2020年2月27日 2月定例県議会本会議
県立遠野病院問題についての関連質問(大要)
【斉藤議員】
遠野病院問題について関連質問いたします。問われている一番の問題は、総看護師長によるパワーハラスメントによって、超過勤務の申請ができず、電子カルテ導入後に病棟外来の一元化や12時間2交代制がごり押しされて、大量の看護師が辞めざるを得ない状況となったということです。この2年間に、正規の看護師が10人、臨時が7人、計17人が退職しています。異常な事態です。こうした状況を改善しようと、遠野に骨をうずめる決意で取り組んできた二人の医師が、院長や医療局に改善を求めましたが、総看護師長のパワハラ問題の解決と改善の方向が示されず、昨年末に辞職を申し出たことは極めて重大であります。
なぜ、看護師の皆さんが辞めざるを得なかったか、超過勤務が申請できなかったか、具体的な告発の内容を紹介します。
「総看護師長が2年前に遠野病院に転勤してきてから超過勤務の申請はできません」、「主任看護師に『超勤は書いていいんだよ』といわれ超勤を書いた看護師は、看護師長に『何で書いたの』と言われ、陰口を言われ、悪もの扱いになり、のちに超勤を書いた看護師は退職しました」「超勤を申請したら削除するように師長に言われた人も何人もいます」「総師長が師長に書かせないように圧力をかけている」
「『超勤は仕事ができない人がすることだ。馬鹿だから仕事ができないんだ』と暴言を吐く主任看護師がいて、精神的ストレスがたまり、病休になった看護師も何人もいます」
実際に、遠野病院の看護師の超過勤務はこの2年間に激減しています。平成29年度は一人当たり月9.6時間だったのが、30年度は2.0時間に、今年度は12月末までですが0.4時間に急減しています。「あり得ない」と看護師は言っています。
もっと深刻な例は、「難病で障碍者手帳を持っている看護師が地域連携室で勤務していましたが、一昨年の暮れから病棟勤務・夜勤を打診され、何度も診断書も提出し話し合いましたが、聞き入れてもらえず、絶望して退職を決意しました」
「18年間勤務してきた看護師は、この方も身体障碍者の認定を受けていた方です。母子家庭であり子どもを育てるためには何としてもやめるつもりはありませんでしたが、負担の大きい外来の救急当番を命じられたり、休憩も取らず勤務することを強いられ、超過勤務を請求することも止められました。時間内に終えることができないのは能力が劣っていると判断されました。そんな職場環境に恐怖と不安を覚え退職を決意しました。私自身の人生も大きく変えられたと思っています。どうかこの声が届くように願います」
この二人の看護師は、障がい者雇用にカウントされている看護師です。超過勤務を書けないから、転勤を希望する看護師もいます。実際転勤した看護師は「脱北に成功!」と喜んでいる状況です。
医療局長に質問します。なぜ超過勤務が激減したか。超過勤務が書けない実態を把握しているか。釜石労働基準監督署に告発され、その指導を受けた調査はどうなっているか具体的に示して下さい。今の状況でも不法行為は明らかではないでしょうか。
私は具体的な総看護師長によるパワーハラスメントの実態を示しました。医療局にも、遠野病院にもパワハラの告発・相談が寄せられていると思いますが、パワハラの実態をどう受け止め、どう対応してきたのでしょうか。
【医療局長】
超過勤務が減少した理由につきまして、看護師2人がパートナーとなり、お互いに補完し協力し合い看護を提供する「パートナーシップナーシングシステム」を開始したということ、それから超過勤務として行っていた時間外の救急外来患者への対応を、看護業務の一体的な運用により交代制勤務者が勤務時間内の業務として行うようになったことによるものと聞いております。
超過勤務の管理にかかる釜石労働基準監督署からの指導に基づく調査については、遠野病院では、すべての看護職員の昨年4月以降のタイムカードによる出退勤時間、超過勤務時間、業務以外で残院した時間等の整理・確認を行い、当該確認結果を踏まえ、職員からのヒアリングを実施するなど、現在、超過勤務の手続きや実績について調査を行っているところでございます。
ハラスメントに関する相談については、平成29年度は1件、30年度は3件、本年度は実績はございません。相談の内容は、「言葉づかい」「休暇の取得」であり、その都度対象者に事実確認を行い、面談等で指導を行っております。ハラスメントについては、職場内秩序を乱し、各組織の正常な業務運営の障害となり得るほか、職員の勤労意欲を減退させ、ひいては精神的な障害に陥る職員を発生させる要因にもなりますことから、病院に限る対応とせず、医療局全体で適切に対処していく考えでございます。
