2019年10月31日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)


・東日本大震災津波行方不明者の捜索、身元不明遺体について

【斉藤委員】
 昨年度の捜索、今年度の取り組みはどうなっているか。
 身元不明遺体は、2月末で50遺体と答弁があったが、その後の確認状況はどうなっているか。

【警備部長】
 平成30年度の取り組みは、従来警察本部主導で実施してきた捜索を、4月以降は、地域の実情をもっともよく知る警察署長の判断で実施する随時の捜索に移行し、47回・565人を動員して実施している。昨年度は、残念ながら行方不明者本人や行方不明者につながる物の発見には至っていない。
 今年度は、10月30日現在で、17回・224人を動員して捜索を実施。今年度についても、残念ながら行方不明者本人や行方不明者につながる物の発見には至っていない。
【刑事部長】
 2月末以降の身元不明者の身元確認状況は、2月18日に、大槌町内の河川工事現場で発見された身元不明のご遺体について、DNA鑑定やCP画像鑑定の結果から、震災で亡くなられた当時89歳の女性と判明し、本年6月にご遺族に引き渡している。なお、このご遺体は、新たに震災で亡くなられたご遺体と判明したものであるので、身元不明遺体50体には変更はない。

【斉藤委員】
 来年で震災から10年目を迎えるということで、まだ1100名余の行方不明者がいる中で、最後まで取り組みを強めていただきたい。

・県警の超過勤務時間、超過勤務手当、年次休暇の状況について

【斉藤委員】
 県警全体の超過勤務時間、超過勤務手当支給の実績について、この間の推移を含めてどう改善されているか。
 年次休暇の取得状況はどうなっているか。

【警務部長】
 平成30年度の警察職員の超過勤務については、月平均一人当たりに換算すると、超過勤務時間数約17.8時間、手当支給時間約17.3時間、超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は約97%である。過去5年間の推移については、超過勤務時間数は月平均一人当たりで、平成26年度約20.9時間、27年度約21.1時間、28年度約22.8時間、29年度約19.7時間。超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は、平成26年度約86%、27年度約85%、28年度約88%、29年度約90%となっている。
 年次休暇の取得状況は、平成30年中の職員一人当たりの年間平均取得日数は10.1日であり、前年比2.1日増となっている。

【斉藤委員】
 超過勤務時間と手当の実績は97%と、ほぼ実態に近づいてきたというのは大変な改善だと思う。超過勤務時間と手当をしっかり出しているのは県警のみで、あとは手当=超過勤務時間になっているので、その点は県警は大変実態に合わせた支給になってきている。そこの乖離があったのでこの間この問題を取り上げてきたが、97%まで改善されてきたことは評価したい。
 年次休暇については、2月の予算特別委員会では、各公署関係でいけば年8日というので一番少なかった。やっと10日を超えるところまできたと思うが、労働基準法も改正になり月45時間となっているが、県警の場合は特殊な任務もあると思うが、45時間を超えている職員数は分かるか。

【警務部長】
 労働基準法改正前の30年度の状況だが、月45時間を超える超過勤務時間をした職員数は延べ738人となっている。

【斉藤委員】
 ぜひ月45時間をめざして取り組んでいただきたい。具体的な取り組みは行っているか。

【警務部長】
 超過勤務においては、職員の健康保持や勤務環境改善の観点からも、まずは縮減することが必要だと認識しており、事務の効率化とともに、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しており、徐々に改善が図られていると認識している。
 他方で、警察業務は地域の安全を確保するため、昼夜を分かたず事件や事故に即時に対応しなければならないという特殊性を有していることも事実であり、引き続き事務の合理化・効率化を推進するとともに、突発的な事案に対処する必要がある場合には所要の措置を講じるなど適切に対応していく。

・捜査報償費について

【斉藤委員】
 執行額の推移について示していただきたい。

【警務部長】
 5年間の決算額の推移について。平成26年度1067万9千円、27年度1072万4千円、28年度1040万7千円、29年度864万6千円、30年度700万1千円となっている。

【斉藤委員】
 捜査報償費は、私はさまざまな事件が起きたときの大きなテーマになったので取り上げているが、答弁のように、26年度の1067万円から30年度は700万円と、300万円以上減少してきた。それだけムダがあったのではないかと思う。
 それでも、どの年度もまだ予算額とかなり乖離がある。30年度は1172万円余の予算で700万円の執行で7割弱の執行率、まだまだ見直しが可能なのではないか。

【警務部長】
 捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間など、さまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果である。
 また、当初予算の計上額は、基本的に前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案して積み上げていくものである。

【斉藤委員】
 前年度の実績を踏まえてというのであれば、29年度は864万円の実績にたいし30年度は1172万円である。だいたい3割ぐらい上乗せで予算化されている。
 捜査報償費は、5年間継続して減少してきているのは良い傾向だと思うが、なぜ減少しているのか。今までムダがあったのではないか。また、別なものに使われてきたのではないか。

【警察本部長】
 執行額が減った理由については警務部長が申し上げたとおり、捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間など、さまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果であるので、一概には申し上げられない。
 他のものに使ってのではないかというご指摘だが、そういう事実はない。

【斉藤委員】
 根拠のある答弁はなかった。一般論の答弁である。5年間確実に減り続けている。それは具体的に何が減ったのかと。一般論でしか応えられないというのも到達だと思う。徹底して中身を検証して見直すべきである。

