2020年3月5日 予算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)


・会計年度任用職員制度の問題について

【斉藤委員】
 フルタイムの臨時職員がフルタイムの会計年度任用職員になった場合、待遇・賃金はどのように変わるか。

【人事課総括課長】
 現在の臨時的任用職員は、給料月額が15万3930円、年収183万150円となっている。
 フルタイムの会計年度任用職員、事務補助を行う会計年度任用職員の給料月額が18万3800円、1年目の年収は給料と期末手当の合計で252万円。2年目以降の年収は、給料と期末手当の合計で268万円となる見込みである。

【斉藤委員】
 答弁にあったように、本来会計年度任用職員というのは、臨時職員の劣悪な状況を改善することが重要な目的だった。本来なら、月収は15万3930円から18万3800円に、年収は183万円から252万円に改善されると。
 ところがあなた方の計画は、いま臨時職員は571人で、フルタイムの会計年度任用職員は126人に4分の1以下に減らされる。これだったら全然改善されないではないか。これだけフルタイムの会計年度任用職員をばっさり減らすのは知事部局だけである。これは改悪ではないか。今までの臨時職員は、ムダなフルタイムだったということにならないか。

【総務部長】
 公務の運営については、任期の定めのない常勤職員を中心とすべきであり、まずは常勤職員の増員、今年度からの4年間で80〜100人程度増員しますし、欠員の解消を図ったうえで、育児休業者や欠員職員の代替として任用する会計年度任用職員をフルタイムでの雇用とした。その他、秘書業務や除雪などの個別事業の補助、事務補助のうち、フルタイムでの任用を要する業務に従事するものもフルタイムでの雇用としたものである。
 その上で、臨時職員の業務を1つずつ吟味し、事務補助を行う会計年度任用職員の勤務時間について、その業務量や内容を踏まえて、週30時間のパートタイム勤務とすることが適当と判断したものであり、約290名がフルタイムからパートタイムとなる。
 委員ご指摘のフルタイムの臨時職員が445名減少している中には、事業費の減歩が150人ほど含まれているものであり、フルタイムからパートタイムへ移行するものは約290名である。今後も常勤職員の増員に努めていく考えである。

【斉藤委員】
 正規職員は来年度どのぐらい増やすのか。

【人事課総括課長】
 来年度の具体的な増員については、来年度の組織を公表したときに、20名程度の増員見込みという話をしているが、詳細については、採用予定数や退職見込みもまだ動いているので、正確な数字としてはまだ確定していない。

【斉藤委員】
 総務部長の答弁はごまかしではないか。290人もフルタイムからパートにして、正規はたった20人程度の増員見込みだと。
 私はそのことを心配して昨年の決算特別委員会でも取り上げた。フルタイムでの臨時職員を会計年度任用職員への移行にあたってバッサリ減らすようなことがあってはならない、パートの月収を減らすようなことがあってはならないと、このことを釘を刺したつもりだった。ところが、予想以上にバッサリとフルタイムを減らしパートへの移行である。
 パートになると月収は月11000円減る。正規職員が月11000円減らされるとどうなるか。月収は生活給である。これは改悪である。正規職員には絶対にできないことである。こんなことが正規職員にできるか。

【総務部長】
 フルタイムの臨時的任用職員がパートタイムの会計年度任用職員になるというのは、現在週に38時間45分働いているが、それが週30時間勤務となり、勤務時間が現在の77%になると。先ほど申し上げたモデルケースの期限付臨時職員の場合、これは今回の会計年度任用職員の制度設計にあたり、類似する職務に従事する常勤職員の給料月額を基礎としているので、県職員の行政職1級25号級に格付けした。これは大卒の初任給に相当するところであり、そのため先ほど申し上げた通り、月額給与としては14万2千円・92%の水準となるものである。制度設計にあたり、処遇の確保が図られるよう留意したところだが、給与については、現行の年収と制度移行後の年収を1つ1つの職種ごとに吟味し、その水準が保たれるよう留意した。

