2020年3月5日 予算特別委員会
総括質疑(大要)
1.新型コロナウイルス対策について
【斉藤委員】
第一に、新型コロナウイルス対策について、この間の政府の対応は後手後手で、クルーズ船での大量感染に見られる問題などを検証し、対策を抜本的に強化すべきである。
県の医療体制の強化が最大の課題であり、重症患者の入院治療のための指定感染症病床は、医師・看護師の確保や区別された導線、減圧室など、直ちに機能するようになっているか。
【達増知事】
感染症病症については、県内9つの感染症病症指定医療機関に計38床が配置されている。それぞれの施設は、厚労省が定める基準等に準じて整備されているほか、新型インフルエンザ等対策訓練など、定期的な研修・訓練等を受けた医療従事者が対応することとなっている。
【斉藤委員】
総合水沢病院に行った際に、院長先生は「重症患者には対応できない」と。遠野病院でも「対応できない」という話だったが、本当に大丈夫か。
【達増知事】
重症という言葉の意味かもしれないが、基本的には厚労省が定める基準等に準じて整備されている9つの感染症指定医療機関において診療するということである。
【斉藤委員】
今までは、平常時における保健所の点検だと思う。いま全国的に感染が広がっている中で、本当に機能するのかどうか総点検していただきたい。
外来診療については、「帰国者・接触者外来」を設置している医療機関のみで受け入れることになっているが、体制、設備、資材などは確立しているか。
【達増知事】
「帰国者・接触者外来」に指定されている医療機関は、新型インフルエンザへの対応を想定した感染対策資機材や医薬品を整備してきており、今般の対応にあたっては、あらかじめ感染防止対策を講じ、一般の患者と導線や診察室を分離するなどした上で診療を行っている。
【斉藤委員】
「帰国者・接触者外来」の受診件数はどうなっているか。
【達増知事】
手元に資料がないので調べさせたい。
【斉藤委員】
「帰国者・接触者外来」の受診件数と合わせて、そこから検査の要請はどのぐらい出ているかも示していただきたい。
【達増知事】
検査の要請結果については、今日の時点で15件検査が行われ、すべて陰性である。
【斉藤委員】
受診件数は私は17件と聞いているが、ちゃんと知事に伝えないといけない。これは2〜3日前の数字で増えていると思うので、最新のデータを示していただきたい。
新型コロナウイルスは感染力が高い一方で、症状が現れない場合や軽症のケースがあると指摘されている。一般医療機関での感染が心配されるが対策はどうなっているか。
【達増知事】
「帰国者・接触者外来」の受診件数は18件である。
一般医療機関の院内感染対策については、県内の医療機関にたいし感染対策を徹底するよう各関係機関を通じて繰り返し周知を図っている。また、県民の皆さんに対し、丁寧な手洗いや咳エチケットなどの通常の感染防止対策の重要性を周知しているほか、感染が疑われる場合はまず「帰国者・接触者相談センタ−」に相談するよう呼びかけている。
【斉藤委員】
軽症が多いということで、最初に一般医療機関にかかるケースがあると思う。ここの安全対策をしっかりやっていただきたい。
特に一般医療機関の場合、報道でもあったが、岩手医大でマスクが不足し「2週間で在庫が底をつく」と。私も昨日、盛岡市内の病院からマスク・消毒液が「3月もたない」と訴えがあった。これからしっかり対応しなければならないときに、医療機関でマスク・消毒液が足らないということは絶対にあってはならない。きちんと対応していただきたい。
【達増知事】
岩手医大からは、社会的影響による衛生資材の供給の不安定化にともない、今後の確保が困難な状況になっているとして、昨日県に対し「医療用マスクおよび手指消毒薬の供給について」要望があった。医療用マスクや消毒薬については、2月21日に全国知事会を通じて緊急提言を行い、同日、国が月産6億枚を目指して業界団体への増産要請を表明し、県では2月27日、県医薬品卸業協会に対して、医療機関への安定供給確保に向けた要請を行ったほか、3月に入り、国の都道府県・指定都市とのホットラインを通じ、医療機関への安定的な供給を求めている。岩手医大をはじめ、県としては、県内各医療機関への当面の十分な供給を確保すべく、国に対して引き続き対応を求めるほか、当面の必要数量の県としての供給確保、県・市町村の有する在庫からの緊急供給などあらゆる手段を直ちに講じていく。
【斉藤委員】
岩手医大でさえマスク・消毒液が不足すると、これは緊急で異常な事態だと思う。こういうことにこそ、国がただちに対応すべきである。北海道だけにマスクを配るだけではいけないと思うので、厳しくやっていただきたい。
