2019年7月3日 6月定例県議会最終本会議
消費税増税関連の議案と請願不採択に対する反対討論
・消費税増税を前提とした手数料引き上げの条例について
日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党県議団を代表して議案第9号、第10号、第13号と請願陳情96号の不採択に反対の討論を行います。
議案第9号、岩手県手数料条例の一部を改正する条例、第10号、岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例、第13号、建築士法施行条例の一部を改正する条例は、10月からの消費税10%増税を前提とした手数料の引き上げ条例であり反対するものであります。
2014年4月の消費税8%増税以来、国民の消費は1世帯当たり年間25万円、労働者の実質賃金は10万円も減少しました。政府が発表する景気動向指数でも2か月連続で景気の悪化が指摘されています。さらに、米中貿易戦争が激化する中で輸出も輸入も減少するという異常な事態となっています。G20の首脳宣言では、「世界経済のリスクは依然として下方に傾いている」と認めています。安倍首相の側近である萩生田幹事長代行は、「景気が悪化する中で、みんなをがけに連れていくわけにはいかない」「6月の日銀短観の結果次第では消費税増税の延期もあり得る」と発言していました。7月1日発表の日銀短観は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業で前回3月調査から5ポイント下落し、2四半期連続の景気悪化となりました。中小企業の製造業は7ポイント下落の−1となりました。
国内経済が悪化し、世界経済のリスクが高まっている中で、消費税の10%増税を10月から強行することは無謀であり、国民の暮らしにも経済にも破滅的な影響を与えるものであり、中止すべきです。安倍政権が中止しないとすれば、来るべき参院選で国民の審判を下し中止に追い込むべきであります。
・減らない年金制度の実現を求める請願の不採択について
請願陳情96号は、「減らない年金制度の実現を求める請願」です。この請願を不採択とすることは、年金2000万円問題で不安を広げる国民・県民に背を向けるものといわなければなりません。
7月1日付の読売新聞の世論調査では、「国の年金制度に不安を感じる」と答えたのが83%に及んでいます。「麻生大臣が金融庁の報告書を受け取らなかったことは適切ではなかった」が72%でした。6月24日付朝日新聞の世論調査では、「安倍政権の年金制度改革への取り組みは十分でなかった」と答えたのが72%に及んでいます。
昨日、厚生労働省が公表した国民生活基礎調査結果では、「生活が苦しい」と答えたのが57.7%、「年金・恩給だけで生活している高齢者世帯」は51.1%でありました。
年金2000万円問題が明らかにしたことは、65歳の夫と妻60歳の退職したご夫婦のモデルケースで、年金収入が月20万9千円、生活費が26万4千円かかり、月5万5千円の赤字となる、いまの年金だけでは老後の資金が2000万円不足するということです。
さらに深刻なことは、マクロ経済スライドによって、年金給付は減り続けるということです。安倍首相はマクロ経済スライドを廃止すれば7兆円の財源が必要になることを明らかにしました。基礎年金の給付額が現在の25兆円から2040年には18兆円に削減されることになります。月6万5千円の基礎年金が4万5千円まで削減されることになります。41歳以下の若い世代の夫婦は現在の高齢者より1600万円も年金給付が削減されることになります。
実際に、安倍政権の7年間で、物価は5.3%上昇し、年金は0.8%減少しました。実質6.1%の削減となっています。日本共産党県議団が行った市民アンケートには、「年金が1万円、2万円減少した」との切実な声が多数寄せられています。
今でも年金だけでは生活できない貧しい年金が、さらに削減されるマクロ経済スライドは廃止し、減らない年金制度にすることは、国民の切実な要求であり、国政に課せられた最も切実な課題です。
日本共産党は減らない年金制度を実現する具体的な対案を示しています。マクロ経済スライドで削減される7兆円について、3つの政策で解決します。第一は、高額所得者の年金保険料の上限を1000万円から健康保険並みの2000万円に引き上げることで1兆円の保険料収入を増やすことができます。第二は、現在積み立てられている約200兆円の年金積立金をさらに増やし、株に投資するのではなく、計画的に取り崩し活用することです。第三に、現在38%を占める非正規労働者の正社員化を図り賃金を引きあげることで厚生年金加入者と保険料収入を増やすことです。こうした対策で「減らない年金制度」にするとともに、月6万5千円以下の低年金者には年6万円を、消費税に頼ることなく一律に支給し底上げを図ることを提案しています。
安心して老後が生活できる年金制度の実現は、国民の最も切実な要求であり、政治が解決を求められている課題です。「減らない年金制度の実現を求める請願」を不採択とすることは、減り続ける年金を容認し、国民の切実な要求にも不安にも背を向けるものといわなければなりません。年金問題は、参院選挙の最大の争点ともなっており、各党会派・議員の態度は厳しく問われるものです。
「減らない年金制度の実現を求める請願」の採択を強く求めて日本共産党を代表しての討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。