2019年3月15日 予算特別委員会
千田美津子県議の農林水産部に対する質疑(大要)


・荒廃農地への対応について

(千田美津子委員)
 私は3点質問をいたします。一つは荒廃農地への対応についてお聞きをいたします。国の交付金事業の中に荒廃農地の利活用促進交付金がありますけども、岩手県での活用実績はどうか、それからこの交付金が30年度で廃止されるということでありますけども、この事業が今後どのように引き継がれていくのか、その見通しについてもお聞きをいたします。

(藤代克彦農業振興課総括課長)
 荒廃農地等利活用促進交付金の実績についてでございます。この交付金につきましては、荒廃農地の再生による営農再開を目的に、平成29年度に国において創設された事業でございますけども、本県では活用実績がないところございます。
 なお、本県においては、平成21年度に農業団体と組織いたします、岩手県農業再生協議会に、国予算を活用いたしました、耕作放棄地再生のための基金これを造成してございまして、この基金を活用しながら、地域における荒廃農地の発生防止ですとか、再生利用の取り組みを支援してきておりまして、この10年間で270ヘクタールの荒廃農地の再生を行ってきたところでございます。
 また、先ほど委員からご指摘がありました、交付金の廃止後の対応についてでございます。この交付金につきましては、本年度で廃止され、またですね、先ほど答弁申し上げました本県が、活用してきた基金事業も本年度で終了するという状況でございます。県といたしましては平成31年度以降の荒廃農地の再生利用に向けた新たな支援策等を措置するよう、これまで国の方に要望してきたところございます。
 県といたしましては、31年度につきましては暫定的な措置として、中山間地域直接支払などの日本型直接支払制度ですとか、農地耕作条件改善事業こういったようなものを活用しながら、農地の維持ですとか、耕作放棄地の解消等の取組を推進していくこととしておりまして、国に対しては引き続き、荒廃農地の再生利用に向けた新たな支援策について、措置するよう強く求めていきたいというふうに考えているところでございます。

(千田委員)
 岩手県では、平成21年からの基金を活用した事業をずっとやられてきて、10年間で270ヘクタールという実績だとうかがいました。そうしますと10年間で割りますと平均で27ヘクタールということでありますけども、最近の部分でよろしいですので、そうしますと今の交付金事業、年間どのぐらいの整備というか実績になるのか、わかれば教えていただきたいと思います。合わせて、県内の荒廃農地全体の全体でありますけども、どれくらいになるのかですね、それについても分かる範囲内でお聞きをしたいと思います。

(藤代農業振興課総括課長)
 まず、県内の荒廃農地全体の面積についてでございます。平成29年度の値が最新値ということになりますけども、平成29年度で5,158ヘクタールということで、平成25年が5,900ヘクタールほどになりますので、約800ヘクタールほど25年に比べれば減という状況になっております。ちなみに荒廃農地の5,000ヘクタールの内、再生可能な部分については約3,200ヘクタールという区分になるものでございますが、そういった面積になっているものでございます。
 また、耕作放棄地再生利用の基金を活用した取り組みですけども、年によって変動があるんですが、県内34の協議会というものを設けてございまして、その中で大体年間ですね10ないし15くらいの協議会が活動を行って頂いてるんですが、予算額とすればだいたい3千万円ぐらいの予算で取り組みを頂いてございまして、大体15ヘクタールくらいからここ最近ですと平成27年ですと27ヘクタール、平成28年ですと25ヘクタール、平成29年ですと14ヘクタールというような再生の実績というふうになっているものでございます。

(千田委員)
 県内の荒廃農地は、様々な基金事業等の活用によって25年の5,900ヘクタールから5,158ヘクタールに減ってるということで、ただ再生可能な面積が3,200ヘクタールあるということであります。31年以降については県として暫定的に先ほどご紹介あったような中山間の事業とか様々使って対応する予定ということでありましたけども、今の時点では国の方向はまだ決まっていないということで、ちょっと確認をしたいと思います。

