2020年3月12日 予算特別委員会
保健福祉部に対する質疑(大要)
・新型コロナウイルス対策について
【斉藤委員】
これまでの答弁で、帰国者・接触者外来相談センターの相談件数は1010件、PCR検査は22件ということだった。
帰国者・接触者外来の受診件数はどうなっているか。
新聞報道で、PCR検査は厚労省の公表で本県は最少27件という報道があるが、このズレは何か。
【副部長兼医療政策室長】
帰国者・接触者外来の受診患者の人数については、3月10日時点で24人ということである。
PCR検査の件数のズレについては、国で公表している件数については、一人当たり2件の検体を取って検査するというのが原則であり、実際の人数とはズレが出てくるということで、なおかつ、公表件数の期間の対象が違っているという関係でズレが出ているということである。
【斉藤委員】
これは統一すべきである。岩手の場合は実人員で出していると。
帰国者・接触者外来は24件ということだったが、そのうちPCR検査が必要となったのは何件だったのか。
【副部長兼医療政策室長】
この検査22件のうちには、保険適用の対象として検査が行われたというものが2件あり、行政検査として実施された件数については20件であり、行政検査として検査が必要だと判断された件数については20件となる。
【斉藤委員】
検査の決定は保健所が窓口だと思うが、保健所に何件検査の依頼が出たのか。
【副部長兼医療政策室長】
36件である。
【斉藤委員】
3月6日から保険適用になった。これは県や医療機関の対応に変化があるのか。総括質疑で聞いた際には、保険適用になっても変わらないと。帰国者・接触者外来を受診し、検査が必要なものは保健所に問い合わせて専門家を経由して検査するとということだったが、その点は変わるのか。
【副部長兼医療政策室長】
保険適用後についても、今回国から通知が出ており、「当面の間、院内感染防止や検査の精度管理の観点から、帰国者・接触者外来およびそれと同等の機能を有する医療機関として、県が認めた医療機関が検査を実施する」とされており、相談センターから外来を通じて検査の要否が判断されるという部分については同じだが、ただこれまでは保健所を通してということだったが、保険適用後は保健所を通さないで帰国者・接触者外来の医師の判断で検査の実施が判断できるという点では違っている。
【斉藤委員】
帰国者・接触者外来の医師の判断で検査ができるようになったと。そして、保険適用の2件も、岩手の場合は環境保健研究センターでの検査ということですね。
【副部長兼医療政策室長】
今回の検査機関については、環境保健研究センターということではなく、いわゆる県外に事業所を有する民間の検査機関に直接依頼したと聞いている。
【斉藤委員】
そうすると、それは帰国者・接触者外来から民間の検査機関に依頼したということか。この2件はどういう形で検査されたのか。
【副部長兼医療政策室長】
検査については、帰国者・接触者外来の医療機関から直接県外の検査機関に依頼して実施されたということである。
【斉藤委員】
公的保険が適用になってそういうことが可能になったと。そうすると検査はもっとやりやすくなったということですね。
検査の数は結果的には少ないのだが、すべてが陰性なので、岩手の場合、東北もそうだが、落ち着いている状況と評価できるのではないかと思うが、現状を過度に不安になったり、過度に規制するということは本当に必要ない状況だと思うがいかがか。
【保健福祉部長】
現在の状況については、岩手県はもちろん出ていないが、隣県の場合でも、クルーズ船からの下船者で、いわゆる流行地での感染にとどまっており、流行している状況にはないと認識している。
【斉藤委員】
大変大事な答弁だったと思う。
それで、マスク・消毒液などの医療資材の提供・確保だが、岩手医大は医師会を通じて県が確保した4万枚と厚労省から来る4万枚、計8万枚以上が緊急に手配されると。県立病院においては不足はないのか。ある県立病院では、看護師は「マスク1日1枚」という話を聞いたが、県立病院はどうなのか。供給の対象になっているか。
【副部長兼医療政策室長】
県立病院については、現時点で来月上旬程度までの在庫は確保していると聞いている。
【斉藤委員】
