあるが、組織委員会と開催都市との実際の協議の場はあるのか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 大会を成功に導くためには、組織委員会と開催都市の綿密な連携が必要であるということで、昨年4月に組織委員会の岩手釜石地域支部ということで、12開催都市すべてに地域支部を設け、地域との連携を図っている。
 本番に向けては、細かな問題をさらに詰めていかなければならないということもあり、月に2回程度なりそうした打ち合わせをしながら、大会に向けての穴がないように協議を進めている。

【斉藤委員】
 組織委員会の全体の財政の説明があったが、チケット収入が260億円、これは180万枚の7割で試算されている。先日のニュースだと100万枚を突破したと。順調とはいえ満席まではこれからが勝負だと思う。
 分担金39億円というのはどういう内容のものか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 開催都市分担金についてだが、12開催都市すべてが分担したもので、岩手・釜石は合わせて1億円を負担している。予算の方では、平成27〜29年度までということで、それぞれ5000万円を3分割した1666万円余を3年間で払っている。他の開催都市では8億円のところもあるなど、規模によりさまざまである。

【斉藤委員】
 開催都市で一番の仕事は、観客の交通・宿泊の確保だと思う。この点で、具体的な計画や見通しはどうなっているか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 大会時にスタジアムに来場する16000人の観客を、円滑かつ確実に輸送させるということで、3点大きな柱としてあるが、鉄道の輸送力を生かした釜石駅、スタジアム直近である鵜住居駅までの臨時便の運行や鉄道車両の増結、県内の主要駅や空港からスタジアムに直通するライナーバスの運行、自家用車で訪れる観客をスタジアムまで輸送するシャトルバスへの乗り換え拠点をスタジアムの北・西・南の主要道路沿いに設置するパークアンドライドの運用という形で、バス車両の確保、駐車場の確保、バスライドの拠点の確保ということに万全を期するために関係機関と調整を進めている。こうした形で、バスの借り上げを県内だけではなく東北の事業者さんにもお願いしながら、そしてパークアンドバスライドについては、およそ3630台必要と基本計画ではなっているが、それを上回る4000台近い形での駐車場の確保ができる見通しとなっている。
 宿泊については、観客については国体の通りだが、観客等の配宿という形では行ってはいないが、1日でも長く県内宿泊施設に宿泊し、観光地等を周遊いただくために取り組もうとしていることは、@2月を目途に観客の方々を主たる対象とするホームページを作成し、多くの閲覧が見込まれるような交通輸送の情報と合わせ、宿泊検索サイトに掲載されていないような宿泊施設の紹介などきめ細やかな宿泊観光情報の発信、A県内への誘客を促進するために、宿泊の斡旋を希望する旅行業者を募り、ホームページを介して観客と宿泊施設のマッチングを促進すること、B現在検討しているライナーバスの起点情報等を速やかに宿泊施設に提供し、宿泊施設側の誘客活動を促進するような活動を行うこと、C大会期間中に長期滞在が見込まれるようなイングランドとかオーストラリアといった方々に向けては、札幌ドームをはじめ、12会場に観光情報を掲載したパンフレットの配下、本県の周遊ルートということを考えている。このほか、観光課と連携した取り組みということで、ワールドカップ開催期間中での旅行商品の増成支援とか、外国人観光客を対象とした周遊パスポートの導入など、市町村や関係団体と連携して取り組んでいる。

【斉藤委員】
 16000人のうち、海外からどのぐらい、県外・県内からどのぐらいを見込んでいるか。
 交通輸送が一番大変だと思うが、鉄道・ライナーバス・自家用車セットのシャトルバスということだが、それぞれ内訳からいけばどのぐらいの見込みで準備されているか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 16000人のうち、いま見込んでいるのは、国体などの大規模スポーツイベントでの活用データを活用した動員予測システムによる来場シミュレーションということで、1試合あたりの県外・海外からの観客見込みは、9月25日のフィジー対ウルグアイ戦の方で6200人、10月13日は日曜日の試合ということで7600人、計13800人を見込んでいる。
 輸送の関係の内訳だが、自家用車が約6300人、公共交通機関が600人、盛岡駅等からの移動手段が未定という方が5100人、団体で来場が3800人ということで見込まれている。自家用車、拠点からの手段が未定の約11000人に対してパークアンドライド、未定の方に向けてのライナーバスの利用を見込んでいる。