(藤代農業振興課総括課長)
 現時点では先ほど申し上げましたとおり、委員ご指摘の荒廃農地等利活用促進交付金、 あるいは本県が使っていた基金事業、これに変わるような新たな事業の措置というものについては国の方から情報は来ていないというところですございます。

(千田委員)
 荒廃農地を少なくして、できるだけ耕作放棄地をなくして利活用できるようにという事業は本当に有効だったと思うんですね。それで、耕作放棄地等が増えると景観上も、それから環境面、衛生面からも他に及ぼす影響が非常に大きいわけです。ですから、この荒廃農地、あるいは耕作放棄地をなくして減らしていくという取り組みは本当に必要だというふうに思います。それはそれとして国にこれからも強く要望していただきたいわけでありますけども、そうしますとこの間の基金を使った事業における実績について私は大きいものがあったろうと思いますが、これまでの耕作放棄地を再生してきた事業の意義についてどのように評価をし、認識をされているでしょうか、改めてお聞きをしたいと思います。

(藤代農業振興課総括課長)
 本県、中山間地域が大体8割ということで大変おおございます。また、農業者の方も高齢化が進んでいるという形の中で、やはりなるべく耕作放棄地を出さずに、良好な状態で農地を次世代に引き継いでいくという取り組みが重要だというふうに考えてございます。こういった耕作放棄地を出さないようにというのは、先ほど申し上げました、日本型直接支払制度ですとか様々な制度を活用しながら発生防止ですとか、再生へいくようにという形で取り組んでいるところでございますが、特に今回の基金事業、あるいは交付金につきましては、荒廃農地に光を当てて、それを再生するというような形で取り組むことができるというふうに特化した事業でございましたので、いろんな事業で取り組めることは可能なんですが、生産者の方に意識を持って取り組んでいただく意味においても、耕作放棄地の解消と言いますか、そういったようなものに事業というようなものはこれまでも有効に作用してましたし、引き続きそういうことに取り組んでいきたいと考えているものでございます。

・中山間地域総合整備事業について

(千田委員)
 そういった意味で、これからも引き続き頑張っていっていただきたいわけですが、根本の問題は農政の問題ですよね。なぜ、耕作放棄地が増えていくのか、そして荒廃農地が増えているのかとという部分で言えば、農業になかなか若い方々が就業できない、そういう構造的な面、そして農政の根本の問題が解決されないとこういうことになると思いますが、そういう中でも頑張ってきたこの事業が廃止をされ、また来年度から見通しがないということは大変なことだと思います。いずれ引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
 二つ目、中山間地域総合整備事業についてお聞きをしたいと思います。ここ数年間のこの事業の事業実績、それから来年度の事業内容と今後の事業見込みについてお聞きをしたいのと、来年度予算が減額されておりますけども、その理由についてお聞きをしたいと思います。

(伊藤啓治農村建設課総括課長)
 中山間地域総合整備事業について、この数年の事業実績についてでございますが、平成28年度から平成30年の3カ年において、奥州市愛宕地区ほか9地区で、事業費50億9000万円余で、区画括整理142ヘクタール、暗渠排水41ヘクタール、用排水路整備224ヘクタール、営農飲雑水用水路施設を実施しているところでございます。
 本事業によりほ場の区画の拡大や、農業用用水路のパイプライン化など、基盤整備による農作業の効率化やコスト低減とともに、営農飲雑用水や集落道の整備による生活環境の改善が図られているところでございます。
 次に平成31年度の事業の内容と、今後の事業の見込みでございますが平成31年度は7地区で、平成30年度国の補正予算1億5000万円を合わせた予算額13億8000万円により区画整理22ヘクタール、用水路整備41ヘクタールの整備を予定しているところでございます。
 これらの地区の平成30年度末の平均の進捗率は、事業費ベースで60%となっており、今後も早期の効果発現に向け、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また平成31年度は30年度に比べまして予算が減したということでございますが、これは平成30年度に震災復興地区の主要工事が完了したことに伴い減になったものでございます。

