2019年10月31日 決算特別委員会
千田美津子県議の政策地域部に対する質疑(大要)


1.広域生活バス路線の維持について

(千田美津子委員)
 広域生活バス路線の維持について、一路線当たりの平均乗車密度が落ちているということで、達成度がD評価になっていますが、県内の状況がどのようになっているのか。また、今後の対応策についてお聞きします。
 併せて、公共交通活性化支援チームが支援を行っていますのでこの支援の状況についてもお聞きをします。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)           
 一点目の広域的バス路線の平均乗車密度の関係でございます。
 平成29年度の3.4人より平成30年度は3.6人と若干改善したものの、依然として人口減少などによる利用者の減少のため、目標値であります4.0人を達成できず、達成度はDとなったものでございまして、広域バス路線の維持に向けた取り組みを強化していく必要があるものと認識してございます。
 このため、今年度から県、市町村、交通事業者等によりますバス路線活性化検討会を新たに設置しておりまして、バス路線ごとの促進策、あるいは鉄道との乗り継ぎ改善、運行経路の効率的な見直しの検討などに取り組んでいるところでございます。
 また、ノンステップバスの導入によるバリアフリー化など、高齢者や障がい者をはじめ、誰もが利用しやすいサービスの提供に向けた、バス事業者の取り組みを支援していくこととしてございます。
 次に活性化支援チームの支援の状況についてでございます。
 平成30年度におきましては9市町村に対し支援を行っているということで、具体的には3つおどあげさせていただきますが、久慈市における広報を活用した市民への情報発信に関する支援、釜石市における市内公共交通の再編の検討、奥州市における交通計画策定に伴う市内公共交通体系見直し検討の支援を行ったところでございます。

(千田美津子委員)
 バス路線の密度4.0人を目標にして取り組んで、そこには達しなかったものの29年度よりは上昇しているということで、是非これが廃止につながらない方に対応していただきたいと思いますが、今ご紹介があったように、バス路線活性化検討会でいろいろさまざま検討されているようですので、併せてバス路線維持のための改善検討路線の状況についてお聞きしたいと思います。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)      
 バス路線維持のための改善検討路線の状況についてでございます。
 平成30年度は国庫補助路線44路線ございまして、このうち被災地特例により輸送量の補助要件が緩和されることで補助対象となったのは15路線でございます。
 また、県単補助路線では13路線ございますが、このうち被災地特例により平均乗車密度の補助要件が緩和されることで補助対象となっているのが7路線ございます。 
 昨年度は再編が実施されたばかりの路線や、別途検討促進がなされておりました路線を除きまして、53路線について路線見直しや利用促進の検討を行ったところでございますが、今年度からは、全57路線を対象に検討することとしてございまして、特に被災地特例による補助要件の緩和により、補助対象とされている路線については複数回検討を実施するなど、引き続き広域バス路線の維持に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

(千田美津子委員)
 活性化チームの支援が行われてきたわけですが、先ほど久慈、釜石、奥州の部分で紹介いただきました。この支援団体数が16に対して実績が9となっておりますけれども、この支援団体が減っている理由は何かあるのでしょうか。それから活性化チームのこれまでの成果といいますか、取り組みをどのように評価しているのかをお聞きします。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 活性化チーム派遣の数が減少しているということにつきましては、県において前年度中に、各市町村に対して支援の要望の状況を伺いながら計画を立てているわけですが、市町村の計画、あるいは再編の進捗の状況によりまして取りやめになったりということがございます。そのほか、すでに過去の年度において支援した市町村については、県を通さずにアドバイザーの方と直接のつながりが持てているということで、県を通さずに支援を受けているという状況もございます。
 ただ、まだまだ市町村よっては今後再編が必要となるところもございますので、担当者会議等におきましてこの活性化支援チームのPRしながら、市町村に対して支援してまいりたいと考えています。

(千田美津子委員)
 活性化支援チームのアドバイスを経ないで、直接やり取りできる市町村がでたということは、いわば自立に向けて動いているといい方向にとらえていいのかなと思いますが、いずれ、国、あるいは県の補助がある全部の57路線について、バス路線活性化検討会ということで、全路線を俎上にあげながらさまざま検討されるということで、引き続き市町村との連携がますます重要になってくると思うんですが、今後の方向性について改めてお聞きします。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 今後の方向性ということですが、何といっても関係者が集まって協議をして、今後路線ごとに具体的に利用状況を見ながら、あるいは活性化促進策をみんなで検討しながらやっていくということが効果的であると思いますので、引き続き支援チーム、あるいは活性化検討会での検討というのは今後も続けてまいりたいと考えてございます。

(千田美津子委員)
 「かしこい交通ライフ」チャレンジウィークの事業達成度はB評価となっていますが、どのような評価され、今後の事業展開についてどのようにお考えでしょうか。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 「かしこい交通ライフ」チャレンジウィークについてでありますが、公共交通の利用促進を図るために、県民の利用を喚起していくことが必要であり、公共交通に関する情報の提供や、イベントの実施などにより啓発を図るほか、モビリティマネジメントによります、行動変容の取り組みをしていくことが重要と考えてるところでございます。
 このような考えのもと、全県的な利用促進キャンペーンとして、これまで「かしこい交通ライフ」チャレンジウィークを例年10月頃に実施してきたところでありまして、平成30年度の参加者数は平成26年度の1万8千人から約2倍の3万4千人にとなったところでございますが、目標を3万6千人としておりましたので若干下回りB評価となったところでございます。
 このモビリティマネジメントにつきましては、地道に取り組んでいく必要があると考えておりますことから、今年度から名称を「公共交通スマートチャレンジ」というふうに変更しまして、より多くの県民の皆さんに参加してもらえるよう、また事業者への参加も強めながら一層の利用促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。

