2019年3月14日 予算特別委員会
千田美津子県議の教育委員会に対する質疑(大要)


・教職員の長時間労働の解消について

(千田美津子委員)
 私は大きく分けて2点、教職員の長時間労働の解消と、それから子供達のいじめ不登校への対応についてお聞きをいたしますます。教職員の長時間労働の解消についてですが、今議会でも様々議論がありました。本当に教職員の皆さんの長時間労働の実態があまりにも酷いなということで指摘をされておりますし、私もそのように認識をしておりますが、改めて県教委ではこの現状をどう認識し、どう改善をされようとしているのかお聞きをしたいと思います。合わせて教職員の異常な働き方、忙しさは子供たちへの教育にも大きな深刻な影響があると指摘をされているわけですが、その点についてもお聞きをしたいと思います。

(永井榮一教職員課総括課長)
 教職員の働き方について2点お尋ねをいただきました。まず、現状の認識についてでございますけども、教員の長時間勤務について、本県の教職員は児童生徒に丁寧に関わりながら、質の高い授業や個に応じた学習指導にあたっているところでございます。新学習指導要領への移行や、教育改革、あるいは様々な教育課題への対応、また学校の役割の増大に伴いまして、長時間勤務の実態が常態化しているということで、負担軽減は喫緊の課題であると認識をしています。
 県教委では、昨年6月に教職員働き方改革プランを策定し、本年度から3年間を集中的な取組期間とした上で、教職員の充実感の向上や長時間勤務者の割合の削減などを目標に、教職員の負担軽減と、それから健康確保、この二つを柱に重点的な柱とした取り組みを進めているところでございます。引き続き市町村教委等との関係団体ともしっかり連携しながら、プランに基づく取り組みを着実に推進し、教職員の負担軽減を推進してまいりたいと考えているものでございます。
 それから2点目でございますけども、教育への影響という部分でのお尋ねございますけども、本年1月の中教審、中央教育審議会答申におきましては働き方改革の目指す理念について、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や、教員生活を豊かにすることができるよう、自らの人間性や創造性を高め、子供達に対して効果的な教育活動を行うことができるようになる、ということが答申に含まれていることでございます。これを踏まえ、県教委といたしましても子供達が学校教育を通じ、必要な資質や能力を身につけていくためには、教員一人一人が健全な心身を保ち、授業やその準備活動、さらには十分な自己研鑽の時間を確保し、子供たちにしっかりと向き合うことができる環境を早急に確立するこれが大変重要であると考えておるところでございます。

(千田委員)
 ご答弁のようにプランに基づいて集中的な取り組みをしていくということで、是非、今お話があったような環境づくりをしていただきたいわけですが、具体の部分で、まずそうであれば長時間労働を解消の上で業務の削減が大変大事だと思いますが、どのように検討、実施されていくお考えかお聞きいたします。

(永井教職員課総括課長)
 業務の削減見直しについてでございます。県教委ではこれまで教員の事務的業務の見直しや、少人数学級の推進、部活動休養日の設定などその負担軽減策に取り組んできたところでございます。今年度は教職員働き方改革プランの具体的な取り組みとして、昨年9月に教員等によるワーキンググループ、教員、県教委、市町村教委、関係団体を含んだ広範なグループでございますけどもこれを設置いたしまして、効率化や業務分掌の見直し、部活動の在り方などを業務改善の検討を重ねてまいりました。このワーキンググループの検討を受けまして、市町村教委とも連携しながら学校現場、それから教育委員会の双方において業務改善等を推進してまいりたいと考えているところでございます。

(千田委員)
 実際はこれからということになると思いますが、実は今日朝、テレビで岡山県の鴨方東小学校で働き方改革を進めるという点で、地域の方々との話し合いで、様々先生方がいっぱい仕事をやられているわけですけども、例えば校舎内のワックスがけとか、見守りとか、率直にこういう仕事を担ってもらうと助かると話をして、それらが時間外勤務の削減に繋がっているというテレビ報道がありました。全部見れなかったんですが、超勤の時間63時間が多分これが平均だと思いますが、44時間に減ったということがありました。私はこれからいろんな学校現場それぞれのところで、特に小中だと地域の方々に手伝ってもらってやれることもいっぱいあると思うのでね、高校になるとなかなか難しいかもしれませんが、私はこういう取り組みをどんどん広げていくことが、ひいては先生方が本当に子供に向き合える時間を増やしていくことに繋がると思うんですね。是非県教委からの働き方プランもそうですけども、ぜひ市町村それぞれ各学校単位でもっともっとそういう部分での議論をする必要があるな、と私は今朝のテレビを見て感じましたがどうでしょうか。

