2019年11月7日 決算特別委員会
環境生活部
に対する質疑(大要)


・台風19号による被害状況と対応について

【斉藤委員】
 被害状況と合わせて、本日補正予算の説明もあったが、国・県による対応はどうなっているか。

【管理課長】
 水道施設については、沿岸7市町村において、道路崩壊等にともなう水道管の破損などで2142戸の断水が発生したが、応急復旧により10月29日をもってすべて断水は解消されている。
 自然公園施設については、11月5日6時現在で、沿岸5市町村において、法面崩壊6箇所、自然歩道内の木道橋の落橋2箇所、土砂の崩壊による自然歩道の通行止め8箇所などとなっている。
 国・県による対応について。水道施設については、本格復旧に向けて水道施設災害復旧費国庫補助事業を活用できるよう、災害査定にかかる調書を取りまとめ、厚労省との協議を行うとともに、被災自治体業務を支援することを予定している。
 自然公園施設の関係では、みちのく潮風トレイル等も含めた三陸復興国立公園だが、全国から多くの利用客が訪れる本県の重要な地域資源であることから、被災した集団施設地区や長距離自然歩道等の重要な自然公園施設の国の直轄による早急な復旧・整備や、その他の被災施設に対する補助事業の創設などについて国に対して要望を行っており、引き続き速やかな復旧・整備に向けて取り組んでいく。

【斉藤委員】
 災害廃棄物処理について。9市町村13箇所で仮置き場が設置された。普代村については、11月1日から二戸広域行政事務組合が処理を開始したと受け止めている。
 新聞報道を見ると、宮城県は災害廃棄物の量は10万トンと示されているが、推計でどれぐらいの規模になるか。
 補正予算には、被災市町村の災害廃棄物の早期処理が入っているが、どれぐらいの広域処理が必要なのか。

【資源循環推進課総括課長】
 宮城県で推計量を発表したのは承知しているが、いまだ本県では災害の状況について調査中という市町村もあるので、量については推計もできていないところである。
 広域処理については、普代村の分の広域処理が始まったが、災害廃棄物というのは一度に大量に発生するために、腐敗・悪臭の恐れがあるということで、早期の処理が求められる可燃ごみを被災市町村では処理しきれないという状況があり広域処理を始めたところである。被災市町村の状況については、ニーズを聞きながら、他の市町村にあっても必要なところは調整している状況なので、まだまとまっている段階ではないが、いくつか広域処理が必要なところは出てくるということも考えている。

【斉藤委員】
 東日本大震災津波の際に、あれだけの災害廃棄物の処理をやったので、ノウハウを持っているし、内陸市町村も取り組んだので、できるだけ速やかに処理が進むようにお願いしたい。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 盛岡市は、住民合意を踏まえて広域処理を一箇所に集中するということをやっているが、進捗状況はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 8つの市町の首長で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会により検討が進められ、4箇所の整備候補地のうち、平成31年3月に開催された協議会において「盛岡インターチェンジ付近」を「最も有力な候補」として地域との協議を継続している状況と承知している。

【斉藤委員】
 盛岡市長が言うように、「住民の合意」というのは大前提だと思う。この点については、8月に盛岡市長選挙がたたかわれたが、三派戦になったが、現職以外の2人の候補者は、前潟地区の大規模な焼却施設整備に「反対・見直し」を表明した。選挙の結果は、谷藤さん54483票、それ以外の2人の候補は合わせて71574票。これだけが争点ではないが、中心的争点の1つだった。対立候補の方が56.7%の票を得た。これは、立ち止まって見直すべき審判が下ったのではないか。
 8月には、前潟の商店街が、選挙中だったが1000名の署名を集めて盛岡市に提出した。なぜこうなったかというと、地権者の方々が、風評被害で地代を下げろと、でなければ撤退もありえると。みんなびっくりして反対の声がさらに広がっている。9月18日には、太田地区で説明会があり80人が集まった。圧倒的に反対の声が上がり、収拾できなかった。
 平成28年に、前潟自治会と上厨川自治会の自治会長の連名で誘致の要請をしたが、10月28日にはその自治会が要請を撤回する申し入れを行った。「あれは自治会長が独断でやったことだ」「自治会としては正式にその要請はなかったことにする」という申し入れをした。
 前潟地区での一極集中の大型焼却場整備計画というのは、ますます市民の反対の声が広がっているのではないかと思うが、どう受け止めているか。

