2020年3月9日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)


・台風19号災害の復旧状況について

【斉藤委員】
 水道管の破裂などの被害があったが、水道施設の復旧、復旧の際には耐震化を含めた改良復旧という要望が大変強かったが、改良復旧になっているか。
 自然公園、みちのくトレイル等の復旧状況はどうなっているか。
 災害廃棄物の量、処理状況、広域処理の状況、完了の見通しはどうなっているか。

【県民くらしの安全課総括課長】
 水道施設の復旧について。宮古市・久慈市ほか5市町村において、道路崩壊等にともなう水道管の破損などで2142戸の断水が発生したところである。こうしたことについては、仮配管などの応急復旧により、昨年10月29日までにすべて断水が解消された。被害を受けた市町村においては、国の災害復旧事業等を活用し本復旧することとしている。遅くとも令和3年度までには、すべての水道事業者において復旧が完了する見込みと聞いている。
 水道施設の耐震化については、これも災害復旧事業の対象とされており、復旧の際には改良復旧できるとなっている。
【自然保護課総括課長】
 台風19号により、みちのく潮風トレイルの一部となる歩道や木道橋など、沿岸8市町村において自然公園施設が被害を受けている。復旧に要する事業費については、令和元年度の補正予算および令和2年度当初予算により確保する予定としている。
 このような施設の復旧については、国や市町村と連携し早期に復旧工事に着手していくこととしている。
【資源循環推進課総括課長】
 災害廃棄物の量については、被災10市町村において処理しており、おおむね5万トン程度と見込んでいる。これは昨年11月に県で処理指針を策定したときも約5万トンとしていたが、おおむねその規模の量で推移している。
 処理状況については、家屋解体などを除く災害廃棄物は年度内に終了する見込みであり、特に3町村で処理は終了している。
 広域処理は、発災当初、久慈市の可燃ゴミが盛岡市クリーンセンターに合わせて22トン、普代村の可燃ゴミが二戸地区クリーンセンターに51トン処理されている。
 処理の見通しは、今後家屋解体などが事業着手されることになり、これから処理が始まるので、家屋の所有者から解体の同意書などをいただかなければいけないという手続きがあり時間を要するという状況である。市町村からの情報によると、これらも合わせて災害廃棄物の処理は今年の秋ぐらいをもって終了したいという見通しである。

【斉藤委員】
 当初は処理にもう少しかかるという見通しだったが、秋ぐらいに完了の見通しということで、しっかりやっていただきたい。

・地球温暖化防止対策について

【斉藤委員】
 達増知事が「2050年までに温室効果ガス実質排出量ゼロをめざす」と表明し、大変評価をしているが、実際の地球温暖化防止対策の現状、実績はどうなっているか。進まない要因は何か。
 復興事業があるので、どのぐらい復興事業で影響を受けて、その他のところではどうなっているか。

【温暖化エネルギー対策課長】
 本県の温室効果ガス排出量については、東日本大震災津波からの復興需要等により、平成25年以降横ばいで推移している。
 再生可能エネルギーについては、太陽光を中心に順調に導入が進んでいるほか、森林吸収源対策については、造林や間伐などの森林整備や木質バイオマス利用の利用拡大などを推進しており、全体では、令和2年度25%削減目標に対して、平成25年度で基準年と比べて10.1%の減少となっている。
 復興需要以外の主な要因については、家庭部門については、エアコンやオール電化が普及しているということで、全体としては基準年と比べて3.3%増えている。産業部門については、輸送機械・食料品といった部分で増えてきており、こういった部分で製造業を中心に排出量が増えている。民生業務部門については、売り場面積の増大等により、電気関係の排出量が増加している。

