2019年12月5日 12月定例県議会本会議
千田美津子県議の議案に対する質疑(大要)


・部局等設置条例の一部を改正について

(千田美津子議員)
 日本共産党の千田美津子です。議案に対する質疑を行います。
 議案第4号は岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例であります。今回の改正は、秘書広報室及び政策地域部を再編し、政策企画部とふるさと振興部を設置するというものであります。改正の趣旨として、「いわて県民民計画」の着実な推進、新たな県政課題や県民ニーズに対応した分野横断による、切れ目のない政策展開などをうたっておられますが、今回の再編により期待される効果はどういうものがあげられるのか、またふるさと振興部の新設により、より具体的、積極的な県民へのメッセージともなるのではないかなと考えますがいかがでしょうか。併せて再編による人的体制はどのようになるのかお聞きします。

(八重樫総務部長)
 まず本庁部局の再編についてでありますが、新たに設置する政策企画部においては、総合的な政策立案・評価等にかかる業務を担い、これに注力した体制とすることにより、迅速で的確な政策形成を図るなど、政策立案・調整の充実を図ろうとするものであります。またふるさと振興部においては、人口減少や少子高齢化が進展するなか、持続可能な地域社会の構築に向け三つのゾーンプロジェクトをはじめとする、地域振興施策を展開していくため体制の強化を図ろうとするものであります。今回の本庁部局の再編により、本県を取り巻く環境変化を踏まえた機動的扇動的な政策を企画、立案し、分野横断的な取り組みのいっそうの展開により、「いわて県民計画2019〜2028」に掲げる政策の実効性を高めていきます。
 次にふるさと振興部の設置についてでありますが、実効性のある地域振興施策を推進していくためには県民をはじめ市町村や関係団体企業など、県内外の多様な主体との連携・協働の一層の推進が重要であります。このため新たに設置するふるさと振興部が中心となって、市町村等と緊密に連携を図りながら県民や岩手ファンなどを含む、本県に関わりある人々の様々なニーズに応えることができるよう地域振興施策を強力に推進していく考えであります。
 次に再編後の体制についてでありますが、政策企画部及びふるさと振興部の具体的な体制については現在検討中でありますが、主な見直しとして、政策企画部については秘書課、広聴広報課の他、総合的な政策の企画立案・調整・評価等の業務を所掌する政策企画課を置く方向で検討しています。またふるさと振興部については、全県にわたる地域振興や県央・県南地域の振興を願う地域振興室を設置するとともに、県北・沿岸地域の振興を担う県北沿岸振興室を設置し、この2室で三つのゾーンプロジェクトなどを推進する方向で検討しております。

・人事委員会勧告に基づく職員給与等の引き上げについて

(千田美津子議員)
 二つ目ですが、議案第7号議案、議案第15号は人事委員会勧告に伴う職員の給与等の引き上げに関する条例等の一部を改正する条例であります。
 まず、議案第7号の一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例でありますが、今回の条例改正は人事委員会勧告に伴い、6年連続の給与等の引き上げとなるものではありますけれども、若年層に重点を置き、初任給は大卒で1,500円、高卒で2,000円の引き上げとなり、また通勤手当の支給限度額を35,000円から49,300円に改定しようとするものであり、基本的に給与の引き上げには賛成するものであります。しかし今回の勧告は行政職給料表適用者5,014人のうち、改定される方は1,474人、29.4%であり、改定されない方、改定なしは3,540人、70.6%となっており、昨年に続く生活改善には程遠い低額勧告でございます。また一時金の改定が見送られ、国との格差が0.05ケ月生じることとなりました。
 また、議案第15号は市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例でありますが、今回の勧告による条例改正によって、市町村立学校職員の給与改定はどの程度となるのかお聞きをいたします。さらに今回の人事院勧告に伴い、医療局や企業局、教育委員会全体ではどのような状況となるのかお聞きをいたします。またこの間の給与引き上げの状況はどうなっているか、さらには、この間退職手当も大幅な引き下げとなっておりますが、今回の改定によりピーク時と比べてどのような状況となっているのかそれぞれお聞きいたします。
 また人事委員会勧告では、長時間勤務の解消や両立支援の推進、心身の健康管理、高齢層職員への対応等、引き続き適切な対応が必要と指摘しておりますが、どのような状況となっているのかお聞きをいたします。

