2020年3月9日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)


・岩手競馬における禁止薬物問題について

【斉藤委員】
 禁止薬物問題はどうなっているか。

【生活安全部長】
 競馬法違反事件の捜査については、県警では、この事案が岩手競馬のみならず県政にも大きな影響を及ぼす事案であるとの認識の下に、私以下、警察本部および関係警察署の合同捜査態勢により、公平・中立な立場で、予断や先入観を廃しつつ、あらゆる可能性を視野に入れたうえで、事案の全容解明に必要な事項等について、県競馬組合に所要の要請をしながら、鋭意捜査を継続している。

【斉藤委員】
 敷いている稲わらから禁止薬物が出たという報道もあるが、禁止薬物がどういう経路できたのか。その点はどうか。

【生活安全部長】
 そういった報道があったことは県警としても承知しているが、捜査の具体的な内容については、その内容を明らかにすることにより、捜査の相手方に手の内を晒すことになり、捜査に支障を及ぼす恐れがあるので、答弁は差し控えさせていただきたい。

・岩手医大元教授の覚せい剤事件について

【斉藤委員】
 禁止薬物については鋭意捜査をしていると。
 なぜ、岩手医大元教授の覚せい剤事件については、捜査しているともしていないとも言えないのか。

【刑事部長】
 競馬法違反事件については、公の機関である競馬組合が事実を公表し、関係する情報の提供を受けていること、事案の重大性や社会に与える影響等の観点から総合的に判断した上で、例外的な措置として捜査していることを答弁したものと承知している。

【斉藤委員】
 岩手医大元教授の覚せい剤事件は、週刊誌で大々的に報道された事件で、岩手医大も調査特別委員会を設置した事件である。岩手県を代表する大学病院に関わる深刻な事件で、覚せい剤を打たれた女性が告発した事件である。そのことについて、何年経っても、捜査しているかどうか言えないと。それは「していない」ということではないか。

【刑事部長】
 捜査状況の公表については、捜査をしている、していないを含めて、捜査状況を明らかにすることは、捜査の手の内を晒し、被疑者に何らかの対抗措置をとられる恐れがあることから、答弁は差し控えることとしている。

【斉藤委員】
 誰が聞いても説得力のない話である。もう数年も経ってしまい、この元教授は翌年の3月に辞めている。これはかなり黒に近いダークグレーだったという事件だと思う。そこに当時の刑事部長が天下りしたということでずっと取り上げているが、そちらが言わない限りこれは永遠のテーマになるので。

・釜石市の女性殺害容疑事件について

【斉藤委員】
 釜石市で昨年8月24日に発見された女性殺害容疑事件、これは捜査本部も設置し捜査していると。半年以上が経過したがどうなっているか。

【刑事部長】
 8月24日発見とのお話があったが、警察としては8月23日に釜石市甲子町地内において、本件殺人事件を認知し、翌24日に釜石警察署に本職以下155名体制の捜査本部を設置して鋭意捜査を進めている。
 なお、詳細については、捜査に関することであるので、答弁は差し控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 その近辺では、不審な火災も発生しているということで、地域住民が大変しているので、ぜひしっかりと捜査を尽くしていただきたい。

・特殊詐欺事件について

【斉藤委員】
 特殊詐欺事件が昨年再び増加しているが、主要な手口はどうなっているか。県警の対応はどうなっているか。

【生活安全部長】
 令和元年中の特殊詐欺被害状況は、未遂を含めて55件、被害額1億5千万円と認知しており、前年比で28件、6千万円増加している。主要な手口としては、オレオレ詐欺、架空請求詐欺のほか、窃盗手口によりキャッシュカードを狙う事案をそれぞれ17件認知している。特徴としては、警察官や銀行職員を語るオレオレ詐欺や、窃盗の手口による被害が大きく増加しているほか、高齢者の被害割合が高水準で推移している。
 今後の対応については、高齢者の被害を防止しつつ、新たな特殊詐欺の手口に対応することが重要と考えており、被害全体の8割弱を高齢者が占めている現状を踏まえ、被害防止広報センターからの電話による注意喚起、県担当部局との連携による民生委員等からのチラシ配布による啓発活動の取り組みについて、引き続き当初予算案に計上しており、関係機関・団体と連携した広報啓発活動を推進してまいりたいと考えている。
 また、メールなどを活用したタイムリーな情報発信、巡回連絡時の高齢者との個別面談における被害防止啓発などのほか、新たな手口に対応するため、県内金融機関の協力のもと、本年1月28日に立ち上げた特殊詐欺被害防止ワーキンググループによる検討を踏まえながら、引き続き県民の防犯意識の高揚を図り、事案の抑止のための施策推進に努めていく。

【斉藤委員】
 犯罪者もプロで、いろんな新たな手口を開発してくるということなので、この点で機敏な対応を求めたい。
 ラジオで、「県警察の佐々木です」というのを聴くが、なかなかいいものだとは思うが、車を運転しているから聴くので、自宅にいる高齢者がラジオを聴くのかと。本当に高齢者に伝わるようなメッセージの出し方をもうひと工夫する必要があるのではないか。ぜひ狙われやすい高齢者、特に一人暮らし高齢者に、どうメッセージを伝えるかを工夫していただきたい。

