2020年3月17日 予算特別委員会
千田美津子県議の県土整備部に対する質疑(大要)


・砂防堰堤整備の現状と今後の見込みについて

(千田美津子委員)
 洪水・土砂災害対策について質問します。まず砂防堰堤の整備についてですが、これは土石流による被害を防止する上で砂防事業が非常に大事だと考えています。
 土石流危険渓流が県内では7198渓流あって、このうち保全人家5戸以上の要整備対象箇所が2204渓流とのことでした。30年度末までの整備箇所が205箇所、整備率が9.3%という答えでした。大変な事業ですけども、もっと引き上げるべきだという点で伺います。今年度末の実績、そして来年度の見込みはどの程度になるかお聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 砂防堰堤整備の状況です。土石流危険渓流の保全人家5戸以上の要整備箇所2204箇所に対して、今年度末の整備箇所数ですが210箇所、整備率は9.5%となる見込みです。また来年度末については216箇所、整備率9.8%と見込んでいます。

(千田美津子委員)
 現状は210箇所、整備率が9.5%ということであります。大変な事業だと思いますが、多発する大災害から県民の命を守るという点で、スピードをあげていただきたい思います。そのために必要なものは何でしょうか、体制があればいいのでしょうか、お聞きします。それから来年度予算では国庫補助事業が13箇所、県単が1箇所となっていますが、これらの事業の棲み分けはどのようになされているのかお聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 砂防事業の整備状況ですが、ご指摘のとおり箇所数が非常に多いという状況です。特にも本県、砂防については土石渓流については東北で一番多い箇所数です。そういった中で整備がなかなか進まないという状況で、年間で0.1%ずつの進捗状況です。ただいずれも限られた財源の中ですが、県民の安全・安心を守る上で非常に大切なこと思っております。
 引き続き着実な整備に努めてまいります。
 それから来年度予算の国庫補助事業と県単事業の棲み分けですが、限られた財源ということで、可能な限り国の補助事業制度を活用して砂防堰堤の整備に努めまいります。県単事業については補助事業にならない小規模のもの、あるいは補助事業受けた事前の調査等に予算を計上させていただいています。

(千田美津子委員)
 東北で一番多いということで苦労がわかりますが、最近の気候変動でいつ大災害が起こるかわからない、これまでも台風災害で大きな被害を受けていますから、これは特段の取り組みが必要だと思うわけですが、財源もそうですが、体制的にはどうでしょうか。

(菅原砂防災害課総括課長)
 体制的には各事務所とも精一杯頑張らせていただいているところです。

・土砂災害警戒区域指定の現状と指定率の向上策について

(千田美津子委員)
 整備率が9.5%、そして2年度末で9.8%ということで非常に心配な状況です。是非これは引き続き財源確保とともに進めていただくようにお願いします。
 次に土砂災害警戒区域について伺います。土砂災害警戒区域指定の現状と、そのうち特別警戒区域の状況はどうなのか、また来年度以降の指定の見込みについてお聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 土砂災害警戒区域等の指定状況については、土砂災害危険箇所14348箇所に対し平成31年3月末時点で6664箇所で整備率は46.4%、本年2月末現在の指定箇所数は「いわて県民計画2019-2028」の目標値7300箇所に対し7459箇所と指定率は52% となっています。
 そのうち災害特別警戒区域は6875箇所です。来年度以降の取り組みですが「いわて県民計画」において指定箇所数は令和2年度末には8200箇所、令和3年度末については9100箇所の目標掲げております。確実な達成に向けて取り組んでまいります。