【斉藤委員】
 温室効果ガス排出量削減の実績は、平成2年比で、これは平成28年度実績しか出ていないが10.1%減と。25%減の目標に対してその程度にとどまっていると。復興事業もあったと思うが、答弁を聞くと、家庭部門でも産業部門でも増えている。そうすると、どこでどう努力がされてきたのかとなってしまう。復興事業はぐっと落ち込むので、その点では知事の実質ゼロ宣言は評価するが、大変な課題だと。2050年までということだが、国際機関は「この10年が勝負だ」と言っている。2030年までにどれだけ排出削減するのかと。温暖化のテンポが急速化していて、この10年間でどのぐらい抑えられるかが焦点になっている。2030年をめざす温室効果ガス排出量大幅削減の基本方向、計画はどうなっているか。
 あわせて、これは行政だけでできるわけではないので、企業には何を求めるのか。県民には何を求めるのか。県は独自にどういう取り組みをするのか。

【温暖化エネルギー対策課長】
 地球温暖化対策については、環境分野のみならず、エネルギー・産業経済・交通・運輸・林業など、温室効果ガスの排出抑制に関係のある施策を総合的に推進していくことが重要であり、今後さらなる取り組みが必要と考えている。そのため、2030年度を目標とする時期、岩手県地球温暖化対策実行計画の作成にあたっては、温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロを見据えて、積極的な目標設定と実効性のある施策を検討していきたいと考えている。
 具体的な施策については、まず温室効果ガス排出量の大部分については、県民生活・社会経済活動に直接起因するものであり、地球温暖化対策を進めていくうえでは、県民・事業者の自主的な行動を促進することが重要だと考えている。そのため、全県的な団体・機関で組織する温暖化防止岩手県民会議を中心に、住宅の省エネ化の普及啓発、事業所における省エネ設備の導入、エコドライブの推進など、具体的な行動に取り組む県民運動を展開し、県民総参加による地球温暖化対策を推進していきたい。
 岩手県においても、率先実行計画等により、県の施設としても削減目標を掲げて取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 2050年実質ゼロ宣言、2030年に向けた実行計画、ここが本当にポイントになると思うので、県民・事業者に対して、何をなすべきかということを明確にアピールする形で、そして行政はこういう努力をするということが見えるように、ぜひ計画の具体化を求めたい。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 盛岡の前潟地区にということで昨年3月に絞ったようだが、進捗状況はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 ブロック内8市町の首長で構成する県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会により検討が進められており、4箇所の整備候補地のうちから、本年2月27日に開催された推進協議会において、もっとも有力な候補地である盛岡インター付近について、地域との協議を継続することとされたと聞いている。

【斉藤委員】
 昨年3月に前潟に絞ってから全然進んでいない。進まない理由は何かというと、地域住民の反対である。前潟地区や隣の太田地区で4000名の反対署名が広がっている。平成28年だったと思うが、前潟自治会が自治会長の名前で誘致を表明した。しかしこれは自治会にはかっていなかった。だからこれは撤回された。「誘致要請は撤回する」と。ますます状況は、住民合意というのは難しくなってきた。そもそも、あの交通の要所、盛岡インターの近くで、商店街もあるところに、日量500トンのごみ焼却施設を整備すること自身が考えられない、愚策だと。
 そこで8市町の中でも意見はさまざまある。八幡平市長は岩手県に対して「もう20年以上経っても進まないのだから見直すべきだ。何度も県に言っている」と。こういう声は届いていますね。

【資源循環推進課総括課長】
 八幡平市長さんのご意見ということだが、県には現在のところ、そのような要望という形ではされておらず、また先日の推進協議会においても反対の意見は出ていなかったと認識している。

【斉藤委員】
 盛岡市の事務局は、「8市町が納得しているわけではないことは理解している」と。なかなか8市町が集まれば、そこで反対の声をあげるのは大変だと。おそらく、県に対する予算要望の席上などでは、八幡平市長は言っている。
 実は昨年3月29日付で、環境省環境再生資源循環局の通知が届いている。そこでは「前回策定の広域化計画の評価をし、人口およびごみ排出量等の将来予測を検討し、見直せよ」と。「20年30年後の人口およびごみ排出量等を予測し、考慮した上で計画策定すべき」だと。こういう通知が来ていると思うが、この通知を踏まえ、20年前の進んでいない計画をしっかり検証し見直すべきではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 ご指摘の国の通知は、環境省が通知した「持続可能な適正処理の確保に向けた、ごみ処理の広域化およびゴミ処理施設の集約化」という文書だと思うが、この文書には、「将来にわたり、持続可能な適正処理を確保していくためには、中長期的な視点で安定的・効率的な廃棄物処理体制のあり方を検討する必要がある」ということで、県は市町村と連携し、広域化・集約化を進めるということが趣旨であり、広域化を進めるにあたっての留意事項の1つとして、「20年30年後の人口およびごみ排出量等を予測し、考慮した上で計画策定を行うこと」とされているものである。
 県では平成30年に、「県ごみ処理広域化指針」を策定しており、その中で、本県の人口やごみ焼却量の予測を2040年度までしており、国の通知に則した形での指針・計画と認識している。

