2020年4月30日 文教委員会
新型コロナウイルス対策に関する質疑(大要)


・臨時休校にともなう学習指導員の配置について

【斉藤委員】
 教職員人事管理費で、臨時休校にともなう学習指導員等の配置ということだが、大前提として、臨時休校に対する考え方を示していただきたい。どういうときに、どこが判断して臨時休校の措置をとるのか。2月末の安倍首相の全国一律休校措置はきわめて乱暴で、学校がまったく準備できずにやられた。
 世界の先進的な例として台湾が出ているが、台湾はおそらく世界で一番早く新型コロナウイルスに対応した国だと思う。そこでも休校措置はとったが、2週間の猶予をとって、学校がしっかり準備をして、休校の間に何をやるかというところまで準備した上で休校に入ったと報道されている。
 この臨時休校に対する考え方ということが大変大事だと思うので、まず最初にそのことについてお示しいただきたい。

【学校教育課総括課長】
 臨時休校の判断を誰がするのかということについては、学校保健安全法20条に基づく臨時休校を行う場合には、学校の設置者が行うことであるので、これは県立学校であれば県教委が最終的に臨時休校を判断するという形である。一方で、新型コロナウイルスの感染防止に関しては、科学的な知見が大変重要になってくるので、先日お示しした臨時休校措置の考え方については、管内の保健所長と協議するということと合わせ、小中学校との連携も重要になってくるので、市町村とも協議をしながら判断していくという形である。

【斉藤委員】
 4月23日付の教育長の通知では、例えば、生徒・教職員に感染者が出た場合には休校措置をとると。そして市町村内のことについては保健所と協議するとなっているので、具体的な事例も起きておかしくない状況なのだから、もう少し立ち入って、予想される事例にどのように県教委は対応する方針を示しているのか。市町村はどのように対応するのか。

【学校教育課総括課長】
 個別具体の判断については、やはりその時々の状況や、文科省のガイドラインにもあった通り、感染者の学校での活動や感染経路が明らかになっているか否かなどのようなことも踏まえながら、基本的な考え方に基づいて判断していくということだと考えている。

【斉藤委員】
 教育長の県立学校長宛の通知を紹介すると、「臨時休業措置の基本的考え方―感染者が県立学校の児童生徒または教職員の場合、感染した児童生徒の出席停止または教職員の就業禁止。感染者が確認された学校を2週間程度の臨時休業にする。当該学校の所在する市町村、他の県立学校についても2週間程度の臨時休業。当該学校が所在する市町村を所管する保健所長および管内市町村教委と協議。管内または生活圏にある学校の臨時休業の要否を判断する」―これは学校で出た場合。感染者が県立学校の児童生徒等または教職員以外の場合、これは「当該市町村に所在する県立学校の臨時休業の要否を保健所長および市町村教委と協議して決める」となっている。手立てはかなり分かりやすくなったので、そのように説明していただけると答弁になる。
 30日と5月1日を臨時休校措置にした。事前に連絡をいただいたが、おそらく岩手県は感染者が出ていないので、臨時休校をとる客観的な直接の理由はなかったのではないか。30日と1日を臨時休校にした理由、根拠を示していただきたい。

【教育長】
 今回の対応については、県をまたいでの人の移動について自粛要請をしているというようなことがあり、それに基づき、例えば県立学校の生徒の場合だと公共交通機関を利用して通学している実態がある中で、今回の大型連休期間中における人の移動を最小化する趣旨というものがあり、そこでGWの県をまたいだ移動の自粛やさまざまな休業措置もとって、行動について自粛を要請している取り組みがあるので、それと同一歩調をとっていく必要があると判断したことから、一方では、児童生徒の学校活動・教育活動の影響も最小限にとどめたいという考え方から30日と1日を休業にし、29日〜5月6日までの6日間、人の移動の最小化と軌を一にするということで判断した。

【斉藤委員】
 客観的には岩手県の感染状況に変化はないが、今回、専門家会議も政府もGWでの移動の自粛が強調され、その一環ということで理解したが、先ほど紹介した基本的考え方というのは大事だと思うので。臨時休校というのは、子どもたちの学習権を制約する。それだけに慎重に正確に判断を今後もしていく必要があると思う。
 今回の学習指導員の配置だが、おそらく5月6日まで休校して7日から再開すると思うが、いつの時点で採用するのか。雇用期間はどのぐらいを考えているのか。感染状況に関わらず配置されるものなのか。

