2019年3月14日 予算特別委員会
千田美津子県議の文化スポーツ部に対する質疑(大要)


・文化芸術振興について

(千田美津子委員)
 私は文化芸術振興に関わって3点、それから岩手競技力向上事業についても通告をしておりましたが、午前中に工藤委員の質疑で明らかになりましたのでこれは割愛いたします。
 スポーツ振興とともに、県民の心を育むと言うという点で文化芸術の振興は非常に大事だなと考えております。そこで、県民の目指す姿として多彩な本県の文化芸術が育まれ、それから人々が文化芸術に触れ、活動・鑑賞する機会が増えていること、それから歴史遺産や伝統文化が保存・継承されていることなどが、目指す姿として掲げられているおります。
 この間いろいろと頑張っておられますが、文化芸術振興のこれまでの到達がどのような状況にあるのかという点、それからそれに対する評価はどのようにしておられるか、まずその点をお聞きいたします。

(中里裕美文化振興振興課総括課長)
 文化芸術振興に関わる施策の進捗状況と評価についてということでございますが、県では地域の文化芸術活動を支援するため、岩手県文化芸術コーディネーターを配置いたしまして、コーディネーターと連携して文化芸術の発表や、鑑賞の機会の拡充に取り組んでいる他、漫画やアニメなどの新しい分野の文化芸術、そして障害者の文化芸術に関わる活動への支援に取り組んでいるところでございます。
 また、東日本大震災津波による多くの民族芸能団体が被災をいたしましたが、その活動再開に対する支援や、被災した子供達の心の復興を図るための取り組みも行っているところでございます。これらの施策の評価についてでございますが、県の取組といたしましては、指標の状況等から、政策評価としては概ね順調というふうに考えているところでございます。
 また、県以外の県民や企業など他の主体におきましても、地域における文化芸術活動を支援する取り組みや、被災した民俗芸能団体の活動再開を支援する取り組み、そして若者が主体となった取り組みなどが活発に行われておりまして、文化芸術の振興が図られているものと認識をしております。

(千田委員)
 多岐にわたる事業が展開されて、概ね順調という評価をされたということで、本当に頑張っていただいているなと思います。今後の課題にも関わるんですが、一つ、活動再開に至った郷土芸能団体数が、この間の到達がCあるいはDという評価でありました。いろんな事情によってなかなか回復できないという状況があったと思いますが、これについてお聞きをいたします。

(中里文化振興課総括課長)
 県では、被災した郷土芸能団体に対しまして、自らの活動で必要となる施設ですとか、設備を支援する取り組みを実施しております。市町村がその設備を整備する費用の全部、または一部を補助する場合にその費用を補助しておりまして、その件数を事務事業評価の指標ということで設定をいたしているところでございます。
 評価がCとなった点につきましては、地元の土地造成等が遅れていることから、山車収納庫等の整備を予定していたところでありますが、その整備が予定どおり行うことができなかったということで、県でも予定した件数の補助ができなかったことによるものでございます。
 被災した団体の多くは、この事業のほか県の文化振興基金ですとか、民間団体の助成なども活用しながら活動を再開しているところがございます。また、活動用具を保管する収納庫等の再建などの支援を必要としている団体はまだございますことから、今後も県としましては、沿岸被災地における民俗芸能の保存・継承を目的とした、市町村や民族芸能団体の取組に対する支援を継続してまいりたいというふうに考えております。

(千田委員)
 二つ目に、県民の文化芸術活動への支援に向けて専門人材を配置するということであります。各地域における文化芸術活動支援ネットワークの充実等を図るとしていますけれども、今までもコーディネーターの配置とかいろいろなされたわけですが、これから配置する専門人材とはどういう方で、何を目指しているのかその点お聞きしたいと思います。

(中里文化振興課総括課長)
 県ではコーディネーターのほか、昨年度から公益財団法人岩手県文化振興事業団に本県の特徴を生かした、効果的な文化政策の企画立案を行う専門人材として、岩手県文化芸術調整マネージャーを配置をいたしまして、文化芸術団体等と連携してした文化芸術活動の支援を行うほか、県内各地域において文化芸術を活かした地域づくりなどに取り組む人材の育成、そして総合交流を図るためのアートマネージメント研修を開催するなど、企画調整マネージャーを中心として、本県の文化芸術のさらなる振興を図る取り組みを行っているところでございます。

(千田委員)
 企画調整マネージャーということでありますが、どういう方が対象になるかお聞きいたします。

(中里文化振興課総括課長)
 現在の企画調整マネージャーは、県内の公立文化施設で勤務経験のある方をマネージャーとして配置をいたしまして、県内のコーディネーターとともに活動をしていただいているところでございます。

