2020年6月11日 環境福祉委員会
千田美津子県議の質疑
(大要)


1.生活困窮者への支援強化について

(千田委員)
 何点か質問します。まず一つは生活困窮者への支援の強化という点で、生活福祉資金の貸付事業の中で緊急小口と総合支援資金とあるわけですが、この申請、決定数、今後の見通しをどのように見ているかお聞きします

(阿部真治地域福祉課総括課長)
 まず生活福祉資金の実績ですが、5月29日時点で緊急小口が申請1352件、決定が1315件、総合支援資金が申請93件、決定が87件となっております。今後の見込みですが、申請期限が7月末から9月末まで延長されましたので、緊急小口、総合支援資金とも今後増加ということで概ね緊急小口が3000件強、総合支援資金1800件程度期間中に増えるのではないかと見込み今回の補正に計上しております。

(千田委員)
 7月から9月まで延長されたということで、かなりの枠を取っていただきましたが、全国的にはこういう資金がありながらも1回ということで、生活保護の申請が増えてきていると。ただ通常の生活保護申請もあるために、相談には行くけども申請になで至らない件数が増えてきていると伝えられているわけですが、岩手県の実態はどうでしょうか。

(阿部地域福祉課総括課長)
 本県においては現時点では生活保護の申請件数は増加しておりません。例えば令和2年4月の生活保護受給者数は、速報値ですが12,935人でこの2月が13,015人ということで若干減っています。現状、福祉事務所などからの聞き取りによりますと、生活福祉資金の貸付や住宅確保の給付金などにより当面の生活の維持が一定程度可能となっており、現時点では生活保護の申請増には繋がってはいないのではないかと考えております。しかしながら、リーマンショックの時も翌年度から生活保護は急増しましたので、今回においても今後増加に転じる可能性があるものと考えております。

(千田委員)
 現時点では様々なメニューがあるのでなんとか生活できているのかもしれませんが、雇用情勢を見ても非常に悪化しており、これからさらに悪化していくことになると、生活保護にと申請が増えていくのではないかなと思いますので、丁寧な相談、そして申請と給付に繋がるような手立てをお願いしたと思います。
 国の支援メニューの中に、福祉事務所の面接・相談等の体制強化というメニューがありますが、現時点ではあまり声としては上がってこないのかもしれませんが、これらについてはどのようにお考えでしょうか。

(阿部地域福祉課総括課長)
 今回の補正予算に関わりましてそれぞれ福祉事務所や福祉相談窓口などに状況について確認をしました。現時点では補正の質を強めるということで考えております。しかしながら今後の状況を見極めながら、必要であれば補正予算等の対応をしてまいりたいと考えております。

(千田委員)
 今の時点では社会福祉協議会に相談に行ってということが多いと思いますので、福祉事務所に直接相談にということは少ないのかもしれませんが、ただ、先ほど言いましたように、これから様々な相談が増える可能性があります。今、市町村の窓口は保護担当の職員が少ないという状況の中で、国がこういう体制強化というメニューをあげているのでこれに対応した手立てを取っていただきたいなと要望しておきます。

2.子ども食堂と子どもたちの実態について

(千田委員)
 二つ目は児童福祉総務費に関連してですが、子どもの見守り強化アクションプランを見据えた見守り体制の強化策を国では打ち出しています。今回、児童相談所の体制等もありますが、気になっているのは子ども食堂、いろんな形で県内でも子ども食堂が開設されましたが、それらが休止しているところが大半ではないかなと思います。いろんな支援メニューがあるのでなんとかなっているのかもしれませんが、子ども食堂に行って助けられた子どもたちが今どのようになっているか非常に心配です。子ども食堂に対応してきた方々も心配しており、今のこども食堂の県内の状況、それから子どもたちの実態把握をどのようにされているかお聞きします。

(中里裕美子ども子育て支援室長)
 子ども食堂の活動状況についてですが、感染拡大防止ということで活動を休止しているところがほとんどでございましたが、6月に入り活動を再開するところが出てきております。7月から再開するというところもございます。全部のこども食堂の状況を把握してはございませんが、再開に向けて準備を始めているとされていると認識してございます。
 また、子ども食堂ということで、子どもたちを集めることは叶わなかったわけですが、フードパントリーということで、レトルト食品を配るという形で親御さんや子どもさんの顔を見る機会を設けるという活動をされたところもあります。そこにいらっしゃる子どもさんたちの現状について把握しきれておりませんが、感染拡大防止対策を取りながら、子ども食堂が再開されまして子どもたちの集まる場となればなというふうに考えてございます。

