2020年6月11日 文教委員会
教育委員会に対する質疑
(大要)


・学校での感染防止対策、少人数学級について

【斉藤委員】
 全体として新型コロナウイルス感染症対策の補正だが、学校における感染対策の基本方針の徹底はどうなっているか。

【学校教育課総括課長】
 文科省から示されたガイドライン、また5月に示された衛生管理マニュアルというものについて、本県は、衛生管理マニュアルに示されている「レベル1」ということで、それに基づいた行動について各県立学校等に通知しており、各県立学校において新しい生活様式に基づいて学習を行っていただいている。

【斉藤委員】
 社会的にも学校もそうだと思うが、ソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンスが一番大事な課題。ところが今話された衛生管理マニュアルの22ページでは、「レベル1地域は1クラス40人でも可能」と。これは信じがたいことである。それが密でなくて何なのか。県立学校は40人学級なので、全然ソーシャルディスタンスにならないと思う。これを良しとするのは、少人数学級を実施したくないからという文科省の意図だと思う。物理的にこういうことではいけない。
 今日新聞にパチンコ店の広告が入ったが、感染予防対策として、パチンコ店でも整列時のソーシャルディスタンス、遊戯台でもきちんと距離をとっている、徹底して除菌していると。おそらく1台ずつ空けていると思う。飲食店だって50席を20席にしたりしている。新しい生活様式にみんな取り組もうとしている。ところが学校だけは新しい生活様式が関係ないと。少なくとも高校生の体で40人学級だったら密ではないか。ソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンスは確保できるのか。

【学校教育課総括課長】
 衛生管理マニュアルにおいては、あくまでも40人学級というような中で、設置基準を満たした教室の中で間隔を空けることである程度、横であれば1m程度空けることができるという中で示されたものだと認識しており、県としても、まずはマニュアルを踏まえながら密にならないような形で学校生活を行っていくということが必要だと考えている。

【斉藤委員】
 高校教育課長にお聞きしたいが、高校の40人学級で三密が解消できるか。

【高校教育課長】
 各学校を訪問した際に、校長先生から三密を避けるいろんな対策についてはうかがってきたが、例えば毎時間窓を開けて換気したり、入り口のドアを全部外して対応したり、そのことが三密を避ける直接的なことにならない部分もあると思うが、各学校で工夫しながら、今までよりも机の距離を少しでも広げたりといった対応をしていただいている。

【斉藤委員】
 ソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンスについて聞いているので。そういう環境を確保できるかと。ある県立高校では、40人学級で生徒も先生もマスクしていないと。本当にこれは新しい生活様式の徹底に取り組んでいるのかと思わざるを得ない。そういうことがきちんと徹底されているのか。そういう状況が許されるのか。

【高校教育課長】
 2ヶ月の間に県立高校全校を訪問し、全ての教室を見たわけではないが、校長先生からいろんな状況をうかがったところでは、いま置かれている状況が良いか悪いかという話はあったが、三密を避けるために、例えば、昼休み等に普段は机を合わせて一緒に食べている生徒たちが授業と同じように全部同じ方向を向いて昼食をとったり、全国集会も体育館でやっていたものを放送で行ったり、外で実施したり、体育館でやる場合は1学年単位でやるとか、そういった形でとにかく三密をできるだけ避ける形で対応していただいているものと承知している。

【斉藤委員】
 残念ながら質問に答えていない。ソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンスを確保できるかと繰り返し聞いた。それから実際に聞いた話として、ある県立高校では40人学級で先生も生徒もマスクをしないで授業していると。これは一部かもしれないが、そういうことが許されていたら新しい生活様式の徹底はできないのではないかと指摘した。
 いま新型コロナウイルス感染防止に取り組むといったときに、全国民あげて感染防止に取り組むべきである。そして新しい生活様式の移行に取り組んでいる。教育の現場というのは一番そのことについて、この時期の教育は大変大事だと思うし大人にも影響を与える。
 ぜひ質問にストレートに簡潔に答えていただきたい。

【教育長】
 マスクの着用等がされていないというご指摘もあった。そのため、昨日私からも高校教育課長を通じて、改めて今朝各学校に生徒等に対して理解と工夫ということで対応していただくようお願いしたところである。

【斉藤委員】
 学校で一番気をつけなければならないのは教室での授業である。これが一番長時間拘束されるところで、そういう感染防止の取り組みが徹底されているのかと。もちろんこれから夏を迎えるので熱中症対策とマスクの問題はどうするかというのは機械的ではないと思うが、いま本当に全国で新しい生活様式への移行が行われており、それを学校現場でどうするかといったときに、緩みがあったら教員も生徒も家庭にも徹底されないのではないか。
 いま一番学校が問われているのは、この新しい生活様式と一番矛盾している40人学級である。これを打開する契機にすべきである。日本教育学会は、「9月入学など実施したら5兆円6兆円の新たな財源がかかる。いま10万人の教員を増やして、1クラス20人規模にするためには、10万人の教員を増やせば可能」だと。それは1兆3千億円、次年度以降は約1兆円ずつでできるという提案をしている。新しい生活様式に移行するんだったら、世界的にも遅れている40人学級の解消、当面30人学級でもいいと思うが、そういうことに取り組むべきだと。そういう声を大きく上げることが必要ではないか。

