2019年2月25日 2月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問(大要)


1.東日本大震災津波からの復興の課題について

【高田議員】
 第1に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問します。
 東日本大震災からまもなく8年が経過しようとしています。いまだに応急仮設住宅等には1,301戸、2,827人が避難生活を余儀なくされています。岩手大学社会学研究室が行った大槌町の仮設住宅入居者の調査では、「くらしが厳しい」との回答が50.5%、「尋ねてきた人がいない」が17.9%となっています。一方、災害公営住宅では4,937戸8,822人が入居していますが、政令月収が8万円以下の国の家賃低減制度の対象は74.8%で、低所得者が多数を占め生活苦が進行しています。高齢者の独居世帯が4割、高齢者のいる世帯は7割弱を占めており、「部屋から出なくなった」など、孤立化・孤独化が一層進行しています。
 こうした中で孤独死は年々増加し昨年は前年の2倍となる21人、うち災害公営住宅では18人にもなっています。(累計で80人)これまでの延長線上でなく抜本的な対策を取らなければ、1,000人を超える孤独死を出した阪神・淡路大震災の教訓が生かされません。孤独死をなくす県の対応策を示してください。

【答弁】達増知事
 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず孤独死への対策についてでありますが、平成30年12月末現在で東日本大震災津波に係る応急仮設住宅と災害公営住宅において、いわゆる孤独死は80人となっており、被災者が地域で孤立を深めることのないようきめ細かな対応が必要と考えております。
 県では岩手県社会福祉協議会と連携して配置した生活支援相談員が、市町村が配置する支援員等連携しながら被災者への個別支援や、住民相互に支えあうコミュニティ形成等の地域支援の両面に取り組んでいるところであります。
 来年度におきましても生活支援相談員を継続して配置しますほか、今年度試行的に実施したコミュニティ食堂のさらなる展開を図るなど、被災者に寄り添った中長期的な見守り体制を充実し、地域で暮らす人々が相互に支えあうことができる新しい福祉コミュニティの形成支援に努めてまいります。

【高田議員】
 災害公営住宅入居者から「牢屋のようだ。一人で楽しいことない」、「仮設に戻りたい」こんな悲痛な声が寄せられました。災害公営住宅におけるコミュニティ支援の強化は重要な課題であります。被災地のコミュニティ支援を行ってきた岩手大学の船戸特任助教は「現場の努力だけではコミュニティ形成は困難である」と指摘しています。
 第一に自治会の担い手不足と高齢化のなかで、継続的な取り組みを支援する支援員の配置が必要と考えますがいかがでしょうか。

【答弁】佐々木復興局長
 コミュニティ形成を支援する支援員の配置についてでありますが、被災者の方々が新たな居住環境で孤立することのないよう、沿岸等の10市町村においてコミュニティ形成に係る支援員を配置しております。県におきましても県営災害公営住宅における自治会運営のサポート等を行なうコミュニティ形成支援員を配置しているほか、被災地コミュニティ支援コーディネート事業により、市町村へのコミュニティ形成に係るノウハウの提供やコミュニティ形成に携わる人材の育成の支援を行なっているところです。来年度においても国の被災者支援総合交付金を活用して、市町村において支援員を継続して配置する予定と聞いており、県でもコミュニティ形成支援員の配置や被災地コミュニティ支援コーディネート事業を継続して実施することとし、そのための経費を来年度当初予算案に計上したところでありまして、コミュニティ形成が円滑に進むよう引き続き市町村における取り組みを支援してまいります。

【高田議員】
 第二に要支援者については生活相談員の見守りが行われていますが、月に一度であり、地域のコミュニティでの見守りがどうしても必要であります。「どこに誰が入居しているのか、敬老会の案内もできない」と自治会役員からの声がでています。知事はこれまで「自治会が名簿を整備しておくことはコミュニティ形成や避難行動上有効だ」と述べてきました。現在県営災害公営住宅の24団地中3団地しか名簿が整備されていません。これまでどんな支援を行ってきたのでしょうか。

【答弁】八重樫県土整備部長
 コミュニティ支援の強化についてでありますが、県では県営災害公営住宅の自治会に対しては、要請があった場合には高齢者の世帯数や空住戸などに関する情報を提供するほか、個々の入居者の情報については入居者の同意を得た上で提供することとしています。またコミュニティ形成支援事業によるコミュニティ形成支援員とともに、各自治体に出向き役員との意見交換を実施する中で自治会の名簿作成の意向について伺っています。現在のところ自治会からは入居者の同意が必要となるような情報の提供依頼はいただいてないところでありますが、引き続き様々な機会を捉え、また市町村や関係機関とも連携しながらコミュニティの円滑な形成や運営に向けて支援してまいります。

【高田議員】
 いわてこどもケアセンターの活動は年々増加しています。いわてこどもケアセンターが開設された25年度から年々増加し、29年度は7,663件、今年度は12月現在で5,924件と昨年を超える受診件数となっています。新しい患者は、ここ数年300人を超え(29年313件、30年12月現在214件)、その6割は震災後に生まれた未就学児及び小学生となっています。親の生活苦やストレスが子どもに影響していると指摘されています。同時に岩手県が継続実施している医療費の免除措置が、受診しやすくする重要な役割を果たしていると思いますがいかがでしょうか。

【答弁】達増知事
 いわてこどもケアセンターの受診者の増加についてでありますが、被災地の子どもたちは震災そのものによるストレスに加え、その後の転居など環境の変化や被災生活の長期化に伴うストレスを受けています。そうした中でいわてこどもケアセンターの受診体制が整備され、センターが広く認知されたこと等を要因として受診件数が増加しているものと捉えています。県といたしましては復興の進捗に対応した心のケア対策は、中長期的な取り組みが必要と認識しております。議員御指摘の被災者の医療費一部負担金の免除につきましては、その生活実態に配慮し必要な医療を受ける機会を確保する観点から継続して実施しているものでありますが、心のケアが必要な子どもたちを含め被災者の受療機会の確保や健康の維持増進等にも寄与しているものと考えております。市町村の医療費一部負担金免除に対する県の財政支援につきましては、現在平成31年末までとしているところでありますが、以降の実施については復興事業の進捗状況や被災者の状況の推移、市町村の意向等を十分に考慮したうえで判断したいと考えます。

【高田議員】
 被災事業所の88.3%が事業再開したものの、県の「被災事業者復興状況調査」では「売上げが震災前と同程度または上回っている」は33%に留まっています。現在の課題は「材料調達」67.7%、「雇用確保」40.9%、「業績悪化」38.7%となっています。
 水産加工業は大不漁と原材料の高騰でダブルパンチであります。販路の回復や新たな販路開拓が思うように進んでいません。原材料調達や新たな販路開拓など従来にない対策が必要ですが、県のこれまでの対応と今後の対応策について示してください。

【答弁】上田農林水産部長
 水産加工業の振興についてでありますが、県では加工原料の安定確保のため水揚げ状況などの情報提供や、主要魚種以外の原料に変更を検討する場合の事業者への助言のほか、市町村や漁協と連携しサバ、イワシを漁獲する巻き網漁船などの地元魚市場への誘致に取り組んでおります。また地域水産物の高付加価値化及び販路開拓に向け、高度衛生品質管理地域づくりなどを進めており全国的に高い評価を頂いています。さらに全国有数の真鱈の水揚がある宮古市では地域をあげて真鱈のブランド化を推進し、地元の加工業者による真鱈加工品が消費者からの好評を得て売上を伸ばしているなど、県としても高く評価しているところであります。今後は引き続きこれらの取り組みを進めるとともに、通電加熱技術などの新しい加工技術の開発・普及、水産加工品コンクールや展示商談会への出展支援に取り組むなど、本県水産加工業の一層の振興に取り組み消費者から選ばれる産地づくりを推進してまいります。

