2019年3月1日 次期総合計画特別委員会
知事に対する総括質疑(大要)


1.長期ビジョン第3章と復興推進プランにかかわる課題について

【斉藤委員】
 次期総合計画最終案について知事に質問します。私の提案を含め、県議会の審議がかなりの程度盛り込まれたことを評価するものです。さらに改善・充実すべき課題について質問します。
 第一に、長期ビジョン第3章と復興推進プランにかかわる課題です。
1)長期ビジョン26ページには、「被災者一人一人に寄り添う人間本位の復興を推進します」とあります。私は、被災者の生活再建にかかわるこの間の復興の取り組みで、一番被災者に喜ばれ、全国にも誇れる取り組みが、「被災者の医療費・介護保険利用料等の免除」を継続してきたことだと評価しています。19年度も12月末まで実施されるのですから、長期ビジョンにも復興推進プランにもしっかり明記すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 県ではこれまで、応急仮設住宅での不自由な生活などにより、健康面で不安を抱える被災者の医療や介護サービス等を受ける機会を確保することを基本としつつ、毎年度、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を総合的に勘案するとともに、市町村の意向を踏まえ、財政支援の継続を判断してきたところである。
 近年、市町村の中には、厳しい国保財政の状況や、被用者保険との公平性の観点などから、対象者の見直しや免税措置の周期の検討を行うべきとの意見もあることから、引き続き、復興事業の進捗状況や被災者の状況を適切に勘案しながら、こうした意見も考慮し慎重に判断していく必要があると考えている。
 復興推進プラン案では、「暮らしの再建」において、「きめ細かな保健活動などを通じ、被災者の健康の維持・増進を図る」こととしており、引き続き市町村等と連携しながら、被災者に寄り添った健康支援を行っていく。

【斉藤委員】
 長期計画の25ページには、「これまでの8年間」という復興を振り返った記述がある。ここにも書いていない。そしてアクションプランには、19年度まで実施という事業がいくつかある。だから、被災者の医療費・介護保険利用料等の免除という、これだけ全国から注目されている取り組みについて、しっかり明記すべきではないか。

【達増知事】
 医療保険制度の個別具体的な内容であるので、計画には盛り込まなかったところである。

【斉藤委員】
 アクションプランには、19年度までの事業がたくさんある。19年12月まで継続するのだから。8年間やってきたのだから、これだけ素晴らしい取り組みはきちんと明記すべきではないか。

【達増知事】
 復興の歴史を振り返ると、かなり良いことをしたなとは思っているが、他にもさまざま行って、必ずしも全てを次期総合計画の中には盛り込んでいないところである。

【斉藤委員】
 ぜひ私の提言を冷静に真剣に考えていただきたい。
2)「岩手県こころのケアセンター」、「いわてこどもケアセンター」の取り組みを継続実施するプランになっていることはきわめて重要です。どれだけの財源が必要で、その見通しはどうでしょうか。

【達増知事】
 被災地においては、被災者の抱える問題が複雑化・多様化しており、復興の進捗に対応したこころのケアの対策は、中長期的な取り組みが必要と認識しており、復興推進プラン案では、被災地の状況を踏まえながら、2020年度で区切ることなく実施していくこととしている。
 31年度当初予算案においては、こころのケアセンター運営にかかる「被災地こころのケア対策事業費」を5億3400万円余、いわて子どもケアセンターの運営にかかる費用については、1億400万円余をそれぞれ計上した。
 今後については、国の復興・創生期間修了後も、今までと同様の規模で被災地のこころのケアの推進が図られるよう、必要な事業や制度の継続とその財源措置について、他県とも連携しながら国に働きかけ、見守り活動等と連携した相談・診療体制を堅持し、最後まで誰一人取り残さないという視点で取り組んでいく。

【斉藤委員】
3)長期ビジョン33ページには、「日本を代表する震災津波学習拠点として東日本大震災津波伝承館を整備し、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓を世界に発信し、未来に伝承していきます」と明記されています。ここで言われている「教訓」とはどういうものでしょうか。高田松原津波復興祈念公園と震災遺構を含めた活用策、取り組み、利用人員はどう計画されているでしょうか。