(千田美津子委員)
 多くの県民がそういうのに参加しながら、自らどういうふうにあればいいのか、考えるいい機会だと思います。もっとPRして参加者を増やしていっていただきたいと思います。
 バスの利用者がどんどん減ることによって、国等の補助要件に満たない路線が出てきてますし、これらが補助対象外となれば交通不便地域ほど住民の足が困難になるということで、非常に大きな問題だと思います。それから広域的・幹線的な生活バス路線の多くは、市町村境を超える路線が多いわけで、市町村が個別に努力をするというよりも、大きな連携した対応が必要だと思っております。そう意味で、県単補助事業の継続はもちろんですが、補助要件の緩和でバス交通を維持させる対策が必要と考えるのでお聞きします。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 広域バス路線に対する県単補助の関係でございます。国庫補助事業は一日3往復以上が要件となっておりますが、県単補助事業は一日1往復以上でも対象としておるわけでございまして、国庫補助の対象とならない路線についても市町村と連携して支援を実施しているところでございまして、これについては今後も継続を実施していきたいと考えてございます。
 一方、委員からお話がありました要件の緩和につきましては、一日1往復以上の要件というのはこれ以上緩和することは難しいと、あと平均乗車密度4.0人以上というもう一つの要件がございますが、これはやはりバスでの移動ということを考えて、タクシーとの役割分担を考慮し、あるいは効率的な運行ということも考えまして、4人以上という要件を設定しているところでございます。これを3人以下とするとかすると40人乗り、50人乗りのバスで3人を運んでというのは、やはり効率の面でも問題があるかなということで、より効率の良い地域のデマンドとか、小さい形でのコミュニテイバスとか、そういったことに再編を促すという意味でも、やはり4人以上というのは堅持したいと現時点では考えてございます。

2.JR東北本線の利便性の向上について

(千田美津子委員)
 二つ目、JR東北本線の利便性の向上について質問いたします。
 公共交通の根幹をなす東北本線の北上〜一ノ関間の運行は、盛岡〜北上間が上下線とも
 平均して30分に1本であるのに対し、1時間に1本程度の運行となっており、通勤・通学の利便性が低い状況にあるが、実態をどのように把握されていますか。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 東北本線の一ノ関〜盛岡間のうちの北上〜一ノ関間の状況ということでございますが、
 まず下りで言いますと、盛岡駅着で見ますと、一関発が18本、北上発が11本、ということで、北上〜一関間はやはり少ない状況となっています。上りにつきましても盛岡発で一関までいくのが18本、北上まで行くのが13本ということでやはり北上以南は少ない状況となってございます。
 県といたしましては、毎年度各市町村からダイヤ改正に合わせての各種JRに対する要
 望を取りまとめて、JR盛岡支社に対して要望活動を行ってございます。その際、北上駅と一関駅間の運行本数の増加については、やはり5市町村6件の要望があったところでございます。

(千田美津子委員)
 JRにすでに要望は行っているということですね。それで、JRの回答はどのような状況でしょうか。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 北上〜一関間の運行本数の増加に係る要望については、JRからは保有する車両の運用上の問題でなかなか難しいということで、実現はしていないところでございます。

(千田美津子委員)
 やはりこれらの増便というのは必要だと思う。5市町村、一関、奥州、紫波、金ケ崎、平泉から要望があったということで、住民からの要望だったり、企業からの要望だったり、それらはしっかり把握しての県への要望と思う。それを裏付けるような県としての調査なり、積極的な姿勢で産業政策的なものも含めて取り組むべきではないかと思うがいかがでしょうか。

(渡辺特命参事兼地域交通課長)
 特に北上〜一関間については、委員がご指摘のとおり沿線地域おいて,自動車や半導体産業の集積が進み広域からの通勤利用の増加も見込まれるなど、東北本線の利便性の向上は重要な課題と認識してございます。
 ニーズを県でと,受け取ったんですが、やはりまずは要望する市町村においてどれくらいのニーズがあるか、あるいは企業からの要望がどれくらいあるか,とういものを把握していくことがまずは第一歩かなと考えてございます。県でということもあるかもしれませんが、なかなか県としても難しい面もあります。
 その地域におきまして、要望するためには協議会を立ち上げる準備を今奥州市が中心となってやっているということもうかがっておりますので、そこには当然、振興局も入って県等も加わるということでありますので、そこでの議論を踏まえながら,県としてもできる限りのできる範囲での支援を商工観光労働部とも連携しながらやっていきたいと思います。

(千田美津子委員)
 今日取り上げた、バス・JRの問題も含めて、これら公共交通機関の利用を広げるという取り組みは、地球の温暖化対策と相まって、今大事な有効な施策と思います。
 市町村と連携しながらいろいろ頑張っていただくという方向が出されましたが、大災害を防止するうえでも、地球規模の温暖化対策に取り組むという点で,是非これを県としても頑張っていただきたいということで、部長の所見を聞いて終わります。

(白水政策地域部長)
 委員からいくつかの重要なご指摘をいただいたと思っています。昨年度の決算委員会でも公共交通を委員から取り上げていただきまして、その後我々もいろいろ施策検討してきたところであります。
 今年は新しい「いわて県民計画」もできましたし、それから交通網の計画も策定しました。公共交通というのが、これから人口減少、あるいは少子高齢化という中で、本当に重要な施策の一つだと認識しております。利用促進、あるいは確実な整備にはしっかりと取り組みとともに、今、市町村との連携ということがキーワードとして出てきておりますけれども、まずは県と市町村の役割分担であると思いますので、しっかり押さえながら、連携しながら取り組んでいかないといけない部分もたくさんございますので、総いった視点も勘案しながら着実に進めてまいりたいと考えております。