県の検査体制について、国のPCR検査は、隣国韓国と比べても極端に少なく、全国的には医師が必要と認めても検査が受けられないケースが少なくないと指摘されている。県内での検査の状況、その結果、検査を断ったケースはあるか。
【達増知事】
今回の新型コロナウイルス感染症の対応においては、「帰国者・接触者外来」を置く医療機関から、検査の実施について相談があった場合、感染症対策に精通した医療関係者により構成する「岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会」の各委員に対し、電子メール等により医学的観点からの意見を求め、検査の要否を慎重かつ迅速に判断している。
検査は、県の環境保健研究センターで実施しており、現段階では大きな支障なく検査が行われている。
受けた相談については、それぞれ検査すべきものについては検査、インフルエンザの治療が適当であるケースの場合にはインフルエンザの治療、また「持病が悪化しているが熱がない」などという相談もあると聞いているが、そのような場合にはかかりつけ医に行くことを指導するなど、相談を受けているケースについて、それぞれが適切な対応につながるようになされていると理解している。
【斉藤委員】
昨日までに検査は15件、すべて陰性と。この結果は安心できるものだが、今日の岩手日報で全国の状況を見ると、9000件超の検査が行われているが、ここでは岩手県は14件となっているが、全国最低である。検査件数が少なく、かなり絞っているのではないか。
【達増知事】
健康に不安を覚える県民の方への適切な医療へのつなぎ役としては、検査ということも含めて適切に行われていると理解している。一方、まったく自覚症状がないが感染しているのかどうかといった不安を一般の方が持たれることがあると聞いており、また、普通の風邪のようだが大丈夫かといった不安もあると聞いている。こうした不安を解消するには、疫学的な調査というか、中国や韓国でやっているような一気に大量の検査を片っ端からやる中で、例えば1000人検査しても1人もいなかったとか、10000人検査して1〜2人いるというようなことが見えてくれば、県民というよりも国民全体の安心感、あるいは10000人集まるところには患者がいる可能性を想定しなければならないような、これはあくまで例えであって実際にそうだということではないと繰り返しておきたいが、そのような疫学的な調査、健康に不安を持つ方への対応ということを超えて感染の実態を把握し、それに応じた適切な対応をとるための検査ということについては、国家規模で、かつ大々的に行われるべきものと考える。
【斉藤委員】
明日から保険適用になるが、保険適用となれば、一般医療機関での検査が可能となると思うが、その体制・対応はどうなるか。
【達増知事】
一般医療機関における適切な検査体制を確保するためには、3月6日からの医療保険適用に向けた具体的な対応については、昨日付で国から示された通知において、当面「帰国者外来」および「帰国者・接触者外来」と同様の機能を有する医療機関として都道府県等が認めた医療機関において検査を実施する旨が示された。検査実施に際しては、検体採取を含めた感染対策を徹底する必要があることから、医療保険適用を想定し、早期に各関係機関を通じて周知し取り組んでいく。
【斉藤委員】
保険適用となった場合、県内だと環境保健研究センターで検査するが、民間の検査機関も活用するということになるか。
【副知事】
今のところ民間医療機関は想定していない。県立病院などのしっかり整ったところのみということで、「帰国者・接触者外来」として指定されているところが当面中心になると思っている。
【斉藤委員】
結局、最終的には環境保健研究センターだけで検査するということか。
【副知事】
本県においては、現状では環境保健研究センターのみで検査ができているということで、民間の検査機関もあるわけだが、そちらの体制がとれていないということで、当面はセンター一本になるかと思っている。
【斉藤委員】
観光業界・宿泊業、運送業、製造業等、地域経済への影響がかなり深刻に出ているが、実態をどう受け止めているか。
【達増知事】
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、本県においても宿泊業において、1月24日〜3月1日までの間に、国内4153人泊、海外7181人泊の計11334人泊のキャンセルが出ている。また、貸し切りバス輸送のキャンセルやタクシー利用者の減少、荷物の取扱量の減少、中国と取引のある企業における部品調達の遅れなど、観光関連産業はじめ、運送業や製造業、卸小売業など幅広い業種において経済的な影響が生じており、感染症の長期化による影響の拡大が懸念されるところである。