【教職員課総括課長】
 想定されている業務としては、臨時休業中に授業ができなかった未指導の部分に関わる補習の支援、個々の子どもへのケアなどを想定している。実際には国の補助事業を活用して実施するということで、臨時休業によるそのような影響が出た場合に配置するということである。今回はまだそういう状況ではないので、コロナの状況を見守りながら事業を実施していくということになる。

【斉藤委員】
 臨時休校措置がとられた際に活用すると。そして予算措置の内容とすれば19人ということだったが、約6ヶ月間の雇用ということで措置されているのか。

【教職員課総括課長】
 期間は、予算では6月〜3月の10ヶ月間、19人分を計画している。

・県立学校ICT機器整備事業費について

【斉藤委員】
 県立学校ICT機器整備事業費だが、教育局長の説明はきわめて雑ぱくだった。例えば、1人1台というのは今回の予算の説明にならない。今回、どこに機器を整備するのかと説明しないと、議案の説明にならない。一関一高附属中学、特別支援学校に整備すると。総計は1152台で、特別支援学校912台。一関一高附属中学は1人1台になるのか、特別支援学校が1人1台になるのか。だとすれば、こういうところに先ほど話があったICT支援員に優先して配置しないと、機器を整備しても活用できないということになるので。先ほどあったように、各学校年4回派遣するという平均的な話ではないのではないか。

【教育企画推進監】
 お話あった通り、一関一高附属中学と特別支援学校の小学部・中学部で計1152台と。これで全員分になる。
 ICT支援員の配置については、予算上各学校4回派遣ということで想定しているが、やはり実態に応じて必要なところに集中して、実態に応じて考えていきたい。

【斉藤委員】
 今回の予算の中身の説明は、一般論ではなく、補正なのだから、必要に応じて特別に付けるわけで、そういう説明をしっかりしていただきたい。

・給付金支給事業、就学援助等の支援について

【斉藤委員】
 奨学のための給付金支給事業だが、当初でも3億5700万円予算化されて、今回1292万円。年度当初で、どのぐらいの生徒が給付金の対象になっているか。いくらの給付金になるのか。

【教育企画推進監】
 積算の人数では3608人分である。
 給付金額は、年額で、生活保護受給世帯32300円、非課税世帯第一種が84000円、第二種が12万9700円。複数申請後、生活保護受給世帯以外で36500円となっている。

【斉藤委員】
 奨学給付金は今回新たに130人分の措置で、かなり活用されているということなので。
 奨学給付金と合わせて、就学援助の拡充も大変重要ではないか。今回、家計が逼迫して、新たに就学援助の対象になる世帯、子どもたちが出てくると思う。この就学援助はきわめて重要で、学用品から修学旅行費、給食費など大変大きなものがある。だから、就学援助もコロナ危機にきちんと対応すべきだと思うが、対応はどうなっているか。

【学校施設課長】
 新型コロナウイルスの拡大にともない、就学援助の対象となる子どもが増加する場合についての対応だが、3月24日付の文科事務次官通知により、「新型コロナウイルスの影響などにより家計が急変し年度の途中において認定を必要とするものについては、速やかに認定し必要な援助を行うよう配慮すること」とされており、さらに4月3日付の事務連絡により、通常は前年の収入により算定している所得基準について、申請時の収入の状況で判断するなどの柔軟な対応をすること、また、就学援助の制度自体を知らないために申請ができない事態を避け、より多くの家庭に制度を利用してもらうために、保護者への情報提供に努めることについて、市町村へ周知するよう要請があった。
 これを受け県教委では、各市町村にたいし全種認定の柔軟な対応、保護者への情報提供について改めて周知徹底を図ったところであり、今後とも市町村と緊密に連携しながら、しっかり対応していきたい。

【斉藤委員】
 就学援助については、大事な通知が2度にわたって出ているので、しっかり趣旨が伝わるように徹底していただきたい。

・特別支援学校の課題について

【斉藤委員】
 14校のうち6校で1台増車して過密を解消するということだと思うが、3月の休校で一番苦労したのが特別支援学校の子どもたちと保護者だったと思う。そういう状況を県としてはどう把握されているか。

