2020年2月27日 2月定例県議会本会議
千田美津子県議の一般質問(大要)


【千田議員】
 日本共産党の千田美津子でございます。県民のいのちとくらしを守る課題について、お聞きしますので、よろしくお願いいたします。

1.東日本大震災津波からの復興と被災者支援について

(1)災害公営住宅のコミュニティ支援について

 東日本大震災・津波から9年が経過しようとしていますが、被災者の状況は、1月末現在、応急仮設住宅等には374世帯(889人)が未だに不自由なくらしを余儀なくされております。災害公営住宅には、5,009世帯(8,872人)が入居しておりますが、災害公営住宅に入居している高齢者を含む世帯は 58.6 %、一人暮らし世帯は33.6 %となっており、入居者の高齢化と生活苦が進行し、孤立化・孤独化が進行しています。このような中、孤独死は仮設住宅で46人、災害公営住宅で50人、合計96人です。災害公営住宅における孤独死は、平成29年は6人でしたが、30年は18人、そして昨年も16人となっており、孤独死が急増している事は重大です。
 独り暮らし高齢者の見守りとコミュニティ支援の抜本的な強化・確立が急務だと考えます。しかし、災害公営住宅の集会室の使用は月2回から5回程度に止まり、コミュニティの拠点としての役割が十分に果たされておりません。せめて50戸以上の災害公営住宅には複数の生活支援相談員を配置し、見守りとコミュニティ支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

【達増知事】
 まず、災害公営住宅のコミュニティ支援についてでありますが、災害公営住宅への入居が進む中で、65歳以上の一人暮らし高齢者世帯が入居者の約3割となっており、災害公営住宅における見守り体制の一層の充実が必要と考えています。
 本県においては、市町村社会福祉協議会に配置した生活支援相談員が、民生委員や市町村が配置する支援員等と連携しながら、応急仮設住宅や災害公営住宅等に居住している被災者への見守りなどの個別支援や、住民相互に支え合うコミュニティ形成の地域支援の両面に取り組んできたところです。
 また、今年度からは、災害公営住宅等での見守りやコミュニティ形成支援を重点的に行うため、生活支援相談員がより身近なところを拠点として活動できるよう、県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会と連携し、3市町において、生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や地域の空き家に配置しており、他の市町村においてもこうした取組の実施を働きかけてきたところです。
 令和2年度においては、5市町で実施される見込みであり、県としては、相談員の配置や拠点の設置に係る経費を支援するとともに、引き続き、取組の拡大を市町村に働きかけ、被災者が地域で孤立を深めることのないよう、被災者一人ひとりに寄り添ったきめ細かな支援に努めていきます。

(2)災害公営住宅の家賃軽減対策―県・市町村の独自の家賃軽減策について

【千田議員】
 次に、家賃の軽減対策についてお聞きします。
 災害公営住宅の家賃は、入居後10年間、入居者の所得に応じ減免されますが、6年目以降は段階的に通常家賃に引き上げられるため、住みなれた住宅に住み続ける事が出来なくなるとの悲鳴が上がっており、県・市町村の独自の家賃軽減策の周知と活用の徹底が必要ではないでしょうか。

【八重樫県土整備部長】
 県・市町村の独自の家賃軽減策についてでありますが、国の東日本大震災特別家賃低減事業では、災害公営住宅の世帯の収入が8万円以下の場合、収入に応じて、入居から5年間一定額の低減措置がなされますが、6年目以降は 段階的に引き上げられ、11年目からは通常の家賃が適用されます。
 また、県や市町村の独自減免制度は、世帯の収入に応じて、国とは異なる県及び市町村それぞれ独自の減免率により、低減を行っているものであり、入居年数によっては、国の低減措置よりも低い家賃となる場合があります。
 こうしたことから、県では、災害公営住宅入居世帯に対して、各世帯が国の特別家賃低減事業と県の独自減免制度とを比較 して、より低廉な家賃を選択できるよう、入居時と入居5年目以降、毎年度、県の独自減免に関するチラシを送付し周知を図っているところでありまして、また、市町村においても、入居者説明会などの機会を捉えて周知を図っていると承知しております。
 県の独自減免の適用に当たっては、災害公営住宅入居世帯の方からの相談や申し出を頂く必要があることや、今後、入居から5年が経過する入居世帯が増えてきますことから、よりわかりやすいチラシを作成し、お知らせするなど、さらに効果的な周知に努めて参ります。

・「みなし特定公共賃貸住宅」制度の導入について

【千田議員】
 また今、復興とコミュニティづくりの担い手となっている自治会長などが収入超過者となっている例も多々あります。そのため、先日訪問した陸前高田市では、空き家となっている市営住宅の一部を「みなし特定公共賃貸住宅」とする制度を導入し、中堅所得層の居住に供する取り組みを始めています。これは、民間の賃貸住宅が不足しており、災害公営住宅に入居している中堅の所得層(所得が月15万8千円以上48万7千円以下)の家賃負担が大きい事を受けての措置で、子育て世代の若年層やU・Iターンの住居ニーズへの対応としても歓迎されています。
 私は、県としても、このような新たな制度の導入を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【八重樫県土整備部長】
 「みなし特定公共賃貸住宅」制度の導入についてでありますが、県では、沿岸部における民間賃貸住宅が不足していることに鑑み、災害公営住宅の入居世帯が収入基準を超過した場合でも、引き続き入居していただくことが可能としています。
 また、入居後3年が経過した後、収入基準を超過している世帯については、当該住宅 の建設費を基に算定される家賃が適用されますが、復興事業の集中による建設費の上昇などによりー部の団地では高額となることから、入居者間の公平性を確保するために家賃の上限を設けて超過分を減免することとしています。
 陸前高田市が行っている中堅所得者向けに市営の災害公営住宅の一部を提供する、いわゆる「みなし特定公共賃貸住宅」の導入に当たっては、●国と協議により、一般公営住宅としての活用が認められた上で、●空き住戸の状態が継続していること、●また、それぞれの市町村内に、中堅所得者向けの賃貸住宅が不足していることなど、公営住宅の本来の趣旨が保たれるような活用が要件とされております。
 県管理の沿岸の災害公営住宅におきましては、昨年8月から今月の14日まで、全県を対象とした3回の追加募集を行い、現在、3回目の応募の審査中でありますが、その結果により、県内全域において被災されて方々の入居に対応できているかどうかを判断しまして、空き家の一般募集の具体化を検討したいと考えております。
 県による、みなし特定公共賃貸住宅の制度の導入につきましては、一般公営住宅としての運用を開始した後、入居者のニーズや市町村の意見等も参考にしながら検討を行ってまいりたいと考えております。