【教育長】
 全国的に検討すべき課題であるととらえており、国の方でもどのように対応していくか、我々でも国の動向については注視していきたい。
 少人数学級拡大に向けての教員の配置についても、昨日政府への提言要望を確保しているが、そこでも改めてお願いしている。

【斉藤委員】
 小中学校は基本的に35人学級になっているので、実態とすれば20人弱の教室が多いと思う。それでも31人以上の教室が小学校で495学級・16%、中学校では479学級・36%あるので、小中でも今回配置される教員その他を活用し、こういう時期にこそ20人学級に取り組む必要があると思う。

・修学旅行の対応について

【斉藤委員】
 小中高に環境改善として今回100〜150万円。いま学校や生徒が一番直面している問題は修学旅行の対応だと思う。春に予定していたところは9月10月に延期。しかし東京でも感染が続いている。中学校の修学旅行はほとんどが首都圏。なかなか今の時期に首都圏に修学旅行というのは難しいのではないかと思う。しかし決断は早くしなければならない。やはり子どもたちが一番楽しみにしていて思い出にもなる修学旅行というのは、行き先を変更してでも実現するという対応が必要ではないか。
 昨日の新聞報道だと、奥州市は東北管内、金ケ崎は県内ということでやると。盛岡市内の小学校の校長先生にも聞いたが、仙台の予定を県内に対応したと。
 この修学旅行への対応は機械的に中止ということではなく、実現を目指して検討・支援する必要があるのではないか。

【学校教育課総括課長】
 修学旅行の実施については、感染防止対策を最優先とした上で、その意義や児童生徒の心情等にも配慮し、学校や市町村教育委員会等において判断されるものととらえている。
 県立学校に対しては、6月4日付で新型コロナウイルス感染症拡大の影響にともなう修学旅行に関する対応について、児童生徒の安全を第一に考え、実施時期・旅行先見学地等について、児童生徒・保護者の理解を得ながら計画すること、また今後の計画を変更し追加料金等が発生する可能性が考えられるため再度契約内容の詳細を確認すること等について、各学校において改めて確認するとともに、引き続き適切に対応するよう通知したところである。

【斉藤委員】
 一部には、9月に予定しているところは中止という流れもある。そういう学校・先生の都合で結論を出すのではなく、生徒の思いを大事にしてしっかり対応していただきたい。

・部活動への対応について

【斉藤委員】
 全国的なインターハイや高校野球が中止になった。しかし県・地区レベルの大会は開催されるようになったが、高体連に関わる大会は、新聞報道では岩手県は種目が少ないと。なぜそうなったのか。感染者が確認されていない岩手でこそ、やれることは最大限やって、生徒たちの目標を達成させるということが必要なのではないかと思うが、今後の対応を示していただきたい。

【保健体育課総括課長】
 県高校総体の代替大会については、県大会レベルの大会を開催予定している競技は、現段階ですでに実施された弓道の通信大会、陸上競技、サッカーなどの7競技が実施決定しており、実施を見込んでいるのは9競技ある。このほか、各地域・各学校でハンドボールの交流試合だとかカヌーの記録会、同地区における記念試合等の開催により実施済みの協議もあったと聞いている。また競技によっては、中央競技団体の活動の制限があり、県大会レベルであっても大会開催が困難な競技だとか、ラグビーなどは今後3年生が出場する大会も残されており、代替大会の開催を見送ったという競技もあり、そういったところを除くと、各競技や学校の状況を踏まえてさまざまな形式で高校3年生の発表の場というものを徹底しているところである。

【斉藤委員】
 ぜひ最大限条件を整備してやっていただきたい。

・特別支援学校の対応について

【斉藤委員】
 感染防止対策で一番丁寧な対応が求められていると思う。教室不足数がこの間問題になってきたが、新年度で教室不足数はいくらになっているか。それへの対策・対応はどうなっているか。

【特別支援教育課長】
 昨年度示した教室不足数では、44学級ということで認識しているが、今年度の不足数についてはまだ調査していない。今後教室不足を解消するという形で取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 特別支援学校というのは、子どもたちにとってはもっとも安全な場所であるべきだし、そういう条件を優先的に整備すべきだと。そういう点では、ぜひ今年度、新型コロナウイルス感染症対策という点からいってもきちんとした学習環境を整備する対策を講じていただきたい。

・学力テストについて

【斉藤委員】
 県の学習状況調査は今年度は中止、全国学力テストも中止と。今年度の中止は当然だと思うが、やはり県の調査も全国学力テストも、今回を一つの転機にして、本気で中止をしていくとすべきではないか。今の検討状況を示していただきたい。

【学力向上課長】
 県の学習定着度状況調査を見直すことについては、来年度以降の調査のあり方については、現在市町村教委を訪問し、学力調査の内容、活用方法、先生方の負担感等について意見交換を進めている。引き続き他の都道府県の実施状況に関する情報収集を進めていくこととしている。今後そうした結果を踏まえながら、調査の趣旨、調査を含めたこれからの学力のあり方について引き続き検討を進めていく。
 全国学力学習状況調査の中止を求めることについては、まず大事にしたいのは子どもたちの学習のつまづき、先生方の指導上の課題を明らかにして手立てを講じていくというところがまず一番大事なところと理解している。その理解のもと、全国学調の趣旨を踏まえ、今後の国の検討状況等も注視していきたい。