(高橋嘉行教育長)
 教職員の働き方改革でございますけども、これは教育を将来に向って充実していくと、そのためには重要な課題であると認識しております。それで、これまでさまざま部活動の見直しでありますとか、外部人材の活用でありますとか、それから業務改善等々、少人数学級の導入もそうですが、これまで様々取り組んでおりますけども、現実的に様々な学校が行うべき業務が増大してきている中で、教員の働き方というのは極めて時間外労働が多いという実態にあるのはそのとおりであります。これを改善していくためには、一つのことだけではなくて、様々なことに取り組んでいくということが重要でございますし、それから地域の皆様方の理解・協力ということもこれは重要なことだというように思っております。これは学校が大変だから地域の皆さんお願いしますという一方的なことではなくて、学校と地域のウインウインの関係を築いていくという関係性を構築していくということが大事だと思っておりまして、ただいまいただいたお話等も含めまして、市町村教委と含めてしっかりと働き方改革が定着するようにやっていかなければならないなと思いを致したところであります。また努力していきたいと思います。

(千田委員)
 今、私が話したのはごく一部のことであって、教育長がお話をされた多面的な部分からの改革が必要だというのはそのとおりです。ただ、こういうことも私はすごいなと思いましたし、今、地域の学校のあり方は住民にとっても大きな関心になっております。この鴨方東小のブログでは通いたい学校、通わせたい学校、協力したくなる学校とあるようで、やはりそういう学校になっていくといろんな地域の見方も変わってくるので、私は必要な観点かなというふうに思いましたので、是非ご検討いただきたいなと思います。それで、私は学校現場で非正規職員の皆さんが多数働いていらっしゃるわけでありますが、私はこういう方々を是非正規雇用にしていかなければ働き方改革に本当の意味でならないんじゃないかなとふうに思っています。そしてこれは当事者もそうですけども、授業を受ける子どもたちの教育にとっても重要なことではないかなと考えるわけですが、その点お聞きをしたいと思います。

(永井教職員課総括課長)
 講師・非常勤講師等についての働き方という部分でのお尋ねでございますけども、学校教育の推進にあたりましては、いわゆる正規採用の教職員とともに、委員からご案内がありましたような常勤講師あるいは非常勤講師として任用している、いわゆる非正規の教員の方々にもこれは非常に重要な役割を担っていただいているところでございますが、少子化による学級数の変動等見通した教員定数等の減少や、産・育休の代替で入ると言う事情がございますので、一定数の非正規教員の任用は必要としている現状にございます。こうした講師の方々の中には非常に優秀な方も大ございますし、教員採用試験の勉強しながら職務にあたっている方も非常に多いということでございます。こういった状況も勘案し、本県におきましては平成27年度実施の教員採用試験から、いわゆる県内で一定期間の講師経験こういった経験のある方の特別選考の試験を実施してございます。また、各学校では講師の方々の勤務時間が一定の配慮、軽減でありますとか、採用試験に向けたいろんな指導・支援も行っていると聞いてございますので、近年ではこういう講師の経験者の合格率も高まってきております。今後、児童生徒数が減少していくとか、あるいは学校統廃合によりまして、教員定数が減っていくということなどですとか、再任用者の増加というような状況もございまして、こういった教員需要などとも加味して考える必要がございますので、これらのことを総合的に勘案しながら、いわゆる非正規教員の任用のあり方について引き続き検討してまいりたいと考えているところですございます。

(千田委員)
 もう一点、授業数についてお聞きをしたいと思いますけども、週5日制になった時点で、本来であれば授業数が同じなら教員を2割増やす必要があったというふうに思いますが、国は定数増無しに5日制に移行したわけです。授業総数は7%しか削らなかったということでありまして、もともとの原因はここに私はあったと思いますが、この現状を踏まえてその点どのようにお考えかお聞きをいたします。

(荒川享司小中学校人事課長) 
 週5日制の導入に伴う授業数と教員定数についてでございますが、教職員の定数は標準法により学級数をもとに算定をされております。平成14年の学校週5日制の実施に伴い、教育内容が厳選され授業総時数も削減されましたが、それに伴う定数改善は行われていないものであります。一方、国では加配定数の拡充により教員定数の改善を推進しており、本県においても学校週5日制の導入以前より、現在の加配定数は400程度増加しており、この加配定数を振り替えて35人学級を段階的に拡充するとするなど、児童生徒に寄り添う時間の確保や、個に応じた指導の充実に努めてまいりました。しかしながら新学習指導要領の本格実施に伴い、小学校では外国語の教科化等による授業時数の増加により、教職員の持ち時間数は増加してくることから、これに対応するには抜本的な定数改善計画が不可欠と考えておりますので、これまでも国に対して強く要望してきたところでありますが、今後も継続して要望してまいりたいと思います。

