2019年10月25日 9月定例県議会本会議
議案に対する高田一郎県議の反対討論全文
日本共産党の高田一郎でございます。
議案第15号、議案第19号、議案第22号について反対討論を行います。
・卸売市場条例を廃止する条例案について
議案第22号は、卸売市場条例を廃止する条例案であります。
卸売市場法および食品流通構造改善促進法の一部改正により、地方卸売市場の開設にかかわる都道府県の条例に基づく許可が不要になったことから廃止しようとするものであります。
卸売市場条例を廃止する条例案に反対する最大の理由は、卸売市場に対する公的な役割を後退させるものだからであります。卸売市場法の目的は、卸売市場の取引規制と国・地方が行う整備計画という2つの柱を据えることで、生鮮食料品の取引の適正化とその生産および流通の円滑化を図ることにあります。ところが昨年の国会で、この2つの柱を目的から削除し卸売市場法を骨抜きにしてしまいました。
卸売市場法等の改悪で中央卸売市場の開設が国の認可制から認定制に、地方卸売市場は許可制から認定制に改められました。これによって、認定を受けずに卸売市場の開設が可能となり、認定を受けた卸売市場と認定を受けない卸売市場が共存することもでき、認定外の市場は指導、監督など規制を受けることがありません。
岩手県農政審議会の所掌事項から卸売市場の整備に関することを削除されますが、行政の関与が後退することになります。
第2の理由は、需給調整と価格形成を行う卸売市場の機能を損なう心配があります。
中央卸売市場での「取引原則」とされてきた卸売業者の「第三者販売の禁止」をやめれば、卸業者や仲卸業者と大手スーパーや外食産業との直接取引が拡大します。卸売業者と仲卸業者、売り買い参加者が対峙する関係が崩れ、「公正な価格形成ができない」との懸念が出てきます。
第3の理由は、中小の仲卸業者の淘汰が懸念されるからです。
仲卸業者の利益率は低く、脆弱な経営体質を支えているのが公設市場です。卸売市場に荷が集まらなければ、今でさえ厳しい経営が一層厳しい状況に追いやられます。
議案第15号、岩手県農政審の一部を改正する条例案は、岩手県農政審議会において、卸売市場の整備計画など重要事項の審議を削るものであり、議案第19号、岩手県手数料条例の一部を改正する条例案は、地方卸売市場の認定申請について手数料を徴収するものです。卸売市場条例の廃止を前提にした条例であり、反対するものです。
今回の卸売市場法改悪は、規制改革推進会議がTPP対策の一環として「時代遅れの規制は廃止する」との提言でした。地域の流通事情に応じて、卸売市場の適正な配置と整備に努め、卸売市場が安全・安心、品質の高い食料品を安定的に供給していく機能と役割を果たしていく上で、逆行することにつながりかねません。
以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。