(3)水産加工業への支援について

【千田議員】
 次に、水産加工業への支援について、お聞きします。
 昨年の産地魚市場における水揚げ量は、震災前の58%(10万3千トン)、水揚げ金額は64%(150億円)となっており、サケ・サンマ・スルメイカなど主要魚種の大不漁と原材料不足などにより、水産加工業は、危機的状況にあります。これら水産加工業の再建と営業の継続を支援する事はいま特別に重要な課題となっています。
 原材料の確保対策、新商品開発や販路拡大、経営的な支援などの強化が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【戸舘商工労働観光部長】
 まず、水産加工業への支援についてでありますが、原材料の確保対策については、主要魚種の資源回復をはじめ、新たにサケ、マス類の海面養殖試験の支援や、サバやマイワシを漁獲するまき網船の誘致などに積極的に取り組んでいるところであります。
 新商品開発については、魚種の変更や、マーケットニーズに対応した付加価値の高い商品づくりを、国や関係機関、専門家等との連携により支援しているところであり、例えば、この2月からは、岩手県産株式会社のプライベートブランド商品であるサバ缶の新シリーズが販売されているところであります。
 販路拡大については、新たに開発した商品を中心に、県内外での商談会の開催や大手量販店でのフェア開催、沿岸部へのバイヤー招聘などにより支援しているところでありまして、今年度開催いたしました商談会における水産加工業者の出展者数は、前年度より2者多い34者となり、盛岡での商談会成約率は、前年度より5.9ポイント高い65.3%となっているところであります。
 経営面での支援につきましては、商工指導団体等に配置している経営支援スタッフによる巡回相談や専門家派遣による事業計画策定支援のほか、金融機関と連携した中小企業東日本大震災復興資金貸付金等により運転・設備資金を融資しているところであります。
 今後におきましても、こうした取組をさらに充実させるとともに、カイゼンの導入による生産性の向上や関係機関と連携した経営・金融の両面からの支援によりまして、持続的な水産加工業の振興を図ってまいります。

(4)被災者の心のケアについて

【千田議員】
 次に、被災者の心のケア、子どもの心のケア対策についてお聞きします。
 子どもの心のケアの受診件数は、年々増え続けているようですが、実態はどうなっているでしょうか。また、大人の心のケアの相談件数はどうなっているでしょうか。
 知事は、これらの実態と原因をどのようにとらえているでしょうか。また、こころのケアは、引き続き中長期にわたって取り組むべき課題でありますが、今後の取り組みの見通しについてお聞きします。

【達増知事】
 被災者の心のケアについてでありますが、平成30年度のいわてこどもケアセンターの延べ受診件数は7,900件、こころのケアセンターの相談支援件数は7,397件で、いずれも高止まりとなっています。
 被災地においては、ハード面の整備が進む中、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が複雑化、多様化しており、被災者や被災児童は、震災そのものによるストレスに加え、その後の転居など環境の変化、被災生活の長期化に伴うストレスを受けているものと考えられます。
 復興の進捗に対応した心のケア対策については、中長期的な取組が必要と認識しており、国からも、先般、復興・創生期間後 5年間の事業延長と、その後の支援のあり方を検討することが示されたところです。
 県としては、引き続き見守り活動等と連携した相談・診療体制を堅持し、被災者の状況に応じた心に寄り添った支援を継続するとともに、専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高め、子どもや被災者の心のケアに取り組んでまいります。

(5)被災市町村の人材確保について

【千田議員】
 次に、被災市町村の人材確保について、お聞きします。
 復興事業の継続のために派遣されている応援職員は、今年度は県内外から必要数421人に対し397人が派遣されています。また、来年度の応援職員の必要数は、陸前高田市の98人始め、釜石市の84人等330人となっています。これら被災市町村における人材確保は、復興事業を継続して行く上でも重要であります。どのような見通しを持っておられるかお聞きします。

【白水政策地域部長】
 まず被災市町村の人材確保についてでありますが、来年度の応援職員の必要数については、現時点において330名程度と見込んでいます。
 全国的に災害の発生が続いている状況ではありますが、これまでと同様、全国の自治体の人事担当者等を対象とした県内沿岸被災地の視察の実施や、被災三県合同による各都道府県、市長会、町村会等を直接訪問しての要請活動を通じて引き続き理解を求めているところであります。
 また、県内の内陸市町村に対しても、継続的な人的支援について協力を依頼するなど、来年度においても、復旧・復興事業を着実に進めていくために必要な応援職員が確保されるよう、しっかりと取り組んでまいります。


2.2019年台風第19号災害及び2016年台風第10号災害からの復旧・復興と被災者支援について

(1)住宅再建と住宅確保について

【千田議員】
 昨年の10月12日から13日にかけて沿岸部を直撃した台風第19号は、東日本大震災津波と2016年の台風第10号災害からの復興途上での災害となりました。1月20日現在、死者3名、重軽症者7名、住家被害は全壊46世帯、半壊833世帯、うち大規模半壊54世帯、一部損壊1113世帯、床上浸水42世帯、床下浸水912世帯に及ぶ甚大な被害となり、このうち震災と合わせ二度目の被災となったのが26世帯となっています。商工関係の被害は約19億2千万円、農林水産業は約96億6千万円、土木関係は約261億3千万円、三陸鉄道は77箇所で線路被害を受け被害額は約20億円となるなど、大きな被害となりました。これに対し、県として住宅再建や生業の再生への独自の支援策を打ち出し、さらに国の「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」を具体化した地域企業再建支援事業費補助等を打ち出した事は高く評価をいたします。
 そこで、質問ですが、1つは、台風第19号災害による被災者の住宅再建と住宅確保についてです。1月31日現在、応急仮設住宅等へ避難をされている方は72世帯、162人となっています。この方々の住宅再建と住宅確保についてはどう把握されているでしょうか。

【野原保健福祉部長】
 まず、被災者の住宅再建と住宅確保についてでありますが、令和2年1月31日現在で、72世帯が既存の応急仮設住宅や賃貸住宅などに一時入居しており、これらの方々に住宅再建に係る意向を確認したところ、新築や補修等が 41世帯、公営住宅や賃貸住宅への入居が16世帯で、このほかの15世帯は検討中などとなっています。
 被災者に対しては、国による被災者生活再建支援制度のほか、国の制度が適用されない市町村の全壊世帯、大規模半壊世帯及び、そもそも国の支援対象となっていない半壊世帯、床上浸水世帯に対しても支援金を支給する県単独事業を行い、住宅再建等を後押ししています。

(2)生業の再生について

【千田議員】
 次に、生業の再生についてです。被災された事業者は、東日本大震災津波や台風第10号災害と二重三重の被害を受けました。被災事業者の復旧・復興の取り組みを加速する事は大変重要でありますが、これらの支援の現状についてお聞きします。

【戸舘商工労働観光部長】
 台風第19号災害に係る生業の再生についてでありますが、台風第19号災害により、東日本大震災津波や平成28年台風第10号の被災地域を含め甚大な被害が発生いたしましたことから、県では令和元年10月23日に、国に対しまして被災事業者の早期復旧を図るための、手厚い支援策を要望するなどしてきたところであります。
 これを受け、国から「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケー ジ」が示されましたことから、県では被災した中小企業者が行う施設・設備の復旧に要する経費の4分の3を補助する地域企業再建支援事業費補助金を12月補正予算で措置したところであります。
 この補助金につきましては、市町村を通じて支援するスキームとしておりますことから、県と市町村が連携しながら、被災事業者向けの制度説明会や個別相談会を開催し、制度の周知を図りますとともに、交付申請手続を支援してきたところであります。
 今年度内に事業の完了が見込まれる事業者につきましては、現在、交付決定の手続を進めているところであり、今年度内の事業完了が難しい事業者につきましては、予算を繰り越し来年度に交付決定できるよう支援してまいります。

