2020年4月15日 県政調査会
新型コロナウイルス対策に関する質疑(大要)
・医療体制の強化について
【斉藤議員】
昨日の会議(医療体制検討委員会)は大変重要な会議だったと思う。ここで「発熱外来の設置」というのが、二次医療圏単位で設置を検討すると。この発熱外来は、新型コロナウイルスを疑う人は誰でも受診できる、そこで検体も取って検査機関に結びつくということでいいか。
【吉田対策監】
発熱外来の運用については、これから二次医療圏ごとの調整の中で具体的な内容について検討していくというところであるので、現時点において、検体採取前に必ずやるかどうかという部分については、圏域内での先生方の意見等も踏まえながら検討していく。
【斉藤議員】
検体を取れるかどうか聞いたので。
いま私たちが一番心配しているのは、帰国者・接触者外来にさっぱり紹介されないと。そういう人が行き場がなくなっている。そういう人たちが一般の病院に行ったら大変になる。だから「発熱外来」ときちんと看板を掲げて、「ここに来てください」と。これは本当に急務である。
発熱外来の見通しを早く示してほしいが、帰国者・接触者外来との関係はどうなるか。帰国者・接触者外来は非公表となっている。同じ機能を持つと思うが、それはどういう関係になるか。
【工藤対策監】
帰国者・接触者外来については、県内で十数件という形で指定されている。発熱外来が設置された場合については、速やかに帰国者・接触者外来に位置づけて対応していく。
【斉藤議員】
それは公表してやるということですね。分かりました。
それで昨日の会議では、軽症者受け入れのための宿泊施設の確保に取り組むと。昨日の常任委員会では具体名も出たようだが、軽症者・無症状の方々は基本的に隔離だと思う。だからそういう宿泊施設というのは大変大事なので、早く確保していただきたい。
それから、「休床している病院等の活用」ということも提起された。旧岩手医大と言ってもいい内丸メディカルセンターも空いているし、花巻温泉病院も閉院して空いている。いわば、新型コロナウイルス対策に集中した医療体制も必要ではないかと。これは院内感染を防止する上でも、そういう活用をすべきではないか。
【吉田対策監】
岩手県内における休床している病院という部分については、議員ご指摘の通りそういった候補が考えられるということであり、患者数の減少等により病院の体制が縮小になり休床している病棟もあるので、そういった活用できる施設についても積極的に検討していきたい。
【斉藤議員】
9病院38床の指定感染症病床、これは呼吸器の専門医がいないとか、一部屋に2人でトイレも1つとか、すぐ活用できないような状況が実際にあるので、きちんと看護師等の医療チームをつくって機敏に対応できるようにしていただきたい。
・検査体制の強化について
【斉藤議員】
13日に工藤対策監にお聞きしたら、帰国者・接触者外来への紹介件数は120件だった。この時点で検査件数は155件だった。紹介件数が検査件数より少ない。これは完全に絞りすぎで、厚労省の通知でも「柔軟に対応せよ」となっている。実は2月17日の通知がきわめて細かすぎた。インフルエンザの検査をしなさい、肺炎の症状を調べなさいとか、残念ながらまだ保健所はそうなっている。岩手県は厳格に実施しているので、本当に柔軟に帰国者・接触者外来に繋げると。今日の岩手日報の報道では、「日本依然少ない検査数」「実態を反映していない」「政策判断を誤る恐れがある」と。アメリカ大使館は「日本は検査を広範に行わず、感染状況の把握が困難になっている」と。いま一番感染が広がっているアメリカが、滞在中の米国人に帰国準備を呼びかけたと。大変深刻な事態だと思う。
それで、検査件数を必要な人に抜本的に広げるということで、具体的にどうするのか。先に説明された対処方針には何も書かれていないが、どうするのか。
【工藤対策監】
帰国者・接触者相談センターからの相談件数は、11日現在で3455件、帰国者・接触者外来への紹介件数は127となっている。これは、相談センターからの紹介を経ずに直接帰国者・接触者外来を受診する方もいるため、PCR検査の依頼件数が195件という形で多くなってしまっている。こちらには、入院患者についてのPCR検査の依頼もあることから、そういった数字になっている。
