2020年3月6日 予算特別委員会
復興局に対する質疑(大要)


・被災者の住宅再建の状況について

【斉藤委員】
 被災者生活再建支援金基礎支援金の受給者の住宅確保の状況はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 住宅の方は加算支援金になるので、加算支援金の受給者については、1月末で14567件である。そのうち、建設・購入が10659件、補修2989件、賃貸919件となっている。

【斉藤委員】
 公営住宅も住宅確保になるので。公営住宅は5009戸で計19576戸、そうすると残りは3596件になるが、残りの動向は分かるか。

【生活再建課総括課長】
 加算支援金は災害公営住宅に入られた方には支給されないものなので、省いてしまい申し訳ございません。
 残りの方の動向については、これから住宅再建する見込みは約1000件ぐらいあるが…

【斉藤委員】
 基礎支援金の推計は23645件で、実際に基礎支援金を受給したのは23172件、473件が未申請だが、これは期限があるので、どういう実態か把握しているか。

【生活再建課総括課長】
 正確なところは分からない部分があるが、元々の数字は推計のところから出ている数字であり、残りの数字がすべて名簿で突合できるということではなく、考えられるのは、例えば、基礎支援金を受給される見込みのあった海外から研修で来られた方が海外に戻った場合や、住民票の異動なしでこちらで働いていた方が住所元に戻ったことなどが考えられると思っている。

【斉藤委員】
 住宅再建について、自立再建=住宅を建設・購入された方々は、被災地でどのぐらい再建されたのか。内陸でどのぐらい再建したのか。県外でどのぐらい再建したのか。

【生活再建課総括課長】
 被災者生活再建支援金の受給者については、全体の86.4%が沿岸で住宅再建をしている。内陸は…

【斉藤委員】
 資料をもらって聞いているので、きちんと答えていただきたい。
 被災地で住宅再建したところは県の100万円補助の対象で、それが8447件、加算支援金が10330件なので81.8%である。内陸は1322件、足らない分はおそらく県外ということになると思う。そういう意味では、県の補助金で見ると81.8%が被災地で再建と。
 まだ住宅確保に至っていない被災者の状況と今後の見通しで、来年度の被災者住宅再建事業費補助が3億8900万円になっている。これは先ほどの約1000件が今後住宅再建の見込みということか。

【生活再建課総括課長】
 来年度の想定人数については、724件と押さえている。

【斉藤委員】
 正確には724件を想定して予算化したと。だとすれば1000件というのは正確ではない。議事録に載るのだから正確に答えていただきたい。

・災害公営住宅の入居者の状況について

【斉藤委員】
 入居者の状況、高齢者世帯の状況、孤独死の状況はどうなっているか。

【生活再建課総括課長】
 12月末現在で、災害公営住宅に入居している5146世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯が3191世帯・約62%、そのうち高齢者の一人暮らし世帯は1711世帯で全体の33.3%となっている。また、一人暮らしで亡くなられた後に発見された孤独死は50人となっている。

【斉藤委員】
 実は、昨年1年間で16人、その前の年が18人で、34人がこの2年間に発生している。災害公営住宅での孤立化・孤独化は大変切実な課題になっている。

・災害公営住宅でのコミュニティ形成の課題について

【斉藤委員】
 最近、県立大・岩手大が災害公営住宅のコミュニティに関わる調査をやったが、把握しているか。

【生活再建課総括課長】
 新聞報道で拝見し、資料は取り寄せている。

【斉藤委員】
 2月11日に、宮城県多賀城市で大規模災害公営住宅自治会交流会があり、沿岸の振興局からも3人ほど参加されていた。
 岩手大学の船戸先生が行った調査で、2県で1800件、そのうち岩手は1100件の回答があったが、内容としては、「ご近所・地域と関わる機会が減った」39%、「集会所の利用が一度もない」42%、「年数回」が32%で、計74%はほとんど活用していない。「隣3軒程度の方々の顔と名前が分かる」は23%、「だいたい分かる」24%で、合わせても47%しかない。「困っているときに相談できる人がいない」は29%。不安や課題について、第一に「家賃・生活費」、第二に「健康・運動」、第三が「交通の便」と。
 昨日新聞報道された県立大学の調査では、団地生活の困り事の第一位が「誰が入居しているか分からない」69%、「相談する相手もいない」47%、「集合住宅になじめない」40%と。災害公営住宅のコミュニティ形成というのは大変切実な課題だと思う。
 そこで、今年度は大船渡市みどり町の県営災害公営住宅と大槌町上町の災害公営住宅の集会所に支援員が2人配置された。みどり町の自治会長さんにお会いしたが「大変助かっている」「使いやすくなった」と。こういう形でコミュニティ形成が支えられているという感じを受けた。ぜひこれを、せめて50戸以上の災害公営住宅には広げる必要があるのではないか。今の状況から見ても、あと5年、延長されたこの期間に、自治会を支え、コミュニティ形成するというのが緊急の課題になっていると思うがいかがか。