【高田議員】
 今後の売上げの見通しについては、卸売小売業で「震災前と同程度又は上回る」が26.9%、飲食・サービス業で42.4%です。グループ補助金に係る高度化スキーム貸付金返済の据え置き期間が経過した事業者も出ており、返済猶予など金融支援、本設再開への支援、仮設施設の継続支援等きめ細かな支援が必要であります。今後の県の取り組みを示してください。
 被害の大きかった被災地ではまちづくりの遅れから、復興・創生期間内にグループ補助金で事業再建できない事業者も見込まれます。グループ補助金などの国の動向と県の対応策を示してください。

【答弁】戸舘商工労働観光部長
 グループ補助金に係る県の支援等についてでありますが、いわゆる高度化スキーム貸付について県は、貸付を行なっている公益財団法人いわて産業振興センターと連携し貸付先の業況を確認しておりまして、これまでに15者21件について最終償還期限の延長や毎回の返済額の低減といった条件変更を行なっており、引き続き事業者の事情に応じて柔軟に対応してまいります。本設再開への支援につきましては県ではグループ補助金によりこれまで191グループ、1,525事業者に対して890億円を交付決定し、被災事業者の早期事業再開に大きな役割を果たしてきたものと認識しております。グループへの参加が困難な事業者には市町村と連携した、中小企業被災資産復旧事業費補助金によりましてその復旧を支援しているところであります。また仮設施設を譲り受けて営業継続を希望する商業者につきましては、これまで19事業者に対し市町村から施設が譲渡されているところでありまして、今後におきましても市町村と連携して事業者の本設再開を支援してまいります。
 次に仮設施設で事業を継続している方への支援につきましては、平成30年12月末現在、仮設施設で事業を継続している商業者は210者となっておりますが、仮設施設の撤去等費用の助成期限の延長が平成31年度の国の当初予算案に盛り込まれ、これによりまして市町村が定めた退去期限までに本設移行ができない事業者であっても、その事情に応じて退去期限の延長等市町村において弾力的な運用が可能となっております。県といたしましては引き続き市町村や金融機関と連携を密にし、円滑な本設移行に向けてグループ補助金等の活用や金融支援を行なってまいります。
 次にグループ補助金に係る国の動向等についてでありますが、国におきましては平成31年度当初予算案に75億8千万円のグループ補助金に係る予算を計上するとともに、土地区画整理事業等の公共事業のため移転した事業者が元の場所に戻って事業再開する場合の再交付申請の要件を緩和することとしておりまして、県におきましては本議会に提案している平成31年度当初予算案に65億6千万円余を計上しているところであります。県といたしましては2020年度以降のグループ補助金の継続や複数年度にわたる事業実施のために必要な措置について国に要望してまいりますほか、商工指導団体とも連携しグループ補助金の申請に向けた周知や相談など、引き続き本設再開に向け被災された事業者のニーズに応じたきめ細かい支援に努めてまいります。

2.災害の危険から県民のいのちを守る防災対策について

【高田議員】
 第2に、災害の危険から県民のいのちを守る防災対策について質問いたします。
 昨年は全国各地で災害が発生し救われる命を失うという災害が各地で起きました。豪雨災害では浸水区域と指定された地域でも犠牲者が出ており、また避難しなかった人、避難できなかった人がいました。東日本大震災の教訓を踏まえ確実に避難行動を行い犠牲者をつくらない事が大事です。
 2016年の台風第10号による岩泉町の高齢者施設での死亡事故を受けて、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域の施設について避難確保計画と訓練の義務化となりました。2019年2月現在では1,174施設中598施設(50,9%)しか策定されていません。遅々として進まない要因及び県の対応策を示してください。

【答弁】佐藤企画理事兼総務部長
 要配慮者利用施設の避難確保計画についてでありますが、策定が遅れている要因としては計画策定の主体となる施設管理者の制度に対する理解や計画の具体的な作成方法、関連する防災気象情報等の知識が必ずしも十分ではなかったものと考えられるところです。このため県では今年度盛岡地方気象台などの協力も得まして講習会を開催し周知に努めたほか、市町村へ直接働きかけを行なうとともに市町村が行なう講習会等へ県から講師を派遣するなど計画策定の支援に努めたところです。こうした取組みにより昨年4月1日現在の避難確保計画を策定した施設数は196施設16.7%から、今年2月までには598施設50.9%まで進んだところです。今後においても計画策定が遅れている市町村の支援ニーズを把握するとともに、関係機関と連携して助言等を行なうなど計画策定に向け一層の支援に努めてまいります。

【高田議員】
 東日本大震災では犠牲者の6割が65歳以上となり、障がい者は被災住民の死亡率の2倍となりました。こうした教訓を踏まえ市町村では避難行動支援者名簿を策定し、その名簿を避難支援関係者に提供し、さらに地域の実情を踏まえて個別支援計画の策定を進めることが適切であるとされました。2018年5月現在の要支援者名簿は81,423人、個別計画策定は16,788人と作成率はわずか20.6%に留まっています。県内では二戸市など4市町が100%となっています。個人情報保護審議会での同意を得て名簿を提供しており、長野県茅野(ちの)市は「災害に強い支えあい街づくり条例」を策定し名簿提供しています。個人情報保護をたてにしないで全国の取組みを踏まえ対応すべきですがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 まず避難行動要支援者名簿の提供についてでありますが、本県においては29市町村で平常時からの対策として、消防機関や民生委員など避難支援等関係者への要支援者名簿の提供が行なわれていますが、要支援者が自身の情報を周囲に知られたくない等の理由により提供の同意が得られないことから、その数は要支援者の約4割にとどまっている状況にあります。一方で県内にも個人情報保護条例に基づき公益上の必要性があると認めることにより、本人の同意の有無に関わらず名簿情報を提供する取り組みを行なっている自治体でもあるところです。県としては災害時において実効性のある避難支援が行なわれることが重要であると考えており、今後も研修会等において議員御紹介の茅野市をはじめ先進的な取組み事例を紹介するなど市町村の支援を行ない、地域の実情に応じた避難行動要支援者の避難支援の充実に取り組んでいきます。

【高田議員】
 東日本大震災での震災関連死は467人(熊本では直接死の4倍)となりました。避難所でのプライバシーのない雑魚寝、防寒対策も十分でない仮設住宅、ストレスも多く感染症も発生することなど避難所の備えが脆弱だからであります。避難所・避難生活学会では、「トイレ、食事、ベッドを改善すれば被災者の失望感や疲労感を減らして復興への意欲や日常生活を取り戻すことができる」と指摘しています。アメリカの疾病管理予防センターが作成した「災害時避難所環境アセスメントコア」を参考に避難所改善を求めています。災害救助法の見直し、避難所のあり方を抜本的に改善するよう国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 避難所のあり方についてでありますが、平成28年に内閣府において避難所のトイレや食事、寝床などの質の向上のためのポイントを示した避難所運営ガイドライン等が作成され、良好な生活環境の確保を推進しているところであります。県ではこれらを参考に「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を作成し、その普及を市町村に働きかけており平成31年1月現在20市町村が策定しているところであります。県としては研修会等を通じこれらマニュアル等の普及を図り市町村の取り組みを促進することとしていますが、国に対しては災害救助法に災害派遣福祉チームや感染症対策を位置付けることなどを要望しているところであり、今後必要に応じ避難所の改善についての要望も検討してまいります。

