2020年3月2日 文教委員会
新たな県立高校再編計画後期計画(案)に対する質疑(大要)


【斉藤委員】
 後期計画(案)の7〜8ページ、「県内生徒の学ぶ機会の確保への配慮等、一定の条件の下で、令和2年度入試から制度化することにした」と。先ほどの説明では、5校拡大したということか。そうすると、どこが対象になるか。

【高校改革課長】
 これまでは、葛巻高校や大迫、種市、水沢農業で県外からの生徒を受け入れていたが、来年度からということになると、平舘、住田、遠野、遠野緑峰、種市の5校である。

【斉藤委員】
 受け入れている高校の実績を示していただきたい。

【高校改革課長】
 今年度は、水沢農業はゼロ、種市2名で、これは隣接協定で入っている生徒は入っていない数字である。葛巻6名、大迫1名で今年度からのものである。

【斉藤委員】
 12ページで、「各地域における学びの選択肢の確保」とあり、「後期計画期間中において、一定の入学者のいる1学級校を維持します。1学級校を含む小規模な学校においても、生徒の進路希望の実現に対応できるよう、ICT等の活用による新たな学びを推進し、少人数教育も取り入れながら教育内容の充実を図ります」と、大変重要なことが書かれている。「1学級校を残す」ということも今回初めての提案だと思うし、あわせて「進路希望の実現、少人数教育も取り入れながら―」と、この具体的中身を示していただきたい。

【高校改革課長】
 少人数教育については、県立高校において取り組まれているものを、課目の方を指定しているところだが、県立高校では、特に小規模校においては多様な進路の実現、生徒の多様な学びのニーズ等を踏まえ、小規模校に限らず、進路別の学習や習熟度別学習、教員を2人配置するチームティーチングといったものが行われており、その効果があると思っており、そういった部分を今後も継続しながら、教育の質の向上に活用していきたい。

【斉藤委員】
 1学級規模の高校は、どうしても教員定数が限られ、進学にも就職にも対応するといった場合には、加配は必要である。おそらくここに書いている少人数教育も取り入れるというのは、具体的に言えば「進学コース」「就職コース」と、それを分けて指導できるような体制の確保ということだと思うがいかがか。

【高校改革課長】
 ご指摘あった通りである。実際に、小規模校においては一定の加配もした上で少人数教育にも取り組んでいるということである。

【斉藤委員】
 ブロックごとの課題についてお聞きしたい。
 盛岡ブロックの最大の目玉は、盛岡南と不来方の統合である。盛岡一極集中を是正すると。それは必要なことだと思う。ただ、その結果統合して8学級規模の高校ができるというのはやりすぎではないのか。不来方の学級減も含めて、最大7学級とすべきではないか。というのは、全日制過程では199人の欠員があり、今後さらに180人の減少が見込まれると。そういうことからいっても、8学級ということではなく、7学級にすべきではないか。

【高校改革課長】
 現在、不来方は7学級、盛岡南は6学級で計13学級となり、その学校を統合した場合ということで、7学級とする案もあり得ると思うが、やはりスポーツにも芸術にも特色ある活動をしていくには、ある程度規模の大きい学校を設置したいということで8学級とした。

【斉藤委員】
 実は平成28年の方針は、適切な学級規模は4〜6だった。私は、これは正しくない、地域によって学級規模は違うと指摘してきた。だから事実上この方針を変えた。しかし、7学級まではあるとしても、8学級までやっていいのかということになる。大きければ大きいほどいいということにならないので、それは違うのではないかと。
 それから、心配なのは紫波総合の総合学科の4学級が後期計画も維持されると。これは実際には難しいのではないか。総合学科のあり方は根本的に検討すべきだと思う。実態としても、総合学科の4学級は維持が難しいのではないか。

【高校改革課長】
 望ましい学校規模の考え方だが、全体計画の作成にあたり、高校教育の基本的方向性の有識者会議の中のご意見では、さまざまな多様な学科、4〜6学級程度以上が望ましいということがあり、他方で、生徒が減る現状では、すべての学校を県内において4〜6学級は難しいと。その辺りを考え、4〜6ということを設定したが、盛岡南と不来方の統合に関しては、両方ある程度の規模になるので、そこの現状から考えそうした案とした。
 紫波総合については現在4学級であり、総合学科高校については、さまざまな経歴があるので、ある程度の学校規模にしていることがあると思う。こういったことで、紫波総合は前期計画で1学級減にしているので、できる限り今の学校規模を維持し、後期計画(案)の考え方に基づくと、生徒の進路を確保をしていきたいということである。