【斉藤委員】
 いまフルタイムの臨時で働いている一人一人を考えてほしい。そのうち290人をパートに移行する。これ自身が改悪である。そして月収も減らされる。いま働いている人たちの待遇改善になっていないということである。
 総務省の通知では「ボーナス支給の一方での給与削減や雇い止めは改正法の趣旨から適切でない」と釘を刺して、1700億円の財源を措置した。
 これだけ減らしたのは知事部局だけである。教員の場合は、臨時110人中86人はフルタイムの会計年度任用職員。警察本部は、フルタイムの臨時は7人だが会計年度任用職員は12人に増やしている。一人一人の労働者にとってみたら改悪である。幸福を追求する県政が、一人一人の労働者の労働条件を改悪していいのか。そのことを本当に訴えたい。
 もう1つは、消費生活相談員の待遇だが、これは弁護士会との懇談会で指摘された。専門職としての消費生活相談員の待遇が悪すぎると。15万8700円である。盛岡市は20万4300円でかなり開きがある。弁護士も「専門的な仕事の内容だ。それにしては待遇が悪い」と言っているが、いかがか。

【人事課総括課長】
 消費生活相談員は非常勤専門職員だが、こちらについても、それぞれの個々の職務内容や業務量を踏まえた上で、制度移行の検討をしたところである。
 盛岡市との比較だが、やはりそれぞれの自治体での採用の職員ということであるので、盛岡市の消費生活相談員の報酬の算定方法については県として承知していないが、本県が任用する相談員の報酬については、職務内容や責任、必要な知識などのほか、県の他の相談員の報酬、東北各県の消費生活相談員の報酬等を踏まえ、今回決定させていただいた。

【斉藤委員】
 これも会計年度任用職員になると、月収が18000円減る。生活給がマイナスである。盛岡市との大幅な違いも含めて改善を検討していただきたい。

・新型コロナウイルス対策のための一律休校による職員の状況について

【斉藤委員】
 職場を休まざるを得ないような職員の把握はどうなっているか。

【人事課総括課長】
 まず国家公務員の場合だが、今回の臨時休業により、この世話を行う職員が当該世話を行うため、勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、災害時等に出勤が困難である場合に取得できる有給の特別休暇の対象とされたところである。これを受け、国から、地方公務員においても、この措置を参考にして柔軟な勤務体制の確保を図るようにと通知があった。
 県職員の対応については、国と同様に、臨時休業によりこの世話を行う職員が勤務することができない場合は、この特別休暇の対象とすることとした。3月4日時点で、この特別休暇により休暇を取得した職員および今後取得予定ということで把握した職員は、知事部局において47名となっている。

【斉藤委員】
 これはきちんと対応していただきたい。全国一律の休校は早く止めた方がいいと思うが。

・台風19号災害の検証―課題と教訓について

【斉藤委員】
 避難者が夜・夜中に多数になったと、これは決算特別委員会でも議論になった。あのとき県当局は「何時にどれだけの避難者がいたかということを把握したい」と言っていたが、把握したか。

【総合防災室長】
 避難の状況については、10月12日17時時点においては839人ととらえている。翌13日6時時点では9930人となっている。この数字については、県の災害情報システム、県が数値を入力したり、市町村が入力したりと共通で使っているシステムがあり、こちらで把握した数字である。

【斉藤委員】
 17時時点でたった839人ということか。災害情報システムだと17時57分現在で2039人、22時現在で6686人だった。なぜこれだけ違うのか。誇大な報告になったのか。