3.高すぎる国民健康保険税について

【高田議員】
 第3に、高すぎる国民健康保険税について質問します。
 県内各地で高すぎる国保税に悲鳴が上がっております。滞納世帯は15,687世帯、実に24%にもなっており、払える国保制度にすることは喫緊の課題でもあります。そこで4点質問します。
 第1に、1兆円の公費投入を求める問題であります。
 年収400万円の4人家族のモデル世帯(30代夫婦で子2人)の国保税は20万736円に対し、盛岡市の国保税は40万円と2倍になっています。事業主負担がなく加入者の43%が無職など低所得者が加入する制度でありながら、国庫支出金を削減し続けてきたことに原因となっています。全国知事会は「国保の構造問題」を解決するために1兆円の公費投入を求めています。国の対応はどうなっているのか国に強力に求めていくべきですが県の今後の取り組みについて示してください。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 今般の国保制度改革においては国による毎年約3千4百億円の財政支援の拡充が図られることとなったものの、必ずしも構造的な課題の解決に結びついていないものと考えています。県としてはこれまでも国に対して国庫負担率の引き上げなど様々な財政措置の方策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望してきたところであり、今後も制度の安定的運営が図られるよう他の都道府県と連携しながら財政措置の拡充について国に働きかけてまいります。

【高田議員】
 第2に、応益負担制度の見直しについてです。協会けんぽの被用者の保険料は、収入に保険料を掛けて計算しますから、家族の人数が保険料に影響することはありません。国保は子どもの多い世帯ほど保険料が高く、子育て支援にも逆行するとの批判が広がり、2015年、国と地方との協議で政府は検討に合意しました。その後どんな検討がされているのでしょうか。
 宮古市は新年度から0歳児から18歳までの「均等割」を廃止する方針であります。全国知事会でも見直しを求めており県内の自治体にも広がるよう県も具体的支援を行うべきですがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 国と地方との協議の場である「国保基盤強化協議会」が平成27年2月に取りまとめた「国民健康保険の見直し」において、地方が提案した「子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入」については「現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら引き続き議論していくことにする」とされているところであります。その後も全国知事会において子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入に関する要望を継続して行なっているところでありますが、これまでの間主として国保制度改革に伴う国の財政措置の拡充等の議論が優先してなされてきた経緯もあり、具体的な議論には至っておりません。県としては引き続き全国知事会を通じて軽減措置の導入について要望を行なうとともに、制度移行が円滑に進んだ状況なども踏まえ国に具体的な議論を求めていきたいと考えています。
 国保税の標準課税総額に対する「均等割」、「平等割」等の標準割合については地方税法で定められており、県ではこれに基づき市町村納付金の算定を行なっているところであります。一方で被保険者に対する保険税については市町村の判断により算定することができるものでありますが、今般の宮古市の応益負担の見直しにあたっては国保税収入の減に相当する一般会計からの繰出しを行なうものと聞いています。本来子どもの均等割軽減措置等は個別の市町村が財政負担を行ないながら導入するものではなく、また各自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で子育て世代の負担解消が行なわれるべきものであることから、全国知事会を通じて国に要望を行なっているところであり、引き続き国に求めていきたいと考えています。

【高田議員】
 第3に、法定外繰り入れに関わる問題についてです。広域化となった2年目の国保税は激変緩和の縮減措置がとられるものの、多くの自治体で引き上げも予想されます。そもそも高くて払えないことから、県内でも14市町村で一般会計からの繰り入れが行われています。県は「決算補填を目的とした法定外繰入は解消に努める必要がある」との国保運営方針を掲げ、市町村に対しても「法定外繰入は新年度からできない」との指導・助言が行われています。地方自治の原則を否定するような国保運営方針を見直すべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 平成29年11月に策定した「岩手県国民健康保険運営方針」においては、健全な国保財政の確保の観点から決算補填を目的とした法定外の一般会計繰入は解消に努める必要があるとしているところであり、市町村の実態を踏まえ単年度での赤字の解消が困難と認められる場合には、県は当該市町村が計画で定める目標年次までの赤字の解消、削減に向け指導・助言を行なうこととしています。一方で市町村においてはそれぞれ運営上の課題があることから、その判断により法定外繰入を行なうことも可能と考えており、県では一律に法定外繰入を認めないとする指導・助言は行なっていません。また今般の国保制度改革で算定方式が変更となったことに伴う保険税負担の激変緩和が行なわれている間においては、改革施行前後における被保険者の負担の変化にも十分配慮した対応が必要であり、市町村に対してはこうしたことも踏まえた適切な対応を促していきます。

【高田議員】
 第4に滞納者に対するペナルティ問題であります。県内の短期被保険者証・資格証明書の交付は、本年2月1日現在、短期被保険者証が5,115世帯、資格証明書は133世帯、短期被保険者証の未交付者は1,346人となっています。平成29年度における差し押さえは3,815件、金額で12億4千万円となっており高くて払えないのに保険証を未交付としたら病院窓口での負担は10割にもなります。「幸福」を総合計画に掲げるのであれば人権侵害というべき未交付は直ちにやめるべきです。盛岡市は原則交付であります。「滞納は生活状況のシグナル」と捉え滞納者の生活実態をよく聞いて親身に対応する相談・就労活動に転換すべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 滞納処分や短期被保険者証等の交付は税負担に関する公平性等を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対する手段として一定の効果があるものと考えており、市町村において十分な調査を行なったうえで実施されています。短期被保険者証等についてはいずれの市町村も交付を原則としており、未交付につきましては滞納者が納付相談に来ていただけないことなどから結果的に発生しているものでありまして、県といたしましてはできるだけ速やかに手元に届けるよう助言を行なっています。滞納の要因は失業や質病などによる経済的困窮である場合など真に納付が困難な場合もあることから、分割納付や徴収猶予等の対応のほか生活困窮者の自立支援を担当する部署と連携した支援などにより、滞納者に寄り添ったきめ細やかな対応を行なうよう市町村に対して要請を行なっているところであり、県内市町村においても実施している滞納者の生活再建の視点も踏まえた対応についても共有を図りながら適切な対応を促していきます。

4.児童虐待と子どもの貧困対策について

【高田議員】
 第4に児童虐待と子どもの貧困対策について質問します。
 暴力を訴えるSOSを発信していながら命が救えなかった千葉県野田市の虐待死事件、今全国各地で多くの子どもが虐待被害にあい、小さな命が奪われている現実はあまりにも深刻です。本県でも昨年4月に北上市で当時1歳9ヶ月の幼児が低栄養、脱水症状による全身機能障害で亡くなるという痛ましい事件が起きました。「岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置部会」は、今月「児童虐待による死亡事例検証報告書」を出されました。そこで3点質問します。
 第1に市が通告から48時間以内の家庭環境を把握できずその後も把握されないまま事件が起きてしまいました。これを県はどう受け止め改善しようとしているのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 児童虐待への対応についてでありますが、検証報告書では「子どもの安全確保を最優先にした対応の徹底」など6つの提言をいただいたところであり、議員御指摘の安全確認については市町村や児童相談所に対し「通告早期の段階での保護者への面接」や「チェックリスト等を活用した積極的な情報収集」が求められたところであります。今後県ではネグレクトに該当する場合のリスクを適切に判断できるよう、一時保護の必要性等緊急性を判断するためのアセスメントシートの見直しや、保育施設を対象とした研修の実施など再発防止に取組んでまいります。

【高田議員】
 第2に今度の事件の背景に貧困問題があります。市営住宅の家賃、ガス、水道料金を滞納しライフラインが止まっていました。1歳6ヶ月検診が未受診であり、保護者に会えない状況が続いていました。子どもの異変に気づく、命の危険を感じる機会が何度もありました。公共料金を滞納するなどしたら生活困窮のシグナルだと関係機関が連携していたら、防げたのではないかと感じますが今後の連携について伺います。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 関係機関との連携についてでありますが、検証報告書の提言には「関係機関による連携強化」として「児童の関連する部署との連携」が盛り込まれており、公共料金の滞納等虐待のリスク要因を発見した場合は、虐待対応部署に連絡できるよう関係職員への啓発、仕組み作りを検討する必要があるとされたところであります。県としては各事業者団体に対し、気になる子どもがいる家庭がある場合の取り扱いについて通知するとともに、市町村に対し母子保険担当部署や福祉事務所、教育委員会といった庁内関係部署との連携を促してまいります。

