2019年3月13日 予算特別委員会
千田美津子県議の商工労働観光部に対する質疑(大要)


・被災事業所への支援策について

(千田美津子委員)
 私は他の委員さんとだいぶ重複している部分がありますので、通告した順番にいかないかと思いますがよろしくお願いいたします。
 まず、岩手県中小企業振興第1期基本計画が終わろうとしていますが、その基本計画と次期計画への対応策について何点かお聞きをしたいと思います。午前中に小野共委員の質疑にもありましたけれども、やはりこの基本計画の柱の一つには被災事業所への支援があると考えます。そこで、被災した商業者の本設移行と、営業継続を希望する事業者への支援の強化策が私は重要だと考えております。今、仮設店舗で営業を再開した事業者はピーク時731ありましたが、12月末現在では本設移行が382、市町村から払い下げが19、廃業・退去が139、仮設店舗で営業中が210となっておりましたが、これらの方々に対し、本当に寄り添った支援と援助の強化が今後、より重要だと考えております。
 そこで、本設移行など、商業者の状況をどう把握されておられますか。そして、今後どう対応をされるお考えかお聞きします。それと合わせて、仮設施設の有効活用等の事業の継続についてはどのようにお考えかお聞きをしたいと思います。

(熊谷正則経営支援課総括課長)
 まず、本設移行などの商業者の状況についてでありますが、この把握につきましては、市町村からの聞き取り調査、聞き取り確認によりまして、商業者をはじめとする被災事業者の状況を定期的に把握しております。先ほど話がありましたとおり、30年12月末現在で仮設施設に入居している商業者は210社となっております。仮設入居事業者の今後の意向につきましては、市町村が聞き取りを行い把握しているところでありますが、県といたしましては円滑な本設移行に向けまして、市町村、商工指導団体、あるいは金融機関と連携いたしまして、グループ補助金を始めとした本設再開に向けた支援、あるいは金融支援などの事業者ニーズに応じた、まさしくきめ細かい支援に努めていきたいと考えております。
 それと次に、仮設施設有効活用事業についてでございます。中小企業基盤整備機構が整備し、市町村に譲渡した仮設施設に係る撤去費用等については、中小機構からの助成が当初、平成30年度末まで行われることとされておりましたが、土地区画整理事業等の進捗状況により、本設移行が31年度以降になる地区も見込まれ、仮設施設の撤去ができないことから、市町村とも連携しながら、助成期間の延長について国に対して要望してきたところでございます。その結果、予算もついていたわけでございますが、31年2月28日付けで中小企業庁と小企業基盤整備機構の連名によりまして、市町村の方に、助成期間を2年間延長する旨の通知があったというふうに確認しております。平成32年度末まで延長するという内容の通知が出ております

(千田委員)
 市町村とぴったり寄り添って、事業者のニーズに応じた対応していくということで、是非今後もよろしくお願いをしたいなと思います。
 そこでですね、グループ補助金の話も午前中にありました。これまでに191グループ、1525事業者に890億円の交付決定がなされたなされております。午前中にもありましたが、グループ補助返済の5年間の据え置き期間が経過した事業者が大変な状況にあるということもお話がありました。事業の破綻が12業者、返済ができないということでの相談が22業者33件、条件変更申請が15業者25 件との答弁であったと思います。そ ういった点では、個々の事業者が変更申請条件変更等の申請をしていくことのになるとは思いますけども、私はですね、制度としてこの据置期間の延長とか、返済条件をもっと緩和をするとか、そういうことが必要になってくるのではないかなと思いますが、そういった点で国に求めていく必要があるのではないかと思いますが、その点お聞きいたします

(熊谷経営支援課総括課長)
 グループ補助の自己負担分の1/4は高度貸付で支援をしているところでございますが、先ほどありましたとおり、償還が困難となって償還を猶予したところが15事業者25件ということでございますが、こういったところについては、岩手産業振興センターと連携して貸付先の業務について随時確認しながら、償還期限の延長、あるいは毎回の返済額を減額する、といったような条件変更に対応しているところでございますが、産業振興センターの方では、全ての貸付先から財務諸表を年1回以上取り寄せて、経営状況を把握したり、また返済返済開始がまだのところは、事業者を訪問して経営状況のヒアリングをしたり、あるいは返済方法や経営支援に対する相談を随時受付たりしながら、貸付を受けたところのフォローアップをしているところでございます。条件変更には産業振興センターだけでなくて、債権を持ってる金融機関が一堂に会した場所、バンクミーティングと言われる場所で、事業者さんの今後の事業計画とかを検討した上で条件変更がなされるというところでございますが、まず現時点ではそういった個々の事業者さんの実情に応じて、ケースバイケースで判断していくところが重要ではないかと考えております。

(千田委員)
 実情に応じた対応をなさっている、という答弁だと思いますけども、先ほど返済できない事業者が22業者33件というふうに午前中に答弁にあったと思うんですが、条件変更できたのが15業者25件とメモしているんですが間違いないんでしょうか。もしそうであれば、返済できなくて相談をされた7業者8件の方々がどうなったかというのが気にかかるところですので、もし分かればお答えをいただきたいと思います。

