2020年3月12日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・病院の統合・合併問題について
【斉藤委員】
統合・合併問題で一言。釜石の合併問題も議会で取り上げてきた。あの合併は失敗である。県立病院が機能強化されたわけでもない、医師が増えたわけでもない。市立病院の医師がまったく蚊帳の外に置かれ、みんな帰ってしまったのが実態だった。ああいうやり方をしたら、本当に失敗にしかならない。
いま胆肛地域が問題になっているが、やはり地元でしっかり議論して合意をつくっていくということが大変大事なことだと。その際に、第一線で頑張っている医師の意見を最大限尊重することである。そうしなかったら、どんな統合も成功しない。それどころか、424病院の再編・統合が出され、それで一番の影響を受けているということも指摘しておきたい。いま頑張っている医師の意見をしっかり聞いて、地域医療の積極的なあり方を示すべきだということは指摘だけにとどめておく。
・新型コロナウイルス対策について
【斉藤委員】
県立病院の対応、医療体制はどうなっているか。帰国者・接触者外来を県立病院は担っていると思う。また、指定感染症病床も担っている。ここに必要な医師・看護師の体制が確立しているか。
医療用マスクや消毒液などの医療資材がきちんと確保されているか。保健福祉部審査でも紹介したが、ある県立病院で「マスクは看護師1日1枚」だと。マスクの配置の基準というのは、普通は患者1人につき1枚ではないのか。1日1枚だったら安全が確保されるのかと思うがいかがか。
【経営管理課総括課長】
現在、県立病院の一部に帰国者・接触者外来を設け対応を行っているが、PCR検査の結果が判明するまで病床に収容することとなることから、医師および看護師が診療・看護業務に従事している。
院内感染管理を徹底するため、感染防止対策にかかる知識を有する医師や看護師などで構成する院内での感染制御チームが、スタッフへの助言を行うなど支援にあたっている。
また、帰国者・接触者外来の設置にあたっては、個人防護服やHEPAフィルター付き空気清浄機など、不足する医療用資機材は国の補助により整備したところである。
医療用マスクについては、当面の必要量を確保しているが、対応の長期化に備え、各県立病院の実情に応じ、使用量の節減について取り組みを進めている。なお、医療に必要なマスクの確保については、全国知事会等を通じ、国に対して要請をしており、知事部局とも連携し確保に努めていく。
【斉藤委員】
帰国者・接触者外来というのは、おそらく今の体制の中で工夫してやっているのではないかと思うが、幸い感染者は出ていないので、いざという時に備えてしっかりした体制を確立していただきたい。
看護師の医療用マスクというのは、基本はどういう形で配布されるのか。現状はどうなっているのか。
休校措置により休まざるを得ない看護師の状況はどうなっているか。
【業務支援課総括課長】
マスクの使用については、各病院の患者の状況や場面に応じて、感染リスクの高い場合などについては、必要がある際はその都度マスクを交換している。
マスクをはじめとした医療材料については、当面4月上旬ほどの在庫量は確保しているが、供給が著しく逼迫しているというところであり、長期化に備え、各病院において実情に応じて今できる使用量の節減について取り組んでいただいているという状況である。
【職員課総括課長】
臨時休業やその他の事情により、この世話を行う職員が、当該世話を行うため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、知事部局と同様に特別休暇として取り扱うこととしている。3月2〜11日までの間に、32人が特別休暇を取得し、日数にして32日と3時間である。
なお、職員が特別休暇を取得したことにより、これまでのところ病院運営に支障は出ていないところである。
【斉藤委員】
32人というのは大変少ない、休みを取れないような状況の反映なのではないか。看護師の年齢構成を考えたら、子育て中の看護師が多いと思うので、そこを危惧している。
・遠野病院の看護師・医師の退職問題について
【斉藤委員】
3度目の質疑の機会だが、最後の質問だと思ってしっかり答えていただきたい。
釜石労働基準監督署の指導による超過勤務の実態調査はどうなっているか。
【職員課総括課長】
調査対象者は、労働基準監督署から指導により、昨年4月以降に遠野病院に在籍したすべての看護職員88人としている。調査方法は、調査対象者の昨年4月以降の勤務日ごとの正規の勤務時間、タイムカードに記録された出退勤時刻、電子カルテのログイン・ログオフの時刻、超過勤務命令簿による超過勤務時間、業務以外で在院したと申告した時間などのデータを整理しながら、調査対象者へのヒアリングを個別に実施している。
職員のヒアリングについては、88人中86人まで終了し残り2名となっており、3月末を目途に調査結果を労働基準監督署に報告することとしている。
【斉藤委員】
本会議の関連質問や総括質疑でも、「この実態調査を踏まえて対応する」とあなた方は答えている。実際に看護師からは「超過勤務が申請できなかった」と、たくさんの声が私に寄せられている。それは議会でも明らかにしてきた。