【斉藤委員】
 約1万人近いところが県内からということになると思う。交通輸送は、もっと緻密な計画がないと大変だと思うので。
 それで、テストイベントというのが、大変重要な意味を持つのではないか。7月27日に日本代表とフィジー代表の試合が行われる。何よりも日本代表が鵜住居で試合をするというのは大変大きな意味を持つのではないか。そして、本番さながらの取り組みがこの時期にできるということで、いろんな意味でテストイベントは重要な意味を持つと思う。このテストイベントの主催者はどこになるのか。開催都市との関係は財政も含めてどういう役割を持つのか。

【ラグビーワールドカップ2019推進室長】
 ティア1(第1グループ)と呼ばれるラグビーの伝統国に追いつくために、ティア2と呼ばれる国々の強化を目的に、ワールドラグビーが主催しているものであり、日本で行う試合については、それに合わせて日本ラグビー協会が主催しているということである。ただし、鵜住居復興スタジアムでは、16000席での試合が経験が大会までにできる機会がこの日しかないので、十分ラグビー協会や組織委員会と連携し、本番時に万全の体制で迎えられるようにさまざまな調整をしながら本番に向けて取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 16000人を対象に行うので、これ自身が大イベントになり、それなりの経費もかかると思うが、運営費は約10億円ぐらいということで、10億円の運営費の中にテストマッチの分も含まれているということか。
 いよいよ今年国際的な権威のある大会が岩手で、沿岸釜石で開催される。内陸でやられるのなら今までの経験が通用する部分はあるが、沿岸でこれだけの規模の国際的な試合が行われるのは大変なことだと思う。ラグビーワールドカップ2019成功に向けた心構えと具体的な取り組み、県民に期待することをお聞きしたい。

【文化スポーツ部長】
 テストマッチの主催はラグビー協会となっているが、テストマッチについても本番のためのさまざまな検証が必要であるので、経費も大会運営費の中に盛り込んでいる。いま予算調整中であり、ぎりぎりまで時間がかかるものになると思っており、10億円規模の試算となっているが、根拠がまだ明確でないので、相当程度かかるということで、10億円という数字は控えたいと思っている。しっかり精査し、十分かつ最小限の経費で対応していくのが行政の立場であるので、釜石市と相談しながら詰めているところである。
 大会運営費のみならず、市民・県民も含めての対応として、関係する世界の国々が注目している、さらにはラグビーに縁のない世界中の人たちが震災からの復興をずっと支援してきていただいている。それに対する感謝をしっかりとした形で示し、それはおもてなしであり、また来たいと、これからも支援したいと、心も含めた釜石・岩手へのリピーターとなっていただけるようしっかり対応しなければならないと思っているので、絶対に失敗できないと。そういうこともあり国にもいろいろと要望してきたが、その結果、特別交付税措置なども取れてきたわけで、先ほどラグビー協会の話をしたが、日本代表の試合を何とか本番前にやっていただけるということにもなった。また先般のオープニングイベントでは、全世界にオープニングイベントが発信され、それらの効果は組織委員会の試算では23億円の広告効果があったと言われている。それと同等以上のものを国内に向けてもしたいというのがテストマッチの場となり、しっかりと成功させることは私たちの責務だと思っているので、覚悟を持ってやっていかなければならない。その中で、経費についてもしっかり予算を見ていかなければならないので、慎重に精査している。
 いずれ、日本を代表してイベントに取り組むということであるので、大会の成功を祈して頑張りたいと思うので、皆様方のご協力もよろしくお願いしたい。