【資源循環推進課総括課長】
 広域化による施設整備に対して、理解を示す意見のほか、反対する意見など、さまざまな意見が出されていると聞いているが、そこは事業主体である盛岡市が地域住民に対して丁寧に説明していくものと考えている。

【斉藤委員】
 当初盛岡市は、3箇所で分散的に広域処理を進める計画だった。ところが、県の指導で「一箇所でなければ国の補助金が出ない」ということで一極集中の計画にした。県の指導責任はきわめて重大だと思ってここで取り上げている。あとは盛岡市で対応すべきだというのはいかがなものか。
 指摘したように、候補地に挙がれば反対の声が上がる。4箇所の候補地が示されて、なぜ3箇所がつぶれたかというと、地域住民の反対の声が広がったからである。最後に残った前潟地区でも、どんどん反対の声が広がっている。
 谷藤市長が「住民の合意を得て進める」と言うのなら、その条件はなくなったのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 繰り返しになるが、事業主体である盛岡市が丁寧に説明していくものと考えている。

【斉藤委員】
 これは、県の県央ブロックごみ処理広域化計画をもとに進められている。あなた方が決めて押しつけているから問題なので。
 何度もここで取り上げてきたが、あの地域は小学校の喘息罹患率が市内で一番高い。交通渋滞やPM2.5などの影響があると思う。それ以外に考えられない。そういうことは県が責任をもって調査して、情報を提供すべきである。
 交通渋滞の問題では、イオンが出店する際にも交通渋滞が大問題になり、道路を拡幅して、長橋町方面に行く右折レーンを2車線にした。インターチェンジがある、小岩井農場があるところに、日量500トンと言われるような8市町のごみを、ごみ収集車で一極集中させることの弊害はきわめて深刻である。そういう問題をまったく検討せずに広域化計画を進めることは問題だと思うがいかがか。

【資源循環推進課総括課長】
 県としては、ごみ処理広域化指針というものは、一般廃棄物の広域化を推進するための基本となる指針と考えており、市町村の厳しい財政状況や、きちんと環境保全機能を保った最新設備でということで、そうしたご懸念は担保されていると思うので、そういった状況を踏まえて構成市町の中で考えていくべきことだと考えている。

【斉藤委員】
 ごみ問題で一番大事なのは「減量・資源化」である。減量・資源化の計画があって、どれだけ焼却処理が必要かということで計画が立てられるべきであり、それ抜きで、日量500トンというとんでもない大規模な焼却場で一極集中させ、それも盛岡インターチェンジという交通の要所に整備するということは、本当にずさんな計画ではないか。ごみの減量・資源化の計画はないのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 現在は8市町で一般廃棄物の処理計画を作っており、それぞれの市町村で減量化計画を策定しているとは考えているが、広域化していくというものであれば、共通のそうした減量化策を今後考えていかれるものと考えている。

【斉藤委員】
 いま答弁あったように、この計画は本末転倒になっている。減量・資源化の計画なしに、日量500トンの巨大な焼却場を交通の要所に整備すること自身、本末転倒である。

・太陽光発電と環境・景観への影響と規制措置について

【斉藤委員】
 再生可能エネルギー導入の計画に対する実績はどうなっているか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 平成28年3月に改定した岩手県地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーの導入想定量は、目標年の令和2年度で、太陽光発電748メガワット、風力発電476メガワット、地熱発電111メガワット、水力発電276メガワット等であり、計1651メガワットとなっている。
 平成31年3月末現在の再生可能エネルギーの導入実績は、太陽光発電638メガワット、風力発電93メガワット、地熱発電111メガワット、水力発電277メガワット等であり、計1162メガワットとなっている。

【斉藤委員】
 太陽光発電の認定件数、稼働件数、そのうちメガソーラーの実態はどうなっているか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 国の公表資料によると、平成31年3月末現在で、認定件数は35520件、稼働件数は31543件となっている。うち、1メガワット以上の太陽光発電の認定件数は、180件、稼働件数は114件となっている。

【斉藤委員】
 1メガワット以上をメガソーラーと言うそうだが、発電総量と今の太陽光の実績に占める割合はどのぐらいか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 導入実績容量は全体で約60万キロワットだが、このうち1メガワット以上の太陽光については約35万キロワットほどになっている。