・県警の児童虐待への対応について

【斉藤委員】
 昨年度の児童虐待事案への対応状況、県警本部と各警察署の体制と取り組みはどうなっているか。

【生活安全部長】
 平成30年中における児童虐待への取り扱い数は443件、前年比48件増加している。通告人員は611人、前年比46人減少している。611人の内訳として、虐待の対応別に、身体的虐待104人、性的虐待2人、ネグレクト(育児放棄等)88人、心理的虐待417人である。事件として検挙した件数は7件、うち5件が傷害罪であった。
 児童虐待への対応については、4つの基本的な考え方を持って対応している。@警察官の早期臨場と児童の直接の安全確認、A児童相談所への速やかな通告、B法令違反等があった場合は速やかな事件化、事件捜査をすること、C関係機関に対する照会および情報共有の徹底―であり、これを基本として対応している。
 警察本部の体制は、警察署からの報告事案を一元的に集約し、署と並行して危険性・切迫性を判断・チェックするため、生活安全部生活安全企画課内に警視以下14名体制の人身安全対策室を設置し対応している。また、事件検挙、行政措置、被害者の保護対策等に関する指導・助言、支援要員の派遣等を行うため、警察本部内に生活安全企画課長を司令塔として、刑事企画課長を副司令塔として、本部対処体制を構築している。
 警察署の体制については、署長を統括責任者、副所長等を副責任者として、生活安全課員、刑事課員、指名を受けた地域課員による署対処体制を構築している。
 警察署で虐待時案を認知した場合は、警察本部に速報させるとともに、相互に危険性や切迫性の判断、事件化の検討、児童相談所への通告等を講じるべき措置の検討を行い、早い段階から警察本部と警察署が一体となった取り組みを行い、迅速な児童の保護対策を講じている。

【斉藤委員】
 警察に対する相談件数・取り扱い件数も多いので、事件によっては命に関わる問題なので、児童相談所と適切な連携を強めてやっていただきたい。

・西松園地区松園コープ前の交差点問題について

【斉藤委員】
 地域住民の方々から、「人と車の交通事故が多い」「人と車が交差しないスクランブル交差点にしてほしい」という要望があった。
 この10年間、交通事故の件数・実態はどうなっているか。これに対して県警はどのように対応しているか。スクランブル交差点の可能性も含めて示していただきたい。

【交通部長】
 過去10年間(平成21年〜令和元年9月末)で、重傷事故1件を含む13件の人身交通事故が発生している。内容を見ると、人対車両の事故が9件で、多くが道路横断中の事故であり、次いで車両相互の事故が4件となっている。
 対応については、付近が住宅地であることから、警察官による通学・通勤時間に合わせた保護・誘導活動、パトカーによる警戒・広報啓発活動を実施している。
 スクランブル交差点に向けての要件については、歩車分離式信号に関する指針に基づき、歩車分離制御により防止することができたと考えられる事故が過去2年間で2件以上ある場合、もしくは公共施設等の付近または通学路で交通の安全を特に確保する必要があり、かつ歩車分離制御導入の要望がある場合、もしくは自動車等の交通量および歩行者の交通量が多く、歩車分離制御の導入により横断への安全性向上と交差点処理能力の改善を図ることができると認められる場合、こういったことを検討することとされており、その導入にあたっては、渋滞が悪化し、また新たに渋滞が発生することにより交通の円滑に著しい影響が及ぶと見込まれる場合、もしくは信号の待ち時間が増加することにより歩行者等または自動車等の信号無視を誘発する恐れのある場合、こういったことを考慮し適否を判断することになる。
 スクランブル交差点の設置の可否については、交通規制基準により、スクランブル方式は「斜め横断可」の規制を行うので、その対象路線は、繁華街・駅・バスターミナルの周辺で、信号機が設置されている次のいずれかに該当するもの―@斜め方向への横断目的の歩行者が多い交差点、A交差点の形状等から歩行者の斜め横断の効果が期待できる交差点―となっていることから、例えば、要望を受理、あるいは警察において検討の必要性を認めた場合には、交通量等の必要な調査を行い、設置可能な交差点であるかどうかを判断していくこととなる。

【斉藤委員】
 歩車分離、スクランブル交差点の可能性は可能性として検討していただくとして、実際に13件の人身事故が起きている中で、特にこの地域は保育園・幼稚園・小学校・中学校があって、保育園・幼稚園の散歩でも利用される交差点なので、いずれにしても事故防止の対策をぜひ検討していただきたい。

・警察官の自殺時案について

【斉藤委員】
 1月28日、盛岡東警察署の署員が勤務時間中に庁舎内で自殺した事案を予算特別委員会でも取り上げた。原因について「鋭意調査中」ということだったが、この調査の結果はどうなっているか。

【首席監察監】
 原因・動機を含め詳細を調査したところだが、結果については、プライバシーに関わることであり、お答えを差し控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 この事件が重大だと思うのは、県警の若い警察官が庁舎内で自殺したと。庁舎内の自殺というのは「抗議」の意思が含まれる。だから、パワハラがなかったのか、若い警察官が死に追いやられるような、警察署としても今後の教訓・対応すべき課題がなかったのか明らかにすべきではないか。個人のプライバシーを聞いているのではないので。

【首席監察監】
 繰り返しになるが、調査結果についてはプライバシーに関わることなので、お答えを差し控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 県警は都合が悪いと答えない。競馬の捜査はしているが覚せい剤疑惑は分からないと。
 若い警察官がなぜ自殺に追い詰められたのか。鋭意調査して原因が分かったと。県警本部の中にパワハラはなかったのか。職務上で問題はなかったのか。

【首席監察監】
 繰り返しになるが、自殺時案についてはプライバシーに関わることなので、お答えを差し控えさせていただきたい。