2019年7月3日 6月定例県議会最終本会議
「減らない年金制度の実現を求める請願」の不採択に対する質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。環境福祉常任委員長の報告に対し質問します。
報告では、請願陳情96号、「減らない年金制度の実現を求める請願」が不採択となったとのことでした。年金2000万円問題で多くの国民の不安と怒りが広がっています。個々には、年金だけでは老後生活ができないという深刻な実態が明らかになったことがあります。また、安倍政権が年金2000万円問題の深刻な実態を指摘した金融庁審議会の報告を受け取らなかったことに対して、不都合な真実を隠そうとする安倍政権の態度にさらに怒りを広げる結果となりました。
この間の国会の審議で、今でも貧困な年金が、マクロ経済スライドによってさらに減らされるという問題も明らかとなりました。今の高齢者世代より、若い世代のほうが、年金給付額は減らされます。将来年金がもらえるのかどうか、若者の不安がさらに広がっています。こうした中で、減らない年金制度を実現することは、まさに国政と各政党に課せられた課題ではないでしょうか。
「減らない年金制度の実現を求める請願」が不採択となったことは、貧困な年金をさらに減額し貧困にすることを容認するものといわなければなりません。この請願がどのように審議され、不採択となった具体的理由は何でしょうか。
【神ア環境福祉委員長】
審査において、執行部から参考説明を求め、質疑・意見交換を行った後、採決を行った。
審査の過程においては、委員から「今の年金制度を将来にわたって確実なものとし、給付と負担のバランス、持続可能性を維持していく上で、マクロ経済スライドは必要不可欠なものである。請願には、最低保障年金制度の創設、マクロ経済スライドの中止との文言があるが、仮にマクロ経済スライドを廃止して、将来の受給者への給付を減らさないためには、新たに約7兆円の財源が必要との分析もあり、国民に新たな負担を求めることになる」「請願事項の中にある、無年金者・低年金者について、現在生活保護等の制度がある中で、そこまで含めると、社会保障制度全体の見直しにもつながる趣旨となってしまうことから、不採択とすべき」との意見。「金融庁の試算では、不足額が1300〜2000万円、経済産業省の試算ではさらに増えて2500〜2600万円とされ、さらに40歳以下の方々には3000万円以上の不足になるという話もあり、減らない年金制度をつくっていくシステムは必要であり、必要な財源については、大企業に対して中小企業並の課税をすることにより、消費税増税によらず十分に確保できることから、採択すべき」との意見があり、採決の結果、賛成少数により不採択と決定した。
なお、執行部からの参考説明に対して、質疑はなかった。
【斉藤議員】
今の報告の中で、「マクロ経済スライドは不可欠だ」という発言があったと。いわば、今の年金でも老後2000万円が必要だと。今の年金でも老後の生活がやっていけないのに、マクロ経済スライドでさらに年金が減らされ、貧しい年金がさらにもっと貧しくなると。マクロ経済スライドで年金制度が維持されても、国民の老後の生活は破綻するのではないか。
7兆円の財源が必要だということは、7兆円がマクロ経済スライドで削減されるということである。こういう年金制度で、私たちの老後の生活が維持できるのか。ここに国民の一番の怒りと不安が集中している。
国民の老後の生活がマクロ経済スライドでさらに深刻になるという、国民の暮らしの立場からの協議はあったのか。制度が維持できれば国民の老後がどうなっても良いという審議だったのか。7兆円減額してもいいということになったのか。
【神ア環境福祉委員長】
審査の過程については先ほど述べた通りである。
老後の生活に関する質疑のやりとりはなかった。