【斉藤委員】
 34万3950キロワットではないか。そうすると343メガワットになると思うが、53.9%を占めることになる。メガソーラーの稼働件数は114件で、認定件数は180件。おそらくこの倍以上これから稼働する。本当にメガソーラー全体で支配される。この規制が大変切実になっている。
 大船渡市の大窪山ならびに荒金山に計画の太陽光発電について、希少猛禽類のイヌワシやクマタカが高い頻度で出現していると、県内の野鳥の会が連名で岩手県に見直しを求める要請をした。この要請についてどう対応しているか。

【自然保護課総括課長】
 今年9月11日に、「日本野鳥の会もりおか」他2団体の連名により、県に対して当該計画の即時中止の行政指導を求める内容とする要望書の提出があった。
 大窪山地区については、五葉山県立自然公園の特別地区に該当しており、開発にあたっては、県立自然公園条例第10条第4項に基づく「工作物の設置や立木の伐採等の許可を要する」ものだが、許可事務に関する権限については、平成19年に大船渡市に委譲している。大船渡市では平成30年6月に、事業者に対して県立自然公園条例による許可を行っており、事業は実施可能な状態となっている。
 荒金山地区については、県立自然公園や自然環境保全地域には該当していないが、開発面積が10ヘクタール以上となる場合には、岩手県環境保全条例第25条第1項に基づく届出が必要となるため、条例に基づく届出を行うよう指導しているとともに、要望の内容について関係部局との情報共有を図っている。
 なお、岩手県希少野生動植物の保護に関する条例第4条において、「事業者の責務」として定められていることから、事業者には、生息環境の悪化につながらないよう適切な調査・保全対策を行うよう助言している。

【斉藤委員】
 野鳥の会の要請書では、「希少猛禽類のイヌワシ・クマタカ等が高い頻度で出現している高度利用地域である」と。「この地域は、希少猛禽類の主要な狩り場となっており、地元の会員の調査では、イヌワシ・亜成鳥・クマタカ・オオワシなど12種の猛禽類の生息が確認されている」と。実はこの隣が夏虫山で、夏虫山にも太陽光発電の計画があり、ここでもイヌワシが高い頻度で出現しており、その計画がなくなったところである。このまま太陽光発電を認めたら大変なことになる。希少猛禽類というのはまさに岩手の自然環境の1つの象徴である。きちんとこの問題について対応すべきではないか。

【自然保護課総括課長】
 条例の枠組みの中で必要な届出などを行うよう、条例に基づいた手続きを行うよう指導している。

【斉藤委員】
 希少猛禽類を守る立場が伝わってこないのだが、イヌワシといえば岩手の象徴のような鳥である。それを守る立場に立つべきではないか。
 各地で森林伐採や景観破壊、赤土の流出、宮古市田老では昨年メガソーラーの火災が発生し、重大な問題が噴出しているが、どのように把握しているか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 個別案件においては、施行方法に問題がある場合、事業者の対応に問題がある場合など、事案により状況が異なっている。関係法令所管部や市町村と連携しながら、情報の把握に努めている。
 今年度は、国・県・市町村が再生可能エネルギーの発電設備の課題等について情報交換をする会議を9月に開催したほか、具体的な事例はまだないが、問題がある個別案件に的確に対応するため、国・県・関係市町村によるチームを編成し、集中的に対応できる体制を今年度つくったところである。

【斉藤委員】
 田老のメガソーラーの火災について、出火原因は何だったのか。自衛隊が出動して2日も3日もかかって消火した。つい最近は台風15号で太陽光設備が火災を起こしたということがあった。2018年度は40件の太陽光発電の被災、自然災害の被災が報告されている。だから安全基準がない。これはしっかりやるべきである。
 そのときに、これから岩手県がやろうとしている20ヘクタール、50ヘクタールでメガソーラーは規制できるのか。どれだけのメガソーラーが対象になるのか。

【環境保全課総括課長】
 来年4月1日の条例を、規則を改正して、太陽光発電施設を環境アセスメントの対象にするということで準備を進めているが、その時点でどれだけの数が対象になるかということは、既存の資料にそのような資料がなく、現在把握できていないのが実情である。
【温暖化・エネルギー対策課長】
 宮古市田老で発生した火災の原因については、昨年4月に森林火災が発生し、4ヘクタール焼いたものだが、太陽光発電設備が原因と聞いている。具体的には、動植物がケーブルの一部をかじったことによるものと聞いている。