(千田美津子委員)
 昨年3月末で46.4%、6664箇所、今年の2月末で7459箇所にあがって担当課として頑張っていただいたと、そして今後は900箇所ずつあげていく目標を立てていますが、是非前倒しでやっていただきたいと思います。
 それから全体で警戒区域の指定が52%までとなったということですが、市町村ごとの指定状況を見ると非常に大きな差があります。沿岸地域は被災からままならないという状況がある中、また内陸部でも非常に指定率が低かったと、私のいる奥州市でも9月末で35%と1/3程度でしたが、今年63箇所増やしてもらい2月末で41%になっています、また遠野市20%止まりだったのが107箇所増えて34%になったと、これは市町村を励ましながら県当局が頑張っていただいた成果だと思います。
 引き続き平均値である52%に達してない市町村について、もっと県が支援することが必要です。この間、引き上がった市町村の教訓は何だったかということと、沿岸部ではこれから指定しなければならない箇所が、宮古市で1000箇所近く、釜石市では700箇所、岩泉町も800箇所ぐらいが残っています。ここにも県がいろいろ支援して、少しずつ引き上げてもらっている状況があります。大槌町も指定率が18%に止まっているということで、是非、内陸部そして沿岸地域への特別の支援をお願いしたいわけですがその点お聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 まず、土砂災害警戒区域の指定箇所数の前倒しでございます。最近、県内でも非常に豪雨による土砂災害が増えており、私どもとしても住民の危機意識の向上、危険箇所認知の向上を高めるためにも、可能な限り前倒しをできるように頑張ってまいります。
 2点目ですが、指定区域の非常に高い所の教訓ですが、比較的指定率が高い所は箇所数が非常に少ない所、指定率が進まないところは沿岸部、これは震災等の影響がありマンパワーとの関係で進まないという点があります。また内陸部においては箇所数が多いということで進まない状況です。
 一方、進んでいる所についてはこれまでの住民説明会の方法、オープンハウス方式ということで一定の時間を決めて住民の方に好きな時間に来ていただく、そこで説明するというやり方をしますと多くの住民の方々に来場していただけるという傾向もございます。指定率の低い市町村について来年度以降、そういった取り組みなども積極的に働きかけてまいります。それから市町村の職員が足りないなど、マンパワー不足についてはNPO 、あるいは砂防ボランティア等、あるいは外部へのアウトソーシング等を含めまして可能な限り、指定率がアップするように、52%を上回るような形で取り組んでいきます

(千田美津子委員)
 市町村の表を見ると、頑張って指定をしたところ、1年間全く指定ができなかったところも13自治体くらいあります。様々な要素があると思いますが、そういう市町村に対して答弁いただいた方式等で助言をいただくことが大事だと思います。引き続きお願いします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 土砂災害危険箇所の整備率状況で。土砂災害危険箇所1万4348箇所のうち、保全人家5戸以上等の要整備箇所3994箇所に対する、平成31年3月末時点での整備済みが503箇所の整備率12.6%、今年度末の整備見込みが512箇所、整備率12.8%と見込んでおります。

(千田美津子委員)
 土砂災害危険箇所の指定を急いで欲しいわけですが、整備率は今年度末で12.8%ということで、人とお金が欲しいということが本音だと思います。県民の命を守るという点で危険箇所の指定と同時に整備を進める、12.8%をもっともっと引き上げていくことが必要だと考えますのでもう一度お聞きします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 土砂災害危険箇所ということで土石流、地すべり、急傾斜、これに対する整備ですが、非常に限られた財源の中で優先度を見極めながら着実な危険箇所の解消に努めてまいます。

(千田美津子委員)
 土砂災害警戒区域の指定をする上で、基礎調査を実施し県民に知らせることが非常に大事になっています。基礎調査結果の公表状況と今後の見込みについてお尋ねしますが、9月末で11379箇所、79.3%とのことでしたが、現状はどのようになっていますか、また今後の見込みについてもお尋ねします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 土砂災害危険箇所の基礎調査の状況ですが、2月末の公表箇所数は12505箇所、その率は土砂災害危険箇所に対しまして87.2%となっております。今後の見込みですが、基礎調査については、今年度内に終えることで最終の詰めの段階に入っております。残り2週間程度でございますが全ての公表に向けて頑張ってまいります。

