2020年3月5日 予算特別委員会
人事委員会に対する質疑(大要)


・職員の超過勤務の問題について

【斉藤委員】
 今年度実施された「労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果」の概要、超過勤務の実態、教育職員の時間外勤務の実態はどうなっているか。

【職員課総括課長】
 本委員会では、労働基準監督機関の職権を有している。知事部局や教育委員会など168の事業場に対し、超過勤務の状況等にかかる調査を書面により毎年度実施している。超過勤務時間数が特に多い事業場等については、事務局職員が赴き、長時間勤務の状況や要因、解消に向けた取り組み等についても実態調査を行っている。
 本年度の調査結果については、平成30年度おいては、職員一人当たり一月平均の超過勤務時間数について、10時間未満の事業場は109、10時間以上20時間未満は49、20時間以上30時間未満は8、30時間以上40時間未満は1事業場となっている。
 県立学校は78事業場があるが、教育職員の時間外勤務の状況は、10時間未満の事業場は1、10時間以上20時間未満は11、20時間以上30時間未満は9、30時間以上40時間未満は23、40時間以上が34となっている。

【斉藤委員】
 月平均30時間、年間360時間が基準になっているが、これを超える職員の事業場の実態、改善への取り組みはどうなっているか。
 月100時間を超える職員の実数はどうなっているか。

【職員課総括課長】
 月平均30時間、年間にすると360時間になるが、これを超える超過勤務を行う職員がいる事業場は、平成30年度で県全体で52事業場で、前年度の47事業場から増えている。平成30年度の職員一人当たりの月平均超過勤務時間が県全体で15.7時間ということで、平成29年度の16.3時間から0.6時間減となっている中で、年間360時間を超える職員のいる事業場の数は増加した結果となった。本委員会においては、労働基準法あるいは職員の勤務時間、休日および休暇に関する条例等に基づき、超過勤務命令の上限等に関する措置を踏まえ、超過勤務の縮減を進めるよう、該当する事業場の各任命権者に対し、昨年12月20日に文書により指導を行った。
 月100時間を超える超過勤務を行った職員の実数は、県全体で106人となっている。

【斉藤委員】
 教育職員の長時間勤務の状況、面接指導の実施率を示していただきたい。

【職員課総括課長】
 県立学校に勤務する教育職員のうち、月100時間を超える時間外勤務を行った職員は、3482人中716人で21%となっている。前年度については、3456人中668人で19%ということで増加する結果となった。
 このことについては、調査対象期間中である平成30年8月からタイムカードが導入された状況があり、客観的で正確が時間把握が進んだということで、この期間の時間数が前年に比較して増加したということが要因となっていると考えている。
 タイムカードの導入については、教育職員の在校等の時間、勤務時間についてよりきめ細かに把握できるようになったということで、これらの実態を踏まえながら、県教委においては、教職員働き方改革プランに基づき、業務改善等の取り組みを着実に進め、教職員の勤務負担を軽減し、健康の確保を図っていくことが重要と考えている。
 産業医による面接指導については、平成30年度において、月100時間を超える時間外勤務を行った教育職員716人のうち、面接指導を受けた教育職員は12人となっている。県教委においては、面接指導の実施要領で、時間外勤務が月80時間以上、または複数月の時間外勤務が一月あたり80時間以上といった要件に該当するもので、本人からの申し出があったものについて面接指導の対象としているというところである。12人にとどまっていることについては、事業場調査における実態確認の場、あるいは任命権者との意見交換・聞き取りの場において、学校現場においては、そうした対象となる職員に個別に声がけをして、面接の希望を確認するなど、面接の周知等に努めていると聞いているが、一方で、希望する教職員が少ないということについては、あまり健康上の不安を感じない方もいるということも聞いている。

【斉藤委員】
 今の認識だったら、とてもではないが労働基準監督署の機能を果たせないと思う。
 過労死ラインというのは月80時間といわれていて、100時間が716人・21%もあると。過労死ラインを大幅に超えて、そして面接指導はたった12人しか受けていないと。異常なことである。
 知事部局では100時間超えが106人だと。この方々の面接指導はどのぐらいか。忙しくて面接指導も受けられていないのが実態ではないか。
 労働基準監督署の役割がある人事委員会は、まず100時間を解消することに全力をあげるべきである。そして100時間を超えている方々は、基本的には医師の面接指導を受けると。こういう指導を徹底すべきではないか。

【職員課総括課長】
 106人のうち、医師による面接指導を受けた職員については85人となっている。
 知事部局においては、当該時間を超えた職員については必ず面接を行うとなっているが、教育職員については、80時間以上の職員について、希望する職員について面接をするかどうかという形でやっているので、知事部局と同じような対応についても検討する必要があると考えている。

【斉藤委員】
 教育職員の100時間超えは、昨年は668人だった。今年度は716人と増えている。面接指導は前回はゼロだった。今回はわずかに12人は受けたと。しかし過労死ラインを超えているわけだから、しっかりと面接指導を受けて、健康を確保するということは当然のこととして、人事委員会として指導、改善させるべきではないか。

【事務局長】
 ご紹介の通り、面接指導は若干改善したが、教育委員会から聞き取った感じでは、あまり健康上の不安を感じない方もあるようだという分析であった。ここが問題であり、働き方改革というのはキーワードであり、法令の整備も進み、任命権者の取り組みも進んでいる。ただし、職員個人の意識が大きく変わっているわけではないと思う。特に、県庁のような事務部局と学校現場は違って、いろんな構造的な問題もあるかもしれないが、なかなか声をあげられないような場合もあるかもしれない。しかし、やはり働き方改革は待ったなしの話であり、ここはやはり校長先生が改革の先頭に立つんだと宣言して、先生方の意識を変えていくぐらいのことが必要である。引き続き教育委員会とも相談しながら、働き方改革がさらに進むように指導・支援していく。