(熊谷経営支援課総括課長)
 条件変更についての相談が22業者から33件からあったところです。そのうち、15事業者25件の条件変更を行ったということで、その条件の差があるわけですけども、そのうち電話相談で終了した方、あるいは条件変更の申請取り下げた方、あるいは相談中の方が現在もいるというふうに聞いております。まだそのような形で引き続き条件変更については協議中の方もいるというような状況でございます。

(千田委員)
 まぁ、いろいろ状況があるようですが、いずれこういう方々が引き続き事業が続けられるようにですね、きめ細かな支援を是非お願いしたいなと思います。それで、小野共委員からもあったのですが、2021年度からグループ補助金を本当にいいものにしてほしいという話でありました。私も本当にそう思います。そういった意味で、このグループ補助金を本当の復興につながるような形で継続すべきだと思いますが、どういうふうに見ておられるか、グループ補助金の見込みについてお聞きをいたします。

(熊谷経営支援課総括課長)
 グループ補助金の継続ということでございますが、仮設施設には、今なお商業者の方が210事業者おりますし、土地区画整理事業の完了が平成32年度という地区もございます。そうなりますと、土地区画整理事業が終わってから土地の引渡しを受けてグループ補助の申請をするということも想定されますので、そういう本設工事に着手できない事業者さんもまだいるということですので、県としましては、平成32年度以降のグループ補助金の制度の継続ですとか、複数年度にわたる事業実施のために必要な措置などについて、国に要望していく他、商工指導団体と連携してグループ補助金の申請、早め早めに準備をして、金融の方の資金調達も検討しながら、早めに相談して申請していただくと、そういったような、きめ細かい支援を続けながら、それぞれに応じた本設再開に向けた支援を行なっていきたいと考えております。

(千田委員)
 是非よろしくお願いいたします。あと、被災した事業者さんで二重債務を抱える方々への支援策でありますけれども、これまでも岩手県産業復興相談センターとか、岩手県産業復興機構等を通じての支援とか、あと国の震災支援機構ですね、それらの取り組みがあるわけですが、これからの部分も含めてどのように見ておられますかお聞きいたします。

(熊谷経営支援課総括課長)
 被災した事業者のいわゆる二重債務問題についてであります。平成31年2月末におきまして、二重債務問題を抱える事業者への支援を行う、岩手産業復興機構の買取債権等の支援件数は251件となっております。これは買取支援件数とその他の金融支援を含んだ件数になります。また国の東日本大震災事業者再生支援機構の買取支援件数は167件となっております。最近の状況を見ますと、28年度と29年度は新規の買い取りというのはなかったんですが、今年度1件、国の方の買取があったという実績になっております。
 まぁこういった震災前の債務については落ち着いた状況ではあるわけですが、今後、区画整理の進展、あるいは仮設から本設再開の過程におきましては、本設再開を行うための資金需要が発生し、その際に震災前の債務があるという方もいらっしゃるかもしれませんので、そういったあたり県としてもこういう制度があるという広報をしながら、必要な方にはこの買取制度につなぐような支援もグループ補助の相談と一緒にやっておりますので、同じ会場で二重ローンの説明などもしたりしながら周知を図っていきたいと考えております。

・経営革新計画について

(千田委員)
 是非よろしくお願いをいたします。それではあの、復旧事業再開した被災事業者への支援については今日も答弁がありましたのでそれは除きます。
 経営革新計画についてお聞きをいたします。経営の相当程度の向上を図る取り組みをまとめた事業計画がこの経営革新計画だそうでありますけども、平成27年から29年度までの承認実績は東北地区では最も多いというふうに見ましたが、どういう状況にあるのでしょうか。またこの計画の優位性がどういうところにあるのかその点聞きをいたします。

(熊谷経営支援課総括課長)
 経営革新計画についてでありますが、この計画は中小企業者が、新商品サービスの開発や、新たな生産販売提供方式の導入などの新たな事業活動に取り組むことで、経営の相当程度の向上、具体的には付加価値額の年率3%以上上げるとか、経常利益を年率1%上げるとか、そういったことになりますが、経営の相当程度の向上を図ろうとする事業計画でございます。
 この計画の作成や実施にあたりまして、商工会・商工会議所が伴走型の支援をしながら強みの把握ですとか、そういった部分から、計画の策定まで支援をしていくということでございます。本県の承認実績は27年度が年間で38件、28年度が46件、29年度が41件で、この3カ年は東北地区で最も多いということでございます。また 30年度2月末におきましても43件と、例年並みの件数を確保しておるところでございます。こういった経営革新計画に取り組むことで、経営者、あるいは事業承継する後継者の方の意欲の向上ですとか、そういうのにつながっている人材育成につながっているとものと考えております。
 県では、商工会・商工会議所によるこういった伴走型支援がこの成果に結びついているものと考えております。引き続き、商工業小規模事業経営支援事業費補助、商工団体の補助金でございますが、こういったもので伴走型支援に必要な体制を確保しながら、小規模事業者の新たな活動の取り組みを促進してまいりたいと考えております。