【斉藤委員】
本当に地域経済への影響をしっかり把握し、基本的には国にしっかりした対策を求めていただきたい。
当面一番重大な問題になっているのは、安倍首相による、小中高の全国一律の休校の強制だと思う。法的権限もなく、科学的根拠もない場当たり的な対応ではなかったか。学校の休校措置は、本来学校設置者が自主的に判断するものであり、県の対応は残念ながら自主性のない対応となったのではないか。
【達増知事】
2月28日付で文科省から発出された事務次官通知には、「臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではない」としつつ、「3月2日から春期休業の開始日までの間、学校保健安全法第20条に基づく臨時休業を行うようお願いする」旨の記載がある。
このため教育委員会においては、通知を重く受け止め、県立学校については、原則として3月2日から春期休業に入るまでの間臨時休業としつつ、登校日を設けることや休校の開始時期を延長することを可能とするとともに、市町村教委に対しては、3月2日以降、学校・地域の体制が整い次第すみやかに臨時休業することなどを通知したものと認識している。
なお臨時休業にともなう児童生徒に居場所確保に向けて、学校において児童生徒を預かること、学校の施設等を活用することなどを内容とする新たな通知が文科省と厚労省の連名により発出された。現在、この通知の内容に基づいて教育委員会と保健福祉部等の関係部局が連携し、対応について調整しているところであり、引き続き、児童生徒・保護者等の実情など丁寧な把握に努めながら柔軟に対応していくところである。
【斉藤委員】
国会の論戦でも明らかになったが、安倍首相は「専門家の意見は聞かなかった」「政治的判断だった」と。つまり独断である。法律上は、学校保健安全法の適用で「設置者が決める」と。
実は昨日、文科省が全国の状況を調査したと。共同通信では、8府県439校が休校せずにやっていると報道している。さらに休校を止めたというところも広がっている。
知事は「柔軟に対応する」と答弁された。先日の記者会見の報道では、「専門家へ相談せずに臨時休校を要請したことに対して知事は『信じられない』と苦言を呈した」と。であるならば、科学的根拠のない全国一律の休校という方針に、そして文科大臣は「設置者の判断に委ねる」と国会でもはっきり言っている。この一律の休校措置に拘束されないで、自主的に判断することが必要ではないか。
【達増知事】
2月28日付の事務次官通知は「お願い」という言葉ではあるが、学校の休業のやり方については柔軟にしていいが、しかし休業自体についてはお願いするという趣旨であり、それを県教委においては重く受け止めたものと理解している。
一方、休業中の過ごし方、全国一律の休校の事態になったときの直接関係ある人はもちろんだが、直接関係のない大人たちと言いますか、国民全体がこの事態にどう対応していくかということを考え、行動していくようにあたっては、なぜ政府としてそのような判断をしたのか、なぜ政府としてそのような通知を発したのかということについては、やはり科学的根拠を示して、そうすればどういったところにどのくらい気をつければいいのかということも見えてくるはずであるし、そうした根拠に基づき、かつ休業にともなうさまざまな問題、特に子どもの居場所確保に関する体制がきちんと整うと見定めた上で学校休業という政府の決断をするのがあるべき姿なので、記者会見ではそのように申し上げた。
【斉藤委員】
3月3日の参議院予算委員会で萩生田文科大臣は「設置者が学校を開くという判断をされれば、それは尊重する」と。もう全国一律の休校ではなくなった。科学的根拠がないのだから。そして岩手の場合には、15件検査して陽性ゼロだったと。だとしたら、岩手県で一律に休校する根拠はまったくない。
埼玉県は特別支援学校36校すべてやっている。島根県は高校35校、特別支援学校12校すべて続けている。こういう自主的な判断こそ必要ではないか。
【達増知事】
岩手のみならず、ダイヤモンドプリンセス号を下船された方の感染が仙台で確認されたということ以外は、広く東北全体で検査してもまだすべて陰性という状況であるが、一方、東京など首都圏の状況については、なかなか岩手県としては分からない部分が多く、そうした首都圏の状況等も含め、全国の状況を踏まえた科学的な判断が国においてはなされたものと受け止めており、委員が述べた文科大臣の発言については、2月28日付の通知の趣旨と違う内容の発言であるので、そのような混乱したことはあってはならないと思う。