一律休校によって子どもたちが学童保育に、特別支援学校であれば放課後デイサービスなどを利用しているが、どれだけの児童生徒が利用されているか。それらの施設は機能しているか。
【子ども子育て支援課総括課長】
3月4日時点で、児童館も含めて放課後児童クラブをやっている中での利用者で、10856人が午前中から放課後児童クラブを利用している。
【障がい保健福祉課総括課長】
放課後デイサービス事業所の利用者は、3月10日現在で656人と承知している。
【斉藤委員】
学童クラブの実態というのは学校より危険なのではないかと思う。41人以上の学童保育、100人以上の学童保育はどのぐらいあるか。
【子ども子育て支援課総括課長】
後ほど答えさせていただきたい。
【斉藤委員】
これは専門家会議副座長の五味氏は「三条件が交わるところに行かないこと。@密閉空間で換気が悪いA近距離での会話B多くの人が密集するところ」と。学童保育は全部当てはまると思う。子どもたちの安全を守るといって、一番過密で狭い学童保育で対応するのは間違いではないか。
【子ども子育て支援課総括課長】
今回の学校休業にともない、国からの要請があり、安全対策をしっかりした上でということで対応をお願いしている。それについては委員からもご指摘があったが、密閉空間で密集する中でというところがあるので、そこについては、学校等を使えるようにということで教育委員会とも連携させていただきながら、体育館や空き教室を含めてたもう少し広い空間、換気もきちんと考えながら対応していくということで協力をお願いしている。
【斉藤委員】
学童クラブは400あるが、41人以上の学童クラブが143箇所で35.7%、100人以上が7箇所ある。70人以上というのは、いま35人学級であるので倍の密度になるが、100人以上を除いて12箇所ある。本当に過密状態で、そして人員も足りない。いま学校は35人学級で一クラス20人程度である。子どもたちの安全を考えるというのなら、本来学校でこそ受け入れるべきではないのか。
特別支援学校は1500人余が通っているが、職員も1500人いる。看護師もいるし給食も出る。ここでみないでなぜ放課後デイサービスでみなければならないのか。
昨日の大変大きなニュースで、佐賀県では、知事が16日からの学校再開を決めて、20のすべての市町村も学校再開と。それはなぜかというと「感染が全然出ていない」と。総括質疑でも知事に質問したが、知事は「かえって子どものリスクが高まるようなことがあってはならない。そうしたところをきちんと、どのような方法が効果的か、そこは学校の施設の活用や登校といったことも含めて対応するように調整を図りたい」という答弁だった。ぜひ岩手県も、状況は落ち着いているわけだから、過度に不安になったり規制を強化することを見直して、本当に子どもたちにとってどこが安全なのか、学校の再開も含めて対応すべきではないか。
【保健福祉部長】
今般の学校における休校と、放課後児童クラブ等において児童をきちんとみる方針については、総理・政府が決めたことであるので、どういった背景にこのような判断に至ったのかは分かりかねるところはあるが、一方で、例えば、新型インフルエンザ等に関しては、学校を起点に地域や高齢者にいくかもしれない、そういったようなことが背景としてあるのだろうということと、政府が基本方針として感染・蔓延を防ぐということとともに、社会経済活動へのインパクトを最小限に抑えるといったような判断もあったものと考えている。
いずれ、いま日本全国でこのような対応をとっており、我々としてどうするかというのは、教育委員会やさまざまな視点から意見をいただきながら、総合的な判断が必要なものであろうと考えている。
【斉藤委員】
今の状況をしっかり共通認識にし、子どもたちの安全を守る上で何が最善なのかと。きちんと検討し対応するべきである。
そこで委員長にお願いしたいが、最終日に知事の出席を求めたい。今の状況の中で、どれが本当に子どもたちにとって安全な対策なのか。全国の動向も含めて、いま知事が、地方が判断すべき時期ではないかと。そうしたことを諮っていただきたい。
【予算特別委員長】
後日世話人会を開催させていただきます。
・高すぎる国保税の問題について
【斉藤委員】