【高田議員】
 第3に今回の事件の背景には児童虐待に対応する体制の問題があります。市の非常勤の家庭児童相談員が対応し他の事業と兼務で取り組まれていました。勤務時間だけで対応できない柔軟な業務も必要です。専門知識と経験を有する専任の正規職員の養成を行い、長期に継続して配置されるよう市町村を支援すべきと考えますがいかがでしょうか。今回の「報告書」では「要対協では情報共有されたが具体の検討にいたらなかった」と指摘しています。要対協の会議では報告件数が多く情報が不足していれば具体の検討にならない現状があります。職員の専門性を向上させケース会議や要対協での機能強化が必要ですが、今後どう取組まれるのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 市町村の体制強化についてでありますが、検証報告書の提言には「市町村における相談支援体制の強化及び専門性の向上」が盛り込まれており、「市町村の体制強化」として専門知識と経験を有する専任の正規職員の要請に計画的に取組みますとともに、長期に継続して配置されるような人事についても考慮すべきこと、各市町村においては子ども家庭総合支援拠点の設置・強化の取組みを推進すべきことが示されているところであります。県としては市町村に対し研修を通じて市町村職員の専門性の向上を図り、人材育成を含めた体制強化を働きかけるとともに国の補助事業を活用した、子ども家庭総合支援拠点の設置を促すなど今後とも市町村の取組みを支援してまいります。
 次に市町村要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協の機能強化についてでありますが、検証報告書には6つの提言のうちの一つとして「要対協の機能強化」が盛り込まれ個別ケース検討会議、実務者会議の活性化、市町村要対協を効果的に機能させるための組織体制づくり、要対協調整担当者の知識・スキルの向上の必要性が示されたところであります。県では2月8日付で市町村にこれらの取組みを促す通知を行なったところであり、今後担当者会議を開催し市町村に周知徹底を図りながら個別ケース検討会の開催等市町村要対協の機能お強化を促していきます。また引き続き市町村要対協の調整担当者への研修を通じて知識・スキルの向上を支援していくほか、児童相談所職員が要対協の運営についてもきめ細やかに助言指導を行なうなど会議の活性化等機能強化に取組んで参ります。

【高田議員】
 昨年の児童相談所の相談件数は1,088件と過去最高となりました。児童虐待防止法が制定された2000年度の111件から9.8倍に激増しています。ところが対応に当たる児童福祉司の配置数は11人から37人と3.4倍の増でありとても追いついていません。児童福祉司は子どもの保護や家族へのケアなど専門性と豊富な経験が欠かせません。家族とのあつれきや仕事内容からもストレスを抱える職員も少なくありません。県の児童相談所では、1人当たり70人のケースを対応していますが、国の基準である40ケースにするためにはどれだけの増員が必要でしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 児童福祉司の増員についてでありますが、国が昨年12月に公表した「児童虐待防止対策総合強化プラン」では児童福祉司1人当たりの業務量が40ケース相当となるよう、平成31年4月時点で児童相談所管轄区域人口4万人に1人以上となる児童福祉司配置基準を、2020年度までに3万人に1人以上に引き上げることとされています。このプランに基づき単純に計算いたしますと本県では全体で44人の児童福祉司の配置が必要となります。

【高田議員】
 児童虐待の背景には子どもの貧困があります。県は今年度「子どもの生活実態調査」を行いました。その実態調査の内容はどうなっているのでしょうか。岩手における子どもの貧困率を明らかにし具体的な目標をもって取り組むべきです。同時に「次期総合計画」が幸福度をキーワードにするのであれば、子どもの貧困問題の解決を明確に掲げた計画にすべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 子どもの生活実態調査の内容についてでありますが、県では今年度県内の小学5年生、中学2年生とその保護者全てを対象とし、世帯の就業・収入の状況や生活状況等を把握するための生活実態調査、就学援助制度利用世帯等の保護者全てを対象とし、困窮世帯の生活実態や公的支援の認知度、利用度、利用意向等支援ニーズをあきらかにするための就学援助制度利用世帯等調査等を実施したところであります。子どもの生活実態調査の回答率は88.5%で、就学援助制度利用世帯等調査の回答率は69.0と他県で実施した調査に比べて高い回答率となっていますが、現在設問別の単純集計が概ね終了した段階であり、今後世帯類型別や所得階層別等のクロス集計等を行なっていくこととしています。
 次に次期総合計画についてでありますが、子どもの貧困率は厚生労働省が国民生活基礎調査において3年に1度調査を行なっているものであり、都道府県別数値は公表されていないところであります。このため貧困率そのものをいわて幸福関連指標とはしていませんが、貧困の世代間連鎖を断ち切り子どもたちが自分の将来に希望が持てる社会を実現するため、子どもの貧困対策は重要であると認識しておりまして、県では「いわて子どもの貧困対策推進計画」を策定し、保健福祉部門はもとより各部局が連携して取組んでいるところであります。「いわて県民計画」最終案におきましても生まれ育った環境に左右されることなく子どもたちが成長していけるよう、子どもの貧困対策や児童虐待の防止対策などにより子どもが健やかに成長できる環境を整備することとしています。

5.長期化する引きこもりの実態と対策について

【高田議員】
 第5に長期化する引きこもりの実態と対策について伺います。
 県が今年度実施した「引きこもり実態調査」では、引きこもり状態の年代は50代以上が36,5%、引きこもり期間は10年以上が37%、現在受けている支援が不明44.4%、何も受けてない28.5%となりました。今回の実態調査から当事者の高齢化と長期化が進行し、そして支援を受けられずにいるということがあきらかになりました。先月一関市で引きこもり問題の学習会に参加した時、当事者から「これから介護の世話になる自分の死後息子がどうなるのか」今後の生活と親亡き後の不安が訴えられました。親と共に社会から孤立して困窮する例が増加することになりかねません。
 第1に引きこもりの実態把握について質問します。
 今回の調査は、民生委員が日ごろに活動を通じて把握している範囲での回答を求めたもので回答率82.5%、引きこもりの数は1616人となりました。内閣府が行った調査では54万人(15歳〜39歳)で、県内は4600人(人口比)と国の推計値とは大きくかけ離れています。秋田県藤里町では民生委員が全戸訪問して実態調査を行い、18歳から55歳までの町民のうち8,7%113人となった。113人の一人ひとりにニーズの掘り起こし支援をしています。本県でもさらに踏み込んだ実態を把握すべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 ひきこもりの実態把握についてでありますが、引きこもり当事者やご家族への直接の調査は対象者の選定が困難であることから、今回の調査は他県の実態調査の先行事例や有識者の御意見を踏まえ、住民の身近な相談相手として活動し地域の実情に詳しい民生委員・児童委員に対するアンケート調査としたものであります。今回民生・児童委員の御協力により全県的な人数や本人・家族からの支援ニーズなどの貴重なデータが把握できたと考えており、この調査結果を基に市町村や関係機関・団体と連携しながら相談支援の充実を図り支援につなげてまいります。

【高田議員】
 第2に、一人ひとりのニーズを掘り起こした支援についてです。
 今度の調査からも当事者が自発的に相談するケースは少なく、家族だけで悩みを抱え深刻化してしまう実態にあります。「引きこもり支援窓口」の周知や訪問事業を行ないニーズにあった支援を行なうべきです。どう取り組まれているのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 ニーズにあった支援についてでありますが、県では岩手県精神保健福祉センター内に設置している、岩手県引きこもり支援センター及び各保健所において引きこもりに関する相談支援等を行なっており、県ホームページやリーフレット、市町村広報誌への掲載等により周知しているところであります。また相談内容により訪問支援が有効であると考えられる場合は保健所や市町村等が対応しておりまして、保健所では平成29年度は20人に対し延べ83回の訪問支援を行なったところであります。今回実施した実態調査では「何も支援を受けていない」あるいは「支援を受けているか不明」という方が多くみられたことから、専門相談や市町村巡回相談を強化し引きこもり当事者及び家族等の個々の状況やニーズに合わせた相談支援を充実するとともに、早期の支援につながるよう一般住民や民生委員等を対象とした研修会の実施、ガイドブックを活用した支援者による啓発活動等に取組んでまいります。