(3)災害復旧への対応について

【千田議員】
 次に、内水氾濫や溢水によって浸水被害が発生した河川には、再び水害が起こらないような河川改修を進めるとともに、堆積土の撤去、河道掘削、流木の撤去が必要ですが、どのような状況にあるのか、今後の見通しも含めてお聞きします。また、台風第10号災害についてもお示しください。
 また、沿岸各地から、災害からの復旧は、災害に強い改良復旧を実施すべきであり、それを恒久的な制度として認めてほしいという切実な声があります。三陸鉄道の復旧でも水道管の復旧工事でも単なる原状復旧ではなく同規模の自然災害が発生しても同じような被害に二度とあわないための耐震化などが可能となるよう、国に対して求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【八重樫県土整備部長】
 河川改修の状況についてでありますが、昨年10月の台風第19号では沿岸部を中心に記録的な大雨となり、久慈市や野田村等において内水や溢水による浸水被害が発生しました。
 特に、久慈市の小屋畑川では、床上、床下合わせて233戸の浸水被害となり、再度災害を防止するための抜本的な河川改修が必要と考えておりまして、浸水範囲や洪水痕跡等の調査を踏まえ、事業導入に向けた検討を進めています。
 内水被害が大きかった久慈市の沢川周辺では、排水ポンプ施設の整備等について、久慈市と連携しながら検討を進めています。
 加えて、久慈市の鳥谷川、野田村の宇部川など、床上、床下浸水が発生した河川において、流下能力を高めるため、河道掘削や立ち木伐採を進めています。
 平成28年8月の台風第10号による災害への対応につきましては、これまでに宮古市の長沢川及び大槌町の大槌川の2河川で河川改修が完了しました。
 また、現在は、岩泉町の小本川や安家川などについて、早期完成を目指し、鋭意、抜本的な河川改修を進めているところでありまして、関連する請負契約議案を今定例会に提案しているところでございます。
【白水政策地域部長】
 災害復旧の国への要望についてでありますが、県では、被災した市町村など関係機関と一体となって災害復旧に取り組んでいるところであり、昨年10月23日には関係市町村とともに、国に対し行いました「台風第19号の大雨等による被害に関する要望」の中で、災害復旧に当たり、将来にわたって安全性の確保に資する復旧が可能となるよう、要望したところであります。
 現在、三陸鉄道においては、国の独立行政法人「鉄道・運輸機構」の助言も得ながら、のり面の強化や排水管の拡大、土砂流入防止設備の設置など、再度、同様の災害が生じないような工事を進めていると聞いております。
 また、市町村等が設置・管理する水道施設については、耐震化についても災害復旧事業の対象とされているところであります。
 県としては、今後も、災害復旧が円滑に進むよう、三陸鉄道や市町村等に対し必要な支援を行うとともに、国に対し十分な予算の確保や改良復旧の制度が拡充されるよう要望を行いながら、一日も早い復旧・復興に向け、全力で取り組んでまいります。


3.保育の無償化と待機児童の解消、学童保育の充実について

(1)保育の無償化について

【千田議員】
 昨年10月から実施された「保育の無償化」は、その対象が3歳以上とされ、負担の重い0歳から2歳児は、第3子以降の減免などに限定されていること、また無償化と言いながら、給食費を幼稚園に合わせて実費負担としたことから、県内でも多くの市町村が副食費への軽減措置を実施しております。副食費への軽減措置について、県内の実績をお知らせください。
 さらに県内では、宮古市、大槌町、普代村、野田村、九戸村が0歳から2歳児の子どもの保育料を全世帯無償としております。
 現在のこのような不均衡を是正し、本来であればすべての子どもたちが無償化となるべきと考えますが、見解をお聞きします。

【野原保健福祉部長】
 保育の無償化についてでありますが、 3歳から5歳までの子どもの副食費の軽減措置については、現在29市町村において実施されております。
 保育の充実については、保育料の無償化等による利用者負担の軽減のみならず、施設整備等による利用定員の拡大、病児保育や延長保育等の多様な保育サービスの展開、保育士確保対策など、量的拡充と質の向上を含め、総合的な観点に立って施策を実施することが必要であり、市町村においては、地域の実情等を踏まえながら、それぞれ優先順位などから判断して、施策を進めているものと考えており、県としては、そうした市町村が取り組む施策をそれぞれ後押ししてまいります。

(2)待機児童問題について

【千田議員】
 待機児童問題についてお聞きします。
 県内の待機児童数は、昨年10月1日現在で467名ですが、特定の保育園等を希望している、求職活動を休止しているなどの理由で入所できない、いわゆる隠れ待機児童は577名であり、県内の待機児童数は1,044名となっています。
 先日、奥州市内の歴史と実績のある保育園を訪ねましたが、「いつも年度当初には0歳児を12名位入園させていたが、今年は退職者も多く、新たな職員確保の見通しが立たず、0歳児を取れるかどうかわからない」と述べ、さらに園長は「職員給与の面でも、正規職員であっても公立の臨時保育士よりも初任給で月3万円も安く、経験を経ても給料がなかなか上がらない、経営はいつも赤字状態にあり、このような状況下では職員確保が難しく保育重要に応えられない」と制度の改善を訴えました。
 知事は、保育士の待遇改善と保育士確保策について、どう改善し対応されようとしておられますかお聞きします。

【達増知事】
 待機児童と保育士確保等についてでありますが、県では「いわて県民計画 (2019〜2028)」において、令和3年度までに待機児童を解消する目標を掲げているところであり、この達成に向け、保育の受け皿の拡大に対応する保育士の確保の取組を進めることとしております。
 保育士確保については、処遇改善等加算の活用の促進などにより、保育士の処遇や労働環境の改善を図っているほか、潜在保育士の再就職を促す保育士・保育所支援センターによるマッチング支援や、保育士を目指す学生を対象とする保育士修学資金の貸付等に取り組み、一定の成果を上げています。
 一方で、議員御指摘のとおり、民間の保育所等においては、主として市町村からの保育の委託料で経営している中で、保育士の確保に苦慮している状況があります。
 また、保育士の資格を取得したにもかかわらず、主に給与等の面から、他の職や首都圏等の保育所を選択する例も多いといった指摘もあり、保育士の一層の処遇改善を進める必要があると考えております。
 県としては、国に対して、保育士の処遇改善をはじめとする保育士確保対策を拡充するよう政府予算提言・要望を行っており、引き続き、加算制度の活用の促進や、潜在保育士のマッチング支援等に取り組みながら、抜本的な処遇改善策の実施を国に働きかけてまいります。