【特別支援教育課長】
 特別支援学校の子どもたちが休校時に、居場所の確保等にも非常にいろいろ工夫し、放課後等デイサービス等も活用したり、あるいはそちらが大変となった時には学校も一部受け入れを行うなどして、安全安心に努めてきた。

【斉藤委員】
 先日、盛岡市内で放課後デイサービスをやっている「のびっこ療育センター」を盛岡市議団と訪問し実態を聞いてきた。ここでは、朝6時から夜8時まで、利用者の実態と要望に対応してやっているということで、職員19人全員が常勤で、放課後デイサービスも休みのときには朝からと。八幡平市・滝沢市からも利用者が来ている。午後に訪問したら、子どもたちが指導員と一緒に楽しくゲームをしているという姿があり、異年齢集団で違和感なく、遊びそのものが活動で、そういう意味で朝から大変だと思うが、ただ聞いたら、放課後デイサービスの午前からの報酬というのはまだ支払われていないと。結局3月分は申請してから2ヶ月かかると。苦労して取り組んでも、その分国が手当するといっても2ヶ月後。あまりにも遅いのではないかと感じたので、これは保健福祉部の所管なので実態をお話した。

・財源措置の問題について

【斉藤委員】
 いろんな予算が今回措置されたが、これは国の補正対応が多く、国の事業は全部2分の1補助。そうすると2分の1は県が負担しなければならない。これはおそらく臨時交付金で、だから臨時交付金というのは本来自治体が自由に使えるはずのものだが、みんな紐付きになっているのではないか。だから県教委で今回予算措置した中で、臨時交付金対応というのは予算額ではどのぐらいになるのか。

【予算財務課長】
 国の補助率は事業によって異なるが、今回の補正の3億3000万円余のうち、補助事業部分として1億5857万円余、臨時交付金分として1億7037万円余となっており、一般財源の繰り出しはない。

【斉藤委員】
 3億3000万円の補正だが、臨時交付金対応で1億7000万円。このようにするんだったら、地方創生臨時交付金は今の2倍3倍にしないと、実際には地方が独自にやりたい事業ができない、国に付き合って終わりとなってしまうのではないか。
 これは教育委員会だけではないが、やはり実態を示して、そして補正予算というのは基本的に3月中に組まれたので、その後に新しい事業がどんどん出てきてそれは盛り込まれていない。負担だけは押し付けられるということなので、必要な事業、特に地方の財源をしっかり確保するという点で、教育の分野も実情を明らかにしてしっかり対応してほしい。

【教育長】
 ご指摘の通り、教育委員会では3億3000万円のうち1億7000万円という臨時交付金が充当されているが、県全体になると、今回の新型コロナウイルス対策としてさまざま多くの事業に取り組まなければならないと。それがしっかりとした国からの財政措置がなされなければならないものと考えている。そういった意味で、財源の確保について国に対してもしっかり要望していくことにもなっており、総務省の連絡員の配置で、日々現場で起きている、あるいは実務の中でいろんな課題が出てきているが、そういったことをいち早く国に伝えるような仕組みもあるので、そういった対応をしっかりやっていきたい。

・9月への大学入学時期変更問題について

【斉藤委員】
 先ほど話題になった9月への大学入学時期変更問題で、達増知事が全国知事会で表明した意見はまったくその通りだと思う。これはどさくさ紛れにやるような話ではない。教育全体に、社会全体にも影響を与える問題なので。やはり慎重に検討すべきである。県教委でどういう意見交換や検討がされたのか。

【教育長】
 全国知事会やさまざまな形で議論や声が上がっているということで、そういったことを踏まえ、学校の臨時休校が長期化している中で、どういった議論を本来すべきなのかと。いろいろ知事会で国に要望することについては理解するという形にはなっているが、9月の入学制については、社会全体でさまざまな多くの課題があるものと認識しているということで、今朝ほど具体的な、例えば会計年度や入社・定年のタイミングのズレ、保育との調整など、さまざまな多くの課題があるものと認識しているということで、知事とも確認したところである。