2020年4月30日 農林水産委員会
高田一郎県議の新型コロナウイルス対策に関する質疑(大要)
【高田議員】
新型コロナウイルスによる農林水産業への影響はどうなっているか。対策の前提だ。政府による『緊急事態宣言』も延長の方向だが長期戦になることによる今後の影響は。
【副部長】
影響試算は難しいが牛肉は枝肉価格が1/22 2895円(A5)→4/23 1715円で40%減、仔牛は594,100円 12万円の減少、わかめは前年比70%、うにの価格下落を心配している。野菜は変化ない。農泊は、4,5月で105件9000人のキャンセル、内訳は中止45件2400人、延期63件6500人、道の駅は33のうち休止23、一部8、外国人実習生は300人中来日は50人にとどまっている。
家計消費が伸びているが自粛により高級品などの落ち込みがあり特に牛肉価格が大きいことから消費拡大や販売対策が重要となっている。
【高田議員】
新型コロナウイルスの第一次産業への実態調査が十分行われていないのではないか。
特に畜産は深刻な影響ではないか。補正予算には販売促進対策583万円、県産牛の学校給食への無償提供2,85億円げ計上されているが農家の生産基盤をどう守るかではないか。消費拡大も大事だが終息した後に畜産農家がいなくなったら農業振興にもならないのではないか。
【副部長】
多くの農林水産業への影響調査はしていないが関係団体との懇談や聞き取りを行っている。今後より実態を把握して関係団体とも密に連携して対応していきたい。
【畜産課総括課長】
生産基盤を強化することは大事な課題だ。減収補てんとして「牛マルキン」がある2月は3万円ほど補填されたが3月分は5月末になる。素牛の買い控えを心配している。補正予算に『肥育経営生産基盤強化緊急事業補助』5300万円計上した。これは県内の肥育農家が県内の仔牛市場から肥育素牛を導入するために必要な経費を支援するもので1頭上限1万円を見込んでいる。
【高田議員】
一関市藤沢の肥育農家は「素牛価格が80万円の時の出荷になっている、出荷まで1頭40万の経費が掛かるが素牛価格にもならない、赤字だ」奥州市前沢の農家は年間売上5000万円でももうからない、半年も経営が持たない、牛マルキンだけでは何ともならない」これが肥育農家の事態だ。しいたけの時と同じように高齢農家は一気に離農するのではないか、牛マルキンだけではどうにもならないのではないか、農家の現状を県はどう受け止めているのか。
【農政担当技監】
肥育農家は大変な状況にあると思っている。「肥育牛経営等緊急支援特別対策事業」がある。経営の体質強化に資する取り組みをおこなえば出頭数に応じて2万円/頭、枝肉価格が前年同月比30%下落した場合は4万円/頭、こうした事業を活用していきたい。
【高田議員】
BSE、口蹄疫は牛の問題だったがコロナは農家だけで対応できない。いま藤代技監のが述べた支援策では十分な対策にならないのではないか。『持続化給付金』はおそらく対象にならない、赤字でも肥育農家は対象にならないだろう。『持続化給付金』の要件緩和、牛マルキンの10割補助と農家負担の免除、預託利子の補填など更なる支援を国に求めていくべきだ。
牛マルキンの算定方式が現在の都道府県単位から『地方ブロックで算定』と報じられているがどのように変わるのか。農家にとってメリットがあるのか。
【畜産課総括課長】
牛マルキンの地方ブロックでの算定と報じられているが現段階では詳細を把握していない。農家にとってどんなメリットがあるのがしっかと情報収集して対応していきたい。
【高田議員】
農業経営負担軽減支援金利子補給260万円予算計上しているが貸付条件はどうなるのか。農家からは無利子は時間がかかるが有利子はすぐかs付けできるが二雨過が安心して借りられるようなスピード感を持って対応すべきだ。
【団体指導課総括課長】
新型コロナウイルスにより影響を受けた農家が借りられるように支援していく。現場で即対応できるように取り組みたい。
肥育農家は経営だけでなく生活全体の心配がある。「今の経営では家族も守れない」これが畜産農家の共通した声だ。ある肥育農家は「牛舎の借金が毎年250万円(あと3年)、牛の減収900万円(年30頭出荷)、税金は200万円(住民税、国保、消費税など)、税金を何とかしてほしい」とうったられた。融資、経営、生活などワンストップで相談できる体制で取り組んでいただきたい。
【農政担当技監】
農家に皆さんに寄り沿って相談を進めていきたい。
【高田議員】
牛肉の価格の下落は新型コロナだけではない。牛肉の需要期である昨年の12月も下落、昨日の日本農業新聞で報じられているように3月の貿易統計では輸入牛が前年比20%増で45,549tになっている。消費税の増税による景気悪化と牛肉の自由化政策にさらに追い打ちをかけたのが新型コロナではないか。3つの悪条件が重なって畜産農家が混迷しているのではないか。部長の認識をききたい。
【農林水産部長】
さまざまなことが要因にあるがなんといても新型コロナウイルスによる自粛により消費需要が大きく落ち込んだことによるものが大きい。補正予算に販売対策費や学校給食など消費拡大策を盛り込んだ。岩手は牛肉の消費量は全国31位となっている。県産の農産物を消費する事にも今後取り組んでいかなければならない。先日農民団体からご要望も受けたが今回の対応が不十分であるならば更なる対策が必要だと認識している。