【斉藤委員】
 課長はいろいろ解釈しているが、4〜6が適正規模というのは、今回の後期計画で変えたわけだから、それは実態に合わなかったということである。それは率直に認めるべきだと思う。だから一高や三高などの7学級規模も残すと。一定の根拠があると思う。こういう説明を受けた。「こういう学校を残さないと私立に流れる」と。そういうことも現実問題としてあると思うので、そうしたことも含めて7学級規模を残したと。しかし統合校を8学級にするというのは違うのではないか。
 胆江ブロックだが、水沢工・一関工・千厩の工業科を統合し、県南の専門学校の拠点をつくると。これは慎重に合意形成をしないと大変だと。結果的に一関か奥州かということになる。そういう意味で、その必要性と、どこに県南の拠点校を設置するかは地域間の利害関係に関わる問題なので、かなり慎重で柔軟な検討を要するのではないか。あとは学校の立地状況、これは新たに学校をつくるのではなく、今の校舎を活用するという方向か。

【高校改革課長】
 統合についてはご指摘の通りと思っており、計画案でも令和7年度以降としており、じっくり検討していきたい。
 それから、これまでですと既存の校舎を活用する場合もあれば、ブロックを越えた統合ということもあるので、さまざまな可能性をしっかり検討していきたい。

【斉藤委員】
 今の校舎を活用するだけでなくさまざまな検討と。いずれにしても、今度の計画で一番難しいのはこの統合ではないかと受け止めている。同時に、トヨタなどの製造業が集積している地域でもあるので、慎重に地域住民の声や生徒の声をしっかり受け止めて、慎重で柔軟な議論をしていただきたい。
 釜石・遠野ブロックだが、「前期計画において統合を延期している学校については、令和2年度の入試状況等により、統合時期を判断することにしており、その状況により記載内容を変更する」と。これはきわめて微妙で、結局前期の統合計画はそのまま引きずるという形ではないか。遠野と遠野緑峰というのは、それぞれが高校の魅力化に市も含めて取り組んでいて、それぞれの実績もあげているところなので、前期計画で決めた統合が大前提ということでいいのか。現在のそれぞれの高校や遠野市の努力をどのように評価しているのか。

【高校改革課長】
 平成30年度までの入学者を見て判断するということが前期計画に入っていた。そこは、平成28年3月に策定するときに、地域の方々のご意見を受けて、そのように盛り込んだものである。そうしたことを踏まえ、30年5月に、2地区については延期すると。ただ延期した際に、令和2年度の入試状況を踏まえて判断するということを申し上げており、その方針に則り、まだ2学級なので、このような表記をさせていただいている。
 ご紹介あった通り、両地区とも魅力化に向けた取り組みをしていることは承知している。

【斉藤委員】
 そうすると結局、今年は令和2年度の入試状況を見て、来年は令和3年度の入試状況を見て判断すると、方針上そうなってしまう。せっかく後期計画ということであれば、毎年決断が迫られるような計画ではなく、5年間のスパンで一定の方向性を出すと。令和2年度は受験者数状況は出ているわけだから、だいたいの見通しは出ているのではないか。

【高校改革課長】
 まだ推薦の合格者と志願者が分かっている段階なので、4月に入り入学者が確定した後の判断になってくると思うが、それでいくと、遠野地区においては、緑峰高校については2つの学科で30名弱の志願者、一方で遠野高校は160名定員で100名を現状では切っている。
 久慈地区においては、久慈東は200人定員に対して170人弱、久慈工は2学科80人に対して20人程度と厳しい状況である。ただこれは確定ではないので、もう少し様子を見ていきたい。

【斉藤委員】
 前期計画で延期になった統合は、後期計画で毎年統合かどうか判断するのではなく、後期計画のスパンで、安心して学べるような学校の環境をつくることが必要ではないか。
 宮古ブロックだが、宮古商工が令和2年度から校舎制でつくられる。そして今回また宮古商工と宮古水産を統合すると。現地の声を聞くと「かなり困惑している」「また統合か」と。これも地元の意見も聞いて慎重に検討していただきたい。統合が前期と後期で連続するというのがいいのかどうか。統合計画は、商工は校舎制、水産は水産で独自の海に関わる学科なので、これも校舎制で3つに分かれてやるということを考えているのか。