【高田議員】
 引きこもりがはじまる年齢は14歳から23歳が一番多く、それは高校大学の入学や卒業、進路のつなぎのときに引きこもりや不登校になっているのが初発の段階といわれています。貧困と格差の広がりの中での家庭環境の悪化や雇用労働環境の困難化なども背景にあります。引きこもり社や親の高齢化と長期化もあり相談も難しいケースがあります。それだけに支援する相談員の専門的知識を持つ人材の確保が必要であります。相談の体制と人材育成にどう取り組まれているのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 相談体制と人材育成についてでありますが、県では引きこもり支援センターに専門相談員2名を配置するとともに、各保健所において相談対応にあたっているほか支援者向けの研修や技術支援、関係職員研修等により地域で引きこもり支援に対応できる人材の育成に取組んでいるところであります。今回の調査結果から引きこもり当事者の高齢化、引きこもり期間の長期化がみられ相談支援の内容も年々難しくなることが想定されることから、より高度な支援を行なう支援者を養成するため国が主催する研修への派遣等を拡大するなど、人材育成事業の充実により相談支援体制の強化を図ってまいります。

6.教育の諸問題について

【高田議員】
 第6に、教育の諸問題について質問します。
 新年度は小学校6年生で35人学級が始まり、これで小学校・中学校すべての学年で実現されます。児童生徒に接する時間を充分確保し教職員の多忙化解消の核心は、少人数学級の推進であり今回の対応を評価するものです。この間の35人学級の成果をどのように受け止めているのでしょうか。

【答弁】高橋教育長
 35人学級の成果についてでありますが、これまで段階的に導入を図ってきたその成果といたしましては児童、生徒の授業中の発言や体験の機会が増加し児童生徒の主体的な学びを展開しやすくなっているということなどの学力面での効果や、教師の目が行き届き安全管理やトラブルの未然防止などの、生徒指導上の効果等について学校現場から評価されています。
 今後少人数学級を安定的に継続していくためには、国による抜本的な定数改善が不可欠と考えておりますので、加配定数の充実と併せ少人数学級の基礎定数化等を国に対し引き続き強く要望してまいります。

【高田議員】
 第2に、教職員の「働き方改革」について質問いたします。
@教職員の時間外勤務は県立高校では月80時間を超える教職員は平成29年度実績で12.4%、市町村立学校については、平成28年の全国調査によれば小学校で33.5%、中学校で57.7%となっています。この異常な忙しさは教職員の健康を脅かすとともに、子どもの教育に深刻な影響を与えています。勤務実態を把握するために今年度はタイムカードが導入されました。勤務実態はどうなっているのでしょうか。

【答弁】高橋教育長
 タイムカードにより把握した勤務実態についてでありますが、県立学校におけるタイムカードは昨年8月から導入したところであり年間を通じた全体的な把握はできておりませんが、本年度第3四半期に限った状況について申し上げますと一人当たりの月平均時間は40.1時間となっております。勤務時間把握の方法を自己申告からタイムカードに変更したことから、前年同期との単純な比較は難しい面もありますがいずれこの実態等をさらに分析して、対策を講じながら働き方改革プランの実現に向け鋭意取組んでまいります。

【高田議員】
A県教委は昨年6月長時間労働を是正するために「岩手県教職員働き方改革プラン」を作成しました。しかしなぜ限界に達するような長時間労働を作ってしまったのかその原因の解明もありません。異常な長時間労働を生み出したのは1日4コマ、週24コマを前提とした定数配置が学校5日制になっても教員増なしで変わらなかったこと。いじめや不登校、貧困と格差が広がる中で保護者との関係も複雑さを増し、また学力テストや行政研修の増加、学校評価など多くの施策を学校に押し付けました。「給特法」で残業ゼロとされ長時間労働が野放しにされました。そもそも教育現場でなぜこんな働き方になったのかその要因をどのように分析しているのでしょうか。教育長の見解を伺います。

【答弁】高橋教育長
 長時間勤務の要因についてでありますが、平成31年1月の中教審の答申におきましては勤務の長時間化の主な要因として若手教員の増加、総授業時数の増加、部活動指導時間の増加などが挙げられておりますが、県教委で昨年8月に実施した勤務負担に関する教職員へのアンケート調査の結果では、時間外勤務の大きな要因として「部活動」や「行政・関係団体の関係事務」、「保護者・地域等への対応」などを挙げる回答が特に多くなっております。これらの結果等を総合的に勘案いたしますといじめや不登校など教育課題の多様化や学校や教員の役割の高まりに加え、時代の変化に対応するための教育課程の見直しなどが主たる要因と分析しております。

【高田議員】
B業務改善は学校で一番肝心の授業準備と子どもたちとの向き合う時間を最大限確保すべきという点で取り組むことです。全国学力テスト、県の学習定着度状況調査は学校現場で負担となっています。県独自の学力調査について今年度は長野県、神奈川県など6県が廃止及び休止となっています。岩手県も見直すべきですがいかがでしょうか。また「標準授業時間数」を上回っている実態はどうなっているか伺います。

【答弁】高橋教育長
 学力調査についてでありますが、県学習定着度状況調査は本県の児童生徒の学習上の課題を踏まえ身に付けるべき学力を具体的な問題の形で示しており、調査の有効な活用によって教員の授業改善を促進し、児童生徒の学習状況の調査や学習意欲の向上、確かな学力の定着を目指して行なってきております。しかしながら一方ではその実施により教職員の過度な負担につながっているとの意見があることも承知しておりますし、新学習指導要領への移行による教科時間数の増加等の動きもありますので、県教委といたしましては他県の状況も参考にしつつ教職員の働き方改革の観点も踏まえるとともに、市町村教委の意見等もお聞きしながら調査内容や実施方法のあり方など、今後の方向性について検討していきたいと考えております。また授業時間数については平成27年度における国の調査によれば標準授業時間数を上回る県内の小・中学校の割合は全国の状況より高い傾向にあり、児童生徒の実態に応じた学習の充実を図ってきていることなどがその要因と捉えておりますが、新学習指導要領の実施を踏まえつつ教員の負担も考慮しながら、適切な教育課程の実施について市町村教委との連携のもとに取組んでまいりたい。

【高田議員】
 第3に、特別な支援を必要とする児童生徒への支援についてです。
 一関市内の特別支援学級在籍児童生徒は全児童生徒の3.8%と、全国を上回るペースで増加しており、児童生徒数が減少しているにもかかわらず、市教委が行った学校アンケートでは市内の小中学校で11.3%と、特別な支援が必要と思われる児童生徒の数も率も増加しています。県内の状況はどうなっているのでしょうか。

【答弁】高橋教育長
 特別な支援を必要とする児童生徒の状況についてでありますが、直近のデータである平成26年度11月時点の状況について申し上げますと、本県小・中学校の通常の学級に在籍している特別な支援が必要とされる児童生徒はおよそ5.7%となっておりますが、本年度において県内小・中学校に設置されている特別支援学級に在籍している児童生徒数は、802教室に2,300人となっております。

【高田議員】
 一関市は、46人の学校サポーターを配置して子ども一人ひとりの支援計画を作成し支援が行なわれています。しかし学校サポーターの各学校からの要望は563人となっており、県としても特別な支援を必要とする児童生徒への支援が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。また特別支援学校に在籍する生徒の高校進学はどうなっているのでしょうか。希望する高校に進学できているのでしょうか。

