2020年3月24日 2月県議会最終本会議
高田一郎県議の議案に対する反対討論全文


 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第45号に反対討論を行います。議案第45号は漁業法等の一部を改正する法律の施行に伴い関係条例の整備に関する条例であり、今回関係3条例について所要の整備をするものです。
 第一に、漁業法の一部改正に伴い、海区漁業調整委員会における漁業者及び漁業従事者を代表とする委員の公選制が廃止されたことから、住民基本台帳法施工条例で引用する規定を削除するものです。
 新漁業法では、海区漁業調整委員会の公選制が廃止され都道府県知事の任命制となりました。委員に漁民を半分入れなければならないとの取り決めはありますが、委員を選任するのは都道府県知事であります。漁業権免許の優先順位が廃止され、今後知事や県の意向で企業免許ができる可能性があります。そのさいに海区漁業調整委員会の意見を聞くことになっています。企業参入の障壁になる為に公選制を廃止する、これが最大の理由であります。
 全国海区漁業調整委員会連合会では「委員の選出方法や委員構成を見直す必要はない」と反対の声を上げており、そもそも公選制廃止は漁民の声ではありません。岩手県では前回、海区漁業調整委員は選挙となり、水産政策をめぐって大きな議論が行われました。これまでの公選制に特別問題があったわけではありません。公選制の廃止は漁民の被選挙権を奪うものであります。
 第二に、新たに制度化された漁獲割当管理原簿を情報公開条例の適用除外にするもので、改悪された漁業法を前提とする条例になっているからです。
 戦後漁業法が1949年に公布されてから70年ぶりの改訂であるにもかかわらず、国会で十分な審議もなく強行されました。「規制改革会議」の提言を受けて行われた種子法廃止と同じ道を歩んでいます。
 新漁業法は第一に、沿岸漁業の漁業権を地元漁業者に優先してきたこれまでの仕組みを廃止し、知事の裁量で地元外の企業に与えることを可能にするものです。沿岸漁業の中に漁協管理とは別の企業免許の漁業権が作られれば、漁協を中心とする沿岸共有海面利用の秩序と体制が崩壊し、浜に混乱と対立が広がることになりかねません。
 地元漁業者優先の原則は、都会の企業などが浜を支配し漁村を荒廃させた戦前の反省から生まれました。地元優先の漁業権の下で、漁業者が主体的に取り組んできたからこそ漁場の利用調整や保全ができ、豊かな海の資源・環境を守ってきた。すでに『水産特区』でこの制度を先取りした宮城県では、漁協の反対を押し切り企業に漁業権を付与しました。知事の権限を拡大することで浜に無用な混乱が起きたことを見ても問題は明らかです。
 第二に、『資源の管理』の名のもとに魚種ごとに漁獲可能量を設定し個々の漁船ごとに割り当てる制度を導入しました。しかし割当量の配分に沿岸漁業者の意見を反映する仕組みもなく、禁漁を余儀なくされた場合の保障もありません。クロマグロの漁獲規制をめぐって大規模漁業を優遇し、小規模な漁業者が締め出されたこの事例は何をたらすかを示しました。
 第三に、漁船の大きさを制限するトン数規制を撤廃するなど漁業許可制度の見直しです。乱獲を防ぐためにとられてきた漁船のトン数規制をなくし大型化を進めれば、沖合漁業と接する沿岸漁業の資源が減少する懸念が払しょくされません。
 新漁業法では、漁業計画に農林水産大臣の助言と指示を新たに明文化されています。政府が「漁業の成長産業化」を掲げ「企業による養殖産業の新規参入」を掲げており、漁場が企業本位に変質させられることになりかねません。
 漁業者の94%が小規模沿岸漁業です。いま漁業政策に求められているのは、規制緩和の流れに歯止めをかけ、浜と漁業者が主役になる政策転換こそ求められています。
 
 以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。