(八重樫総務部長)
 市町村立学校教職員の給与改定の状況についてでありますが、県が給与費を負担する市町村立学校職員について、今回の給与改定を行った場合、給料月額の引き上げ改定の対象となる職員は平成31年4月1日時点の職員の在職状況をもとに算定した場合、7487人中1346人、職員全体の約18%となります。
 次に医療局、企業局、教育委員会の給与改定の状況についてでありますが、今回の給与改定を行った場合、給料月額の引き上げ改定の対象となる職員は平成31年4月1日時点の職員の在職状況をもとに算定した場合、医療局では5045人中2007人、全体の約40%、企業局では141人中41人、全体の約29%、県立学校、市町村立学校、事務局等含めた教育委員会全体では11715人中2172人、全体の約19%となっています。
 次に給与改定及び退職手当の状況についてでありますが、平成26年度から平成30年度まで5年連続で給料月額及び期末勤勉手当の引き上げ改定を行ってきており、今回の給与改定を含めて試算した場合、40歳の主査級の職員を例に平成26年度の給与改定前と今回の給与改定後の給与額を比較すると、年収ベースで約22万円の増となります。また退職手当については、行政職5級の主任主査級で定年退職をする職員を例に平成11年度の給与改定前である平成10年度末に退職した場合と、今回の給与改定後に退職する場合を試算して比較すると約519万円の減となります。
 次に人事委員会の報告への対応についてでありますが、一点目、長時間勤務の解消については超過勤務の縮減に向けて、これまでも事前命令と事後確認の徹底や弾力的な事務分担の見直しなど、業務の平準化の推進、業務支援の積極的な活用などに取り組んでいます。
 また働き方改革推進強化月間の実施の他、今年の8月から出張中の職員や育児介護を行う職員などが所属以外で執務が行うことができるよう、県庁舎と東京事務所にサテライトオフィスを設置し業務の効率化や職員のワークライフバランスを推進しています。さらに今年度においても特別募集の実施や任期付き職員、再任用職員の募集など、必要な人員の確保に努めており、県としては引き続きこれらの取り組みを一体的に進めながら超過勤務の一層の縮減に取り組んでまいります
 2点目、仕事と生活の両立支援の推進については、県では「いわて県民計画2019〜2028」の行政経営プランに基づき、仕事と家庭の両立ハンドブックの活用や、子育て支援セミナーを通じた子育て支援制度の周知、育児支援シートを活用した所属長との面談による育児休業等の取得奨励、子育て介護等の個人事情に基づく時差通勤制度の実施等に取り組んでいます。こうした取り組みにより男性職員の育児休業取得意識は高まっていますが、育児休業等の取得率については平成30年度においては90%を超えているものの、目標値の100%には届かない状況であり、子育て支援制度のより一層の周知や多様な働き方ができる職場環境づくりを進めていく必要があります。このため引き続き子育て支援セミナーによるによる制度周知の他、働き方改革推進強化月間による休暇の取得促進、正職員による代替職員の配置、令和3年4月の庁内保育施設の設置などを通じて仕事と生活の調和がとれた職場環境づくりに取り組んでまいります。
 3点目、心身の健康管理については、これまでも全職員を対象にしたストレスチェック、長時間労働による健康障害防止のための保健指導、産業医、精神科嘱託医、臨床心理士等による個別面談相談などを実施し、職員が心身の健康を保てるよう支援しているところであります。今後も職員個々の置かれた状況に応じて、必要な対策をきめ細かく展開し職員の健康管理に努めてまいります
 4点目、高齢層職員への対応については、これまで高齢層職員の勤務意欲の確保やワークライフバランスの確保という観点から、配偶者や父母の看護や、介護のために使用する休暇の対象範囲の拡大などの勤務条件面での対応を行ってきているところでございます。また能力、意欲のある職員の上位職への任用、本人の希望に配慮した人事配置、若手職員の育成指導頭の役割に対する適正な評価等を行ってきたところであり、引き続きこれらの取り組みを進め高齢層職員の勤務意欲の確保に努めてまいります。