【総合防災室長】
 手前共の方で把握している数字ということであり、17時時点ではまだ839人だったと。日が変わり6時時点では9930人だったということである。

【斉藤委員】
 だとしたら、なぜ災害情報システムで17時57分で2039人になったのか。22時時点で6686人。これはまったく違っていたということか。

【総合防災室長】
 いま申し上げたのは、日中に避難した方と夜間に避難した方ということを、時間ごとに押さえていくとこういう数字になるということを申し上げたものであり、繰り返しになるが17時時点では839人の方しか避難所には避難されていなかったと。その後天候の状況等を踏まえて避難をする方がある程度の数増えて、翌日の6時時点で締めた数字となると9930人となる。

【斉藤委員】
 例えば、17時57分時点で2039人、これはその通りか。

【総合防災室長】
 手元にある資料の数字を申し上げており、繰り返しだが、17時時点では839人、6時時点では9930人だったということである。

【斉藤委員】
 17時で839人だったと。本当に夜の暗い中でたくさんの方が避難したと。ここに台風19号災害の重大な課題があると思うが、この問題はどのように分析・検討しているか。

【総合防災室長】
 まさしく今回の台風19号災害で最大のポイントになったのは、夜間に避難したということだととらえている。避難者の数で、市町村が入力する時間にタイムラグがあれば、その数字が遅れて出てくるのではないかということも考えたところであり、その辺は市町村にも確認したが、長時間にわたり入力が遅れていることはないということは聞いているので、先ほど申し上げた数字が、ある程度実態を反映している数字だと、正確にとまでは言えるか分からないが、反映された数字だと考えている。
 県として実態を踏まえた対応だが、夜間に避難した方が事故で亡くなることがなかったのは不幸中の幸いというとらえ方をしている。台風19号については、振り返りをしっかりやらなければならないという認識を強く持ったところである。振り返りのポイントとしては、まずかつての台風10号があったので、そのときに同じように振り返りをして、これからの対応を決めたものがあったので、それがしっかり実行できたのかということ、やったことがきちんと成果が出たのかということが論点の1つだととらえている。それから、夜間の避難ということが大きな課題ととらえたところである。これらについて、防災関係機関だとか被災市町村の事務レベルの方に集まっていただき、有識者の方にも入っていただき、現在振り返りの作業を行っている。協議を進め、3月下旬に県の防災会議を予定しているので、その場にもおいて、県の地域防災計画に必要な修正を加えるといった形で、市町村と連携を図りながら、今回の台風19号の災害対応を踏まえた、きちんとした取り組みをしていきたい。

【斉藤委員】
 91万人に避難勧告が出されたが、県内の避難所数は48万人分。指定避難所のあり方が問われたのだと思う。そして福祉避難所がほとんど活用されなかったということも、本当に1人では避難できない方々をどのように避難させるかということは、命に関わる問題なので、そのことも合わせてしっかり検討していただきたい。

【総合防災室長】
 今回の台風19号災害において、指定避難所については、浸水想定区域にある施設を避難所として開設したという事例だとか、避難所に移動した避難者を再度別な安全な避難所に移動させた事例があった。県として避難所の指定にあたっては、ハザードマップ等により、災害発生の危険性などを十分に考慮することなどについて、市町村に助言を行っていく。福祉避難所の開設にあたっては、要配慮者以外の避難者が多数避難した場合の受け入れ体制が課題になったとうかがっている。市町村に対しては、福祉避難所への周知について検討を依頼したと聞いているので、防災部局だが、担当部局とも情報共有を図りながらしっかり対応していきたい。

・旧盛岡短大跡地の利活用について

【斉藤委員】
 今年度の建物解体に向けた設計の結果はどうなったか。
 来年度の事業計画、予算措置はどうなっているか。

【管財課総括課長】
 本年8月に、建物解体工事設計業務にかかる委託契約を締結し、本年度末までに解体設計を完了する予定である。
 本年度実施した解体設計を元に、令和2年度から3年度の2ヶ年で校舎等の解体工事を実施する予定としており、令和2年度当初予算においては、財産管理費3億4700万円のうち、当該工事に要する費用として2億8400万円を計上している。
 このほか、令和2年度から3年度にわたる債務負担行為(限度額8億7100万円)を提案している。