2019年10月31日 決算特別委員会
高田一郎県議の政策地域部に対する質疑(大要)


・市町村への応援職員の派遣について

【高田委員】
 東日本大震災津波および平成28年台風10号災害にかかる応援職員の具体的な状況、必要数、充足率はどうなっているか。
 いま全国各地で災害が起きていて、岩手にも応援職員がきて活躍いただいているが、なかなか来年に向けた確保が厳しいのではないかと思うが、見通しはどうなっているか。

【市町村課総括課長】
 令和元年10月1日現在で、東日本大震災津波にかかる被災市町村の応援職員は、必要数が429人にたいし408人が確保され、充足率は95.1%となっている。平成28年台風10号災害にかかる応援職員は、必要数21人にたいし21人・100%が確保されている。
 来年度の必要数については、例年11月下旬に県内全市町村を対象とした被災地の人材確保の連絡会議を開催するので、それに向けて必要数を取りまとめているところであり、復興事業の進捗にともない減少傾向が続いていくものと思われる。ただ、必要数が減少したとしても、被災市町村では相当な量の業務が残されているので、今後とも必要な応援職員が確保されるように取り組んでいく。
 今回、台風19号災害にともない、長野県佐久市から2名に来ていただいていたが、一旦地元にお帰りになっており、地元の被災状況によっては来年度は派遣が継続できないところもあるかと思うが、なるべく県外でも派遣継続が可能なところはお願いするとともに、内陸市町村を含めた県内での人材確保にも努めていきたい。

【高田委員】
 長野県佐久市では派遣元に戻るという状況もあり、そういう状況も広がってくる可能性もあると思う。復興を加速させていくためには、財源とマンパワーがどうしても必要である。全国各地で災害が起きている状況があり、国がしっかりした支援をしていかなければならないと思うので、国へもしっかり働きかけて必要な人員を確保していただきたい。

・被災地への財政措置について

【高田委員】
 もう1つ被災地から要請があるのは、マンパワーの確保とともに財源の確保である。先ほどの答弁で、普通交付税の繰り上げ交付が行われたという話もあった。被災地からは、特別交付税も早期にという要望も寄せられている。特別交付税の交付については、どういう見通しになっているか。

【市町村課総括課長】
 特別交付税の交付見込みについては、直近だと12月中旬に毎年交付される特別交付税があるが、そちらの積算について、被災したところについては、11月20日ぐらいまで積み上げを延ばして待っていただいているので、20日の締め切りまでに必要額をなるべく詰めるところは詰めて、12月中旬の交付を受けて当面の資金に充てたいと考えている

・岩手県立大学の県内就職状況について

【高田委員】
 四大、短大、学部別の県内の就職率について現状を示していただきたい。

【学事振興課総括課長】
 岩手県立大学の30年度の就職率は、四大四学部で99%、短大(盛岡・宮古)計で94%となっている。
 県内就職率は、30年度は四学部合計で44.5%。学部別では、看護学部45.7%、社会福祉学部59.1%、ソフトウェア情報学部19.3%、総合政策学部60.2%、盛岡短大68.2%、宮古短大73.3%となっている。

【高田委員】
 全体で44.5%、ソフトウェアは19.3%という数字である。
 岩手県立大学は昨年開学20周年を迎え今年21年目になる。言うまでもなく、岩手県立大学の開学の目的というのは、地域に貢献する大学、地域に貢献する人材の育成を大きな目的にして、大きな役割を果たしていただいている。しかし、県内の就職状況を見ると、非常に県内就職率が低い。
 いわて県民計画でも、県内就職率を51.5%にするという目標を掲げているが、これ自体決して高い数字ではないと思うが、やはり県内の高校も含めて、大学についてもしっかり県内就職率を高める取り組みをしっかり行う必要があると思うが、どのように対応しようとしているか。

【学事振興課総括課長】
 県内就職率を引き上げることは非常に重要で大きな課題と考えており、なかなか上がらない背景としては、全国的な人手不足を背景に、首都圏の大手企業の求職活動が活発になっていることもあり、特にソフトウェア情報学部は、全国的なIT人材の不足を背景に、県外企業から多くの求人が寄せられていると。また、さまざまな待遇等が良い首都圏の大手企業にも人気が集まっているということもあり、県内就職率が高まっていないところだが、ただ、そうはいっても県内に優れた企業があるということを知らないが故に県外に就職してしまう学生がいるということも聞いており、そういったことがないよう理解を深めていただく取り組みが必要と考えている。
 県立大ではこれまでも、県内就職率向上に向けて、学内での合同企業説明会や企業見学会、他の大学と連携したインターンシップを実施してきたところであり、30年度には、学生が1、2年生の早い段階から県内企業の理解を深めるということで、低学年向けの業界研究セミナーを開催するなどの取り組みも始めた。
 今後とも、企業や業界団体と連携しながら、学生にとって魅力ある就職先を創出・開拓するなど、県内就職率を高めていくように県としても支援していきたい。