・部活動指導員の配置状況について

(千田委員)
 それでは部活動指導員の今年度の配置状況と、来年度配置見込みについてお聞きをいたします。

(荒木田光孝保健体育課総括課長)
 部活動の今年度の配置状況と来年度の見込みでございますけども、本年度の配置状況につきましては中学校が14名、高校が27名となっているところでございます。部活動指導員を配置したことによりまして、担当教員の休業日が確保しやすくなったことなどに伴う、勤務負担の軽減や専門的な指導の充実に伴う生徒の競技力の向上などが図られたところでございます。平成30年度当初予算におきましては、中学校に58名、高校に31名の配置に係る予算を計上したところでございますが、今申し上げました実績に止まっている理由としましては、地域によっては指導者の確保が困難な状況であること、また事業導入初年度であることから、各学校の一部の部活動のみ任用が限定されたことなどによるものと考えております。従いまして、一層の人材確保に向けた具体的な取組及び指導指導員の積極活用に向けた、学校への周知が主な課題であると認識しているところでございます。
 来年度におきましては、一層の人材確保に向けまして、競技団体等の連携のもとに県の広域スポーツセンターが設置します、リーダーバンクの活用等により配置を促進していくこととしており、各学校における部活動指導員の積極活用に向け中学校については市町村説明会等を実施するとともに、高校については学校長会議等においてその趣旨の周知を図ることとしておるところでございます。このような取り組みによりまして、中学校については県内全学校に1名ずつ158名に配置を拡大するとともに、高校には今年度同様31名を配置することとして、諸経費を来年度当初予算案に計上しているところであります。

(千田委員)
 いろいろな事情があって30年度は目標どおりいかなかった部分があるけども、新年度、特に中学校が158名配置をされるということで、本当に努力をされたなというふうに思っております。ただ、文科省の配置基準はもっと低かったように思いますけども、これは県独自でこのように拡大するという方針である、ということを確認したいと思いますがどうでしょうか。

(荒木田保健体育課総括課長)
 この国の動向も、先進的に働き方改革に取り組む中学校に対しては1名ずつ配置するというような予算計上をしておりますので、県におきましても、各学校に1名ずつ配置するというところで取り組みをしていきていきたい、というふうに考えているところでございます。

(千田委員)
 それでは高校等さらに増やしていくように、ぜひ相手方のこともあると思いますのでよろしくお願いをいたします。それで教職員の長時間労働の最後に、この間の人事委員会の予算審査の中で、人事委員会が掌握している県立学校の超過勤務の状況が100時間越えの方が668人いらっしゃるという答弁でございました。そして、次のところが大事なんですが、しかもその668人の内産業医の指導を受けている人が全くいないと、ゼロだという話がありました。これは確認をしたいなと思います。

(永井教職員課総括課長)
 いわゆる長時間勤務者に対する健康確保という、中でも産業医への受診ということでございますが、今年度から教育委員会におきましては、時間外勤務が月80時間を超える場合、あるいは100時間を超える場合、もしくは複数月の平均で80時間を超える場合については、所属長がその状況を本人に対して伝えた上で、産業医等の医師の受診指導を行う取り組みを今年度から初めてございます。これに対して、最終的には受けた教員が自分の体調を勘案して今落ち着いてるという場合もございますので、強制という形ではございません。所属長と本人の状況の共有と話し合いを受けてるということになりますけども、これを踏まえた、今年度4月から12月までの受診の状況でございますけども、本人の申し出が12件ございまして、今年度に入って4月からの数字でございますけども、12件の申し出があって、その12件すべてが産業医等で受診を行っているとそういう状況にございます。

(千田委員)
 先ほど、私は人事委員会の調査で100時間越えが668人と言いました。この数はあってますか。4月から12月までの申し出が12件ということで、ただこれが80時間越えということでですね。やはりもう少しきめ細かに、先ほど臼澤委員の質問の中にも精神疾患で退職された方々もいらっしゃるということですので、是非、あの、そういう状況にならないうちに、産業医に相談できる体制を是非とっていただきたいなと、それで申し出がなければ相談できないということなんですか。気軽に相談するという状況にないんですか。

(永井教職員課総括課長)
 申し出と申し上げましたのは、あくまで時間外勤務の状況を各所属長が把握をした上で、本人に対してあなたの勤務時間はこうだよということを伝えた上で体調を確認し、その結果を踏まえた上で、産業医の受診をするかどうかということについて、相談をした上で本人からそれでは産業医の受診の手続きをしてくださいという申し出が12件あったとということでこういうことでございます。