・洪水浸水想定区域指定の現状と見込みについて

(千田美津子委員)
 今年度末の完了ということで是非お願いしたます。
 次に洪水浸水想定区域の指定についての現状と今後の見込みについてお尋ねします。この間の質疑では、30年度末まで15河川で想定最大規模の洪水に対応した区域をしていると、そして今年度が5河川を指定して20河川にするということでした。それから令和3年度末までに30河川を指定する予定とのことでしたがどのような状況かお知らせください。

(幸野河川課総括課長)
 浸水想定区域の状況です。30年度末までには15河川、令和元年度は5河川を指定したところで現時点では20河川指定済みであります。今後について、令和3年度末は目標値30河川ということですが、できるだけ前倒しをして進めるように考えてございます。

(千田美津子委員)
 答弁ありましたように、どのくらい前倒しして体制を作るか指定をしていくかということがどの分野でも問われてくるわけです。昨年の台風19号災害で被災をした7県の71河川のうち、約半分の36河川で浸水想定区域図が作られていなかった、宮城県丸森町では決壊した3河川全てで浸水想定区域の指定がなかったと。宮城県の担当者は大規模河川の浸水想定作業を優先してたためと述べていたようです。
 指定については費用も調査時間を半年以上かかると言われているそうで、大変だと思いますが、課長答弁のように1箇所でも2箇所でも前倒しをして大災害に備えていく、それが私は求められていると思います。それでこの浸水想定区域のみならず土砂災害区域の指定等の予算を獲得して前倒しをするということがこれらの全ての課題になってくると思うわけです。是非部長にその辺のところお聞きします。

(八重樫県土整備部長)
 洪水浸水想定区域の指定でございます。水害リスクを明らかにするだけでなく、住民の適切な避難行動を支援する洪水ハザードマップ等の作成にも繋がっていくソフト施策であります。関係市町村の皆様とも調整のうえ、技術的、時間的な課題はありますが一生懸命詰めてまいりたいと思います。更なる指定拡大に取り組んでまいります。

・水位周知河川指定の現状と今後の見込みについて

(千田美津子委員)
 水位周知河川もこの間いろいろ答弁がありました。元年度は38河川47区間まで指定の予定で、令和3年度末までに44河川53区間という計画だったと思いますが、これについても今後の見込みについてお尋ねします。

(幸野河川課総括課長)
 水位周知河川についても委員指摘のとおり推移しているところです。令和3年度末の44河川53区間、ここまで指定を進める目標でやっているところですが、これについても出来る限り前倒しで進めて、新たな河川を指定のリストに挙げて対応していくということでやってまいりたいと考えてございます。

・急傾斜地崩壊危険個所整備の現状と今後の見込みについて

(千田美津子委員)
 最後になります。急傾斜地崩壊対策の現状と今後の見込みです。急傾斜地崩壊対策事業は本当に被害を防止する上で、擁壁等を整備するとかで大変重要なものでありますがどのような現状にあるのか、今年度末までの見込みについてもお尋ねします。

(菅原砂防災害課総括課長)
 急傾斜地崩壊危険箇所の整備状況は、危険箇所6959箇所のうち保全人家5戸以上などの要整備箇所1599箇所に対し、平成31年3月末時点では整備済み281箇所、整備率17.6%となっております。今年度末までの見込みは285箇所、整備率17.8%になる見込みです。令和2年度末の見込みは整備済み291箇所、整備率18.2%と、見込んでございます。

(千田美津子委員)
 急傾斜で崩壊の危険がある箇所の整備率が現状17.8パーセントに止まっているということで、すぐにやって欲しくてもなかなか進まないというのはこの間の答弁でした。ただ総じて県民の命を守るということで、どの数値を見ても担当課に頑張っていただき指定を進めてきたことは非常に評価をしますが、命を守る以上に大事なことはないのでもっと促進するために体制を頑張ってもらいたいということをお話して終わります。