・岩手県よろず支援拠点について

(千田委員)
 続きまして、岩手県よろず支援拠点というのがあって、国の委託を受けて、中小企業や小規模事業者のための高度で専門的な経営相談所として、売上増加、経営改善などの経営上のあらゆる悩みにワンストップで対応されているということでありますけども、この間の取り組み状況、相談状況はどのような状況でしょうか、お聞きをいたします。

(熊谷経営支援課総括課長)
 岩手県よろず支援拠点についてでございます。こちらのワンストップサービスの相談窓口でありますが、中小企業者の様々な経営課題に対応するため、岩手産業振興センターが国の委託事業を利用して展開しております。毎年5000件を超える相談に対応しておりまして、平成26年6月の開設以来の相談対応件数が、本年1月末時点で東北地区でこれも最も多い件数になっておりますが、2万3000件余となってございます。これは本県独自の取り組みとして、県内各地域で金融機関と連携して移動相談会を毎年100回以上実施している、といったようなことが相談実績に結びついているものと考えておりますし、利用者からも大変評価が高い状況になっていると考えております。

・県内中小企業、小規模事業者の課題について

(千田委員)
 先ほどの経営革新計画、それから今の岩手県よろず支援拠点も含めて、商工会・商工会議所等との連携のもとで、東北で一番という、頑張っている状況だなと、そういう支援のもとで、県内の中小業者、中小企業の皆さんが展望持って頑張っていることができるのだなと思いましたので、是非これらの取り組みを強めて対応をしていただきたいなと思います。
 それでは次に、中小企業、小規模企業者の課題についてお聞きをしたいと思います。県内の中小企業、企業数で県内企業全体の99.8%を占めているようでありますけども、常用雇用者数で県内全体の85.9%ということで、まぁ事業活動や雇用を通じて、県民の暮らしや地域の経済を本当に支えているというふうに思っております。中小企業者は人口減少、少子高齢化の急速な進行など多くの問題点が一方ではあるというふうに思いますが、改めて、どのような課題があり、どう解決していくべきかお答えいただきたいと思います。

(熊谷経営支援課総括課長)
 中小企業、小規模事業者の課題でございます。今委員からもお話がありましたとおり、中小・小規模事業者は、県民の暮らし、地域の経済を支えております。そのほとんどが小規模事業者でありまして、その一方で経営者の高齢化、後継者不足、承継人口の減少、個店の魅力低下といったような課題を抱えているところでございます。このため、現在、本議会に提案しております、中小企業振興第2期基本計画案におきましては、中小企業者が行う経営力の強化や、生産性の向上、新たな事業活動などの取組の促進、商工指導団体や金融機関などの支援機関連携による、事業承継の円滑化に向けた取組の促進、若者をはじめとする企業者や後継者の育成による経営人材の確保、そして企業のライフステージに対応した切れ目のない金融支援、市町村や商店街をはじめとする多様な主体の連携によるまちの賑わい創出などを盛り込んで、中小企業、小規模事業者が持続的に事業活動を行って行けるように支援していきたいしていきたいと考えております。

(千田委員)
 経営者の高齢化等々お話がありましたが、そういった意味では、そういう方々を励ます計画、課題がありますけどもさらに新たな計画にそれらを実効性のあるものにしていくということが本当に求められているなというふうに思います。岩手県中小企業振興条例が作られて、いわば第1期の計画が今年度で終了し、来年度から新たな計画ということで提案されているわけですが、その計画を本当に県民に寄り添ったものにするために、地域説明会を開催されてきたようでありますけれども、どのような意見や要望が出されたのか、そしてそれらをどう反映していくお考えか、お聞きしたいと思います。 

(熊谷経営支援課総括課長)
 第2期基本計画策定に関します、地域説明会の寄せられた意見・要望等ついてであります。昨年12月に県内4地区で開催した地域説明会では、市町村、商工指導団体、中小企業者など延べ75名が参加し、15件の要望があったところでございます。
 その意見については、事業承継の話ですとか、企業統合の話、人材の育成(定着)に対する意見があったほか、県全体の中小企業の取り組みはわかったけども、4広域振興局ごとの取り組みを知りたいとか、そのような要望が寄せられたましたところでございます。
 これらの地域説明会の意見・要望につきましては、重点取組事項として記載したり、広域振興圏における主な取り組みについては新たに記載するなど、全部反映、一部反映というもので言いますと、15件中13件を反映させたところでございます。さらに県の商工観光審議会ですとか、商工指導団体の役員や中小企業の経営者で構成します、岩手県中小企業振興基本計画外部委員会の場におきましても意見や要望お聞きしながら、可能な限り次期計画に反映させてきたところでございます。