あなた方は客観的にまず第一次に電子カルテで超過勤務の実態把握をできたはずである。ヒアリングを含めれば、さらにその超過勤務は増える。現段階で把握された超過勤務の概況を示していただきたい。
【職員課総括課長】
超過勤務の調査については、現在も継続中であるので、タイムカードに記録された出退勤時刻と電子カルテのログイン・ログオフの時刻との整合性がとれないものもある。このようなものについては、職員へのヒアリングの中で確認を進めているが、職員の記憶が曖昧なものもあり、個々の職員の勤務時間のすべてを特定することは難しいケースもある。
労働基準監督署と相談しながら、具体的な対応について進めることとしたいと考えている。
【斉藤委員】
今年度の12月までの看護師一人当たり平均超過勤務時間は0.4時間だと、このように把握されている。だとしたら、電子カルテで始業時間と終業時間、こんなものではないのではないか。
【職員課総括課長】
現在、先ほど申し上げた電子カルテのログイン時刻や記録されている超過勤務命令簿等との突合をしたうえで、職員へのヒアリングをしているところである。現在ヒアリングした結果をとりまとめてそれを整理しているところであるので、それを取りまとめた上で労働基準監督署に報告したいと考えている。
【斉藤委員】
今日12日は、あなた方が人事の内示をする日である。この超過勤務の実態調査を踏まえないで、どんな人事異動をするのか。
医療局長、あなたは「調査を踏まえてやる」と言った。その調査結果の概況を聞いている。1人何時間ズレていたということを聞いていない。一人当たり一月平均の超過勤務時間0.4時間は違っていたと、そういう報告はできるのではないか。
【医療局長】
先ほど課長が答弁した通り現在調査中だが、電子カルテのデータとの突き合わせをやっている。いわゆるタイムカードの記録時間と電子カルテの時間が異なっているケースがあり、そこの違いを職員からのヒアリングにより確認しているところだが、なかなかその特定が厳しい状況である。他方で、電子カルテを業務以外で使用することは基本的に想定されないところであるので、業務従事と推定される時間については、超過勤務手当を追求することも視野に置いて、労働基準監督署と相談しながら最終的な取り扱いを決めていきたい。
【斉藤委員】
だから電子カルテの始業時間と終業時間だけで0.4時間は超えるのではないかと言っている。
つい最近看護師さんから手紙が届いた。「15日から職員のヒアリング。面談相手により本当のことが言えなかった人もいます。医療局本庁職員と遠野病院総務課職員の2人でヒアリングを行いましたが、総師長と通じている総務課職員もいたので、怖くて事実を話せなかったとのことです。ほとんどの職員は、半ばやけくそで本当の話をしました」と。ほとんどの看護師は本当の話をしている。
もう一度聞くが、少なくとも電子カルテの始業時間、終業時間、その前にも後にも働いている。しかしそれは客観的に把握できるわけだから、その客観的なデータだけで1人当たり平均0.4時間という、あなた方が超過勤務として認定した時間を大幅に超えているのではないか。
【医療局長】
現在、そのデータの突き合わせを行っているところであるので、具体的な時間についてはこれから取りまとめるところだが、先ほど申し上げた通り、電子カルテを業務以外で使用することは基本的に想定されないところであるので、その時間を明らかにした上で労働基準監督署と相談しながら最終的な取り扱いを決めていきたい。
【斉藤委員】
聞いていることに答えていない。電子カルテの客観的な超過勤務の把握だけで、0.4時間は超えているのではないかと聞いている。圧倒的に超えているのではないか。客観的に把握できる、したのだから。その上でヒアリングをやっている。客観的に把握した時間+αがある。+αの部分は吟味してもいいが、しかし電子カルテの時間で客観的に把握したものだけで、一人当たり一月平均の超過勤務時間0.4時間を超えているのではないか。
【医療局長】
電子カルテのデータとタイムカードの出退勤時刻の違いが出ているということは事実である。超過勤務記録簿との違いもあるというところも事実である。0.4時間といった時間については、これから労働基準監督署との協議になるが、それを超勤時間と扱うとすれば、上回るものと考える。
【斉藤委員】
早くからそう答えていただきたい。
私は本会議でも総括質疑でも、遠野病院の総看護師長によるパワハラの実態はリアルに紹介してきた。「超過勤務の申請を認めない」という声が多数出された。総看護師長が来てから、その前年は一人当たり一月平均の超過勤務時間は9.6時間、平成30年度は2.0時間、今年度は0.4時間だと。看護師さんは「信じられない」「そんな訳はない」と言っている。これは客観的に、総看護師長が超過勤務の申請を認めなかったということになりますね。
【医療局長】
超過勤務の管理については、医療局において、これまでも各病院に対して通知や会議等で周知を行ってきたところだが、釜石労働基準監督署からの指導を受け、遠野病院において改めて周知を図るよう要請している。
これを受けて遠野病院では、11月19日に院長講話を行い、その中で各職員に対して超過勤務を適正に申告するよう伝えたところである。また12月25日には、病院長名で職員向けに「超過勤務の申請について」という通知を発出し、同日、院内の各部門の長が集まる管理会議の場で通知の内容を説明し、職員の超過勤務を適正に申請・確認するよう伝えている。