【答弁】高橋教育長
 特別な支援を必要とする児童生徒への支援についてでありますが、小・中学校では通常の学級、特別支援学級、通級による指導のそれぞれの学び場において児童生徒の障がいの状態や特性、発達段階等を適切に把握し一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行なっていくことが大切であり、県教委はこれまで特別支援教育支援員の適切な配置を市町村に要請するとともに、小・中学校の特別支援教育支援員の研修等も行ないながら特別支援教育に携わる教職員の資質向上を図ってきております。また小・中学校での授業の補助や学校生活の支援を行なうボランティアの養成なども推進してきておりますが、今後におきましても市町村教委とともに教職員の専門性の向上や学校と地域との連携も図りながら、児童生徒一人一人に応じた支援の充実に努めてまいります。
 次に特別支援学級在籍生徒の高校進学についてでありますが、直近の3年間における県内中学校の特別支援学級に在籍する中学生の高校進学率について申し上げますと、平成27年度は31.6%、平成28年度は37.0%、平成29年度は46.3%と年々増加してきておりますが、県教委におきましては特別支援学校の教員が中学校を訪問し進路指導に関する助言等の支援を行なったり、また高等学校では高校入試の際に障がい等の状況に応じて拡大鏡の使用や別室受験などの合理的配慮を実施したりするなど、希望する進路実現への支援を行なってきております。今後とも様々な学びの場の充実を図るとともに、市町村教委と連携を図り生徒が適切な進路選択を行なえるよう取組んでまいります。

7.第一次産業の振興について

【高田議員】
 第7に、第一次産業の振興について質問します。
 岩手県の販売農家戸数は平成17年から27年の10年間で22,076戸、毎年約2,000戸減少しています。その結果農村から働き手が流出し学校の統廃合、郵便局、農協などのインフラが崩壊し助け合って暮らしてきた農村文化が音を立てて崩れています。TPP11発効により参加国からの1月の牛肉の輸入量は前年同月を約6割上回り、日欧EPAによる豚肉、牛肉、ワインやチーズなどの輸入増もこれから始まります。欧州委員会では輸出が948億円増加の影響と試算しています。自由貿易を進め規模拡大や競争力強化に傾斜した農政は修正すべきであります。日米FTA交渉の中止など自由貿易のあり方を見直し、食料主権の確立を国に求めていくべきですがいかがでしょうか。

【答弁】上田農林水産部長
 自由貿易のあり方についてでありますが、昨年12月にTPP11が、今月には日EU・EPAが発効し輸出拡大が期待される一方で、その後牛肉の輸入量が増加したとの報道があるなど、本県の基幹産業である農林水産業に影響を及ぼす事が懸念されております。加えて昨年9月には日米首脳会談において日米物品貿易協定の交渉を開始することが合意されたところであり、今後交渉の結果によりましては農林水産業への影響がさらに拡大することが懸念される。
 このため県では国に対し、農林水産業等に及ぼす影響などについての十分な情報提供を行ない国民的議論を尽くすことや、地域産業が持続的に発展できる貿易のルールの確立に向け、万全な対応をとることなどについて機会あるごとに要望してきたところであります。
 今後も農林水産業者が安心して経営を継続できるように国の責任において万全の対策を講じるよう求めていくとともに、国の動向を注視しながら必要な対応を検討してまいります。

【高田議員】
 国連が呼びかけた「家族農業10年」が始まります。これは家族農業・小規模農業の再評価と尊重が世界の大きなうねりになっていることを示すものです。家族農業がなぜ再評価されていると思うのか、岩手県農業振興を進めるうえでどのように位置づけられるのでしょうか。家族農業10年と今回の総合計画が重なります。次期総合計画に家族農業の役割を明記し岩手の家族農業の振興に取り組むべきですがいかがでしょうか。

【答弁】上田農林水産部長
 「家族農業10年」についてでありますが、国連が「家族農業の10年」を定めたのは食糧生産や生物多様性の保全などにおいて、家族農業の果たす役割の重要性が改めて評価されたことによるものと承知しております。また本県の農業経営を見ますと経営体の97%が家族経営体であり、家族経営体は本県の農業生産や農業・農村の多面的機能の維持などに重要な役割を果たしております。
 「いわて県民計画」最終案においては、政策項目の経営体の育成に多くの小規模・家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大や生産活動の効率化を盛り込むとともに、活力ある農産漁村づくりに小規模・家族経営などの地域を支える多様な生産者の地域の農業・農村を維持する取組みなどを盛り込んでおり、県としましては今後とも本県の農業・農村を支える家族農業の取組みを支援してまいります。

【高田議員】
 中山間地域では耕作放棄地の増加が深刻であります。中山間地直接支払制度も共同活動への支援が年々減少し産地をどう再生し維持していくのかが課題です。茨城県の常陸大宮(ひたちおおみや)地域農業改良普及センターでは、多品目の枝物による産地作りが行われています。「年金プラスアルファ」を提唱し定年退職者を中心に、個別巡回で新規栽培者109人勧誘し栽培面積は46ヘクタールまで広がり26ヘクタールの耕作放棄地の解消に繋がりました。大規模経営だけでなく中小農家を含めた多様な農家に行き届く支援でなければならないと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】上田農林水産部長
 多様な農家に行き届く支援についてでありますが、本県の中山間地域においては不利な生産条件の中で小規模農家・兼業農家など多くの農家が生産活動に携わっており、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活性化・活発化を通じて、活力ある農業・農村を実現していくことが重要である。このため県では中山間地域等直接支払制度等により農業生産活動等を支援するとともに、地域コミュニティを支える人材の育成や小規模な区画の拡大や暗渠排水等の生産基盤の整備などに取組んでいるところであります。県としては今後とも小規模農家など生産者の一人一人がいきいきと働き、暮らす事のできる農業・農村の実現に向け取組んでまいります。

8.安倍政権が進める消費税大増税について

【高田議員】
 安倍政権が進める消費税大増税計画について質問します。
 消費税10%増税することに対し増税に賛成の方も含め「こんな経済情勢のもとで強行していいのか」という懸念の声がでています。家計消費は8%増税前と比べ年25万円、実質賃金も18万円落ち込み、GDPベースでみても、実質家計消費は3兆円も落ち込んでいます。安倍総理が増税延期を決めた2016年6月時点と比べてもGDPは年率換算で+1.6%、今回はマイナス2.5%です。個人消費も設備投資も輸出も総くずれており、世界経済の不透明感は増税前より高まっています。政府はあくまでも「所得環境は改善している」などといって10%増税にしがみついています。知事は今日の実体経済をどう見ているでしょうか。

【答弁】達増知事
 今日の実体経済についてでありますが、2月21日公表の「月例経済報告」によれば企業の設備投資は増加しており個人消費は持ち直している。また雇用情勢は着実に改善していることなどから、わが国の経済は緩やかに回復しているとされています。一方先行きについては通商問題の動向が世界経済に与える影響など、海外経済の不確実性に留意する必要があるとされています。また県が2月8日に公表した「最近の景況」では全国と同様に県内経済は緩やかな回復が続いていると判断したところでありますが、一方今後復興需要の減少傾向が続いていくことが見込まれる中で、経済を安定的に成長させていくことが重要と考えている。

【高田議員】
 先週、陸前高田市の商工会役員の方々と懇談いたしました。「複雑な軽減税率で事業者が大混乱に陥る。復興・なりわい・生活の再建はまだこれからなのに今なのかという思いだ」と語ってくれました。被災者が復興に懸命に取り組んでいるときに、重くのしかかり、暮らしも経済も壊してしまうものです。今の状況の中で増税するべきではないと考えますが知事の認識を伺います。
 増税するなら逆進的な税制ではなくアベノミクスで儲けを上げた富裕層です。株の儲けを欧米並みに課税し大企業に中小企業並みの税負担率を求めれば増税分の税収が確保できます。10%増税の中止を強く求め質問を終わります。