【高田委員】
 地域に貢献する人材を育成する目的でつくられた大学なので、50%を切るというのはあまりにも少ないと思うので、従来の延長線上にとらわれない対策をしっかりとっていただき、県民計画での51.5%という目標自体も決して高くない数字なので、全力をあげて取り組んでいただきたい。

・大学の学費無償化にともなう岩手県立大学への影響について

【高田委員】
 大学無償化にともなう影響について。来年度から修学支援制度が導入されて、いわゆる政府は大学の無償化なるものを、消費税増税を財源として進めようとしている。
 4月以降の岩手県立大学については、現在でも大学独自に授業料の免除を行っているが、修学支援制度導入にともなって、学生にどういう影響が出てくるのか。

【学事振興課総括課長】
 高等教育の修学支援制度の導入による県立大学の授業料減免への影響について。県立大学では、大学独自に、経済的理由により授業料の納付が困難かつ学業優秀と認められる大学・短大・大学院の学生の授業料を全額免除しており、平成30年度は、前期と後期で減免しているので、延べ535名、総額1億3400万円余の減免を行っており、今年度は、前期の減免から試算すると延べ594名、総額1億5000万円余の免除が見込まれている。
 来年度から始まる国の高等教育の修学支援制度による授業料減免制度は、住民税非課税世帯とこれに準ずる世帯の学生を対象にし段階的に減免することとなっており、この国の新制度の方は、県立大学の今の授業料減免制度よりも対象範囲が狭くなっており、大学院生も対象外となるので、県立大学の試算によると、来年度の国の新制度のみによる免除は、延べ482名、総額9200万円余の免除と見込まれる。
 国の新制度による授業料減免の財源については、国が地方交付税により全額措置する方針が示されているが、一方で、県立大学が独自に実施している授業料減免も国の地方交付税が財源となっており、来年度以降の具体的な算定方法についてはまだ示されていない。仮に、国の新制度だけで授業料減免が行われた場合には、今年度の大学独自の減免に比べて、延べ112名、総額5800万円ほどの減免額の減少と試算される。

【高田委員】
 いま具体的な数字が出たが、今年度は594人、新制度に移行すれば減免の対象が482人、112名の方が影響を受けるということになるのか。国の制度は、全額免除、3分の2免除、3分の1免除があるが、これを含めてどのような影響になるか。
 これまで授業料免除をされた方々が、対象範囲が狭くなることで、まったく免除が受けられない、年間授業料53万5800円すべて負担しなければならないという方も出てくるという説明だったと思うが、どのぐらいの学生が対象になるか。

【学事振興課総括課長】
 今年度の前期から試算した令和元年度の見込みは、594人の学生が全額免除で、来年度は全額免除が246人になる見込みで、3分の2免除が136人、3分の1免除が100人ということで、いずれかの免除を合計すると先ほど述べた482人になる。

【高田委員】
 新制度に移行することにより、594人が全額免除になっていたものが246人になると。これは国の地方交付税の算定根拠が今の時点になっても示されていないということになると、全額免除を受けていた学生、半分以上の学生が負担増になる。あるいは全額負担しなければならない事態になる。これは大変なことだと思う。
 政府は、消費税増税の財源を活用して、大学の無償化をやると言っているが、本当に一握りの学生に対する免除であり、すでに大学独自の減免制度で対応しているところは逆に負担が増える。これは国の財政措置が示されなければ、大変な事態になるのではないか。国にしっかり財政措置を求めるとともに、県として必要な対応をしていくべきではないか。

【学事振興課総括課長】
 学生が不利益を受けることのないようにすることが必要と考えており、県としても、県立大学と相談しながらこれまでも対応してきた。今年6月に実施した来年度政府予算等にかかる知事からの提言要望をはじめ、機会をとらえて国・文科省に対して、減免の対象となる学生が不利益を受けることがないよう、必要な財政措置を継続するように要望してきている。文科省でも、担当レベルでは課題として認識しているということまでは言われている。実際に国立大学でも同じような状況があるということで、文科省では国立大学に対する調査も行っていると聞いている。
 県立大学では、いずれ学生が不利益を受けることのないように対応したいということで進めており、そういった国による国立大学への調査の動向も見ながら県としても支援していきたい。