2019年11月7日 決算特別委員会
千田美津子県議の商工労働観光部に対する質疑(大要)
1.雇用と人材確保について
(千田委員)
まず、雇用・人材確保策についてお聞きします。
比較的若い方々の県内就職を促進するための施策がいろいろ実施をされてまいりましたが、一つは就業支援員による企業訪問とか、学校訪問がやられてきましたが、この状況についてお聞きしますし、U・Iターン就職支援件数の目標値700件をかなり上回っているわけですが、どのような体制でどう支援されてきたのかお聞きします。
(西野雇用推進課長)
まずは就業支援員による企業訪問、学校訪問の状況についてでございます。就業支援員の役割は高校生の就職支援でありますとか、若年者の職場定着支援、地域の方々の雇用・労働に係る相談ということで、それにかかわって企業に出向いたり、学校訪問をし、企業に出向いた際にはそこに定着しているかどうか若手社員と面談したり、または企業が活用できる新しい助成金の周知・普及なども行っているところでございまして、県内各振興局等に配置された39名を中心に行っているところでございます。
新卒者の県内就職の促進でありますとか、職場定着に向けた取り組みを強化していますことから、平成30年度の企業訪問件数、学校訪問件数ともに目標を大きく上回っておりまして、企業訪問件数におきましては目標の3500件に対しまして4000件、前年度から794件増加しておりますし、学校訪問件数は目標の2500件に対しまして2754件と、前年度からこちらも251件増加しているところでございます。
もう一点、U・Iターン就職の支援体制でございます。U・Iターン就職、首都圏に窓口を設けて支援しているところでございますが、首都圏においては東京の東銀座、アンテナショップ銀河プラザと同じ建物の中にあります、岩手県U・Iターンセンターに職業アドバイザー2名を設置いたしまして、就職相談でありますとか、無料職業紹介を行っております。
また、そのほか有楽町の駅前の交通会館内に「ふるさと回帰支援センター」というものがありまして、その中に「いわて暮らしサポートセンター」というものを設けまして、キャリアカウンセラーなど2名を配置して相談対応にあたっております。
そして一方、県内におきましてはジョブカフェいわて内におきまして、いわてU・Iターンサポートデスクというものを設けてキャリアカウンセラー1名配置いたしまして、企業情報の発信、就職相談を行っておりまして、いずれも窓口での対面相談のほか、電話、メールでの相談対応、加えてセミナーなども行っているというところです。
(千田委員)
特に学校訪問、企業訪問が高校生、若者の相談に丁寧にのっている、あるいは職場定着を促すうえでも非常に大事な役割を果たしているなというふうに思っておりますし、もう一つ企業にとっても使える資金とか、そういう部分の情報提供をするということでは非常に大事な支援だというふうに思っています。
今、39名の方々が配置をされているということでありますけれども、これを増やすとかそういう予定はないんでしょうか。この人数でやっていきたいということなのかどうかが一つ、それから、ジョブカフェのサービスを受けて就職が決定した人数が2026人とあるわけですが、学校訪問、企業訪問での成果というのはなかなか数字で表すということができないと思いますが、それらについてはどのように考えているでしょうか。
(西野雇用推進課長)
就業支援員の体制ということでございますが、39名でやっているところ、また加えてハローワークなどにもジョブサポーターがいらっしゃるというようなこと、委員から話がありましたジョブカフェいわてでありますとか、地域ジョブカフェということで県内には若年者の職支援をするような機関がありまして、若者の県内定着、県内就業の促進というような強力に進めていかなければならないというところもございますので、その方策と併せて役割分担、その中で人数等も検討していく必要があると思っておりまして、増やすというようなところまではまだ決定しているところではありません。その役割分担の中で効果的に活動していただけるような仕組みを考えていきたいと思っております。