(3)子どもたちの居場所づくりの充実について

【千田議員】
 次に、学童保育の現状とすべての子どもたちを対象とした居場所づくりの充実についてお聞きします。
 先日、放課後児童クラブの運営を奥州市から指定管理されている市社会福祉協議会の放課後児童支援員の研修会に出席しました。昨年度実施した保護者アンケートをもとに、課題を設定しチームに分かれて調査研究を行っており、子どもたち一人一人に寄り添い、挨拶がしっかりでき、遊びの中からルールと社会性が身に付くように、と頑張っておりました。このような研修会を毎年実施し、切磋琢磨する中で、学童保育の質を高める努力が払われて来た事を痛感したところです。ともすると、資格のない大人がたった一人で子どもたちの保育に当たることも考えられる中で、「安全で安心できる毎日の場を保障する」ことは、とりわけ重要です。
 県内の放課後児童クラブの設置は32市町村で実施されており、直営で実施しているのが41箇所、社会福祉法人運営が119箇所、保護者会の運営が76箇所と続いており、県内では400箇所の設置となっていますが、現状では希望するすべての子どもたちが通える状況ではありません。また、職員体制については、常勤職員が全体の 43%(776人)、常勤以外が57%(1011人)となっており、改善が必要です。2018年9月議会で、岩手県議会は、「放課後児童クラブの職員配置基準等の堅持を求める意見書」を可決し、国に意見書を提出しました。配置基準を堅持し、さらに充実させる事は重要です。
 そこで質問ですが、国が職員配置基準や資格基準を撤廃する方針を打ち出した事について、どうお考えでしょうか。
 2点目は、県内の放課後児童クラブの現状をどうとらえ、どのように改善すべきとお考えかお聞きします。
 3点目は、児童支援員の賃金や労働条件はどうなっているでしょうか。
 4点目は、処遇改善等事業やキャリアアップ処遇改善事業の取り組みは3割程度に止まっているとの指摘があり、改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 5点目は、利用者負担についてです。運営主体の違いから、負担なしが47箇所、2千円までが20箇所、2001円から5千円が115箇所、5001円から1万円が173箇所、1万1円から1万5千円が40箇所、1万5千1円以上が5箇所となっています。これらは、設置の経過や背景などもあり一概には言えませんが、しかし貧困家庭などの子どもたちも遠慮なくこれらを利用できるようにして行くべきではないかと考えますが、現状と今後の対応について、お聞きします。

【野原保健福祉部長】
 放課後児童クラブについてでありますが、職員の配置基準については、児童の安全を確保するためには、基本的に複数の支援員を配置して運営する必要があると考えていますが、登録児童が少ない小規模な放課後児童クラブや、利用児童が少ない時間帯などは、必ずしも複数の支援員を配置しなくても対応可能なケースもあることから事業の実施主体である市町村が基準を定め、それぞれの地域の実情や利用ニーズを踏まえ、適切に対応していくべきものと考えています。
 放課後児童クラブの現状等については、令和元年5月1日時点における県内放課後児童クラブの数は400か所、登録児童数は1万5,211人、待機児童は201人となっており、待機児童の解消に向けた、受け入れ体制拡充と専門職員の確保が必要であることから、施設整備に対する補助や、放課後児童支援員認定資格研修による人材の養成等により支援してまいります。
 支援員等の賃金等については、平成28年度に厚生労働省が行った全国調査によると、常勤の放課後児童支援員については、平均勤続年数8.4年、給与額は年額281万7千円、非常勤については、勤続年数9.6年、給与額は204万1千円となっています。
 また、令和元年5月1日時点での県内の放課後児童クラブにおける職員の配置状況については、2人体制が43か所、3人体制が83か所、4人体制が115か所、5人体制が73か所、6人以上の体制が86か所となっています。
 処遇改善の実施状況については、平成30年度における県内の放課後児童クラブ385か所のうち、処遇改善等事業は、157か所40.8%で、キャリアアップ処遇改善事業は、136か所 35.3%で実施されています。
 支援員の確保・定着には処遇改善が重要と考えており、今後も取組が広がるよう放課後児童クラブヘの積極的な活用を呼びかけるとともに、事業の実施主体である市町村に働きかけてまいります。
 利用者負担の現状と今後の対応については、利用者負担については約8割のクラブにおいて、兄弟姉妹が利用している世帯、ひとり親世帯、低所得世帯等に対する利用者負担額の減免制度が設けられています。
 利用者負担や減免制度については、運営をする市町村やクラブにおいて、地域の実情に応じて設定されているものと考えていますが、放課後児童クラブの運営費補助などにより支援をしてまいります。


4.公立・公的病院の再編と県民のいのちを守る医療体制について

(1)地域を支える病院について

【千田議員】
 いま、地域医療が大きな曲がり角に来ており、危機的な状況と言っても過言ではありません。
 厚生労働省が9月26日に公立・公的病院の再編統合の検証対象として424病院を名指しした問題は、関係者に大きな不安を広げ、懸命に頑張っている現場の医師等にも大きな波紋を広げています。先日、名指しされた奥州のまごころ病院と水沢病院を訪問し院長等と懇談して参りました。国保まごころ病院の及川裕悦院長は、月に120人〜130人の訪問診療を行っているが、その方々は肺炎にも掛かりやすく、病院の急性期ベッドは減らせないのが実態だと語りました。また、水沢病院の菊池淳院長は、424病院の発表に対し「なぜこれが公正なものと言えるのか。医療は産業の一つであり、地方を守ることが得策だと考える。」と怒りをあらわにし「病院は急性期と回復期を混ぜながらやる必要がある。」と述べました。 これら奥州市内の3か所を含め県内では10病院が名指しされましたが、地域を支えているこうした病院の役割が評価されていないのではないかと考えますが、知事の所感をお聞きします。

【達増知事】
 地域を支える病院についてでありますが、県内の公立・公的医療機関は、救急医療やへき地医療をはじめとした、民間では提供が困難な不採算部門の医療を担っており、再検証の対象とされた医療機関についても、地域において必要な役割を果たしています。
 国による公表は、最新の診療実績が反映されていないことや、分析対象が一部の急性期機能に関する診療領域に限定され、一つの病棟で幅広い医療ニーズに対応している地域の中小病院の機能や在宅医療の実績が適切に評価されていないことなど、その内容には課題が多いものと認識しています。
 県としてましては、これまでも各圏域の地域医療構想調整会議において、将来の人口や医療資源の状況なども踏まえながら、丁寧に議論を進めてきたところであり、引き続き、調整会議において、個々の医療機関の機能や診療実績の実態も確認しながら地域の実情に即した協議を行い、各地域で効率的で質の高い医療提供体制の構築に取り組んでいく考えであります。

(2)医療・介護サービスの提供体制の構築について

【千田議員】
 次に、地域医療調整会議でありますが、盛岡地域では、市立病院、国立病院機構盛岡医療センターについて、現状の実績と役割を評価し、維持する事で一致したとの報道がありました。このように地域の合意がなされた事は素晴らしいことであります。奥州市では、胆江二次医療圏における地域医療介護計画を策定中ですが、関係機関から収集したデーターを基に、将来の医療需要に対して市立医療機関が担うべき機能を示す事としております。
 このような取組を尊重すべき事は勿論ですが、今やるべきは全国どの地域においても、必要な医療・介護サービスが適切に提供できる体制の構築こそ重要視すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【野原保健福祉部長】
医療・介護サー ビスの提供体制の構築についてでありますが、地域医療構想調整会議では、高齢化の進展に伴う医療・介護需要の変化に対応し、地域におけるあるべき医療提供体制の構築について協議していますが、その議論の中では、医師をはじめとする医療人材の確保が最も大きな課題であるという意見をいただいているところであります。
 県としても、住民がその居住する地域で、必要な医療・介護サービスを受けられる体制を構築するためには、まずは、医療人材の確保が必要であると考えていますが、地域だけでは解決が難しい課題であります。
 このため、先ほど知事から答弁申し上げた、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」で、他県と連携しながら実効性のある医師の確保・偏在対策の実現を目指し国に強く働きかけていく考えであります。