【斉藤委員】
 少なくとも県央ブロックごみ処理広域化計画は、減量計画がない、資源化の計画もない。目標もない。20年後人口減少と加味して、どれだけごみが減るのか、減らすのか。それがあって初めて焼却場の規模が決まるのではないか。今の計画は、日量500トンの大規模なごみ焼却場、8市町のごみを盛岡に一極集中するという計画である。ここに無理があるのではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 平成27年に、県央ブロックがごみ処理基本構想を作っているが、その時点での人口だとかごみ処理量を基に、令和11年度にどのようにごみ量が推移していくかという検討をした上で、この基本構想がつくられていると考えており、当時のデータとしてきちんとそうした事項が取りまとめられていると考えている。

【斉藤委員】
 わざわざ去年3月の日付で、見直し、検証となっている。
 8市町のごみの減量の計画はない。資源化の計画もない。計画が反対だと思う。これだけ減らして、資源化して、最小限これだけの規模の焼却施設が必要だというのなら半分納得するが、それがまったくないのだから。大規模な日量500トンのごみ処理計画で、それも盛岡の交通の要所、商店街のあるところに持っていくと、ここにみんな不安を感じている。
 それで、当初この8市町のごみ処理計画は、3箇所にごみ焼却施設を集約し、長寿命化で対応するという方針だった。これは今もそうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 県央ブロックのごみ処理計画は、必要に応じて今の6施設を長寿命化などして、令和11年度に1つに集約するという計画と認識している。

【斉藤委員】
 盛岡・紫波の環境組合は長寿命化した。あとは滝沢のクリーンセンターが長寿命化すれば、盛岡のクリーンセンターはあと20年もつので。令和11年に集約化というが、それ以上もつことになる。そもそも令和11年の集約化にあと10年あるので、慌てないでしっかりと、3箇所に集約するならして、長寿命化して、そして進めるべきではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 8市町のごみ処理施設の広域化については、長寿命化して最後に1つにしていくということだが、ごみ処理施設の長寿命化というのは、おおむね5〜10年の安定したごみ処理の稼働ということを期待して長寿命化しているので、令和11年度というところまで今の6施設が安定して環境上問題なく処理していくことのための長寿命化であるので、それ以降のところについては8市町では1つに集約して進めていく考えだと思う。

【斉藤委員】
 盛岡・紫波環境組合のクリーンセンターは、長寿命化にいくらかけて、何年もつのか。

【資源循環推進課総括課長】
 詳しい総額は覚えていないが、40億円程度の長寿命化工事をしたと考えているが、10年程度安定した設備を保持しているものと記憶している。

【斉藤委員】
 令和11年に集約化ということだが、全然慌てる必要はない。しっかり長寿命化して対応すべきである。40億円かければ10年以上もつと思う。
 当初の3箇所長寿命化する方が建設費がかからない、ライフサイクルコストもかからないとなっていた。もはや1箇所に集約しかないという進め方ではなく、時間をかけてしっかり住民合意を形成しながら8市町の合意を形成しながら進めるべきではないか。

【資源循環推進課総括課長】
 8市町が決めた平成27年の基本構想においては、仕様規格、ご案内の通りのライフサイクルコストだとかライフサイクルアセスメントを、1施設、3施設、6施設と比較検討した上で、1施設がもっとも合理的・効率的ということでまとめられたというものであるので、長寿命化を含めてやっていき、令和11年度に1つにするという基本構想になっているものである。