【生活再建課総括課長】
 災害公営住宅等の見守りやコミュニティ形成支援を重点的に行うため、委員おっしゃる通り、生活支援相談員がより身近なところを拠点として活動できるよう、県社協や市町村社協と連携し、現在3市町で生活支援相談員を災害公営住宅の集会所や地域の空き家に配置しており、他の市町村においてもこうした取り組みの実施を働きかけている。
 コミュニティについては、よりさまざまな切り口からやっていく必要があると思っており、令和2年度においては、コミュニティ形成にかかるこれらの取り組みを継続するほか、災害公営住宅の集会所等において、健康づくりの取り組みを通じた入居者等の交流や、本県の地域資源である郷土芸能の発表の場を設定し、出演者や入居者の交流を図るという事業を行うことにより、コミュニティ形成の支援を行っていきたいと考えている。

【斉藤委員】
 実際に、県営災害公営住宅の集会所が使われているのは月2〜6回、せいぜい週に1回か、1回も使われていないのが実態である。コミュニティの拠点が使われていない。
 県立大学の調査結果では、「孤独死などの団地が抱える問題解決のために、自治会などを通じたコミュニティ形成が求められていますが、調査結果からは、互助・共助関係の構築の難しさが続いていることが分かりました。入居者の特性、生活実態に基づいた対策が必要であると考えられます」と。本当に困難に直面して、隣3軒まで分からない、誰が入居しているか分からないという状況の中で、しっかり支援員を配置し、千田美津子県議の本会議での質問に対して知事は、「今年度3市町に配置したが来年度は5市町にさらに広げる」という答弁だった。これは、生活再建課、地域福祉課、建築住宅課が関わるので、知恵を出して、最低二桁以上配置しないと対応できないのではないか。ぜひ思い切って取り組んでいただきたい。

【復興局長】
 委員ご提言の通り、市町村あるいは県営に関わらず、災害公営住宅の自治会活動、コミュニティ形成はこれから非常に大事になってくると。仮設住宅がなくなってきて、そちらに移行していくので、こちらの方の活動が大事になってくると認識している。
 先ほど総括課長も申し上げたが、その他に来年度は2つほど、山田と陸前高田に生活支援相談員が拡充される形となっている。実際に開所時間も、今までの釜石市社協や大船渡市社協、大槌町社協がやった集会所の開いている時間は、週4日で10時〜15時という、結構長い時間空いているので、そういう時間で皆さんが集まれるようにするのが大事だと思っている。そのほかに、いろんな地域から集まっている方々が1つの団地に住んでいるので、昔からのご近所というわけではないので、きっかけづくりが必要だろうと思っているので、その辺は市町村での健康づくりの体操などもお年寄り向けやっているので、こういったものを取り入れたり、あるいは、それぞれのご出身のところにある郷土芸能を楽しみ話に花を咲かせるとか、そうしたいろんな取り組みを我々も市町村と協力しながら、直営でと言いますか、そうした部分に力を入れて取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 災害公営住宅のコミュニティが今一つの焦点だと思っているので、しっかり定めてやっていただきたい。

・復興基金、学びの希望基金の状況について

【斉藤委員】
 復興基金の年度末残高はどうなるか。来年度の事業額はどうか。
 学びの希望基金の実績と来年度の事業費を示していただきたい。

【復興推進課総括課長】
 復興基金については、令和元年度は現時点で28事業・約18億円の事業に活用する見込みとなっており、これまでの累計では47事業・268億円に活用している。令和元年度末の基金残高は、約35億円と見こんでいる。来年度は、安全の確保については、被災家屋への再生可能エネルギーの導入促進に向けた環境整備、暮らしの再建では、住宅再建費用の一部助成、国保・後期高齢者医療制度の免除経費などとなっている。
 学びの希望基金については、今年度は約7億3千万円を活用する予定としており、累計では27事業に37億3千万円余を活用している。年度末の基金残高は、約70億円と見込んでいる。

・復興事業の教訓、課題をまとめた提言集について

【斉藤委員】
 復興局が、復興の取り組みと教訓を踏まえた提言集をまとめており、未定稿の段階で読ませていただいた。かなりボリュームがあり、専門家の意見も踏まえた、これから県庁で働く人たち、英訳もするということで国内外に紹介すると。
 力作だと思っているが、少し注文があるのは、1つは、かなり岩手県は国に対して提言して新しい事業を実現してきた。そのことは詳しく書かれている。合わせて、そういう新しい提言の背景には、例えば、漁船確保に対する漁民の取り組みがあったとか、被災者の医療費免除であれば被災者の実態や毎年の県議会での請願の採択があったということも、しっかりと触れられていれば、さらに厚みのあるものになるのではないか。

【復興局長】
 提言集については、できるだけ「役所がやった」というような成果の集まりではなく、実際に苦労した話を載せようということをコンセプトに作らせていただいた。
 委員おっしゃるようなケース、これは県の各課が中心になって書いたが、他の団体も時にはお骨折りをいただいているところである。そうした団体のページも作ってはいるが、そうした団体のページまで入れると非常に膨大になってしまうということで、さわりのところだけ書かせていただいており、そうしたことから考えると、あれをお出しすると、もっと大変なことがあったとか、いろいろなご意見が出てくるかと思っていた。そうした部分も、ご意見をいただき、ホームページ上では追加してどんどん出していけるが、冊子になると何年かに1回ということになるかと思うので、そうしたことも今後やっていきたい。