(千田委員)
 私はもっと気軽に相談できる状況が必要だと思いますが、いずれ検討していただきたいなと思います。やっぱり職員の皆さんが健康で働き続けられる、そういう状況を作っていく上でも、そういう方々との相談ができる、気軽にできるという状況は非常に大事ですので是非そこは改善をお願いしたいなと思います。

(永井教職員課総括課長)
 委員ご指摘のように、先ほど冒頭の臼澤委員のご質問でも健康管理が大事だということでご質問を頂戴いたしました。いずれ県教委としましては、職員の健康管理、これは働き方改革プランの中でも大きな柱でございますので、いわゆる保健指導の体制については、県教委に置いてあります保健師がおりますのでいつでも相談を受けれるような体制にしてございます。
 また沿岸においては、沿岸南部の事務所に被災地支援を兼ねまして、被災地域で勤務する教職員に相談を受けやすいように、臨時の保健師を配置してございます。またメンタルヘルスについては、申出書を踏まえて月一遍、時間を取って専門医と相談できるような体制を今年度から拡充いたしまして、職員の心と体の健康対策、気軽に相談できるような体制の準備に努めているところでございます。

・いじめ・不登校への対応について
 
(千田委員)
 次にいじめ・不登校への対応についてお聞きをいたします。いじめの認知件数と重大事態など対応の状況について、そして28年度に比べてどういう状況にあるのか、それから合わせて24時間いじめ相談ダイヤルの実施状況と対応策について、これも28年度に比べてどういう状況にあるかお聞きいたします。

(橋場中士生徒指導課長)
 まず、はじめにいじめの認知件数と重大事態への対応の状況についてでございますが、国の調査によりますと、28年度における県内公立学校のいじめの認知件数は5750件でありました。29年度は6653件と903件増加をしております。
 また、いじめの重大事態につきましては、28年度は19件、29年度は1件という状況でございました。いじめはどの子供にも、どの学校でも起こり得るという前提のもと、初期段階のいじめも積極的に認知することは、いじめ対応の第一歩であり、学校が機能する大前提であることから、いじめ事案が深刻化する前に適切に対処してきた結果であると捉えているところでございます。
 また、平成28年度及び29年度に発生した県立学校の重大事態については全て解消し、市町村立学校についても概ね解消しております。今後におきましても、総合教育センターで実施をいたします、管理職や一般教員それぞれの職を対象とした研修や、教育事務所毎に行なっております専門研修の充実を図っていくと共に、各学校のいじめ防止基本方針に基づき、教師がいじめの問題を決して一人で抱え込むことなく、いじめの未然防止に向けた取り組みの積極的な認知、適切な対処等を組織的に行っていくよう、その取り組みを支援してまいります。
 続きまして、24時間いじめ相談ダイヤルの実施状況と対応策についてでございます。平成28年度及び29年度相談件数は、それぞれ244件、288件であり44件増加をしております。相談者は本人及び保護者が中心であり、全体の90%を占めております。 相談内容によりましては、至急対応が必要な場合もあります事から、氏名等を話していただき、相談者の了解を得た場合には、県教委が当該校へ情報提供をするなど、適切な対応が図られるようにしております。また、毎年相談窓口を記載した携行できる名刺サイズのカードを約15万枚作成し、県内の全児童・生徒に配布するなど、児童・生徒が困った時にいつでも相談できる窓口があることを周知してきておりますが、加えて現在新たに生命尊重のポスターを作成し、そのポスター内に24時間いじめ相談ダイヤルの番号も掲載をしているところでございます。今後もこのポスターを各学校の全教室に掲示することとしておりますので、24時間いじめ相談ダイヤルの周知について、一層の取り組みを推進してまいりたいと思います。

(千田委員)
 不登校の実態について、28年度に比べてどういう状況にあるのかお知らせを頂きたいと思います。

(橋場生徒指導課長)
 不登校の実態についてでございます。29年度の国の調査において県内公立学校の不登校の児童生徒数は小学校201人、中学校843人、高等学校359人、合計1403人であり、前年度比33人減少となっております。不登校については、一人一人その要因や背景が多様、複雑であるなど様々であり、一律的に解決策を見出していくことは難しい面もございますが、各学校に対しまして、保護者や関係機関等の協力をいただきながら、子どもたち一人ひとりに寄り添い、共感的な理解と受容の姿勢を持つなどして、丁寧に対応をお願いしているところでございます。