【達増知事】
 伝承館はゾーン0から4までの5つのエリアで構成されており、このうちゾーン3「教訓を学ぶ」では、東日本大震災津波の経験から得たさまざまな教訓を伝え、社会的に行動することで多くの命を守れることを学んでもらうことを狙いとしている。具体的には、「どう逃げたのか」「どう助けたのか」「どうすればもっと助けられたのか」「どうすればもっと災害に強くなれるのか」などのテーマについて、映像や写真も用いて分かりやすく解説することとしている。
 ゾーン4「復興をともに進める」でも、これまでの復興の取り組みや東日本大震災津波を乗り越えて進む被災地の姿を、全国・世界からの支援に対する感謝とともに伝えることとしている。発信する教訓の具体的な内容については、有識者による震災津波伝承施設検討委員会の監修のもと現在精査しており、東日本大震災津波の経験から得られたさまざまな教訓を発信することで、東日本大震災津波の記憶の風化を防ぎ、国内・世界の防災力向上に貢献できればと考えている。
 高田松原津波復興祈念公園と震災遺構については、東日本大震災津波の犠牲者を追悼・鎮魂するとともに、まちづくりと一体となって地域の賑わいを再生するため、高田松原津波復興祈念公園の整備を進めている。公園内の震災遺構のうち、タピック45および気仙中学校は立ち入り見学ができる遺構として活用を予定している。県としては、国や陸前高田市と連携して、東日本大震災津波伝承館、国営追悼祈念施設、重点道の駅高田松原等が一体となった公園の意義や魅力を発信していくことにより、三陸地域へのゲートウェイとなる高田松原津波復興祈念公園に、震災前のように多くの方々に国内外から訪れていただけるよう積極的に取り組んでいく。

2.「健康・余暇」について

【斉藤委員】
 第二に、具体的な政策分野について質問します。
1)県民の健康を確保しようとするなら、参考指標となっている喫煙率(2016年22.6%)の改善こそ主要な指標とすべきではないでしょうか。

【達増知事】
 政策推進プラン案では、健康寿命が長く、いきいきと暮らすことができる社会を構築するため、幸福関連指標として、健康寿命の延伸、本県の三大死因である癌・心疾患・脳血管疾患で死亡する人数の減少の2つを盛り込んだ。
 健康寿命の延伸や三大生活習慣病の発症を防ぐためには、ご指摘の喫煙をはじめ、食生活や運動などの生活習慣の改善や、ガン検診特定健康診査の受診率の向上等が重要であり、これまでもさまざまな取り組みを推進してきたところである。
 喫煙は、改善すべき生活習慣のうち、2つの幸福関連指標にもっとも影響の大きいものの1つであることから、参考指標として盛り込んだところであり、その状況を注視しながら県民の健康づくりの取り組みを進めていきたい。

【斉藤委員】
 岩手県保健医療計画でも、この喫煙率の問題はきわめて重要な課題として位置づけられており、一番効果が示される課題だと思う。
2)余暇時間の指標は、週平均一日当たり373分から390分にするという目標ですが、分かりにくく、わずか18分の延長では効果も見えません。余暇を確保しようとするなら、政策推進プランの41ページにある年次有給休暇の取得率を主要な指標とすべきではないでしょうか。また、この目標(48.7%→75.0%に)は、県庁・県立病院から実施すべきと考えますがどうでしょうか。

【達増知事】
 健康・余暇の分野における余暇時間の指標については、働いている方だけでなく、仕事を持たない人も含めた県民の自由時間を把握するものであり、年次有給休暇の取得率は、労働者を対象とした指標であるため、幸福関連指標としては設定しなかった。
 一方で、家族・子育て分野では、ワークライフバランスの推進が重要であることから、家族・子育ての幸福関連指標として、総実労働時間を設定し、その目標の達成に向けて県が取り組む具体的推進方策の指標として、年次有給休暇の取得率を設定している。
 県庁および県立病院の年次有給休暇の取得については、県庁・県立病院ともにワークライフバランスを重視し、奨励する組織風土を醸成し、職員が休暇を所得しやすい環境づくりを進めてきたところであり、今後もさらにこうした取り組みを強化していく。
 また県内企業に向けては、年次有給休暇の取得率75%の目標達成をめざし、いわてで働こう推進協議会を核とした全県的な「いわて働き方改革推進運動」を展開し、全ての働く方々が健康でいきいきと働くことができる魅力ある労働環境の整備を進めていく。

【斉藤委員】
 この余暇時間というのは、ここにいる人たちは全部分からないと思う。なぜかというと、働いている人も働いていない人も十把一絡げに、平日も土日も全部一緒にして平均した数である。こんな人はどこにもいない。一人平均にすると、睡眠時間7時間40分、仕事時間3時間33分、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間が2時間15分と、こういう人はいない。だからこういう抽象的な余暇時間では、県民も我々も分からない。この指標は見直して、年次有給休暇の取得率は積極的な目標を示したのだから、これを主要な目標にすべきではないか。