(3)県立病院の医師確保について

【千田議員】
 次に、県立病院の医師不足・看護師不足の現状と対応策について、お聞きします。
 1つは、県立病院の経営計画(2019〜2024)に基づき、81人の医師の増員と確保が必要と考えますが、どのような現状となっているでしょうか。また、中部病院の地域周産期母子医療センターの医師確保については、どのような見通しとなっているかお聞きします。
 さらに、奨学金養成医師や即戦力医師招聘の現状と今後の見通しについてお聞きします。

【熊谷医療局長】
 県立病院の医師確保についてでありますが、経営計画では、本年度医師15名の増員を目標としており、本年2月1日現在、常勤医師13名、初期臨床研修医2名の計15名の増員となっているところです。
 次に、県立中部病院の産婦人科等の医師確保については、 可能な限り現在の中部病院の周産期医療体制が維持できるよう、引き続き関係大学と調整を行っているところです。
 奨学全養成医師については、平成31年4月1日時点では、53名の奨学金養成医師が配置され、このうち50名が県立病院に配置されたところでありますが、来年度は、本年1月末時点で、県全体で過去最高となる76名の奨学金養成医師が配置される予定であり、そのうち県立病院には61名が配置される見込みとなっているところです。今後さらに配置が進むものと見込んでいるところです。
 県立病院への即戦力医師の招聘については、平成18年9月に医師招聘の専担組織を設置して以降、これまでの招聘医師は延べ140名となったところです。
 今年度から、医師支援推進室の体制の充実を図り、招聘活動を強化したところであり、本年2月1日現在で、昨年度より7名多い12名の医師を招聘しております。
 今後においても、引き続き医師招聘に取り組んでまいります。

(4)地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会について

【千田議員】
 さらに、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてお聞きします。
 知事の会については、新聞等でも大々的に報道されており、これまで以上の意気込みと熱意を感じますが、知事の会の結成について、手応えをどう感じ、また今後どのように進められようとしているのか、また、国への提言については今後どのように進めていくお考えか、お聞きします。

【達増知事】
 地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会についてでありますが、知事の会の設立にあたり、先月31日に、全国から医療関係者や自治体関係者など多数の方に参加いただき発足式を開催し、医師不足の状況など地域医療に関する課題を共有し、広く情報発信したところであります。
 こうした中で、医療関係団体の代表者から、「医師不足など医療問題について、一緒に解決していきたい」といった発言や、各方面からも知事の会の取組や方向性について賛同する意見をいただいているところであり、知事の会の活動に対しては、幅広く大きな期待が寄せられているものと感じております。
 知事の会では、各都道府県で今年度中に策定する「医師確保計画」も踏まえながら、6月に具体的な提言をまとめ、国に働きかけを行うこととしています。
 8月には、本県で開催される、全国の病院事業管理者会議において提言内容について説明することとしており、機運醸成や関係者への理解促進を図りながら、実効性のある医師不足・偏在対策の実現を目指していく考えであります。

(5)県立病院の看護師確保について

【千田議員】
 次に、県立病院の看護師確保についてです。
 看護師不足の大きな課題として、夜勤回数が月8日を超えて9日夜勤が増えており、昨年度は706人でしたが、今年度12月までですでに932人となっております。途中退職者も1月末で44名と大変な数となっており、とても働き続けられる職場になっていないとの声も聞かれます。そこで、この現状と改善策についてお聞きします。

【熊谷医療局長】
 県立病院の看護師確保についてでございますが、月8回を超える夜勤に従事した看護職員の数は、今年度12月までの実績で15病院、延べ932人となっており、平成30年度の同じ時期と比較して延べ395人増加しておりますが、この要因は、新規採用職員の配置や、中央病院の患者数の増加による夜勤体制の強化、 急な病気体暇の取得等によるものでございます。
 また、途中退職者の状況についてでございますが、今年度 1月までの実績で44名が退職しており、体調不良や家庭事情など様々な理由で退職しているものと認識してございます。
 なお、これまでも、育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスク・シフティングなど働きやすい職場づくりに努めてきたところでございます。
 新たに、来年度外部専門家を通じた業務の見直しや職員の負担軽減を図る取組を進めますほか、病児保育を導入し院内保育の充実を図るなど、今後も働き方改革に資する取組を推進してまいります。

(6)周産期医療について

【千田議員】
 次に、周産期医療についてです。胆江医療圏における分娩の状況は、2018年度(平成30年度)の出生数773人に対し、胆江地域内での分娩は44.8%に止まり、地元での分娩数はとうとう5割を切り、里帰り出産も出来ない状況が続いています。2007年(平成19年)に県立胆沢病院が産科を休止し、民間の5診療所で対応していましたが、現在は3診療所のみとなりました。奥州市における出生数は、2010年度(平成22年度)の908人から2018年度(平成30年度)の671人まで73%に減っています。
 また、これは胆江地域のみならず、県内各地で深刻な状況であり、産婦人科医師の確保は正に急務であります。
 そこで、胆江地域及び県内の周産期医療の現状と今後の改善策について、知事はどのようにお考えかお聞きします。
 また、周産期医療など胆沢病院の充実についてもお聞きします。

【達増知事】
 周産期医療についてでありますが、胆江地域をはじめ全県的に、産科の医師が不足している中、産科診療所についても、医師の高齢化の進行や後継者不足等により分娩取扱いを断念せざるを得ない施設の増加が懸念されるところであり、地域における産科診療体制を確保していくことは重要な課題であります。
 県では、医師養成などにより産科医の確保に取り組んできたところでありますが、令和2年度からは、産科等を選択した地域枠養成医師に対し、岩手医科大学の総合周産期母子医療センターでの義務履行を可能とする新たな特例措置を開始するほか、医療局奨学金に産婦人科医養成のための特別貸付枠を設けることとしたところであります。
 また、引き続き産科診療所の開設等を支援するとともに、新たに、市町村と連携し、ハイリスク妊産婦の通院等を支援する事業を令和2年度当初予算案に盛り込んでおり、こうした取組により、安心して妊娠・出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
【熊谷医療局長】
 胆沢病院の周産期医療についてでありますが、岩手県保健医療計画においては、胆江地域が含まれる県南圏域は、県立中部病院、県立磐井病院、北上済生会病院が、地域周産期母子医療センターとして産科及び新生児医療を担うこととなっております。
 県立胆沢病院では、現在、開業医による診療応援により、週1回婦人科の外来診療を行っており、小児科については、常勤医師1名を配置して地域の小児救急医療等に対応している状況です。
 県立病院の産婦人科・小児科の医師については、まずは地域周産期母子医療センターである中部、磐井病院等の産科医の充実を図る必要があり、胆沢病院への確保はなかなか難しいものと考えています。
 今後においても、地元開業医と県立中部・磐井病院等の地域周産期母子医療センターとの連携強化や、小児医療遠隔支援システムなどICTの活用により、胆江地域の方々が出産や子育てに不安を感じずに安心できるよう、地域医療の確保に努めていくとともに、関係大学への医師派遣要請や即戦力医師の招聘等、胆沢病院の医療の充実に取り組んでまいります。