また、その方たちの成果というところでございますが、本当に昨年以降、一番やはり高校生の就職支援に大きくかかわっていただいておりますので、今年の3月卒業した69.0%というところが一番の成果なのかなと、あとはそこに至るまでの各学校での企業ガイダンスであるとか、若手社員の交流会の先生方との調整、企業との調整というところでも大きな役割を果たしていただいておりますので、そういう目に見えないところも含めての成果、そして最後の県内就職率というところがあると考えております。
(千田委員)
U・Iターン就職支援が目標値をずっと超えているなと思っていたんですが、29年度が6897件ということで、30年度が4000件減っていることになっているんですが、これは何が原因となっていたか。
(菊池定住推進・雇用労働室長)
29年度の実績6897件についてですが、ジョブカフェいわての方から登録されている方に一定のメールでの情報提供ですとか、情報配信したものを含んだ形で統計を取っていたものですから、それが評価としてはいかがかということで、翌年にはそこをカウントしない形で改めて評価するものとしたものです。
(千田委員)
そうすると、実態に合った形の数字が30年度にやられたということですね。
二つ目ですが、U・Iターンの支援と移住・定住促進のために、商工労働観光部に「定住推進・雇用労働室」を設置したという話がありましたが、今までやられてきた事業と、労働室の役割分担といいますか、どういう状況にあるかお聞きします。
(菊池定住推進・雇用労働室長)
U・Iターン支援と移住・定住促進の一体的な推進ということでございますが、移住・希望者が移住の検討するにあたりまして、重視すること、その主な事項として、やはり移住先での安定した仕事ということがあげられることなどから、U・Iターンの促進を含む雇用施策を担う商工労働観光部において移住・定住に関する業務を一元的に推進するということとしているところです。
U・Iターンと移住・定住の一体的な推進に向けましては、本年度から東京事務所の方に特命課長を駐在させまして、東京の二つの相談窓口、「岩手県U・Iターンセンター」と「いわて暮しサポートセンター」の二つを統括できる体制をとりまして、従来は県のU・Iターンセンターのみで行っていた無料の職業紹介、こちらについてもう一つ、いわて暮しサポートセンターで可能となる体制を整備するなど、どちらの窓口でもワンストップで同じ情報で同じアドバイス、支援が受けられるというような体制を整えたところです。
また、移住促進に向けた情報発信ですとか、また首都圏で開催する移住・定住の関連イベント、こちらの開催におきましては、従来は岩手暮らしの魅力ですとか、先輩移住者等をゲストスピーカーに招いた講演とかですね、そういった従来型の内容に加えまして、今回、雇用とU・Iターンと一体ということで、例えば労働局と連携した形で県内の求人情報を持って仕事の相談を受けるブースを一緒に設けるとか、今までのものにプラスして仕事と岩手の魅力というものをセットで情報発信していくという形で移住・定住、U・Iターンの支援ということを一体的に取り組むこととしております。
(千田委員)
本県の雇用情勢でありますけれども、震災関連復興需要や企業の生産活動の活発化してきたことによって、かなり改善している状況はありますが、北上川流域における新たな雇用の大幅な増加に対応することが必要ですし、それから正規雇用をもっと増やしていただきたいと思いますし、安定的な雇用への移行を引き続き重点的に取り組んでいただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(西野雇用推進課長)
正規雇用の拡大及び安定的な雇用の移行でございますが、まず岩手県の正規雇用者の状況から紹介させていただきますと、総務省の平成29年の就業構造基本調査によりますと、県内の労働者53万1600人のうち、正規の社員で働いている方は34万1800人、64.3%と、平成24年の前回調査に比べまして1万3000人ほど増加、1.9ポイントほど上昇しているところでございます。