なお、現在進めている超過勤務の実態調査の中では、「超過勤務を行ったことを翌日に報告すると、上司から『なぜこの時間まで必要だったのか』などいろいろ聞かれ、説明しなければならず、面倒になるので書きづらくなった」「超過勤務を行う前に、上司から残る職員の数と人を指定され、超過勤務を希望した職員全員が超過勤務を認められないことがある」などの声がある一方で、「短時間の超過勤務は申告するまでもないと思って出していなかった」「超過勤務はきちんと申告できている」という声もあったところである。
【斉藤委員】
超過勤務が認められなかったとすれば労働基準法違反である。これは全国でも、労基法違反の幹部職員は処分の対象である。そうですね。
【医療局長】
いま実態調査を進めているところだが、先ほど申し上げたように、職員の間でいろいろな認識や回答があるところであり、認識が異なることは事実であるので、そういった点も踏まえて今後の対応を検討していきたい。
【斉藤委員】
超過勤務がなかった人はそれでいいので。認められない人が多数いるから問題になっている。意見の違いの問題ではない。
本会議の関連質問で、「難病で障がい者手帳を持っている看護師が地域連携室で勤務していましたが、一昨年の暮れから病棟勤務・夜勤を打診され、何度も診断書も提出し話し合いましたが、聞き入れてもらえず、絶望して退職を決意しました」という声を紹介した。もう1人は18年間勤務していた看護師で、この方も障がい者認定を受けており、「母子家庭であり子どもを育てるためには何としてもやめるつもりはありませんでしたが、負担の大きい外来の救急当番を命じられたり、休憩も取らず勤務することを強いられ、超過勤務を請求することも止められました。時間内に終えることができないのは能力が劣っていると判断されました。そんな職場環境に恐怖と不安を覚え退職を決意しました。私自身の人生も大きく変えられたと思っています。どうかこの声が届くように願います」と。これはパワハラではないのか。
【医療局長】
職員の配置先については、本人の希望や業務能力などを総合的に勘案して決定している。特に、障がいをお持ちになる職員については、その身体状況などを踏まえて配置しており、遠野病院においてもそのように対応しているものと考えている。
なお、今回退職した障がいを有する職員について遠野病院で確認したところ、「病棟への配置換えを打診したことはなく、また夜勤困難であるとの診断書の提出を受け、夜勤にも従事させていない」と聞いている。また退職理由については、「体調不良」「家庭の事情によるもの」と聞いている。
【斉藤委員】
私が紹介したのは、辞めた障がい者本人の訴えである。「この声を届けてほしい」「私の人生変えられた」と。医療局長がこの事実を認めないとしたら、あなたに医療局長の資格はない。そういう事態を変えようと、2人の医師が辞職願まで出したのではないか。私は、「遠野病院に骨を埋めて頑張る」という医師は辞めないで頑張ってほしい、必ず職場を変えると、こうやって3回取り上げてきた。医療局長は医師に対して説得したのか。全然やっていないではないか。
私の本人からの直接の訴えについて、局長は病院から聞いたというが、歪められた報告がきているのではないか。私の話が本当だったら、これはパワハラですね。そして医師の慰留はどうなったか。
【医療局長】
パワハラの認識についてだが、厚労省から「パワハラ防止のための指針」というものが令和2年1月15日に出されている。これによると、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であり、業務上必要かつ相当の範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されるものであり、これらの要素すべて満たすものを言う」とされている。このうち、「労働者の就業環境が害される」部分の判断基準として、「平均的な労働者の感じ方、すなわち同様の状況で当該言動を受けた場合に社会一般の労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当」とされている。
現在、超過勤務の実態調査にかかるヒアリングを実施している中で、委員からお話のあった内容と同じような声がある一方で、それとは異なる声もある。国の指針等に照らし、慎重に対応していく必要があると認識している。ただ、いずれにしても、職員間で認識の相違があるのは事実である。対話の促進、信頼関係の構築を図る必要があると考えている。現在、看護科の配置体制の検討を行っている。
辞職の意向を示している医師への対応だが、この医師に対しては、これまで病院長が辞意表明のあった昨年12月から機会をとらえて、組織運営上の課題への対応について説明するとともに、勤務を継続する場合の条件をうかがいながら面談を重ね慰留に努めている。医療局本庁としても、1月の医師支援推進室による慰留に加え、2月には医療局次長が面談し、当該医師から要望のあった職員が働きやすい環境の整備を通じ、職員の離職防止に取り組むことを丁寧に説明しながら、勤務の継続について要請してきている。