(7)県立遠野病院の実態について

【千田議員】
 次に、遠野病院の実態についてお聞きします。
 遠野病院では、超過勤務を上司が認めない問題や、さらに電子カルテが導入されて多忙な中、12時間2交代制の試行が強行され、しかも病棟と外来の一元化が導入されるなどで、看護師の離職が相次ぎました。さらに、これらの問題について、改善を求めて病院長に直訴した医師が複数おられますが、改善の見通しが全くないため、医師が退職するのではないかという話がありますが、これは大問題であります。
 これらの実態をどう受け止め、どう改善されようとしているか、お聞きします。

【熊谷医療局長】
 県立遠野病院の実態についてでありますが、超過勤務の適正な管理については、これまでも全ての病院に各種会議や通知等で周知・徹底を図ってきたところでありますが、遠野病院に対して労働基準監督署から超過勤務の管理に係る指導が行われたことから、改めてその適正な管理について要請したところでございます。
 遠野病院では、院内の管理会議で超過勤務の管理について徹底するとともに、職員に対し、適正な手続きについて周知を図ってきたところでございます。
 次に、2交代制勤務については、職員のワーク・ライフ・バランスの推進を目的として、全職員への意向調査や過半数代表者との協議を経て、昨年11月から試行を開始したものであり、この試行を通じて出された課題等を整理し、必要な措置を講じた上で、病院現場に適した働きやすい勤務形態として整備していく必要があると考えております。
 次に、病棟・外来一元化については、昨年4月から運用を開始したところでございますが、●職員の配置において、経験のある外来診療科へ配置すること、●経験の少ない看護師を配置する場合に相談できるベテランの看護師と共に対応すること等、一定の配慮をしておりますが、今後も引き続き、職員の負担の軽減を図っていくことが重要と考えております。
 また、辞職の意向を示している医師に対しては、病院及び医療局本庁において慰留に努めているところでございます。
 医療局としては、引き続き必要な職員の適正な配置に努めるとともに、職員が働きやすい勤務環境の整備を通じ、職員の離職防止に取り組むことにより、地域に必要な医療を提供できる診療体制の維持に努めていきたいと考えております。


5.地球温暖化防止対策について

【千田議員】
 今年は、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」が本格的に始動する年であり、温室効果ガス排出の「実質ゼロ」に向けて、世界の取り組みが緊急性を増しております。そのような中で、気候危機に対する深刻な警告が相次いで出されました。1つは、国連のグテレス事務総長が国連本部で1月22日に行った年頭演説で、21世紀を生きる人類が直面している脅威の一つに気候危機を挙げ、「気温上昇は記録を破り続けている」「後戻りできない地点にだんだん近づいている」と警鐘を鳴らし、温室効果ガスの主要排出国に主導的役割を求めました。
 もう1つは、米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が先月23日発表した「終末時計」です。地球最後の日までの残り時間を示す最新の時刻を「残り100秒」に設定したのです。
 また、スイスのダボスで開催されたダボス会議では、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが昨年に続き講演を行いましたが、これは、気候危機打開を求める国際世論の反映であります。
 このような中、知事は本県の温室効果ガス排出量について、「2050年までに実質ゼロを目指す」と表明された事は、この課題に背を向ける安倍政権に対し、地方から声を挙げたという点で大いに評価をするものであります。そこで、今後の具体策が重要でありますが、知事はどのようにしてこれらを達成して行くお考えかお聞きします。
 岩手県地球温暖化対策実行計画の進捗状況、温暖化防止の啓発、学習の現状についてお聞きします。

【達増知事】
 温室効果ガス排出量実質ゼロの達成についてでありますが、近年、世界各地で発生している異常気象は、気候変動が一因と指摘されており、今後、地球温暖化の更なる進行に伴い、猛暑や豪雨のリスクが高まることが予測 されていることから、温室効果ガスの排出削減は喫緊の課題です。
 地球温暖化対策は、環境分野のみならず、エネルギー、産業・経済、交通・運輸、 林業など、各分野にわたる施策を総合的に推進していくことが重要であり、県民、事業者、行政が一体となった取組を一層推進することが必要と考えます。
 そのため、2030年度を目標とする、次期「岩手県地球温暖化対策実行計画」の策定にあたっては、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据え、積極的な目標と実効性ある施策を検討するとともに、全県的な団体・機関で構成する「温暖化防止いわて県民会議」を中心に、住宅の省エネルギー化の普及啓発や事業所における省エネルギー設備の導入、エコドライブの推進など、具体的な行動に取り組む県民運動を展開し、県民総参加による地球温暖化対策を推進してまいります。
【大友環境生活部長】
地球温暖化対策実行計画についてでありますが、本県の温室効果ガスの排出量については、東日本大震災津波からの復興需要等により、平成25年度以降横ばい傾向で推移しているものの、再生可能エネルギーについては、太陽光を中心に順調に導入が進んでいるほか、森林吸収源対策については、造林や間伐などの森林整備や木質バイオマスの利用拡大などを推進していることから、全体では平成28年度で基準年と比べ10.1%の減少となっております。
 地球温暖化対策を進めていく上では、県民一人ひとりの自主的な行動が重要であることから、県では温暖化防止いわて県民会議を中心に、●ホームページ「いわてわんこ節電所」による情報発信、●県民参加型の省エネ・節電キャンペーンの実施 、●小学生を対象にした「地球温暖化を防ごう隊」の任命などに取り組んでいるほか、今年度新たに、●気候変動に関するミニ番組やCMの放映、タブロイド紙の発行などを行ったところです。
 今後も、県民、事業者、行政が一体となった取組が一層進むよう、気候変動対策総合イベントの開催などを通じ、全県的な普及啓発活動を推進してまいります。


6.ジェンダー平等について

【千田議員】
 ジェンダーとは、「社会的・文化的につくられた性差」というのが一般的な解釈ですが、国際的には1995年に北京で開かれた国連の第4回世界女性会議が「ジェンダーの視点」「ジェンダーの主流化」等を打ち出した事で広がり、定着しました。
 2015年の国連サミットで、2030年までに世界が達成をめざす17の目標(いわゆるSDGs持続可能な開発目標)が掲げられましたが、その5番目が「ジェンダー平等」です。このような中で、政府も表向きは「ジェンダー平等」を否定できなくなりました。しかし、「女性活躍」を掲げていますが、それはあくまでも成長戦略に過ぎず、安倍政権下で女性の非正規雇用は増えております。また、政治分野への女性の進出が足踏みしています。世界経済フォーラムが昨年末に発表した世界ジェンダーギャップ報告では、153カ国中、日本は121位と過去最低であり、政治分野では144位という有様です。政策決定の場にいる女性は、現職閣僚は3人、国会議員に女性の占める割合は、衆議院が10%、参議院が20%程度です。
 女性も男性もそれ以外の人も、だれもが生きやすく、公平で公正な社会を目指す。これがジェンダー平等と考えます。
 男女の賃金格差の是正など経済分野での遅れを打破すること、選択的夫婦別姓の実現、政治の分野での遅れを取り戻す、性暴力、「ハラスメント禁止法」の実現、LGBT・SOGI(ソジ)に関する差別をなくすなどが重要でありますが、これらについての取組の現状と合わせて県庁内での部長級、課長級への思い切った女性職員の登用について知事の見解を伺います。