【政策地域部長】
 余暇時間については、目標値の設定の考え方だが、直近の2016年時点で全国41位ということで、東北最下位となったので、まず2022年までに東北1位を目指すということで設定させていただいた。
 年次有給休暇の取得率については、具体的な推進方策の指標として設定しているので、それについてはしっかり目標の達成状況等を見て施策につなげていきたい。

【斉藤委員】
 労働者も働かない人も、土日も平日も、十把一絡げにして平均にする意味があるのか。労働者と働かない人の余暇の概念は全く違う。
 「県民に分かりやすい指標を示す」と言っていたが違うのではないか。

【政策地域部長】
 今回の指標については大きく3つの考え方があり、全国比較ができること、毎年度把握できるもの、県民にとって分かりやすいことということで、余暇時間については、あくまでこの分野として、「健康・余暇」のところに入れた目標であるので、働いている方だけではなく、それ以外の方も含めて「健康・余暇」ということで設定しているので、それについての考え方についてはご理解いただきたいと思う。

【斉藤委員】
 こういう分かりにくい指標は見直すべきだと。実態にも合わないということを指摘しておきたい。「変える勇気」である。

3.「教育」の課題について

【斉藤委員】
「教育」の課題について―学力テストの指標の見直しは評価します。
1)「意欲を持って自ら進んで学ぼうとする児童生徒の割合」―この指標はきわめて主観的な指標ではないのか。

【達増知事】
 いわて県民計画最終案においては、たしかな学力の育成に関する「いわて幸福関連指標」として、意欲を持って自ら学ぼうとする児童生徒の割合」「授業で自分の考え方を深めたり広げたりしている児童生徒の割合」の2つを設定している。
 これらの指標は、新しい時代に求められる児童生徒の資質・能力を育成するため、児童生徒の学習意欲や学習活動、教員の指導等の改善を推進し、主体的・対話的で深い学びの充実を目指すものである。
 ご質問の「学校の授業がよく分かる児童生徒の割合」については、このような学びのあり方の充実を支えるものとして重要であると考えており、政策推進プラン案における具体的推進方策指標として位置づけて取り組みの推進を図っていくものである。

【斉藤委員】
 これは学力テストのアンケートを結果を基にしているが、今のような項目では聞いていない。「意欲を持って自ら進んで学ぼうとする児童生徒の割合」のアンケートの質問項目は、「5年生まで受けた授業では、課題の解決に向けて自分で考え、自分から取り組んでいたと思いますか」という問いで、やはりアンケートの項目と指標での表現が違ってきたら正確ではなくなると思うがいかがか。

【政策地域部長】
 この調査の項目については、「課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいたと思いますか」ということだが、それを県民のみなさんにとって分かりやすい表現ということで、「意欲を持って自ら進んで学ぼうとする児童生徒の割合」としたところである。

【斉藤委員】
 実際のアンケートの質問項目とは違うと。率直に指摘しておきたい。
2)「自己肯定感を持つ児童生徒の割合」について、9月議会でこの問題を提案し、指標になったのは良いが、この評価が問題である。異常に高く出ており、何を根拠にしてこれだけ高くなるのか。
 文科省は、平成28年10月28日の資料で、「日本の子どもたちの自己肯定感が低い現状について」という、子どもたちは低いということを問題にしている。内閣府も、これは世界との比較で、「日本の子どもたちは自己肯定感が低い」ということをやっている。
 今度の指標では高く出ている。少し実態と合わないのではないか。

【政策地域部長】
 自己肯定感に関する調査は、国の機関などでさまざまな調査が行われており、それぞれ目的により調査対象・方法・質問項目等が異なっていることから、「自己肯定感を持つ児童生徒の割合」については、文科省が実施している調査結果に基づくものとしている。
 ご指摘の部分については、一般的なさまざまなデータがあるが、それは抽出調査ということもあり、今回文科省の全国学力学習状況調査によるものは、全ての児童生徒が対象ということで、そういうところから違い等も出ているかと思う。

【斉藤委員】
 学力テストの質問項目は、「自分には良いところがあると思いますか」というもので、その回答は、「当てはまる」が小学校で37%、「どちらかといえば当てはまる」が45.3%で、これも含めると8割になる。これを入れるか入れないかで全然評価が違ってくる。「当てはまる」のみでやればだいたい文科省・内閣府の調査と一致する。だから、拡大解釈して高いデータで指標を出しても意味がないのではないか。