県では、正規雇用の拡大や安定的な雇用の移行に向けて、岩手労働局などと連携して県内の経済団体に非正規社員の正社員転換などの取り組みについて要請しているところでございますし、また、国では非正規社員を正社員に転換する場合に、事業主の方に助成金を支援するということを行っておりまして、これによりまして県内で正規雇用に転換した社員数は、平成28年度から平成30年度の3年間で1712名となっております。助成金を活用した方ということなんですが、人口減少が進み、その一方では産業集積が進む状況下においては人材確保をしていくためには、この雇用の質というものを高めなくてはならないと、生産性の向上と雇用の質というものは不可欠だと考えております。
県におきましても、雇用情勢がいいタイミングを活用して是非、正規雇用、安定的な雇用の体制が進むよう国と連携しながら正規雇用の拡大にとり組んでまいりたいと考えております。
(千田委員)
28年度から3年間で助成金を使って1712名が正規雇用になったと、これはこれで素晴らしいことだと思いますが、今答弁あったように、是非いろいろ関係機関とも連携しながらこの比率をもっともっと高めていただいて、できれば震災前の状況まで持っていってもらうようにお願いをしたいと思います。
2.被災事業者への支援について
(千田委員)
被災事業者への支援で一点お聞きします。
東日本大震災の被災者のことですが、被災事業者の事業の再建や経営の安定、経営力向上等の取り組みを効果的に支援するため、各商工団体等が行う被災事業者の復旧、復興支援事業にさまざま支援をしてきたというふうに思いますが、これまでの実績はどのような状況にあるでしょうか。
(関口経営支援課総括課長)
各商工指導団体が行う被災事業者の復旧・復興支援事業についてでありますが、復興局が行っている被災事業者復興状況調査では、被災事業者の経営課題として、顧客、取引先の減少または販路の喪失、業績の悪化等があげられているところであり、こうした課題に対応するため、各種復興団体等が被災事業者の各種相談対応や、専門家派遣などを行っているところでありこれらの支援を重層的に展開するため、県では必要な予算を確保し被災事業者の経営安定や経営力向上等に向けた取り組みを進めてきたところであります。
平成30年度に補助金を交付した各商工団体等では、支援専門員を配置しての相談対応や専門家派遣による支援を行い、支援専門員による相談対応については実施した5団体合わせて1297件、専門家派遣については実施した3団体合わせて904件となっております。
県では商工指導団体による支援の取り組みが、事業者の販路開拓や収益改善生産性向上などにつながっているものと認識しており、引き続き各商工団体と連携し被災事業者の持続的事業展開を支援してまいります。
(千田委員)
グループを含めて2000件以上の相談に対応してきたと、これは本当に素晴らしいことですし、被災事業者を本当に励ましてきたと思います。様々な業績を上げるための支援とかやってきて、その評価というものがなかなか難しいと思いますが、例えば販路の開拓でこういう実績があるとか、何か図る尺度はないでしょうか。
(高橋参事兼産業経済交流課総括課長)
被災事業者の支援ということで、販路の拡大というところでございますけども、これまでも様々被災事業者の支援ということで、一つは業として商品を作ったりとかそういった部分の支援ですとか、作るところのアドバイザーの支援ですとか、専門家を入れたりとか、特に販路の拡大というところにつきましては、盛岡の方でも商談会の開催ですとか、様々岩手の被災事業者が頑張って作った商品をなんとか応援したいというバイヤーさんの方々もいらっしゃいますので、そういった方々を現地に来ていただいたりとか、今年は特に三陸復興プロジェクトなどもございまして、それに合わせてバイヤーの方も沿岸の方も回ったりとかそういったところがございますので、東京での商談会、それから名古屋・大阪もありますけども、そういったところで様々な支援を行っているところでございます。
3.自動車・半導体関連産業の集積促進について
(千田委員)
引き続きよろしくお願いいたします。
最後の質問になりますが、自動車・半導体関連産業の集積促進についてお危機をいたします。地場企業の半導体関連取引成約件数が80件の目標に対して、約倍まで達しているわけですが、どういう状況にあるのかその実態についてお知らせください。
(十良澤ものづくり産業振興課長)
地場企業の半導体関連取引成約件数についてでございますけども、ただいま委員からお話がありましたとおり、平成30年度は平成24年度から4年間の累計目標である80件に対し、実績が154件と目標を大きく上回ったところでございます。