【達増知事】
 次に、ジェンダー平等についてでありますが、平成28年度を初年度とする「いわて男女共同参画プラン」においては、男女がお互いに尊重し合い、共に参画する社会の実現を目標に定め、女性の活躍支援 、男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備、女性に対する暴力の根絶などを施策の柱に掲げて、取を進めてきました。
 男女の賃金格差の是正については、女性労働者に占める非正規雇用者の割合は高い状況にあり、このことが男女間の賃金格差の一因になっていると考えられることから、県では、岩手労働局などと連携し、県内経済団体に対して正社員への転換や処遇改善の促進について継続的に要請しています。
 また、「いわてで働こう推進協議会」を核として、仕事と生活の両立に向けた環境整備につながる働き方改革の取組を展開し、女性を含めたすべての人が働きやすい雇用労働環境の整備を推進しています。
 男女共同参画社会の実現に向けた環境づくりについては、男女共同参画フェスティバルの開催などを通じた意識啓発や学習機会の提供を、男女共同参画センターを中心に行うほか、性暴力を含む女性に対する暴力の防止や職場でのセクシュアルハラスメント対策について市町村や関係団体と連携して取り組んでいます。
 また、 LGBTなど性的指向や性自認を理由として困難を抱えている方の相談窓口を設置するとともに、啓発用リーフレットの作成や出前講座の実施などにより性の多様性について県民の理解促進を図っているところです。
 女性職員の管理職への登用については、職員の業績と意欲、能力等を評価し、適材適所の考え方で行ってきており、女性の管理職は、女性職員のキャリア形成支援やワーク・ライ フ・バランスに配慮した職場環境の整備等により着実に増加してきているところです。
 男女共同参画の推進については、いわて県民計画 (2019〜 2028)の10の政策分野の「参画」に位置づけて取り組むこととしており、今後とも女性職員の管理職への登用を積極的に進めていくとともに、家庭・地域。職場など様々な場において、男女がお互いにその人権を尊重し責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に向けた環境づくりに取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、ご了承をお願いします。


7.県立高校の再編について

(1)後期計画案への県民の声等の反映について

【千田議員】
 県立高校再編計画の後期計画案(2021年〜25年度)についてお聞きします。今回の案では、盛岡・県南・宮古・二戸の4地区で9校を統合対象とし、また1学年1学級の小規模校は存続をさせる特例校と同時に、入学者が2年連続で20人以下の場合は原則として募集を停止する、などであります。これらの再編案については、この間の「岩手の高校教育を考える提言書」なども反映された結果ではないかと考えますが、これら県民の声や願いをどのように反映させてきたのかについて、お聞きします。

【佐藤教育長】
 まず、県立高等学校再編計画後期計画案についてでありますが、教育委員会では平成30年12月からこれまで、県内各ブロックにおいて地域検討会議等を延べ47回、約 1,500人の参加のもとに開催し、各市町村長をはじめとする地域の代表の方々のほか、広く県民から、県立高校の在り方等についての意見を伺ってきたところです。
 そうした場において、地域や地域産業を担う人材育成への強い期待や小規模校の存続についての御意見を頂く上方で、少子化の現状に鑑み、生徒にとってのより良い教育環境の整備に向けた統合等についての意見も頂いたところです。
 今般、公表した後期計画案では、頂いた御意見や提言等の内容も踏まえ、地域の実情等を十分に考慮し、「生徒の希望する進路の実現」と「地域や地域産業を担う人づくり」の二つを基本的な考え方とし、地域における学校の役割を重視した魅力ある学校づくりに向けて再編を進めることとしたものであります。

(2)後期計画案の策定に向けた合意形成について

【千田議員】
 さらに、提言として岩手県独自の少人数学級の提言もありましたが、これらはどのように検討されたのか。また、地域に求められる学校・学科として、水沢工業・一関工業・千厩の産業技術科を6学級の大規模な工業高校にすること、20年度に宮古商と宮古工を統合し宮古商工となり、そこに宮古水産が加わり、総合的な専門高校として位置付けること。さらに、福岡工は一戸と統合し4学級の総合学科・専門学科併置高校とするというものです。これら新しい再編案については、これまで以上に丁寧に地域の声をしっかり受け止め、合意を形成すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【佐藤教育長】
 次に、後期計画の策定に向けた合意形成についてでありますが、昨年5月に実施した第2回地域検討会議においては、少人数学級についてをテーマとし、意見交換を行ったところでありますが、本県では既に少人数によるきめ細かな教育が行われていることや「少人数学級」を導入した際の教員定数に係る財政面の課題等について説明を行い、一定の御理解をいただいたところです。
 後期計画案では、地域検討会議等の場において出された、地域の学校や学科の維持や、 盛岡ブロックヘの一極集中についての是正を求める意見のほか、中学校卒業者数の減少など、高校を取り巻く現状と課題等も踏まえ、現在の学校、学科及び学級規模をできる限り維持することとしたものです。
 統合については、学校規模の大きさを生かした特色ある教育活動の実施に向けた発展的な統合を行うほか、産業振興の動向を踏まえ、地域の産業教育の動向を踏まえ、地域の産業教育の拠点となる専門高校等の整備のための統合も行うこととしたものです。
 公表した計画案について、現在、パブリック・コメントを実施しているところであり、 5月頃を目途に、地域検討会議や意見交換会等を開催することとしています。
 今後も広く意見を伺い、丁寧な意見交換を行いながら、生徒にとってより良い教育環境の実現に向けて、後期計画の策定を進めていきたいと考えています。

<再質問>

・高齢者の見守りと生活支援相談員の活動について

【千田議員】
 コミュニティ支援で、新年度から5市町村で新たに支援員を配置するというお話があり、非常に良かったなと思っております。ただ需要なのは、どのぐらいのテンポで配置されるのか。例えば、週1回程度では指摘したことがなかなか改善にならないわけで、できるだけ多くの回数・日数を配置してもらうことが大事だと思いますので、その点どのようにお考えでしょうか。

【野原保健福祉部長】
 先ほどご答弁申し上げました通り、来年度におきましては5市町で実施される見込みということでございまして、陸前高田市社協・山田町社協で検討中ということで、+2地区ということで考えてございます。
 頻度でございますが、現在、例えば大船渡市社協さんが実施している公営住宅集会所を活用した支援ですが、週3日10時〜15時、大槌町社協では週3日9時〜17時30分ということで、週複数回行われておりますので、新たに検討する社協さんについても、これと同様な支援を検討されているものと理解しているところでございます。

・遠野病院問題について

【千田議員】
 この後関連質問もありますので、1点だけにしたいと思います。
 先ほどのご答弁では、労働基準監督署からの指摘があって、職場に対して周知を図ってきたという趣旨でありました。本当に実態を改善する上で、どこが問題で、それをどうすればいいのかというところをきちんと掌握すること、そして病院任せにせず、医療局が真剣に解明のために努力するかどうかが今大きく問われていると思います。その辺がまったく見えなかったので、ぜひお願いしたいし、やはり看護師の確保も、ましてや医師の確保が難しいわけで、知事もいろいろアクションを起こされて頑張っておられるわけですから、そういった意味では、きちんとした対応が今ここで打てるかどうかが重要な局面だと思いますので、その部分をお聞きしたいと思います。