【答弁】達増知事
 消費税増税についてでありますが、国の平成31年度予算案においては国、地方合わせて消費税を10%に引き上げるにあたってあらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしており、国会でも議論がなされると思われる。
 消費税の引き上げについては、経済的に弱い立場にある方々やわが国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活に多大な影響を及ぼす事が懸念され、特に本県の場合、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害地への影響も大きく、被災者のくらしの再建や生業の再生の妨げとなることが懸念されます。
 県としては経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないよう、また地域に根ざした産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興の遅れを招くことがないよう引き続き国に対応を求めていく。

≪再質問≫

・高すぎる国保税について

【高田議員】
 まず国保の問題についてお聞きしたいと思います。3千4百億円の財政支援では国保の構造問題に解決できないということで、国に対して引き続き要請していくということでありすので、これの問題を解決しないと本当の意味で構造的な問題が解決できないので、知事を先頭に全国知事会の力を結集してしっかりと取組んでいただきたいと思います。そこで宮古市の子どもの「均等割」の廃止については大変住民から歓迎されておりますし、おそらく全国初ではないかと思いますが、全国から大変注目されていると聞いています。一般会計からの繰入でシステム解消を含めて1,800万円程度の予算措置だと伺いました。これは一般会計からの繰入ですが、逆に県は国保の運営方針で一般会計からの繰入は解消に努めるということであります。私は国保の運営は住民自治と住民福祉の立場でこの問題を解決するべきと思いますし、それは市町村の判断を最優先させるべきと思います。部長は「繰入は市町村は可能だ」と言いながら、国保運営方針では(繰入を)解消に努めるという矛盾に満ちた内容になっています。だから現場では「もう来年度からは繰入はできない」とそういったことが起きています。これをはっきりと整理をして県としては繰入は市町村は可能だと、そして国保運営方針を見直すという立場に立って市町村に対する指導・支援をしていただきたいと思いますがこの点については如何でしょうか。
短期被保険者証の未交付、資格証明書の発行の問題について伺います。私はこの問題で運用を間違えてしまえば命に係わる危険があると思います。全国各地で通院できずに手遅れになるという事態も起きています。お聞きしたいのは113件の資格証明書の発行です。これは担税能力がありながら納付していないといういわゆる「悪質」扱いです。県もこれが本当にそうなっているのか、国保の運営は今後県と市町村が一体となってやるわけですから、県がこの状況をしっかり把握する必要があるのではないかと思いますがこの点をお聞きしたい。また短期被保険者証の未交付1,346件これは留置きです。本来発効しなければならないにもかかわらず留置きになっている、これをただちに解消するべきと思います。東京都足立区では、滞納している人が他にも生活困難があるとして、つなぐシートを作って生活実態、困りごとを整理して他の部局と連携して解決にあたっています。だから短期被保険者証の未交付は無しだと言っています。これで様々解決している。寄り添った対応と指導・支援していると言っていますが、もう留置きはしないと、ただちに無くしていくということを足立区の経験に学び、また12月議会では滋賀県の野洲市の取組みも斎藤県議が紹介しましたが、一歩運用を間違えれば命に係わってくる問題につながると思いますので、こういう立場で対応していくべきだと思います。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 まず宮古市におきまして応益負担の見直しを行なったという件でございます。均等割減免自治体というのは全国で9市において均等割減免を実施していることを確認しております。ただ先ほども申し上げましたが、全国どこの地域でも同等な水準で子育て世代の負担解消が行なわれるよう、国において議論されるべき問題でもありますので、県としては今後も先ほど申し上げた3千4百億円、さらに財政措置をしていただくことと合わせまして、子どもの均等割減免等についても、全国知事会と連携しながら国に対応を要望していきたいと考えております。宮古市の均等割の減免については一般会計からの繰入から行なわれているわけでございますけれども、一般会計からの法定外の繰入につましては市町村で判断いただくことでありまして、できるだけ国保財政の健全な確保をお願いしたいという旨の厚生労働省の局長の答弁があるわけでありますけれども、市町村の判断によって法定外繰入を行なうことができるものと考えているのは先ほどご答弁した通りであります。ただ健全な国保財政を確保する必要があることについては、これは県、市町村とも共通の認識をもっているものでありますので、赤字補てん分について計画的な解消に努める必要があるというふうに考えているものでございます。
 次に国保の短期被保険者証の関係でございます。いわゆる短期被保険者証の未交付、留置きの関係でございますけれども、県としては短期被保険者証の未交付の状態が速やかに解消されるよう、つまり窓口において留置きを放置せずに電話連絡や家庭訪問等で接触を試みて、できるだけ速やかに手元に届けるように市町村に対し通知を行なっているところでありまして、今後も市町村に対しそうした必要な助言等を行なっていきますし、113件の発行の状況についての実態の把握に努めてまいります。東京都足立区の取組みを御紹介をいただきました。県内市町村におきましても一関市でありますとか北上市、大船渡市におきまして滞納者の生活再建の視点も踏まえた対応、関係部局と一緒になった対応を行なっておりますので、そうした適切な対応を促していきたいと考えております。

・児童福祉司の増員問題について

【高田議員】
 次に児童福祉司の増員問題についてお聞きします。質問したのは一人40ケースでやった場合にはどれだけの児童福祉司を増員しなければならないのかということです。私は一関児童相談所にお邪魔して相談の実態を伺ってきました。このままのケースでいけば今年は700件の相談になる、そのうち児童虐待の相談は38%、5年前は19%だったということでした。相談も増えてきているが児童虐待の相談がものすごく増えているなかで、一時保護を担当する専任の職員がいなくて児童福祉司が兼任しているということです。そういう意味では一人40ケースというのは最低基準だということで増員計画を作っていくべきだと思いますがその点については如何でしょうか。また一時保護の専任職員がいないのは一関児童相談所だけでしょうか。児童相談所運営方針がありますがこの運営方針からしても、専任というのが原則ではないかと思います。兼任というのは問題がないのかこの点についても伺います。
 そして一関児童相談所の改築はどうなっているのか、新年度予算は宮古の児童相談所が予算措置をされました。新年度一関児童相談所は2人の児童福祉司が増員になりますけれども事務所のスペースがありません。一時保護もみんな受け入れられなくて里親とかあるいは児童養護施設に委託しています。子どもが生活する十分なスペースがないという状況でありますから、しっかりとした改築の計画を作っていくべきだと思いますが、一関児童相談所の改築計画についてどういう状況になっているのか、全くないのかこの点についてもお聞きしたいと思います。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 次に児童福祉司の増員についての御質問をいただきました。先ほど申し上げた通り児童福祉司1人あたりの業務量は40ケース相当となるようにということでありまして、本県の現在の児童相談所の担当しているケース数は平均すると53ケース程度でありますけれども、全体で44人の児童福祉司が必要となるのは先ほどご答弁申し上げた通りでありまして、現在平成30年度では今37名の児童福祉司を来年度平成31年度には5名増員いたしまして42名の配置とする計画としております。一時保護の専任職員が兼任となっているところにつきましては解消に努めて専門の職員の確保に努めていきたいと考えております。
 次に一関児相の改築についてご質問いただきました。一関相談所の一時保護所は個室が1部屋ありますけれども、他に男女別の居室が各1部屋のみであって不十分な状況であるということは認識しております。来年度宮古児童相談所の改築の実施設計等行ないますけれども、宮古児童相談所は東日本大震災で建物に亀裂が入るなど被害を受けておりまして早急な建て替えが必要であります。一関相談所の改築につきましてもいつ行なうか目途を立てた上で計画的な整備に努めていきたいと考えております。