【斉藤委員】
学校こそ安全である。養護教諭もいるし、学校給食もある。いま少人数学級なので1学級20人程度である。それが学童保育に行ったら、せまいところに50人60人入っている。学童保育と保育所はやって、一番安全な学校を休校することはおかしいのではないか。
特に特別支援学校の生徒、県内1521人いるが、行き場がない。休校はやめるべきではないか。
【達増知事】
WHOが日本・韓国・イタリア・イランの4カ国を名指しして「要注意」と発表したことを受け、厚労省がいわばそれに反論するような形で、日本はクラスター=集団感染が散発的に起きている状態であり、それが連続するような事態にまでは至っていないと。クラスターを防ぎ、かつそれが連続することを防いでいくことが大事ということを、私が見たのは昨日だが、それを発表している。そのような科学的根拠に基づいた学校のあり方、子どもの居場所の確保の仕方というものについて、まずは県と市町村が連携しながら、委員ご指摘のような子どもたちの安全、集団感染の発生を防ぐようなやり方を工夫していきたい。
【斉藤委員】
専門家会議の委員である感染症の専門家、川崎市健康安全研究所の岡部所長は「感染者の数も、家庭事情も地域ごとに違う。休校は本来一律でなく、地域ごとに決めるものだ」と。その通りだと思う。岩手の実態を踏まえ、ぜひ教育長と相談し、一番安全な学校を再開させると。そうすると給食もあるので。ぜひそういう対応をしていただきたい。
【達増知事】
首都圏の感染の広がりの実態など不明な中、また岩手は首都圏との行き来もかなりあるので、そういう中で国が日本全体の状況を踏まえて2月28日に通知を出した内容を踏まえた対応を県教委がとるということについては、理由があるものと考えているが、委員繰り返しご指摘の通り、それでかえって子どものリスクが高まるようなことはあってはならないので、そうしたところをきちんと、それにはどのような方法が効果的か、そこは学校の施設の活用や登校といったことも含めて対応するよう調整を図りたい。
【斉藤委員】
専門家会議が「この1〜2週間が瀬戸際」だと言った2月24日から2週間というのは3月9日にあたる。国会での答弁も変わっているので、そういう状況の変化も踏まえて、しっかり子どもの安全を確保する最善の対策をとっていただきたい。
2.遠野病院の総看護師長のパワハラによる看護師の大量退職問題について
【斉藤委員】
この2年間に、看護師が17人も大量に退職している事態、今年度も7人の臨時看護師が退職しようとしている事態、そうした事態の要因となっている総看護師長のパワハラの防止・改善を求めて2人の医師が院長に辞職を申し出た事態を知事は異常な事態と受け止めているでしょうか。
【達増知事】
県として、医師や看護師の不足が大きな課題である中、看護師や医師が続けて退職する、しようとしている事態は好ましくないものと受け止めている。また職員間の意思疎通が十分に図られていない状態というものは改善されるべきと考えている。
県立遠野病院の看護師の退職に対しては、医療局本庁と遠野病院が連携しながら、職員の確保に努めるとともに、職員が働きやすい環境の整備を通じて、職員の離職防止に取り組むこと、辞職の意向を示している医師に対しては、これまで院長が当該医師と面談を重ねて慰留に努めているほか、医療局本庁としても、医師支援推進室に加え、医療局次長が当該医師と面談し、勤務の継続について要請しているとの報告を受けている。
病院など組織の運営にあたっては、職員間の意思疎通が十分に図られ、職員が意欲を持って取り組んでいく環境を整えていくことが必要であり、県立遠野病院においてもこうした職場環境を整え、地域において必要とされる医療を提供するよう医療局において適切な対応を望むところである。
【斉藤委員】
私は本会議の関連質問でも聞いて、不十分だと思ったので取り上げている。
職場の意思疎通の問題ではない。上司のパワハラによって退職に追い込まれている。このことを解決しなかったら何も解決しない。本会議でも具体的に指摘したが、「総看護師長が遠野病院に赴任してから、超過勤務が申請できなくなった。実際に超過勤務の申請は激減した」と。だからこそ釜石労働基準監督署に告発された。また「障がい者の認定を受けていた複数の看護師が、これまで配慮されていたにも関わらず、総看護師長の下で、病棟勤務や夜勤を強いられ、辞めざるを得なくなった」と。これはパワハラそのものではないか。意思疎通の問題ではないと思うが知事の認識をお聞きしたい。