【熊谷医療局長】
 超過勤務の管理の関係でございます。先ほどご答弁申し上げました通り、病院に対していろいろお願いしているところでございますが、実態を把握するために、現在、本庁で遠野病院の職員に対してヒアリング調査を行っているところでございます。その結果を踏まえまして、適正な対応を図っていきたいと思ってございます。
 また、辞職の意向を示している医師に対しては、これまで病院長が医師と面談を重ねて慰留に努めているほか、医療局本庁としても、医師支援推進室に加えて、医療局次長が当該医師と面談して、勤務の継続について要請したところでございます。また、医師から医療局に対して「職員の声を聞いてほしい」という声もございましたことから、その要請も踏まえまして、いま職員との面談を行っているところでございます。
 医療局といたしましては、今後も遠野病院と連携しながら、必要な職員の適正な配置に努めますとともに、働きやすい環境の整備を通じまして、離職防止に取り組むことを丁寧に説明しながら、引き続き慰留に努めていきたいと考えております。

・周産期医療について

【千田議員】
 胆沢病院については先ほどもご紹介しましたが、今の状況ではなかなか産科の医師の配置は難しいというのは分からないわけではないんですが、しかし住民が不安を感じないようにするという点では、やはり近い将来において産科が復活するというメッセージが地元に届かないことには、不安を感じないわけにはいかないというか、それが実態であります。
 今年度中に医師確保計画が策定されるということで、いまパブリックコメントもやられているわけですが、その中で非常に気になっているのが、4医療圏での産科の不足医師数を出しているんですね。小児科や他の部分は二次医療圏、いわゆる9つの医療圏ごとにどういう状況にあるのかということを出しているんですが、産科については残念ながら4つの医療圏のままで不足数を出しています。ちなみに確保すべき医師数が、岩手中部・胆江・両磐であと16人、気仙・釜石地域が5人、久慈・二戸が2人ということで、合計して産科の医師が23人必要と、この数自体はいいんですが、私はやはりどのように岩手県が不足しているのか、それに対してさまざま知事はじめ努力をしているのか、その目安になるのが医師確保計画ではないかなと思うんですね。だから、頑張っているからいいのではなくて、それを県民にも、厚労省を含む国に対しても、正確な情報を出すという点では、4医療圏の、どこまでもそういう状況の計画ということには納得がいかないので、その点をお聞きします。

【野原保健福祉部長】
 現在の4つの周産期医療圏については、患者搬送や需要動向および限られた医療資源を踏まえ、岩手県周産期医療協議会における協議を経て、平成20年4月に設定したところでございます。
 なお、ご指摘の医師確保計画における4医療圏につきましては、現行の医療圏を前提に、国が機械的に算出した数字でございますので、県がその数字を出したというわけではございません。一方で県では、先ほど知事からもご答弁申し上げました通り、来年度に向け、産科医の確保に向けてさまざまな取り組みをしていくこととしているところでございますが、産科関係学会からは、周産期母子医療センターに産科常勤医10名以上の配置を求めるなどの提言もございまして、現在の医療資源の中ですべての二次保健医療圏に周産期母子医療センターを設置するということは非常に難しいといった状況にはございます。
 県としては、当面現行計画に基づいて医療体制の充実を図ってまいりますが、人口動態や医療資源の動向などを踏まえた適切な周産期医療圏のあり方については、2024年からの次期保健医療計画に向けまして、岩手県周産期医療協議会等による幅広い議論が必要な課題と認識しております。

<再々質問>

・遠野病院問題について

【千田議員】
 私も先日、遠野病院に行き、院長とも直接お話ししました。そのときに、一番問題となっているのは、本当はパワハラで、超過勤務を書かせなかった、そういうところを認めないことが大きな原因だったと思います。いまヒアリングをしているということですが、根本原因がどこなのかを、きちんと局長以下、そういう調査が求められていると思います。そういうことがなければ解決していかないんじゃないかなと思いますし、これは遠野病院に限らず、そういうことがないように、全県の県立病院が県民の命を預かる大事な砦でありますので、そういう役割をぜひ果たしていただきたいと思いますので、その点をもう一度お聞きします。

【熊谷医療局長】
 超過勤務の手続きにつきましては、事前に命令して事後に確認することが原則ですが、救急患者等の対応により、事前命令が困難な場合等におきましては、事後に職員から速やかに申告をさせて、超過勤務として認定すると。命令権者と職員の間で超過勤務時間にかかる認識が乖離しないよう、十分に対話を行ってほしい旨、各病院に対してお願いしているところでございます。
 現在、遠野病院については、職員へのヒアリング調査を行っている最中でございます。途中経過でございますが、職員個々で考えや意識が違っている、異なっている部分も聞こえてきております。最終的な調査結果を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えてございます。

・周産期医療について

【千田議員】
 周産期医療については、分かることはないんですが、いずれ努力をしてもらうことと、やはり県民の不安にますます拍車がかかっている状況だということを理解いただいて、私たちも本当にみんなで取り組む課題だと思っています。そういった意味で、知事が地域医療基本法を訴え、そして知事の会を立ち上げられたことによって、昨日、全国知事会と厚労省・総務省の意見交換があって、その中でもいろいろ提言があったようです。本当に知事の働きかけ・取り組みがそういう形で反映されていることは素晴らしいことなので、ぜひ現場の方々を励まし、県民を励ますような医師確保ができるように、ぜひ知事にはご尽力をいただきたいと思います。

・地球温暖化対策について

【千田議員】
 実は今朝の新聞を見て驚きました。知事が気候温暖化について、素晴らしい見解を示されて、これから温暖化防止の県民会議を立ち上げて、県民総参加による取り組みをするんだというお話があって、私は非常に嬉しかったわけですが、しかし残念ながら日本政府については、国連が求めた13年度比26%減を上積みする報告が必要であるということで、今月がその期限だったんですが、その期限を引き延ばしするということを政府が決めたようです。その先送りする原因というのが、上積みをしないということを決めてあるから、今やると国際批判を浴びるために延期をするんだという思惑があるという指摘もあります。私も本当にこういう点では、温暖化が世界中で心配されているときに、日本政府の対応がとんでもない状況にあるということで、医療もそうですが、地球温暖化対策でもぜひ知事には、国のお尻を叩く役割を果たしていただきたいと思いますが、見解をお聞きします。

【達増知事】
 地球温暖化対策で2050年までにCO2ゼロということに関しては、最近、久慈市で北岩手9市町村が集まった際に、そこに横浜市もきて、改めて連携宣言したときに、小泉環境大臣がビデオメッセージで登場し、その名代の環境省からも出席していたということで、地方からパリ協定の達成を目指すような動きが日本国内でどんどん出てくることについては政府も期待しているようですので、政府も地方とともに頑張ってほしいと思っているところでありますが、まず岩手はそのような動きもありますので、SDGsのプラットホームなども活用すれば、日本の地方が一気に国際社会を舞台にさまざまなことができる時代にもなっていますので、そのような形で頑張って日本政府も世界の期待に応えられるよう岩手から後押ししていきたいと思います。