・工事の変更請負契約について

(千田美津子議員)
 次に議案第17号から第18号、議案第20号から第21号は変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
 この4件を一括してお聞きをいたしますが、議案第17号は一般国道340号(仮称)今泉大橋下部工第2工区工事の変更請負契約であります。今回は6回目の変更になっておりまして、地盤に堅固な転石が確認されたことによる変更というものでありますが、この工事も今年になって1月には第4回目、そして3月には第5回目の変更がなされてまいりました。そして今回が今年3回目の契約変更となるものであります。
 議案第18号は大船渡港跡浜地区海岸防潮堤他工事の変更請負契約であります。今回の変更は詳細設計の結果、道路の嵩上げ方式から直立式防潮堤に変更し、さらには詳細な地質調査の結果、基礎杭の打設に係る施工効率が低下するため、更なる費用の増加が必要というものであります。しかし今年の2月には第4回目の変更がなされており、当初より45.3%増の15億円の工事が追加されております。今回の変更契約は前回の議決からさらに26.5%増、約13億円もの工事費の増となり当初契約額の1.8倍、61億5000万円の契約金額の工事となっております。
 議案第20号は盛川筋塩場地区河川災害復旧他工事の変更請負契約であります。今回の第6回目の変更は防潮堤構造の変更等による21億円もの増工事であり、当初から33億円増、実に54.6%増の約95億円の契約金額となるものであります。しかも前回の第5回の変更は今年の3月22日に防潮堤の仮設排水路の増設をいたしております。
 議案第21号は大船渡港清水地区対岸災害復旧工事の変更請負契約であります、今回の変更は平成26年の当初議決からなんと第14回目の変更であります。詳細な地質調査の結果により、防潮堤構造及び基礎杭打設工法の変更をしようとするものでありますが、今年の3月25日には第12回目、そして3月28日には第13回目の約10億円の変更契約が既に行われております。契約変更は頻繁に行われた結果、当初14億4700万円の工事が今回の変更により約4.9倍の約72億円の契約金額に増えております。私は、これはあまりにも異常としか思えません。
 これら4件の変更請負契約については、これまでも早期の工事の着手を目的として、標準断面図等による発注方式を採用してきたことにより、当初想定できなかった工法の変更等があったなどと説明されてまいりましたが、復旧工事もいよいよ今年度、あるいは来年度の完成となる状況下にあって理解しかねる状況があります。
 今回の変更内容について改めて説明を求めると同時に、今後の変更契約についてはどのような見通しを持っておられるのかについてもお聞きをいたします。