【高校改革課長】
 統合の場合、1つは、学校の一体感を考えると、1つの校舎で学ぶことが望ましいという面と、既存の施設の有効活用という面もあろうかと思うが、さらに加えて、校舎の定員や施設の老朽化の状況なども十分に検討していきたい。その上で、後期計画が成案となった後に、しかるべきに統合検討委員会を立ち上げるので、県教委としての考え方を示しながら、そうした場で意見を聞いていきたい。

【斉藤委員】
 かなり微妙な答弁だった。宮古商工自身が校舎制という変則的な形で統合する。さらに水産ということで、ここまでやるんだったら、きっちり1つにまとまった学校をつくっていくということにしないと、とてもではないが地域の人は納得できない。
 久慈ブロックだが、久慈東と久慈工も令和2年度の入試状況等により統合時期を判断すると。その関係なのか、32ページの表を見ると、総合学科5学科、工業科2学科で変わらない。今でも145人の欠員が生じて、さらに40人の減少が見込まれる中で、入学定員のつじつまが合わないのではないか。やはり工業科というのは、1学科では工業科の特徴が生かされないと思う。せめて2学科は維持してこそ、専門教育の充実も図られるのではないか。その点で、総合学科は入学定員が変わらないという計画でいいのか。それと工業科は、統合するにしろしないにしろ、2学科規模が必要だと思うがいかがか。

【高校改革課長】
 32ページの表だが、統合がない場合の前提で書いており、統合がもし決まれば数字が変わってくると思う。工業科の1学科については、たしかにこれは県南工業高校の設置の趣旨でもある通り、ある程度同じ工業分野においてもたくさんの生徒にとっての学びの場としては適切かと思うが、久慈工は2学科あるが、生徒数がかなり少ない状況で、今年度も2学科で20人程度ということで、もちろんまだ増えるかもしれないが、その中で2学科80人の規模を維持することはなかなか難しいのではないかということもあり、この案としている。そうしたことを考えながらやっていきたい。

【斉藤委員】
 久慈ブロックについては、入試状況を見て表は変わってくると。
 二戸ブロックだが、福岡工と一戸の統合もまた大変な課題だと思うが、2つ問題があって、1つは、統合して工業科が1つ、総合学科が3つ。そうすると、専門高校としての役割がかなり薄まるのではないか。先ほど学校建設費の質疑でも聞いたが、25億4千万円をかけて福岡工を改修した。しかし使うのは1学科だけたったら、ちぐはぐではないか。
 それで、一戸との統合なので、一戸の総合学科は3つ残すと。これも校舎制を考えているのか。主力は一戸だと思うので、一戸に統合ということを考えているのか。

【高校改革課長】
 福岡工については、生徒数がなかなか厳しい状況で、今年度の志願状況は2学科あわせて39人、まだ増えるかもしれないが、そういう状況である。他方で、一戸の総合学科の志願段階では98人ということで、人数的には2学科を超えるほどの人数になっている。こうした高校の統合ということなので、後期計画(案)では総合学科3、工業科1とした。
 校舎については、福岡工は実習棟があるので、校舎を新築したということもあるので、それらを活用しながらということで考えているが、具体的には案が定まった際に、さらに検討していきたい。
 いずれ統合については数年先なので、その間しっかり検討していきたい。

【斉藤委員】
 一戸・二戸というのは微妙な地域で、近いわりには地域の思いが簡単ではないところなので。
 そして福岡工は25億円余をかけて改修した。改修したとたんに1学科というのも、皆さんの取り組みに一貫性が感じられないところがある。そして今の答弁では、どちらの校舎も活用するということで、校舎制を考えているということなのか。そういう統合でいいのかと。
 本当にこの統合計画というのは、それぞれ生徒減少の中で出されたものではあるが、なかなか素晴らしい統合だとはならない。地域の思いもかなり複雑なものがあるのではないか。ぜひ今度の計画は、前期計画と比べると考え方もかなり変わってきた。1学級校を残す、小規模校を大事にするということと、一方で新たな統合が出され、これは単純にいく統合計画ではないと受け止めているので、しっかり地域での議論を、慎重に丁寧に繰り返し行い、しっかりした合意形成を前提にした後期計画が作られるようにお願いしたい。