2019年2月26日 2月定例県議会本会議
議案に対する質疑(大要)


・会計年度任用職員の給与等に関する条例について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案に対する質疑を行います。
 議案第26号は、会計年度任用職員の給与等に関する条例です。
 この条例案は、地方公務員法及び地方自治法の一部改正に基づいて、これまでの臨時的任用職員と非常勤職員等について、適正な任用・勤務条件の確保を目的に、会計年度任用職員として任用しようとするものです。一部に改善される中身もありますが、背景には、正職員の削減の中で不安定で劣悪な臨時職員・非常勤職員が急増してきた問題があります。
 第一に、この間の正職員の推移と臨時職員、非常勤職員の推移はどうなっているでしょうか。会計年度任用職員の対象数はどうなるでしょうか。
 第二に、会計年度任用職員の導入によって、具体的に改善される中身を示してください。その費用・財源はどの程度になるのでしょうか。財源の見通しはどうか示してください。
 第三に、本会議での答弁があったように、「公務の運営は任期の定めのない常勤職員が担うことが原則」であります。総務省は業務のリストラとアウトソーシングを推進していますが、正規職員を削減し、会計年度任用職員を増やすことはあってはならないと考えますがどうでしょうか。
 第四に、会計年度任用職員、いわゆる非正規雇用が固定化・拡大することはあってはならないと考えますがいかがでしょうか。公務労働には労働契約法が適用されず、いつまでも非正規、いつでも雇止めが可能となっているのではないでしょうか。
 第五に、会計年度任用職員は「再度の任用は可能」としていますが、継続的な雇用はどう保障されるのでしょうか。また、法改正では期末手当等が支給できるとなっていますが、必ず支給することになっているでしょうか。
 第六に、正規職員の増員計画はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 知事部局における正規職員は、平成20年度4302名、23年度3949名、その後震災対応等のため職員を増員しており、24年度4015名、30年度4332名となっている。臨時・非常勤職員については、総務省調査が行われた年度で申し上げると、調査対象となる一般行政部門で、任用期間が6ヶ月以上かつ勤務時間が常勤職員の2分の1以上となる職員は、平成20年度は902名、24年度は1438名、28年度は781名となっている。会計年度任用職員の数については、今後会計年度任用職員が担う業務の内容や量を考慮し決定するものであり、現段階では具体的に算出することは困難だが、現在任用している臨時・非常勤職員が就いている職のほとんどが会計年度任用職員に移行するものと見込んでいる。
 会計年度任用職員に対しては、これまで臨時・非常勤職員に支給していなかった期末手当・退職手当等について、要件を満たす職員に支給することが可能となるなど、一定の処遇の確保が図られるものである。制度見直しにともなう具体的な所要額については、個々の職員の詳細な勤務条件によって変動するため、現段階では具体的に算出することは困難だが、例えば、支給が可能となる期末手当について、平成29年度に任用した臨時・非常勤職員をそのまま会計年度任用職員として任用した場合の費用を試算した場合、普通会計ベースで約7億4000万円程度と見込んでいる。また、制度見直しにかかる財源の見通しについては、国会審議の中で政府から「地方財政措置についてしっかり検討していく」と答弁されているほか、全国知事会を通じて必要な財源措置が図られるよう国に対応を求めていく。
 正規職員との関係については、県ではこれまでも、公務の運営は任期の定めのない常勤職員が中心となって行うことを原則としており、新制度導入後もこの原則を前提とし、今後の行政需要等を把握しながら、会計年度任用職員を含む職員の適正な配置に向け検討を進めていく。
 会計年度任用職員の任用については、改正法の運用通知等において、臨時・非常勤職員の設定にあたっては、それぞれの職の必要性を十分に吟味した上で、適正な人員配置に努めるべきであり、常勤職員が行う業務に従事する職が存在する場合は、常勤職員や任期付職員の活用について検討することが必要とされている。また、会計年度任用職員の職は、一会計年度ごとに新たに設置される職であり、それぞれの任期ごとに客観的な能力実証に基づき任用することが求められるとされている。こうした制度の趣旨を考慮の上、会計年度任用職員の適正な任用を行っていく。
 会計年度任用職員の再度の任用については、国の通知において、会計年度任用職員について、任期ごとに客観的な能力実証に基づいて、当該職に従事する十分な能力を持った者を任用することが求められるが、会計年度任用の職に就いていた者が、任期終了後、再度同一の職務内容の職に任用されることはあり得るとされており、この内容も参考としながら、今後具体的な任用手続きを検討していく。また、期末手当については、提案した条例において、任用期間や勤務時間について、一定の要件を満たす者にたいし支給することとしている。
 正規職員の増員については、知事部局においては、東日本大震災津波の発災以降、復旧・復興事業への対応等に必要な職員の確保を図るため、増員を図ってきた。また、現在策定を進めている定数等の管理計画においては、現行の計画と同様、復興業務の推進に必要な職員については計画とは別扱いとしたうえで、必要数を確保することとしている。行政経営プラン(案)にも掲げているが、新たな定数管理計画では、今後の行政需要の増大等に的確に対応するとともに、職員のワークライフバランスの推進などの組織課題に対応するため、平成31年度からの4年間で80〜100程度増員することとしている。