(千田委員)
 そうしますと、企画調整マネージャーの活動エリアは県内一円ということでよろしいのでしょうか。その点もう一度お願いいたします。

(中里文化振興課総括課長)
 各地域にはコーディネーターを配置しておりますので、企画調整マネージャーにつきましては県内全域を対象として、コーディネーターと連携しながら文化芸術の振興に取り組んでいただくこととしております。

(千田委員)
 いろいろ頑張っていただいているわけですが、岩手県の文化芸術の振興という点でさまざま震災復興の問題もあって大変なものがあると思いますが、今後の全体の課題としてはどういうふうなことを考えておられるか、それから次の計画に向けてどういう対応策を取られるお考えか、それ併せてお伺いいたします。

(中里文化振興課総括課長)
 今後の課題でございますけども、本県の文化芸術や民俗芸能等の魅力が広く理解されるように、今年度開催されますラグビーワールドカップ2019、そして東京オリンピック・パラリンピックを見据えて国内外に向けた情報発信をさらに強化していく必要があるというふうに認識しているところでございます。また県民が文化芸術に親しむ機会というのは今も取り組んでいるところでございますが、さらに拡充していく必要があるというふうに考えておりまして、県だけではなく、行政だけではなく、官民一体となって本県の文化芸術活動を支える推進体制を構築する必要があると考えておりまして、そういう取り組みを今後やっていきたいと考えております。
 次期計画策定に向けてですけども、国内外に向けた情報発信のさらなる強化につきましては、岩手の文化情報大辞典、ホームページを多言語化いたしますとともに、現在はフェイスブックで情報発信をしているところなんですが、来年度からはツイッター、インスタグラムも加えましてSMSの充実を図るなど、文化芸術情報のさらなる発信力の強化に取り組みます。
 また、民俗芸能等の伝統文化を保存・継承するとともに、様々な視点で注目されている漫画を活用するなど、国内外に向けて岩手らしい文化の魅力発信に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、先ほども申し上げましたとおり、本県の文化芸術活動を支える推進体制の構築につきましては、県内各地における文化芸術活動の促進と活発な活動が行われる環境の整備を図るため、文化芸術プログラム、様々な活動の企画実施、そして文化芸術団体等への活動支援、またシンクタンク機能なども併せ持つ官民連携の組織の設立といったことも検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

(千田委員)
 よろしくお願いいたします。それでは二つ目、被災地児童生徒文化芸術支援事業についてお聞きをしますが、これは被災地13市町村の児童生徒に対して文化芸術に触れる機会を提供するするなどの目的などと思いますが、30年度事業の状況とそれから来年度の見通し、さらには予算が30年度より700万円余減額されて、わずか100万円にとどまっておりまして私はちょっと驚いたったんですが、その理由についてお聞きをしたいと思います。

(中里文化振興課総括課長)
 被災地児童生徒文化芸術支援事業でございます。これは沿岸被災地の児童生徒が、内陸の美術館などの文化芸術を鑑賞する際に、バスを県の方で手配をいたしまして鑑賞していただくという事業でございます。
 今年度は沿岸の高校7校がこの事業を利用いたしまして、主に中尊寺レクイエムコンサートですとか、それから県立美術館の企画展の鑑賞に利用いたしました。参加者は全部で153名ということになっております。来年度予算が大幅に減額になったということですが、この事業は今年度で3年目を迎えるところです。事業開始当初、だいたい60台ぐらいのバスを予定をしまして、沿岸部から児童・生徒の皆さんにどんどん内陸の方に来ていただきたいと考えて事業を構築したところでございますが、28年度、29年度は事業実績としてだいたい90万円程度、今年度も50万円程度ということで、事業の学校への周知には努めておりますが、なかなか利用実績としてはそこまでにはならないということがございます。この一つの要因と言いますか、県では、また文化庁などの事業でもございますが、芸術家を学校に派遣する事業がございます。これは県内全部の学校を対象とするものと、震災復興の事業として実施しているものもございまして、内陸まで来なくとも学校で文化芸術を鑑賞できる機会を作っているということもございます。
 また学校行事とも様々あると思いますので、そんな中でもせっかく事業を作りましたので是非活用していただきたいと思いまして、昨年度は年1回の周知だけだったんですけども今年度は2回周知いたしまして、年間を通して随時受付をすると変更いたしました。来年度はさらに回数を増やして学校の方には周知いたしまして活用していただきたいと思っております。来年度の100万円という予算につきましてはこれまでの3年間の利用実績を踏まえて計上したところでございます。

(千田委員)
 今のご説明でだいたいわかりましたが、周知をしっかりして活用してもらうということもですが、必ずしも学校行事を増やすことがいいとは私も思いません。ただ、こういう支援事業があるのであれば、今まではバスの借り上げ料の支援だけだったけども、中身を変えて子供達にやっぱりいいものを見てもらう、という観点でもう少し検討して有意義に使っていただきたいと、やっぱり、特に被災地の子供達は傷ついている部分があると思うのでやはりこういう支援支援事業は、削減というものではなくて内容を充実して、なおかつ子供達にとっても先生方にとっても良い事業になるようにしていくべきじゃないかなという観点でご質問をいたしましたがどうでしょうか。