【政策地域部長】
 対象の範囲として、「授業が分かる」「学習した内容を振り返っている」という、両方に肯定回答した児童生徒の割合を指標に使用としたところである。

【斉藤委員】
 どこまでを指標にするかで全然評価が違ってくるので。「当てはまる」ということで基準にしたらだいたい文科省や内閣府の調査と一致すると言っているので。

【達増知事】
 分かりやすいように整理、説明しながら使っていきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ分かりやすく、全国的な評価と一致するようにしないと正確な指標にはならないので。
「適切な部活動体制の推進」(69頁)では、「大会で勝つことのみを重視し過重な練習を強いることがないよう、スポーツ医・科学の観点を踏まえた指導及び体罰や生徒の人格を傷つける言動等の根絶に向けた」取り組みが明記されたことは評価したい。

4.「仕事・収入」の課題について

【斉藤委員】
 「仕事・収入」の課題では、「一人当たり県民所得」は、企業所得も入っており、県民の所得を把握する指標としては、参考指標となっている「一人当たりの雇用者報酬」とするべきではないか。

【達増知事】
 一人当たり県民所得は、農林水産業や商工業まで、県内経済全体の状況を表し、県の産業振興施策の結果を示す指標として設定した。
 ご指摘の一人当たり雇用者報酬については、本県の主要産業である農林水産業従事者の多くは含まれないなどの特徴があるものの、県民生活に密着した指標の1つと考えられるので、参考指標として政策推進プランに掲載し、その推移を継続して把握していくこととしているものである。

【斉藤委員】
 全体として指標は、県民一人一人に焦点を当てている。だから、県民所得といえば県民の所得と企業の所得と一緒になるということを指摘したので。
2)「正社員の有効求人倍率」が主要指標になっている。正社員の可能性を示すものではあるがミスマッチもあり、実態としては「就職件数に占める正社員の数・割合」とすべきではないか。

【達増知事】
 正社員の有効求人倍率は、ライフスタイルに応じた新しい働き方が求められる中、正社員を希望する方が望み通り働くことができる雇用環境を示す指標として、より分野を代表する指標と考えて「いわて幸福関連指標」に選定した。
 ご指摘の「就職件数に占める正社員の数」については、正社員の就職者数に加え、正社員への転換数を増やしていく取り組みを推進する観点から、正社員就職、正社員転換数を政策推進プラン案の具体的な推進方策の指標として掲げ、安定的な雇用を確保する取り組みを推進することとしている。

【斉藤委員】
 毎月の岩手労働局の発表では、就職件数に占める正社員の割合は30数%である。これが実態である。正社員の有効求人倍率が1倍になった。だから実態を評価するということであれば、実際に就職した中での正社員比率の方が実態を示すのではないか。

【政策地域部長】
 ライフスタイルに応じた新しい働き方が求められている中で、正社員を希望する方が望み通り働くことができる雇用環境を示す指標として、正社員の有効求人倍率が適正ではないかということで設定した。
 ご指摘の点も踏まえ、正社員への転換数については具体的な推進方策の指標として位置づけ、これについても毎年度しっかり目標値等をの状況を見ながら、施策を展開していきたい。

【斉藤委員】
3)「高卒者の県内就職率」については、65.8%(17年度)、から84.5%(19年度)に一気に引き上げる意欲的な目標となっている。これは評価するが、一気に引き上げる根拠と具体的取り組みはどうなっているか。

【達増知事】
 現在の本県の雇用情勢は、産業集積等にともないかつてない規模の人材確保が急務となっている。想定される人材需要に対応するためには、2019年度から東北トップレベルの84.5%の目標を設定する必要があり、広く県民のみなさんと目標を共有してオール岩手で取り組んでいきたいと考えたところである。
この目標を達成するためには、企業が生産性の向上と働き方改革の推進等により、自社の魅力や価値を高めるとともに、高校生などに地元企業をよく知ってもらうことが重要と考えている。このため、企業に対しては、商工指導団体と連携し経営革新等を支援するとともに、高校生等に対しては、生徒や保護者を対象とした地元企業を知るガイダンスの拡充や、今年度作成した県内ものづくり産業等で活躍する若手人材を紹介する動画を活用した授業等により、県内企業の理解を促進していく。合わせて、地域の企業を熟知する就業支援員を一定期間主要な専門高校に配置し、教員と一体となった地元企業等への就職支援を行う。
 今後においても、いわてで働こう推進協議会を核としながら、学校関係者との連携強化に努め、これらの取り組みをより充実させ、高校生が岩手で働くことを選択するという大きな流れを作って県内就職率を高めていく。

【斉藤委員】
 一気に引き上げると。かなり厳しい目標だが、本当に全力をあげて取り組んでいただきたい。
4)「U・Iターン就職者数」は、年間794人から1300人に1.6倍に増やし、累計では2022年までに7060人に9倍近くに引き上げる意欲的な計画となっている。その根拠と取り組みはどうなっているか。これが本気なら主要な指標に上げるべきではないか。