・学校教職員の超過勤務について

【斉藤議員】
 議案第72号は、市町村立学校職員の給与等に関する条例及び職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の一部を改正するものであります。国に準じて、正規の勤務時間以外の時間における勤務について定めようとするものです。
 小中高の学校教職員に超過勤務を命ずることができるとするものですが、超過勤務手当は支給しないというものです。超過勤務の上限は国の場合は45時間とされていますが、その上限を大幅に超過しているのが実態ではないでしょうか。超過勤務の実態と上限を守るための対策はどうなっているのでしょうか。超過勤務手当を支給できるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。

【教育長】
 今般の条例改正により、県立学校・市町村立学校の教員に対する超勤4項目にかかる超過勤務命令の上限が、人事院規則を参考とした場合、月45時間とされるので、その順守は当然だが、4項目以外の時間外勤務を含めた県立学校の今年度第3四半期における一人当たりの時間外勤務の月平均時間は、40.1時間となっているので、教育委員会としては、まずは教職員働き方改革プランの実現に向け鋭意取り組んでいく。
 教職員への超過勤務手当の支給については、公立の義務教育諸学校等の教職員の「給与等に関する特別措置法」(旧特法)の規定により、その職務と勤務態様の特殊性等に鑑み、超過勤務手当を支給しない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価した処遇として、給料の4%を教職調整額として支給されることとされている。この教職調整額のあり方については、先般の中教審答申で、「さまざまな理由などから中長期的な課題として検討すべきである」旨の考えが示されているが、今後ともこの検討の動向等も中止していきたい。

・東日本大震災津波伝承館について

【斉藤議員】
 議案第40号は、東日本大震災津波伝承館条例であります。
 第一に、設置・管理主体は岩手県であり、管理運営は県の直営としています。東日本大震災津波伝承館の整備費、年間の運営費はどうなっているでしょうか。館長の人選、専門職員を含めた職員体制、運営協議会の設置と体制はどうなるのでしょうか。
 第二に、施設内容は、「歴史をひも解く」、「事実を知る」、「教訓を学ぶ」の三つのゾーンからなっていますが、企画展示のコーナーはどうなっているのでしょうか。企画展示の内容はどのような期間で変えられるのでしょうか。
 第三に、入館料は無料となっていますが、その理由は何でしょうか。入館料を取るだけの価値のある展示、伝承館とすべきではないでしょうか。
 第四に、東日本大震災津波伝承館は、大震災津波の教訓と伝承の県内の拠点であり、国内外に発信する施設です。年間の入館者の目標・計画はどうなっているでしょうか。県内外の震災遺構や伝承施設とのネットワークと取り組みはどうなっているでしょうか。

