2019年3月25日 2月定例県議会最終本会議
千田美津子県議の請願不採択に対する反対討論
日本共産党の千田美津子です。
私は、請願陳情第83号、第87号、及び請願陳情第88号について、それぞれ委員長報告に反対の立場で討論いたします。
・「2019年10月からの消費税10%中止を求める請願」の不採択について
まず、請願陳情第83号「2019年10月からの消費税10%中止を求める請願」でありますが、私は総務委員会で不採択とした事に反対いたします。
内閣府が今月7日発表した1月の景気動向指数は3ヶ月連続で悪化し、さらに政府が今月20日に発表した月例経済報告では、景気全体の判断を3年ぶりに下方修正し、政府自身が景気悪化の可能性を認めました。いま、国内景気、特にも家計消費が冷え込み、実質賃金もマイナスであることに加え、中国・EU・米国と世界の景気が減速状態になっているもとで、消費税増税の方針は八方ふさがりの状態にあります。ここで増税を強行する事は、まさに日本経済にとって自殺行為であり、民間のエコノミストも「今回は8%に引き上げられた2014年以上に景気低迷が長期化する」と警告しています。今、最大の争点は、消費税に賛成の人も反対の人も含め、今の経済情勢のもとで「増税を強行して良いのか!」が問われているのであります。
また、岩手県内の中小企業の58%が赤字のもとで、特にも復興途上で苦しんでいる県内中小企業に及ぼす影響は多大であると言わなければなりません。
今議会の予算審議の中で明らかになりました、県立病院の消費税負担額ですが、これまでに606億円の消費税負担のうち、診療報酬で補てんされる340億円を除く約266億円を医療局と県が負担しているということであり、大変な県民負担の実態が明らかになりました。また、首相は、「消費税で頂いたものをすべて返す」と言い、増税対策として9ヶ月で終わるポイント還元などを打ち出しましたが、これらは中小業者にとって、「カード会社に支払う負担がとても重くて商売を続けられない!」と言う声が圧倒的であり、消費喚起策どころか様々な弊害をもたらすものと言わなければなりません。
このような中で、共同通信の世論調査でも「消費税10%に反対」が54.4%、「景気回復を実感していない」が84.5%となっています。このまま増税が実施されれば、地域経済をさらに疲弊させ、中小業者の営業を脅かし、雇用不安を招くなど国民生活への影響は計り知れないものがあると言わなければなりません。また、消費税増税は今年10月からの保育の無償化の論拠とされていますが、給食費の負担が発生することや、待機児童が多い0歳児から2歳児が無償化の対象外となっていることなど、不十分な内容であるとともに、こうした財源は消費税に頼るべきではありません。
必要な財源は、大儲けしている大企業と富裕層にこそ増税すべきであります。まず手をつけるべきは、大企業への優遇税制であり、中小企業並みの課税をすることで約4兆円が生まれます。もうひとつは、大株主などに優遇されている不公平税制、これを諸外国並みに課税するだけで1.2兆円、合計で5.2兆円が確保でき、10%の増税中止の財源が今すぐにでも生まれます。
このような観点からも、被災地である岩手県議会として、この請願を採択し、さらに国に意見書を上げるよう、ご賛同をよろしくお願いいたします。
よって、請願陳情第83号の総務委員会での不採択に反対いたします。
・「看護師の全国を適用地域とした特定最低賃金の新設を求める請願」の不採択について
次に、請願陳情第87号「看護師の全国を適用地域とした特定最低賃金の新設を求める請願」でありますが、環境福祉委員会で不採択とした事に反対いたします。
この請願は、全国を適用範囲とした看護師の特定最低賃金の新設を国に求める請願でありますが、請願の提出者である岩手県医療労働組合連合会が実施した「2017年看護職員の労働実態調査」では、慢性疲労が8割、健康不安が約7割、3人に1人が切迫流産で、流産も1割に達するなど、人手不足のなかで、過酷な勤務実態が浮き彫りとなっています。また、仕事を辞めたいと感じながら働いている人は81%に達し、その理由は、「人手不足の中で仕事がきつい」が第1位となっています。これらはいずれも全国調査の結果よりも高く、本県の看護現場の深刻な労働実態が改めて浮き彫りになりました。全産業平均よりも2万円も低い看護師の賃金水準の原因には、同じ資格を持ちながら、働く地域によって給与体系なども大きく違い、それによって地域間格差が出ており、さらにはそれに起因して看護師の賃金水準が上がらず、看護師の地域偏在と離職者増を引き起こしています。
以上の事から、医療施設の安全・安心な職員体制や医療・看護職場に働くみなさんの処遇の確保および特定最低賃金の導入は急務であり、国の責任で行われるべきと考えます。
よって、請願陳情第87号の不採択に反対いたします。
・「介護従事者の全国を適用地域とした特定最低賃金の新設を求める請願」の不採択について
次に、請願陳情第88号「介護従事者の全国を適用地域とした特定最低賃金の新設を求める請願」でありますが、環境福祉委員会で不採択とした事に反対するものです。
高齢化が進み、介護従事者の人材確保策は喫緊の課題となっています。しかしながら、全国労働組合総連合が実施した労働者アンケートでは、介護施設で働く労働者の賃金は、全産業労働者の賃金よりも約10万円も低くなっており、介護の仕事を辞めたいと考えた事がある人は57.3%にも達し、その理由として「賃金が安い」44.7%、「仕事が忙しすぎる」36.9%等となっており、充分なサービスが出来ていないが回答者の4割、その理由として「人員が少なく業務の過密」が約8割となっています。また、保健福祉部から頂いた資料によれば、県内介護職員の人員不足感は、平成26年度の57.9%から平成29年度は68.6%と実に10.7%も高くなっており、全国の7.3%増に比べても岩手の人材不足の実態がより深刻であることを示しております。また、岩手県の介護職員の賃金については、全産業に比べて約7万円、全国に比べて4万円も低いと言うことが判明しています。このように、介護職員の低賃金、過重労働の実態は改善されておらず、これが人員不足を深刻化させ、利用者の安全と介護の質にも影響を及ぼしかねません。これら介護従事者の賃金の底上げを図り、安全・安心の介護体制を確保するためには、今こそ全国を適用対象とした介護従事者の特定最低賃金の新設は急務であり、そのためには国の責任でこの制度の新設が必要であります。よって、請願陳情第88号の不採択には反対をいたします。
以上でありますが、何とぞご賛同賜りますようお願いし、反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。