【達増知事】
 急激な新規雇用の増加が見込まれる本県の雇用情勢を踏まえ、想定される人材需要に対応するために、2017年度に年間794人であったU・Iターン就職者数を2019年度から毎年1300人に増加させる目標を設定するものである。
これを達成するための取り組みとして、いわてU・Iターンクラブ加盟大学との連携強化、東京に配置しているU・Iターンマッチングコーディネーターによる首都圏大学理工系学部への訪問活動の強化、国の「わくわく地方生活実現政策パッケージ」を活用した移住希望者と本県企業のマッチングの促進により、U・Iターン就職に関心を持つ方をきめ細かく支援するとともに、いわてライフ応援マガジン「いわてウォーカー」の発行、県内若者等に岩手の魅力を体感してもらう「岩手版ワーキングホリデー」の実施などを通じ、就職情報や企業情報に加え、地域情報等、本県で働き暮らすことの魅力をトータルで発信していく。
 また、U・Iターン支援と移住・定住促進を一体的に推進するため、商工労働観光部において、これらの業務を一元的に実施するための組織再編を行うとともに、U・Iターン支援窓口の体制を強化するため、新たに東京事務所に特命課長を駐在させることとしており、若者をはじめ、一人一人のニーズに対応したきめ細かな支援と、岩手で働く、岩手で暮らすことについてのトータルな魅力の発信に力を入れていく。
 なおこの指標は、大手就職情報サイトを通じてU・Iターン就職した者等は含まれず、県独自調査により把握できる分を集計したものであるため、県の具体的な取り組みの成果を図る推進方策指標として設定したものである。

【斉藤委員】
5)農林水産業振興では、本会議でも菅野ひろのり議員や高田一郎議員が取り上げたが、「国連家族農業年の10年」の取り組みを次期総合計画に明記し具体化すべきではないか。これはちょうど10年ぴったり一致する。国連が世界をあげて、日本政府も賛成してやっている取り組みである。そして県内においても家族農業は97%を占める。これを大事にしないで、岩手の農業の振興・発展はないと思うがいかがか。

【達増知事】
 家族農業の10年は、国連が家族農業が食糧生産等に果たす役割の重要性を広く世界に周知するために提唱した「国際家族農業年」について10年間延長したものと承知している。
 本県の農業経営は97%が家族経営体であり、家族経営体は本県の農業生産や、農業・農村の多面的機能の維持などに重要な役割を果たしていると考えている。このため、いわて県民計画最終案においては、政策項目の「経営体の育成」に、「多くの小規模家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大」「生産活動の効率化」などを盛り込むとともに、活力ある農山漁村づくりに、小規模家族経営などの地域を支える多様な生産者が農地を有効利用しながら地域の農業・農村を維持する取り組みなどを盛り込んでいる。
 県としては、今後とも農業に携わる生産者一人一人がいきいきと働き暮らすことのできる農業・農村の実現に向けて取り組んでいく。

【斉藤委員】
 大事なことは、これは世界的に取り組まれるということである。世界的な農業政策の転換とも言われている。それを10年間取り組むと。いわて県民計画と一体の取り組みである。
 改めて聞くが、いわて県民計画に「国連家族農業の10年」を明記すべきではないか。個別にはそのような中身あるかもしれないが。しかし明記をして、岩手県として10年間、この家族農業を重視した取り組みを進めるということをやるべきではないか。

【達増知事】
 SDGsもそうだが、国連家族農業の10年についても、国連がそう決めた、国連でそう決まっているから岩手県民もやるという組み立てではなく、県の総合計画のあり方としては、県として、県民としてこのような政策を整理してやっていくということで、それぞれの見出しの言葉とか目指す姿の描写とか、普段から岩手県内で使われているような言葉を使い、また岩手県民になじむような整理としているところであり、それで国連家族農業の10年という言葉そのものだとか、そこに書かれている内容をそのまま書いたりはしていないが、理念としては先ほど述べたように、同じ方向性だと思っているので、岩手の言葉で書かれた計画に沿って、国連家族農業の10年に当たるような取り組みも進めていきたい。

【斉藤委員】
 家族農業の10年を明記すべきというのは、雰囲気からして圧倒的県議会議員の意思だと思うので。
 今日はいくつかの提案をした。部局長質疑でもいろいろ提案されると思う。さらに練り上げて良いものにするという形でやっていただきたい。

【達増知事】
 今日の委員会や次回の委員会の運営については、議員のみなさんが相談して決めていることであり、その中でさまざま運営について、取りまとめ後の動きについては議会の自治としてお決めいただくことかなと思う。