なお平成30年度の単年度の成約件数は、目標の10件に対して29件となっておりますけども、この大半が半導体関連の国内最大級の展示会であります、セミコンジャパンに出店した県内企業5社による成約件数となっております。目標を上回った理由といたしましては、近年AIやIOTなど、半導体を活用した最先端製品の普及が加速したことを背景として、世界の半導体製品の市場が急激に拡大してきており、産学行政で組織する岩手半導体関連産業集積促進協議会ではこれを絶好の機会ととらえまして、県内企業の出展を強力に推進した結果、出展企業の優れた技術が世界中の半導体関連企業から評価されたことがこのような成果につながったものと考えております。
(千田委員)
さらに自動車関連産業創出推進事業がありますけども、その中で工程改善研修の参加企業が10社の目標に対して20社、そしてすごいと思ったのは、そのすべてに改善効果が表れたという記載があったわけですが、どういう状況にあるんでしょうか。
(小野自動車産業振興課長)
自動車関連産業創出推進事業の工程改善研修の効果についてでございますが、この事業は岩手産業振興センターに自動車関連企業のOB人材をアドバイザーということで配置をいたしまして、県内企業を対象といたしまして座学や実践を通じて、自動車産業の強みである生産工程改善の知識、ノウハウ等の習得を促進いたしまして、品質向上やコスト削減など競争力の強化を図ることを目的としまして、平成16年から継続して取り組んできたものでございます。
平成30年度でございます、対象企業を当初10社ということで計画をしてございましたが、 意欲のある企業からの要望を受けまして最終的には20社対象ということで実施したところでございます。
各企業の課題に応じまして改善のテーマは異なるわけでございますが、事業終了時点での聞き取りによりますと、作業時間の短縮であるとか、生産能力の向上であるとか、いずれも現場の具体的な効果があったということで、高い評価を頂戴したところでございます。
(千田委員)
このような成果が上がると次に参加を広げることにつながると思いますので、これからもっと広がる可能性があるというふうに思いますが、どのように見ていらっしゃいますか。
(小野自動車産業振興課長)
年々研修の参加企業が増加してございまして、非常に口コミ、あるいは成果を出しているところがモデルとなりまして広がってきているというふうに考えてございます。幅広くできるだけの企業にチャレンジをしていただきたいと考えてございますし、自動車ものづくり産業だけではなくて、幅広い県内企業様々な産業にも適用のできるノウハウかと考えておりますので、今後も積極的に県としても取り組んでまいりたいと考えてございます。
(千田委員)
情報関連産業競争力強化事業で取引あっせんが30件の目標に対して10倍以上の325件とありました。この事業の取り組みの現状と今後の見通しについてお聞きをいたします。
(十良澤ものづくり産業振興課長)
情報関連産業競争力強化事業でございますけども、県では本県情報関連産業の競争力強化を図るため、本事業を活用して県外企業との個別商談会等を通じた取引拡大支援や、組み込むソフトウェア技術に関する高度人材の育成支援に取り組んでいるところでございます。
取引拡大支援につきましては、平成30年度におきましても岩手産業振興センターが行う取引あっせん事業に補助を行ったところでございまして、個別商談の実績としましては、県外企業を本県に招いて開催したビジネスマッチング交流会に15社が参加し延べ111件の商談が行われた、また県内企業5社が各種展示会に出展し延べ214件の商談が行われるなど、全体として325件と目標を大きく上回る結果となってございます。
これは、これまで培ってきた県内情報関連企業の技術力が高く評価されたことと、岩手産業振興センターによる積極的なマッチングによるものと考えてございます。本県情報関連産業は県外企業の拠点設置や業務拡大が進んでおりまし、県といたしましては引き続きこのような企業と、技術の向上に取り組む県内企業とのマッチングによる取引拡大を促進するとともに、情報関連産業を支える人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。