【復興局長】
 整備費は現時点において、全体で約7億7千万円と見込んでいる。管理運営費は、年間1億3千万円程度と見込んでいる。
 館長の人選や専門職員を含めた組織体制については、本年8月または9月を予定している開館に向けて鋭意検討を進めている。
 施設運営にかかる協議会については、津波復興祈念公園内の各施設を管理する国・県・陸前高田市との間で設置する方向で検討を進めており、具体的な体制について今後つめていく。
 企画展示については、道の駅の建物のうち、地域振興施設側の入り口部分であるゾーン4「復興をともに進める」のコーナーにおいて実施したいと考えている。年間を4期程度に区分し、それぞれ特定のテーマによる企画展示を開催することとし、内容にもよるが、各期については2〜3ヶ月程度の展示を想定している。
 入館料については、伝承館は、国内外から多くの支援をいただいた被災県として、東日本大震災津波の事実と教訓をより多くの人と共有し伝承することにより、未来の命を守る取り組みを推進しようとするものであることから、できるだけ多くの方に訪れていただきたいこと、また、この伝承館は、博物館法上の博物館の要件を満たすものと考えているが、同法は、公立博物館の入館料を原則無料としていること、さらに、有料化した場合には、券売機のリースや係員の配置等のコストがかかることから、有料化による財政負担軽減の効果は大きくないと見込まれること―などの理由により、無料としたいと考えているが、伝承館の展示については、入館料の有無にかかわらず、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓を後世に伝承していくとともに、復興の姿を国内外の人々に発信できるよう充実した内容にしていく。
 年間入館者の目標については、伝承館が東日本大震災津波の伝承を目的とする初めての本格的な施設であり、入館者については、被災状況や復興の取り組み等を深く学ぼうとする方から、トイレや休憩等で道の駅に立ち寄った方まで多様であると思われること、また、今後の道路や公共交通機関の整備状況にも左右されること―などから、現時点での推計は難しいものと考えている。
 県内外の震災遺構や伝承施設のネットワークと取り組みについては、昨年7月、東北地方整備局および青森・岩手・宮城・福島の4県と仙台市で構成する震災伝承ネットワーク協議会が設立され、この協議会では、東日本大震災の伝承を効果的・効率的に行うことなどを目的として、各地域の震災遺構や伝承施設のネットワーク化をはかる取り組みを行っている。伝承館においても、協議会の取り組みと連携し、県内外の震災遺構や伝承施設と連携した効果的な情報発信などに努めていく。

・盛岡地区合同庁舎耐震改修工事の請負契約について

【斉藤議員】
 議案第99号は、盛岡地区合同庁舎耐震改修工事の請負契約であります。
 請負金額が11億7720万円(税込み)となっています。内陸では大きな工事ですが、落札率が99%、入札参加業者がわずか2社となっています。談合も疑われますが、事実上競争がない状況ですが、なぜ2社のみの入札となったのでしょうか。

【総務部長】
 本件工事については、現に使用している建築物にかかる耐震工事であり、工程管理が重要となることや、設計額が10億円以上の建築工事であることから、特定共同企業体による施工形態とし、その算入可能者数を検討した結果、11のJVを見込んでいたが、その参入が見込まれることとして入札を行ったが、最終的には参加はJV2者となったものである。
 建設業者の入札参加に関しては、全国や県内の同種工事等の発注状況、入札参加見込み者が抱える手持ち工事の状況など、個々の事情も考慮して参加の是非を決定しているものと考えられる。

・鵜住居川筋鵜住居地区水門災害復旧工事の変更請負契約案件について

【斉藤議員】
 議案第107号は、鵜住居川筋鵜住居地区水門災害復旧工事の変更請負契約案件です。
 今回で10回目の変更で、当初契約額61億9763万円余から153億8134万円余に、実に2.48倍となります。あまりにもずさんな工事となっているのではないでしょうか。

【県土整備部長】
 当該工事は、被災地の復旧・復興を最大限早めるため、概略の図面数量で発注する標準断面図等による発注方式により進めてきた。この方式については、積算の開始時点で最善の設計により発注したもので、詳細設計後および工事着手後に、地盤条件等に対応するための工法変更などが必要となるものである。具体的には、追加地質調査により支持層の不陸が確認されたことから杭長について変更が必要だったこと、土留工施工時に土中からコンクリート殻が確認されたため撤去工の追加が必要だったこと、詳細設計により防潮堤の盛土形状が確定し高濃度による盛土工の追加が必要だったこと、生コンクリートの供給不足により被覆工を二次製品に変更するもの、詳細設計により水門右岸側の乗り越し道路の形状が確定し、関係機関との調整が整ったため付帯道路を追加するもの、排水系統における詳細設計の結果、排水機能確保のため河川樋門工を追加するもの―など、当初想定や精査ができなかった要因に対応するための設計変更により増額が必要となるものである。