(八重樫県土整備部長)
 まず一般国道340号(仮称)今泉大橋下部工第2工区工事の変更内容についてですが、当該工事は(仮称)今泉大橋の橋台1基と橋脚2基を新設するものでありますが、工事費が増額となる主な理由については、詳細なボーリングによる地盤調査の結果、地中に非常に堅固な岩盤が確認され基礎杭の打設費用が増高したこと、施工地盤内に堅固な転石が確認され、仮締切鋼矢板の打設工法をより高度な工法に変更する必要が生じたことでございます。当該工事につきましては詳細な調査は終了しておりまして、今回提案いたしました内容により完成に向けたで進めていくことができるものと考えております。
 次に大船渡港跡浜地区海岸防潮堤他工事についてですが、当該工事は大船渡市跡浜地区に防潮堤を整備するものでありますが、前回議決いただきました後に工事費が増額となる主な理由につきましては、地元との調整を踏まえ、当初計画では津波で守られなかった県道を守ることができるように防御ラインを再検討した結果、防御する県道の区間に直立式の防潮堤を新たに設置することとしたこと、詳細な地質調査の結果、当初の想定より浅い位置から堅固な岩盤が深部まで確認され、その範囲の基礎杭の打設にかかる施工効率が低下したことから打設費用が増高することであります。当該工事につきましても概ね詳細な調査は終了しており、今回提案いたしました内容により完成に向けて進めていくことができるものと考えてございます。
 次に盛川筋塩場地区河川災害復旧他工事についてでありますが、当該工事は先ほどの跡浜地区から盛川までの府金地区と盛川左右岸の防潮堤を整備するものでありますが、地元との調整を踏まえ防御ラインの変更を行うものであり、工事費が増額となる主な理由とつきつきましては、生コンの供給不足により擁壁工を現場打ちコンクリートから2次製品に変更したこと、市道の付け替えに伴い発生する汚染土壌を処理したこと、詳細な地質調査の結果や詳細設計によりまして防潮堤の仮排水路を増設をしたもの、同じく防潮堤の施工ヤードの確保が困難であったことから、防潮堤については難易度の高い条件に対応可能な回転圧入工法を用いて鋼管杭を基礎とする自立式構造としたもの、同じく市道の付け替え盛土のための軟弱地盤の改良範囲の追加が必要になったことであります。当該工事につきましては詳細設計によりまして、防潮堤の構造及び工法は決定したところであり、今回提案いたしました内容により鋭意完成に向けて進めてまいります。
 次に大船渡港清水地区海岸災害復旧工事についてでありますが、当該工事は大船渡市清水地区に防潮堤を整備するものでありますが、前回議決を頂いた後に工事費が増額となる主な理由につきまして、詳細設計の結果、津波の影響を避けるため防潮堤と一体構造であった避難階段を防潮堤と分離した構造に変更したもの、それから同じく新設する防潮堤の南側にある既存の護岸と一体となり寝食を防御する矢板護岸工を追加したもの、それから詳細な地質調査及び詳細設計を行った結果、施工ヤードの確保が困難であることや、地中の転石等に対応する必要があることなどから難易度の高い条件に対応可能な回転圧入工法を用いた鋼管杭を基礎とする自立式構造としたものでございます。また平成25年度の当初発注においては、早期の復旧復興を図るためいわゆる標準断面等による発注方式による発注契約したものでありますが、その後の詳細な調査や設計等の結果を踏まえ、当初想定し得なかった状況に対応する必要な工法の採用等、十分な精査を行った上で変更契約を提案させていただいているものであります。特に当該工事につきましては防潮堤前面の侵食防止のための矢板護岸やその施工に必要な仮桟橋の追加、さらに契約後の地元調整により防潮堤を乗り越す漁業者が利用する道路の整備が必要となるなど、当初設計では想定しえなかった必要な経費が発生したことに加えまして、地形条件的に施工ヤードの確保が困難でありありましたことや、詳細な地質調査等により明らかとなった地中の転石等に対応するために、難易度の高い条件に対応した鋼管杭工法を採用せざるを得ず、工事費が増高したものでございます。当該工事につきましても概ね詳細な工事は調査は完了しておりまして、今回提案した内容により完成に向けて進めて行くことができるものと考えてございます。

<再質問>

・変更請負契約について

(千田美津子議員)
 ただいまの変更請負契約については、震災による同時多発の広範な地域を早く進めるという点で様々な苦労があったと思います。そういう点ではやむを得ない部分だとは思っておりましたけども、やはり普通の感覚でなぜなのかという疑問が湧いてきましたので、いずれ詳細な調査が終わってるということでそれで進めて頂きたいなとは思っております。

・給与勧告について

(千田美津子議員)
 1点だけ、人事院勧告に伴う対応でご答弁いただきましたけども、やはり気になるのは今回の勧告によって引き上げとなる職員があまりにも少なすぎるということが問題だなと思っております。行政職で29.4%、市町村学校職員で18%、一番高くて医療局の40%、企業局では29.1%、教育委員会では18.5%というということで、全体にならしても24%程度というということで、中高年層など全体にいき渡るそういう引き上げとなるのであればいいなと思うんですけども、今年の勧告によって昨年水準を下回っているんですね。ですからこれは本当に問題だと思っておりますし、また今年は消費増の増税もありましたので、これらを勘案すると実質赤字となってしまうわけですね。ですからこの点が気にかかります。それから県内市町村や県民に与える影響も大きいということでこれらについてはどのようにお考えでしょうか。

(八重樫総務部長)
 今回の給与勧告につきましてはまさに若年層についての給与改定、さらには通勤手当の引き上げということで、通勤の限度を90kmまでというふうな手当の引き上げもしたところでございます。
 なお高齢層職員、今回給与の引き上げとならない職員等につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、そうした高齢層職員の勤務意欲確保、あるいはワークライフバランスの確保を図って行くという観点で先ほども申し上げましたが、勤務条件での対応であったり、上位職への任用あるいは人事配置等々、そういった取り組みを進めて高齢層職員の勤務意欲確保に努めていきたいという考えでございます。