検査件数については、厚労省の通知を踏まえて、各保健所等に通知して実施しているが、3月15日に岩手県としても、2月の検査基準を踏まえつつ、弾力的な運用についての通知を各保健所に示したところであり、まだその考え方が十分に伝わっていない部分があろうかと思う。こちらについては改めて対応させていただきたい。
【斉藤議員】
先日、盛岡市の保健所に行ってきたが、1日相談件数は80件、4人の保健師で対応している。それだけで手一杯で、4月半ば前で月30時間以上の超過勤務をしている。抜本的に保健所の体制、感染症対策チームの体制を強化しなければいけない。これは全庁的に。あとは任期付職員で、資格のある職員を緊急に採用するなどをしないと、とてもじゃないが、機械的に対応せざるを得なくなっている。
・経済対策について
【斉藤議員】
国は108兆円というが、一般会計・特別会計の真水は18.6兆円、国民に給付される部分はたった6兆円である。まったく中身がない。そして条件が厳しすぎて使えない。
今日の新聞にも出ているが、例えば盛岡市では、雇用調整助成金について、解雇しない場合6割の給与の10分の9を国が補償するが、盛岡市では残りの10分の1を負担して、給与の6割分だが事業主負担はなくすと。花巻市では、市の独自の融資は無利子無担保でやると。
県内でもこうした取り組みが出てきたので、2月議会の補正では、緊急の融資について今年度予算でも出ているが、やはり無利子無担保の融資に県もすべきではないか。雇用調整助成金もぜひそういう規模で、事業者の負担がないように県もすべきではないか。雇用調整助成金については、現場から「書類が十数枚必要だ」と。これだけで小規模事業者はあきらめてしまう。そして支給は3ヶ月後という話もあるので、国の制度の抜本的な見直しを求めると同時に、本当にいま困っている業者が使いやすいような融資、雇用調整助成金の制度に、今度出される補正予算では踏み込んでほしい。
そしてついに自民党の二階幹事長も公明党も「国民1人10万円」と言い出した。野党も言っている。1世帯30万円と線引きするのではなく、1人10万円の支給をただちに実現せよと。もう外堀は埋まっているので、頭の堅い安倍政権を変えれば実現できると思うので、その取り組みも緊急に県としてもやっていただきたい。
【定住推進雇用労働室長】
雇用調整助成金については、国の方でも書類が大変だという話があり、今だと73項目書かなければいけないということで、経済対策が出た際に、書類はだいぶ簡素化したということだが、それが小規模事業者にとって十分かどうかはあるが、書類は削減したと。審査体制についても、審査をする方の人数等を増やして、今までだいたい2ヶ月かかっていたものについて、1ヶ月で交付が受けられるようにということで、そちらの実際給付が受けられるまでの期間の短縮等についても取り組んでいただけるということも国の方で対策したところである。昨日の市町村との意見交換の中でも、県の方でも労働対策についてもやってほしいという意見もあり、盛岡市・花巻市の事例もあるので、そちらの制度の中身等についても確認しながら、県として必要な施策について考えている。
【経営支援課総括課長】
国が公表した第三弾の緊急経済対策だが、ご指摘あった通り、地方公共団体の制度融資を活用し、民間金融機関でも実質無利子無担保の融資を受けることができる制度を創設するとされた。
県としても、国の補正予算の成立時期を踏まえ、実施に必要な予算の対応を含め現在検討しており、しっかり対応していきたい。
【市町村課総括課長】
30万円の給付についてはさまざま報道されているが、いずれ国からも先週通知があり、市町村や申請をされる方々の手続きがなるべく簡便なようにということは示されていた。
これから国から実際の中身が示されると思うので、そこをよく見ながら進め、必要に応じて国の方に、あるいは市町村の調整などに支援していきたい。