・大槌川筋大槌地区外水門災害復旧工事の変更請負案件について

【斉藤議員】
 議案第108号は、大槌川筋大槌地区外水門災害復旧工事の変更請負案件です。
 今回12回の変更で、当初契約額138億9845万円余が315億7681万円余に、実に2.27倍となります。あまりにもずさんな設計だったといわなければなりませんが、なぜでしょうか。

【県土整備部長】
 当該工事についても、標準断面図等による発注方式により進めてきた。
 全回議決いただいた内容からの具体的な内容変更については、想定を上回る大量の湧水が確認されたことに対応するため、水回りポンプの台数を増工したもの、旧防潮堤撤去のために必要な仮締切工の範囲を増工したもの、軟弱地盤対策工法をサンドコンパクション工法からセメント工による処理工法に変更するもの―など、軟弱地盤対策工法や仮設工法等を変更することにより増額となるものである。
 いずれの変更工事案件についても、着実な事業進捗を図るために必要な内容を十分精査し、提案させていただいており、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

≪再質問≫

・会計年度任用職員について

【斉藤議員】
 平成29年度の臨時・非常勤職員というのは4789人で、知事部局2785人、教育委員会1771人、警察本部151人、その他82人。これが基本的には会計年度任用職員の対象となると。大変な数である。今まで正規職員を減らして、そして本当に不安定で劣悪な臨時・非常勤職員にしてきた。ここがいよいよ行き詰まり、今回の会計年度任用職員という制度がつくられたが、原則は、公務というのは期間の定めのない常勤職員が担うと。この立場を貫くべきである。長期的には、岩手県の職員は5000人から4000人を割るように減らされた。一番減らされたときに東日本大震災津波を受けた。それ以降増やされたが、通常業務分の職員は3998人で4000人に届いていない。震災対応で増えているように見えても、まだ4000人にいっていない。やはり正規職員を基本的には公務の中心に据えて増員を図ることをすべきである。正規職員を減らして会計年度任用職員に代替することがあってはならないと思うがいかがか。
 今回、フルタイムの第二号とパートの第一号と分けられる。ところが、この分け方が大変問題である。週38時間45分を超えたらフルタイム、これを1分でも割ればパートになる。大変な格差で、こういう分け方に合理性がないのではないか。そのことにより、退職手当が出ない、通勤手当その他も出ないということになる。これは適切な待遇に改善すべきではないか。
 今まで「任用の空白」というのがあった。臨時職員が継続的に雇用されないように、わざと2ヶ月ぐらいの空白期間があった。これは法律上何の根拠もなかった。これは今度の会計年度任用職員の採用にあたっては絶対にあってはならないと思うが、任用の空白の実態をどう把握しているか。これは改善されるのか。

【総務部長】
 正規職員との関係だが、公務の運営は基本的に任期の定めのない常勤職員が中心となって行うということが原則となっている。この会計年度任用職員の新制度導入後も、この原則を前提として適切に対応していきたい。
 フルタイムとパートの扱いだが、運用にあたっては適切に対応していきたい。
 任用の空白については、その状況等については把握していない。
 いずれ、会計年度任用職員の制度導入に向けては適切に対応していきたい。

・東日本大震災津波伝承館について

【斉藤議員】
 入館者・利用の計画がないというのは違うと思う。やはり目標を持って、三陸復興博やラグビーワールドカップがあるということでそれに間に合うように開館すると思うので、どういう計画を持って取り組むのか。そして人選というのは、さまざまな方針・計画が決まってから館長を決めるのではなく、館長を定めて、開館に向けてしっかり準備するという体制が必要ではないか。

【復興局長】
 入館者の目標については、例えば神戸にある「人と未来防災センター」については、年間50万人程度の入館者と聞いている。新潟の「中越メモリアル街道」については、長岡市の4つの施設で構成されているが、年間入館者が平成27年度で約8万人と聞いている。陸前高田市に整備する伝承館については、今後の道路や公共交通機関の整備状況にも左右されると思われ、また入館者についても多様だということで、現時点での推計は困難としているが、開館から一定程度の期間が経過した段階では、そのときの入館者の状況やアンケート調査等での反応を見ながら、その後の運営の参考とするために目標を立てるということも考えていきたい。
 館長については、復旧・復興の取り組みに携わり、伝承館の設置目的やミッションをよく理解している方がふさわしいと考えており、現在人選を進めている。