(中里文化振興課総括課長)
 このバスを用意する事業につきましては、手元に届いたばっかりなんですが、利用いただいた高校生からは、沿岸地域の生徒にとってとてもありがたい事業で是非継続をお願いしたい、というアンケートの声もいただいているところでございますので、この事業も継続しつつ、委員からご提言をいただきました、中身を工夫した取り組みについても今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

(千田委員)
 それでは先ほども関連した質問をしましたが、郷土芸能復興支援事業について質問したいと思います。先ほどもご紹介あったように、これは震災で被災した沿岸地域の郷土芸能団体に対する、市町村が補助した場合の全額、あるいは一部の負担をしているということのようであります。やっぱりこれについてはいろんな事情があってなかなか予定どおりいかなかったというのがあると思うんですが、実は内陸部でも今こういう郷土芸能団体を継続・維持することだけでも大変な状況にあるので、私はこれは市が支援したからというよりも、もっとどういう支援が必要かということも含めて、県も積極的に関わって行くべきではないかなとふうに考えましたので質問いたしておりますので、その点お聞きをしたいなと思います。

(中里文化振興課総括課長)
 民俗芸能団体の保存・継承につきましては、後継者不足ですとか、人材育成の問題ということでいろいろ言われているところでございまして、県としましてもそういった問題意識を持っているところでございます。一方で、沿岸部ではかなりの民俗芸能団体が復活を遂げて、また子供さんがどんどんその民俗芸能団体に加入をされて、衣装が間に合わなくなっているという意味で支援のこうして欲しい、というような嬉しい声も聞こえているところでございます。文化振興基金で被災地に限らず民族芸能団体の設備、衣装等ですとか、太鼓等の支援をするメニューもございますし、民間による支援ということもございますので、そういったこともどんどんPRしながら活用していただければと思っているところです。
 また、来年度早々には民俗芸能団体を担当する市町村の担当課の方々にお集まりいただきまして、問題点等を県と市町村等で共有して、これから役割分担をしながらどういったことを進めていけばいいのかということを協議する場を設けたいとなぁと考えております。そういったことで積極的に進めてまいりたいと考えております 。

(千田委員)
 今ご答弁いただいたことで私もそういう方向でいいなと思います。私自身も地元で子ども大黒舞を30数年前に立ち上げて、最初は地域の方々が生地だけは買ったけども、あとは手縫いで衣装を作りました。ただそれがだんだんそういう協力者が亡くなって、衣装代を工面するとか大変なことになるんですよね。本当に被災地を含め芸能団体を育成するということは、非常に大事ですが費用もかかるという点で、是非私はそれについては岩手県は郷土芸能団体が非常に多いと思いますので、是非これからも支援をお願いしたいなと思います。
 最後に部長に、郷土芸能、それから文化活動というか、この大事さっていうか、県民にとってもすごく生きる力を与えるというか、そういう部分で非常に大事だなというふうに思っているわけですが、担当部長として、郷土芸能やこういう活動の今後のあり方を含めてご見解をお聞きいただければなと思っております。

(菊池哲文化スポーツ部長)

 まさに郷土芸能、伝統芸能は地域の宝でございます。ちょっと話ずれるかもしれませんが、私県庁入って3年目に二戸地方振興局ができてそこに赴任しました。当時は地域活性化事業というのをいろいろ取り組みを始める時期でございまして、多分振興局で初めて一番最初だったと思いますけども、郷土芸能フェスティバル二戸を始めて、それが今も二戸地区では続いております。
 その大きな意味は、着目した意味、そしてそれが育ってきている意味は、やはり多世代にわたって地域が自分たちの宝を大事に育てて大事に継承していく、という活動が伝統芸能そのものをつなげるのはもちろん非常に大きな価値があるものですけども、地域全体の活性化につながる、そして地域の持続性につながる大事な要素だと思っておりまして、我々も限られた力の中で様々な支援策を用意しているところです。
 先ほどの説明の中の補足もしますと、国の自治振興センターとか、そういったところでも同じようにこういった支援策をいっぱい用意しておりまして、我々は県の事業だけではなくて、先ほど言いました民間の事業や、様々な団体の事業をいかに市町村のまさにかゆいところに手が届くといいますか、そういったガイドして、誘導して使っていただくような仕事も我々の大きな仕事だと思っております。そして、市町村として地域が主体となってですね、大事な宝をどう継承していくかということを考えていただく、それに対して我々はしっかりとバックアップしていくということで、今後も取り組んでいきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。