2020年3月3日 2月県議会本会議
高田一郎県議の議案に対する反対討論


 日本共産党の高田一郎でございます。議案第80号について反対討論を行います。
 議案第80号は、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
 今回の契約変更は閉伊川に新設する水門の設備工事について非常用発電機および受変電盤等の電気設備についてゲート制御に必要な電気容量が決まったことから変更するものです。水門の設備工事は、9回の契約変更を経て当初議決から18億4327万円増の75億2541万円となりました。一方、水門本体工事は、この間水門本体の基礎構造の詳細設計により2016年2月県議会で契約変更し、更に2018年には、左岸部の基礎杭工施工のための追加の地質調査が二度にわたり行われ、設計変更や工法の変更などで請負契約の変更が行われました。事業費を101億6200万円増額し293億円に契約変更されたことから、県は、当時「用地補償費や機械設備費工事合わせて全体の事業費は約400億円に見込んでいる」と述べていました。これは当初の水門案167億円の4.8倍に膨れ上がるもので、当初設計の5倍にもなる契約変更は民間事業であれば見直しが行われるものです。わが党は、工事の進捗率22%であることから、事業の検証を行い、水門工事を含めて抜本的な見直しを行うよう求めていました。
 そもそも閉伊川筋藤原地区河口部の津波対策は、「堤防強化と堆積土砂の浚渫こそ必要で水門整備は洪水の原因になりかねない」との懸念が少なくない宮古市民からありました。
 当時の宮古市議会でも、水門方式と堤防方式の意見が分かれる中、2014年6月の宮古市議会で、「閉伊川の水門工事に関する閉川水門整備計画の詳細な説明を求める決議」を採択しました。県は水門方式では167億円、堤防方式では238億円と工事費を積算し、まちづくりへの影響、最大クラスの津波による影響、経済性の観点から、閉伊川河口部における津波対策は「水門方式が妥当だ」として県が主導して進められてきました。
 しかし、この間の地質調査に基づく設計や工法の変更などが何度も行われ、事業費も4.8倍に大幅に膨れ上がったことを見ても「河川堤防嵩上げ案」が妥当だったのではないでしょうか。
 県は、基礎杭工の施工実態がおおむね把握できたこと、今後の行われる右岸の工程見直しで、完了予定の令和2年からさらに6年遅れの令和8年に延伸が見込みとなることも明らかになりました。そもそも閉伊川の河口部は、岩盤の起伏が大きく地盤が複雑となっていることも指摘されており、工事の進捗次第では更なる事業費の増加も否定できません。
 民間事業であれば見直しが行われる事案です。これまでの事業の検証を行うことを求め反対討論とします。
 ご清聴ありがとうございました。