盛岡市の標準モデルで国保税額はどうなっているか。
中小企業で働く労働者の協会けんぽの保険料はいくらか。
【健康国保課総括課長】
盛岡市の標準モデル(39歳以下、就労者が1人、子ども2人の4人世帯、年収400万円)で、国保税が年額40万円、協会けんぽの保険料が19万9920円と試算される。
【斉藤委員】
低所得者が多く無職が多い国保が、中小企業で働く労働者の保険料の倍になっている。この格差是正こそ、国保制度の一番の問題だと思う。だから全国知事会は、国に対して1兆円の公費投入を求めている。
いま、高い国保税を上げるのではなく、引き下げる取り組みをどう進めるか、このことが必要だと思うがいかがか。
【健康国保課総括課長】
国保税の引き下げについては、委員ご紹介いただいた通り、制度自体に構造的な課題がある。こうしたことを踏まえると、国の責任において、将来にわたる持続的な財政基盤の確立だとか、制度下における保険料負担の平準化という観点でさらなる財政措置が行われることが必要だと考えている。
県としてはこうした認識に基づき、政府予算提言要望だとか、全国の都道府県と連携し全国知事会等の要望の機会をとらえ、国に対して国庫負担率の引き上げなど、さまざまな財政支援の方策を講じるよう、継続して要望を行っている。
【斉藤委員】
協会けんぽの2倍も高い国保税は、国の責任がきわめて重大だと。国庫負担を減らしてきたことが最大の要因だと思う。これは全国知事会・市長会・町村会みんな一致しているので、これを本当に強力に進めていただきたい。
一方で、都道府県化により高い国保税の標準保険料がさらに上がると。標準保険料でどのぐらい上がる見込みなのか。実際に来年度の値上げの予定はどうなっているか。
全国知事会が国に求めているもう1つ大事な課題は、子どもの均等割の減免である。高い国保税の最大の仕組み上の問題は、世帯1人1人にかかる人頭税のような均等割である。宮古市がふるさと納税を使って子どもの均等割を免除した。素晴らしい取り組みであり、県内すべての市町村でもできると思う。そういう意味で、国に求めつつ、子どもの均等割については、ぜひ宮古市の経験を他の市町村に広げるように県もイニシアチブをとっていただきたい。
そして、高すぎる国保税を抑えるための一般会計からの繰り入れというのは絶対に必要だと思うがいかがか。
【健康国保課総括課長】
被保険者一人当たりの保険税額、市町村の納付金をベースにした一人当たりの額ということになるが、だいたい3%程度の医療費の伸びを見込んだので、一人当たりになると2986円・3.1%の増で99419円となっている。これに対し、各市町村の国保税ということになるが、県が示した金額だとか、前年度からの繰越金、低所得者の減免措置などを勘案して決定することになる。令和2年度においては全体では3%伸びるが、4市町村が保険税率の引き下げを予定していると聞いている。
一般会計からの繰入については、県として繰入をしてはいけないということは申し上げていないわけだが、健全化のためにはできるだけ縮小していきましょうということで、運営方針の中に記載し、市町村とともに取り組んでいる。令和2年度においては、10市町村で3億円程度の法定外繰り入れを予定していると認識している。これは決算の状況によってまた変わりうるものだろうと思う。
均等割の減免については、宮古市での取り組みが本年度から始まっているということで、これについても、減免した均等割分の財源をどこかで穴埋めしなければいけないという状況があり、これは宮古市ではふるさと納税のような財源を使っていると聞いているが、恒久的な財源とはなかなかなりにくいものだろうと思っている。これを続けていくには、負担構造の変更などがともなうので、例えば子どものいない家庭にしわ寄せがいくというような状況もある。県としては、こういった状況にある中で市町村に直接働きかけるのはなかなか難しいと考えており、それぞれの自治体で負担をしながらやるということが現実的ではないかと。これはやはり国に対してしっかり求めていきたいと思っており、今年度から、厚労省と知事会の代表者で構成するワーキンググループが立ち上げられ議論が始まっている。そうした中で、均等割の状況についてきちんと訴えながら、国に対して財政措置を講ずるよう求めていきたい。