・児童虐待への対応について

【斉藤委員】
 児童虐待の取り扱い件数、児童相談所への通告件数、その内容はどうなっているか。
 事件として検挙した件数はどうなっているか。

【生活安全部長】
 児童虐待の推移は、平成27年201件、28年372件、29年395件、30年443件、令和元年489件となっており、増加傾向が続いている。
 児童相談所への通告状況は、令和元年中の通告人員は768人で前年比157人増。通告した768人の内訳は、身体的虐待131人で前年比27人増、性的虐待5人で前年比3人増、ネグレクト46人で前年比42人減少、心理的虐待586人で前年比169人増となっている。
 事件として検挙した状況は、令和元年中10件で前年比3件増。特徴としては、検挙した事件の8割が「父親からの暴行、傷害」だった。

【斉藤委員】
 児童虐待で幼い子どもが亡くなり、いま裁判の様子などもテレビ等で連日報道されている。
 件数の中には、面前DV、心理的虐待が圧倒的に多いわけだが、面前DVということは、DVが行われている現場に子どもがいたということだと思う。その点で、DV被害の全体の取り扱い件数どうなっていて、検挙数はどうなっているか。

【生活安全部長】
 いわゆる配偶者暴力について、相談件数416件で前年比70件増となっている。

【斉藤委員】
 いま裁判になっている千葉県の事例で、やはりDVがあって、その奥さんも抵抗できなくなり、死まで追い詰められるという実態が明らかになり、そういう点でいくと、面前DVの相談が586人まできていることは、それは解決の出口になっていると思う。
 同時に、DVそのものを無くす手立てというのは、県警としてはどういう機関とどのような形で協力・共同しているのか。

【生活安全部長】
 DVというのは、夫婦間などにおけることであり、これが必ずしも一つの機関がくくって対応しているということではないが、もちろん警察もそうであるし、市町村や県の関係機関とも協力している。
 また、児童の心理的虐待、とりわけ面前DVなどの対応は非常に重要だと思っており、児童相談所とも連携強化し、県警としては、速やかな情報共有を図るということ、緊急性のあるものは速やかに情報共有を図っており、切迫性・緊急性が必ずしも高いものではないことについても、全県の共有を図るということで、児童相談所とも情報共有を徹底している。

・捜査報償費について

【斉藤委員】
 この間の捜査報償費の決算額の推移を示していただきたい。
 来年度の捜査報償費の予算額はどうなっているか。

【警務部長】
 決算額の推移は、平成27年度1072万4千円、28年度1040万7千円、29年度864万6千円、30年度700万1千円、令和元年度は当初予算として1289万4千円を計上しているが、2月補正で294万2千円を減額補正しており、最終的な執行見込みについては年度途中であるので確定的なお話はできない。
 来年度予算額は、当初予算案に1204万4千円を計上しており、前年比85万円の減である。

【斉藤委員】
 捜査報償費が確実に減少している。これは警察の裏金問題が起きたときに、裏金の原資の1つが捜査報償費だったということで、一貫して取り上げている。毎年これだけ確実に減っているということは、やはり必要のない経費だったのではないかと。これは客観的な事実だと思う。この捜査報償費というのは、引き続ききちんと精査されるべきだと。
 ところが、30年度決算額が700万円にも関わらず来年度予算は1204万円と。実績と比べて乖離がありすぎるのではないか。予算計上しすぎではないか。

【警務部長】
 当初予算案の計上額は、基本的に前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案し積み上げたものである。

【斉藤委員】
 前年度の実績というのなら700万円である。それが1200万円になったら500万円増、1.7倍である。だから実績と乖離しているのではないかと。ずっと減ってきて30年度は700万円。それがなぜ1200万円になるのか。

【警務部長】
 捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などのさまざまな要因によるものであり、執行額の増減は、事件捜査を行った結果である。
 繰り返しになるが、当初予算案の計上額は、基本的に前年度の実績や各所属の事件捜査の状況等を勘案し積み上げたものである。

【斉藤委員】
 警察の答弁は機械的である。だから今までの決算額の推移を聞いた。1200万円から毎年確実に減っている。これが実績ではないか。実績を踏まえて予算化したというなら、話が違うのではないかと。増減があるなら不測の事態に対応する理由は通じるが、毎年確実に減ってきているときに、減っている実績を踏まえて予算化するのが当たり前ではないか。よく根拠を示していただきたい。

【警務部長】
 捜査報償費の執行額は、事件の規模、性質、形態、捜査の期間などさまざまな要因によるものであり、執行額の増減は事件捜査を行った結果であるということでご理解いただきたい。一概に申し上げられないというところである。

【斉藤委員】
 そういう答弁ではなくて根拠を示してほしいと。今までだって毎年いろんな事件がある。しかし5年間確実に減ってきているから指摘したので。実績が700万円に対して500万円の増、170%増である。それは実績を踏まえたことにはならないのではないか。
 答弁不能になっているので終わるが、論理的に、根拠を示してやることが大事である。