【達増知事】
釜石労働基準監督署に対する匿名の通報に基づき、昨年9月26日に同署の監督官が遠野病院を訪問し調査が行われており、医療局では遠野病院と一体となって超過勤務等の実態を把握を進めているので、その中で事実関係を明らかにしてほしいと考える。
【斉藤委員】
超過勤務を認めなかったということで、監督署が入って指導して調査をしている。これが事実だとしたら、労基法違反である。厳しい処分が問われる。
私が昨年の決算特別委員会で取り上げてから、まったくその通りだという声が何通も寄せられた。「助けてください」という声も寄せられた。紹介すると、「妻に先立たれ、4人の子どもをみていた男性看護師が配属転換となり、夜勤を強要され退職に追い込まれた」と。総看護師長が赴任して早々である。「新人や若手の看護師は超勤が書けない」「勤務前の情報収集は超勤を書けない」「インシデントレポートの入力は超勤の対象としない」と。おかしいのではないか。これは意思疎通の問題ではなく、パワハラではないか。
【達増知事】
現在、超過勤務の実態調査を実施しているわけだが、医療局からは、委員ご指摘のような職員の声がある一方で、それとは異なる職員の声も出されているということで、慎重な対応が必要との報告を受けている。また医療局では、病院内の対話の促進や信頼関係の構築を進めるために、配置体制の検討も行っていると聞いており、医療局において適切に対応することを望む。
【斉藤委員】
意見が違う方もいるというのは事実。それはなぜかというと、総看護師長の親衛隊をつくっている。単なる意見の違いではなく分断している。労働組合の団体交渉にも介入している。基本は、パワハラによって辞めざるを得ない大量の職員が出ている。
医師について言えば、病棟の回診に看護師がついていない。病棟と外来の一元化で、外来の看護師が毎日変わって、患者に対応できないと。医師が一番困っている。
私は、辞職を出した2人の医師に直接話も聞いてきた。私自身が慰留してきた。「遠野に家を建てて骨を埋めようとしているあなたたちが残らないでどうするんですか」と。次長が会ったというのは、私が会った後である。医師は「慰留されていない」と言っている。
知事は今まで医師確保に頑張ってきた。しかしこんなことで医師を辞めさせたら、岩手県として本当に残念な事態になってしまう。ぜひ立ち入って対応していただきたい。
【達増知事】
医師不足・偏在で、全国的にも非常に困っている岩手県なので、このような事態の中で医師が辞めてしまうようなことはあってはならない。また、さまざまな声があるということで、調査をきちんとやるということが必要と考えるが、同時に、遠野病院の正常化は医療局の責任においてなされなければならないことであるので、さまざま問題点が指摘されるような部分について、先ほど医療局においては、配置体制の検討を行っていると聞いているので、適切に対応することを望む。
【斉藤委員】
異常な事態で、県立病院の看護師はみんな知っている。この総看護師長が行ったところは超過勤務が激減している。いわば常習犯。そういう意味で、実態もよく見て対応していただきたい。
3.会計年度任用職員制度導入の問題について
【斉藤委員】
会計年度任用職員制度導入の目的は何か。
知事部局では、現在のフルタイムの臨時職員がフルタイムの会計年度任用職員にどれだけ移行する計画か。
パートタイムの場合、月収が減額されるようなことがあってはならないと思うが実態はどうなっているか。
消費生活相談員の待遇はあまりにも低いと思うがいかがか。
【総務部長】
導入目的については、現在の臨時・非常勤職員について、法的な位置づけが不明確であり、また地方公共団体によって、任用・勤務条件に関する取り扱いがまちまちであったことから、統一的な取り扱いを定めることにより、地方行政の重要な担い手となっている臨時・非常勤職員の適正な任用や勤務条件を確保することが目的であると承知している。
会計年度任用職員の人数については、国が示した事務処理マニュアルによると、会計年度任用職員制度の導入にあたり、現に存在する職を漫然と存続するのではなく、それぞれの職の必要性を十分に吟味することとされている。県としては、この内容を踏まえ、本県の臨時・非常勤職員の任用状況を考慮しながら、事務補助を行う臨時職員の業務見直しを行うとともに、正規職員の増員を行っていることも踏まえながら、会計年度任用職員の任用数や勤務条件の検討を行ったところである。知事部局における平成31年4月時点のフルタイムの臨時的任用職員の職員数は571人であり、令和2年度当初予算におけるフルタイムの会計年度任用職員の職員数は126人を見込んでいる。パートタイムの会計年度任用職員の職員数は、知事部局における平成31年4月時点のパートタイムの非常勤職員の職員数は1211人、令和2年度当初予算におけるパートタイムの会計年度任用職員の職員数は、事務補助を行う臨時職員をパートタイムの会計年度任用職員とした約290人を含み、1937人を見込んでいる。