≪再々質問≫

・高すぎる国保税について

【高田議員】
 国保の一般会計からの繰入問題について繰入は市町村の判断で可能だと言いながら、国保運営方針では繰入は解消に努めるという矛盾に満ちた中身になっています。もっとわかりやすく整理をして、繰入は市町村の判断で可能だと、国保運営方針を見直すべきだとあらためて思いますがこの点は如何でしょうか。
 保険証未交付については、未受診に関わる問題でありますから、交付しないことで解決する問題ではない。全国の経験に学んで対応していくべきだとあらためてお願いしたいと思います。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 国保の法定外繰入についてであります。一般会計の法定外繰入には単年度の決算補填のため、あるいは市町村の保険事業に充てるために行なっている、あるいは先ほどの宮古市のような例もあると思います。国保運営方針で定めているのは決算補填を目的とした、つまり赤字補填を目的とした法定外繰入を段階的に解消していく必要があるとしていこうとするものでありまして、赤字補填分については計画的な解消に努める必要があると県と市町村が共通の認識をもっているものでございます。
 短期被保険者証についての御質問がございました。議員からお話のありました通り、被保険者の必要な医療を受ける機会を制限することのないよう、市町村に対して滞納者個々の事情に十分に配慮したきめ細やかな対応をするよう要請してまいります。

・引きこもりの問題について

【高田議員】
 引きこもりの問題についてはあらためて実態把握をしてほしいとお話しました。実は県内でも洋野町が行なっています。なぜ始めたのかというと2年前に地域包括支援センターの職員が、介護認定された高齢者が中々サービスを受けてくれない。よく訪問したら引きこもりの子どもがいて、自分が亡くなった後生活が大変になるとサービスを受けるのをためらって貯蓄をしていた。これは大変だと地域包括支援センターをあげて、ローラー作戦をして調査をしたということです。秋田県の藤里町でも出現率8.7%です。これをやっている自治体もあるわけですから、県がやったからそれで終わりではなく、市町村にもそういう対応してもらうように働きかけていくべきではないかと思いますがこの点については如何でしょうか。この問題は調査をまずやるということが大事です。もうひとつは訪問調査してニーズを聞いて必要な支援をする、あるいは居場所づくりが大事だということも指摘されています。これは昨年12月県議会で請願採択した中身でもあります。県はまだ待ちの姿勢です。相談に来たら支援をする、相談に乗るという姿勢ですから訪問支援、居場所の設置が大事ではないかと思いますが、今後の検討課題にするべきだと思いますがその点については如何でしょうか。
 家族を含めていられる居場所をつくり、一人ひとりの包括支援と関係機関との連携も必要です。どのように取り組まれているのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 引きこもりについて訪問支援あるいは居場所の設置等を行なう必要があるということでありますが、今回実態調査を行ないましたので関係機関や団体と共有して福祉、教育、就労等各所支援を組み合わせてサポートが行なわれるよう連携して包括的な支援に取組むことでございますし、市町村とデータについて共有しますので個別訪問等の支援が必要な場合は、県と市町村で連携をしながらそうした支援に努めてまいります。居場所の支援につきましてもどういったものが必要であるか等について研究していきたいと考えております。

≪再々々質問≫

・学習教育の問題について

【高田議員】
 学習教育の問題について質問があります。標準授業時間数ついての実態について答弁いただきました。私も資料をいただきましたけれども、現在標準授業時間数は小学校では980時間になっています。これを100時間上回っている学校が県内では44%、中学校では12.6%となっています。子どものため、教育のため、学力向上のためといって次々と色々と仕事をお願いしてきた現状がここにあるのではないかと思います。業務量の改善の視点は何かというと、授業時間をしっかり準備する時間を保障すること、子どもとしっかりと向き合う時間を作ること、それを最優先にして業務の見直しをやるべきだと思いますがこの点についてもどうなのかと、標準授業時間数を大幅に上回るような実態は解決していくべきであるし、1月の中教審の答申でも体制をきちんと組まない、教職員を増やさない中で標準授業時間を大幅に上回る、これは改善しなければならないと中教審でも指摘されています。この点について改善必要があるのではないかと思いますけれども改めてお聞きしたいと思います。

【答弁】高橋教育長
 標準授業時間数の関係についても含めて、学校が行なっている業務全体を見直していくということが、学習指導要領の改訂に伴って必要になってくると思います。ただ一方でそれを実現していくためには、市町村教育の十分な合意形成の上で進めることが大事だと思っておりますので、只今頂いた御意見等も踏まえさせていただきながら検討させて頂きたいと思います。

・引きこもり問題について

【高田議員】
 引きこもり問題については相談所を設けても直接来ないのが実態です。実態把握して訪問支援して直接支援にというのが大事でのでぜひやっていただきたい。県内でも訪問支援を行なっている民間団体があります。先月引きこもりを支援している家族心理士のお話を伺う機会がありました。県内の引きこもり訪問事業を行っているが活動財源が募金に頼っていること。岩手は広く一日掛かることもあり「相談されても料金がいただけない」との話も伺った。こうした活動を行っている民間団体への支援を行うべきだ、訪問支援を行っている実態はどうなっているのでしょうか。

【答弁】八重樫保健福祉部長
 引きこもりは介入の機会を捉えることは極めて困難性があるが相談があった方について、丁寧に課題を聴きながら時間をかけて継続的な支援を行なって就労に至った例などもありますので、相談支援については関係機関と連携して引き続き取組んでいきたいと思います。県内に民間団体等で引きこもりの支援を行なっている団体が、NPO法人など9団体ほどあると把握しております。それら民間団体は当事者や家族への個別相談であったり、居場所の運営であったり、2団体においてはそういう訪問相談活動を実施している団体がありますので、そうした民間の支援団体とも情報共有を図って活動をサポートしていきたいと考えております。

・復興期間修了後の財政支援について

【高田議員】
 東日本大震災の被災地、大船渡、高田に行ってきました。自治体の首長さんや様々な団体から共通していわれるのは、復興期間が終わった後の財政支援はどうなってしまうのか、これが共通していました。もうひとつは復興が今、総仕上げの時期だといわれているけれども、東日本大震災のこの間の総括をして後に続く災害に備えてほしいという話をされました。なぜこんなに犠牲者がいっぱい出たのか、孤独死、震災関連死そして土地利用計画もうまくできなくて難儀している。法改正も必要ではないかこういう話もされました。きちんと総括がされない中で復興期間が終わっていいのか、国会はこの間ずっと復興特別委員会が一切開かれていないと聞いて大変びっくりしました。国会自身が風化しているそういう思いであります。被害が大きい自治体の首長さんや関係者のみなさんがそういう思いでいるということに対して、知事はどのような思いでいるのかコメントがありましたら答弁いただきたいと思います。

【答弁】達増知事
 復興期間というものは特別会計をつくったり復興庁をつくったりする際、便宜上定められたものであり、復興事業あるいは復興の取組みというものは復興の必要性に応じて行なわれるべきものであると考えます。岩手におきましても市町村単位でみてもすでにいわば復興を卒業したような市町村もあれば、まだまだ真っ最中という市町村もあるわけでありますので、日本全体ある日数で復興はこれで終わりとはならないのが復興の本質と考えます。総仕上げという言葉についても同様でありまして市町村によっても違いますし、そもそも一人一人の復興を見ていかなければならないわけですから、一人一人について必要に応じて必要な復興の事業や施策を続けていく必要があると考えております。そういう意味で必要であるかぎりは財政をしっかり確保するということは、今までもですし引き続き国に対して求めていきたいと考えます。様々な被害の様態の原因究明等、県としては東日本大震災津波とその後の復興に関する伝承と発信ということを、来年度から新たな計画のもとで力を入れて進めていこうという中で、何を伝承していくか何を発信していくかという中で、県としての東日本大震災津波の内容、またその後の復興内容については工夫をしていかなければならないと考えております。また究極的には個人個人、一人一人にあの時こうしていればよかった、またこうしておくべきことをちゃんと後瀬に伝えようということがあると思いますし、また市町村ごとにも様々、それぞれの自治体が考えながらあるいは悩みながら総括することに取組んでいると思いますので、県としても市町村が行なう総括ということに対しても可能な支援はしていきたいと思います。