【斉藤議員】
医療局長のそんな答弁だから、二人の医師が辞めるというような状況になっているんですよ。私は具体的なハラスメントの実態を示したじゃないですか。
達増知事に質問します。総看護師長による異常なパワーハラスメントによって、超過勤務が申請できないことは労働基準法に違反する違法行為です。看護師の実態と要求に背を向けて退職に追い込んできたことはもっと悪質な行為です。こうした異常な事態を憂い、改善を求めた医師が遠野病院を辞めるようなことは絶対にあってはならないと考えますが、知事の認識をお聞きします。
医療局長にあらためてお聞きします。総看護師長による超過勤務を認めない行為―私は具体的に指摘をしました。「認めない」と言っているんです。例えば、「始業前の仕事は自己研鑚にしなさい」「17時15分になったら終業の打刻をしなさい」と、こう言っているんです。あなたがこれを把握していなかったら、無責任な医療局長ということになりますよ。だから、重大な任務を辞めているんですよ。今の臨時職員は15名いますが、7名が辞める予定です。看護体制確保できませんよ。内科の医師が辞めたら、遠野病院は回りませんよ。この内科の医師は、感染症対策の責任者です。遠野病院は指定感染症病床を持っているんです。あなたが慰留したと言っているけれども、二人の医師は「慰留されていない」と言っています。全然伝わっていないんですよ。そもそも、こうした職場の状況を改善してほしいと、医師にそこまで思わせるような実態があるんです。改善の方向を出さなかったら、慰留にならないではないですか。
本気で改善の方向を示して、医療局長が責任を持って慰留すべきだと。具体的な改善方向をここで示してください。
【達増知事】
今回改めて医療局に確認したところ、県立遠野病院では、病棟と外来の看護業務の一元化をはじめとする看護師の配置や、勤務時間管理をめぐる意見の相違があり、辞職の意向を示している医師がいること、超過勤務の管理に関する釜石労働基準監督署の指導を受け、現在超過勤務の手続きや実績について調査を行っているとの報告を受けたところであります。
辞職の意向を示している医師に対しては、これまで院長が組織運営上の課題への対応について説明し慰留に努めており、また、医療局本庁においても面談を行い、勤務の継続について要請していると聞いております。
病院など組織の運営にあたっては、職員間の意思疎通が十分に図られ、職員が意欲を持って取り組んでいく環境を整えていくことが必要だと考えており、県立遠野病院においても、こうした職場環境を整え、地域において必要とされる医療を提供するよう、医療局における適切な対応を望むところであります。
【医療局長】
タイムカードのお話がございました。ご指摘のような指示があったとすれば不適切でございます。タイムカードは、職員の出退勤時間を客観的に記録するために行っているものであり、勤務終了前にも関わらず特定の時刻に打刻するということは導入の趣旨に沿わないものでございます。職員に対しては、出勤や退勤時に打刻すべきものであることを、再度の周知を図るなど取り組みを行ってございます。そういったことを引き続きやってまいりたいと思います。
具体的な改善ということでございます。先ほども答弁しておりますが、超過勤務時間の確認については、現在ヒアリング調査を行っているところでございます。その調査を踏まえて適切に対応していきたいと思っておりますし、今後の対応については、議員からお話のあったような内容も私の耳に入っております。一方で、それとは異なる情報も入ってお話もうかがっているところでございます。ただ、そうした状況を踏まえると、看護科の中で、対話の不足や信頼関係の構築が不十分な状況にあるのではないかと受け止めているところでございます。
遠野病院が地域にとってより良い病院となるために、その解決を図っていく必要があると私は認識してございます。そうした問題意識に基づいて、現在看護科の配置体制の検討を行っているところでございます。
また、将来に向けた遠野病院の運営のあり方について考えを示し、職員と対話していくように病院長に要請しているところでございます。
今後とも、医療局と病院が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。