会計年度任用職員の給与については、年齢が40歳で経験年数10年の現在の期限付臨時職員を週30時間勤務のいわゆるパートタイムの会計年度任用職員として任用した場合、月額給与は、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合約15万3千円。週30時間の勤務時間となるとので、パートタイムの会計年度任用職員の場合、約14万2千円となり、勤務時間が短くなることにより約11000円の減少となる。年収については、現在のフルタイムの臨時的任用職員の場合約183万円、週30時間のパートタイムの会計年度任用職員の場合、報酬および期末手当の合計で1年目は約195万円、2年目以降は約208万円となる。これらの年収を比較した場合、1年目で約12万円、2年目以降は約25万円の増額となるものであり、全体として処遇の確保を図ったものである。
消費生活相談員の処遇については、消費生活相談員はその業務量を考慮し、勤務時間を週29時間に設定しているところだが、専門的な知識や職務経験を必要とする職であることに鑑み、1時間当たりの報酬額で比較した場合、事務補助を行う職員が1185円であるのに対し、消費生活相談員が1207円とするなど、その専門性を踏まえた報酬となっている。
【斉藤委員】
フルタイムの臨時職員が会計年度任用職員になったら4分の1に減らされる。異常なことではないか。今まで不必要に仕事しているということはないと思う。そしてパートタイムの場合、月収が11000円減る。正規職員が月収減ったら生活が困るのではないか。これは改悪ではないか。
【達増知事】
会計年度任用職員についても、仕事と生活の調和をはかり、いきいきと働くことができる職場環境づくりをしていくべきであり、適正な任用や勤務条件の確保を図る必要がある。
こうした認識のもと県としては、会計年度任用職員に対し、常勤職員との均衡を考慮しながら、部長から答弁あったような、年収については増えるような形での処遇の確保を行ったものである。
今後も、今回の法改正の趣旨を踏まえた適正な制度の運用を図り、会計年度任用職員を含む職員全体が意欲をもって業務に取り組むことができるよう努めていきたい。
4.教育の課題について
【斉藤委員】
先の知事選挙の政策協定において「国、県、市町村によるテストづけの競争的教育のあり方を見直し、一人一人の子どもにゆきとどいた教育を進めること」で合意した。
昨年2月に公表された国連子どもの権利委員会の日本政府に対する勧告を踏まえ、着実にこの改善に取り組むべきだと思うがいかがか。
【達増知事】
全国学力学習状況調査の趣旨は、児童生徒の学習上のつまずきや、教員の学習指導上の課題などを明らかにしながら、積極的に授業改善に活用することで、学習状況の改善や学習意欲の向上を含むたしかな学力の定着を目指すものと理解している。
県教委においては、市町村や学校等の序列化や過度な競争が生じないよう、調査結果については、県全体の状況のみを公表するとともに、そうした趣旨を市町村教委や各学校に指導していること、過去問等による事前対策についても現に慎むよう指導していると承知している。
現在、県教委においては、他県の実施状況に関する情報収集を進めるとともに、市町村教委が実施する学力調査の内容の分析や、諸調査のあり方についての意見交換を始めたと聞いており、十分に検討を進めることを期待している。
【斉藤委員】
国連子どもの権利委員会は「ストレスの多い学校環境、過度に競争的なシステムを含むから、子どもを解放するための措置を強化すること」と、日本政府に勧告している。
県版学力テストは、小学校で30道府県、中学校で32道府県が実施しており、17都府県がやっていない。岩手もテストづけの教育を改善して、一人一人にゆき届いた教育を進めることこそ、業務削減の一番の力だと思うがいかがか。
【達増知事】
業務の削減、また、学習において子どもに過度なストレスが生じないようにする、それぞれの観点から、いわゆる学力調査等のあり方を検討していくことはきわめて重要であり、県教委においても検討を進めていくということであるので、ご指摘の国連子どもの権利委員会の政府に対する勧告の趣旨なども参考にしながら、岩手県として進めるよう期待したい。