(千田委員)
 減額理由については震災復興関係で主要工事が完了したということでわかりました。来年度は7地区で進捗率が60%ということで、これからも続くわけでありますけども、やはりこれに期待している方々が非常に多いわけですので、今後の事業費の確保の見通しについてどのような所感を持っておられるかお聞きをしたいと思っております

(伊藤農村建設課総括課長)
 中山間地域総合整備事業の主たる財源は農山漁村地域整備交付金ということで、なかなか国費を獲得しにくい財源でございまして、平成30年におきましても、平成29年度の割り当てに対しても80%ということになっているとということで、かなり厳しいものになっております。しかし、やはり今回平成30年度には国補正予算ということで、今までなかなかつかなかったその交付金についても補正が組まれたということで1億5000万ほど頂いたわけでございますけども、そういった予算の獲得については今までどおり努めていく他に、そういった時を踏まえまして事業の方を進めてまいりたいと考えております。

・いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業について

(千田委員) 
 3点目です。いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業についてお聞きをしたいと思います。県は県産農林水産物について6次産業化を推進し、高付加価値化を図るとともにブランド化の推進、あるいは輸出の促進に向けたプロモーションの展開、生産者等による多様な直売機会の創出等への支援などに取り組んでおられると思います。 
 それでこれまでの事業実績について、それから来年度の事業見込みについてお聞きをします。

(高橋浩進流通課総括課長)
 いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業の実績と来年度の計画というご質問でございますが、この事業を活用いたしまして県が設置をする「いわて岩手6次産業化支援センター」におきまして、商品開発や販路開拓などの専門家を6次産業化プランナーに委嘱をしております。そうしたプランナーを通じて、生産者と加工事業者等が連携した商品開発の支援でありますとか、生産者と他の事業者等との交流や商談の機会の提供、そして6次産業化に取り組む生産者の計画づくり、国の交付金を活用した施設等の整備の支援などに取り組んでいるところでございます。
 本年度につきましてはついては、6次産業化プランナーをのべ44回派遣をしております他、生産者と加工・小売事業者とマッチングするための交流会を10回開催しているところでございます。
 また、商品開発の事例でございますが、例えば岩手町の事業者による県産食材を活用した「いわて冷麺餃子」でありますとか、花巻市内の温泉宿、生産者そして加工事業者との連携による「しいたけと白金豚の鍋ぎょうざ」といったような商品の開発・取り組みを支援しているところでございますしたところでございます。
 来年度の事業計画ということでございますが、この6次産業化の取り組みを今後促進していくにあたりましては、地域の関係者が一体となった地域ぐるみでの商品開発、販路開拓、そして品質やおいしさ等の積極的な情報発信による商品のブランド力の向上などに取り組むことが重要であると考えております。
 こうした観点から、来年度も引き続き、生産者と加工事業者等が連携した商品開発の取り組みを支援するとともに、県内の量販店等との商談会の開催などによりその販路開拓を積極的に支援してまいりたいと考えております。

(千田委員)
 今いろいろご紹介をいただきましたし、その成果として具体的な岩手町の冷麺餃子ですとか様々ご紹介いただいて、本当に素晴らしいことだなというふうに思います。
 様々付加価値をつける、そしていろんな業種の違う方々でコラボして本当にいいものを発掘していく、そして販売を拡大していくという部分は非常に有効な事業だというふうに思っています。
 それで一つ最近、例えば高校生が中に入っていろいろアイデアを出すとか、そういう活動も地域では色々出てきているわけですが、そういう若い方々をターゲットにしたというかそういう取り組みのようなものはないでしょうか。

(高橋流通課総括課長)
 県内の高等学校あるいは専門学校で食品の関係の勉強を通じて、様々な商品開発に取り組まれているという事例は承知をしてございます。県といたしましても、これまでそうした高校でありますとか、専門学校・調理師学校のような、そういった学校と連携をして商品の開発でありますとか、あるいは昨年になりますが、果実を活用したフェアにもご協力を頂くなど連携を図っているところでございます。次世代のそういった人材育成のためにも、そういった取り組みが非常に重要だと思っておりますので、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。