(千田委員)
 再開されるところ、それから様々な形態があっていいと思いますが、この間、中学校の給食がまだないということで、「食べてない子どもがいる」という話をある先生から聞きました。いろんな手立て、支援策があるはずなのに届いていないところがあるのではないかという話でした、ですから、是非子どもの実態について把握をしていただきたいですし、2年前の子どもの生活実態調査を実施されて、岩手県は調査されてこれからという時にコロナがありましたので、特に子どもたちの支援ということで是非対応をお願いしたいと思いますので、その点部長に一言お願いします。

(野原勝保健福祉部長)
 先ほど室長から申し上げましたとおり、子どもたちを支援する仕組みや、取り組みがコロナの関係で残念ながら一時中断してしまったということがございます。
 今後、経済状況が厳しいところがございますが、例えば母子家庭などの一人親世帯などについては、今後きめ細やかに注視をして本当に必要な施策がそういった方々に届くようなにしていかなければならないと考えております。子ども食堂もこれから再開してまいります。これまで様々支援に取り組んで来られた方々と意見交換をしながら、我々の施策がきちっと届くように対応してまいりたいと考えてございます。

3.PCR検査・抗原検査と検疫における水際対策の着実な実施について

(千田委員)
 予防費に関連して3点お聞きします。
 PCR検査と抗原検査も岩手県では予算化をされたということで、実は偽陰性で2回陰性になって3回目が陽性となった患者さんが出たということで、本当にそういった意味では一つの検査のみならず、複数合わせた形の検査が必要だなと思いましたので、これから岩手ではどのように対応されようとしているのかがひとつです。それから検疫における水際対策の着実な実施ということを国がうたっていますが、PCR検査を受けてその検査の結果がでるまで国は検疫所長が指定する待機施設を確保するようにという指示があるようですが、岩手県ではどのように対応されようとしているのかそれについてお聞きします。

(工藤啓一郎医療政策室長)
 PCR検査と抗原検査というということですが、岩手県において2度目、3度目で陽性が判明したケースはないわけですが、抗原検査とPCR検査を比較しますとやはりどうしても精度の面でPCR検査のほうが上回るということでございます。従いましてPCR検査、抗原検査で陰性になったとしても、PCR検査で再度確認するという方法を今後とも取っていくことにしております。それから検査結果が判明するまでの取り扱いでございますが、県の環境保健研究センターで検査をする場合ですと概ね5〜6時間ということになります。それから民間の検査機関に検体を送って結果が判明するまでに短くて1日、長くて2〜3日かかってしまいますので、その間待機する場所ということになりますが、現在そういった宿泊施設等については準備しておりませんので、基本は自宅で待機をしていただくというふうに考えてございます。ただし濃厚接触者等々で接触感染の可能性が否定できない等の場合は、医療機関と相談させていただき医療機関の内部で待機していただくということを考えてございます。

(千田委員)
 待機は当面自宅ということで、やむを得ないことなのかなと思います。ただ医療機関に聞きますと、レントゲンを撮ったりCTを撮ったりしたり、ちょっと危ないなという方をすでに入院させているということも聞きました。適切な対応がなされていると思いますが是非引き続きこれもお願いしたいと思います。

4.医療物資の確保、医療機関等への配布について

(千田委員)
 最後ですけども、医療物資、サージカルマスクとかガウンとかフェイスシールド等々あるわけですが、国が買い上げる、それから県が対応する、市町村が対応するなどいろいろあるわけですが。その区分けというのはどのように考えているのか。国が買い上げて医療機関等に配布、備蓄をするという、そういうのもあるので県との関わりがちょっと見えないのでその点お聞きします。

(福士昭健康国保課総括課長)
 国が調達する物資と県が調達する物資の関係性や、調達スキームはどうなのかというお尋ねですが、サージカルマスクを例示しますと、3月は国が調達したものを県が買い上げて医療機関に配布するというようなスキームで動いておりましたが、4月以降、国が調達したものを直接医療機関に配布するという流れとなっており、4〜5月頃にかけては国においてもなかなか調達が困難だという状況でしたので、県も独自に、例えば中国などからも直接中国事務所を介して、国内の商社を通じて買い上げるということも行ってまいりましたけども、国が配布するものを補う形で医療機関にできるだけ行き届くようにしてまいりました。数量的なもので申し上げますと4〜5月頃においては隔週、2週間おきに約20万枚ずつ医療機関、医師会、歯科医師会などを通じて診療所などにも配ってまいりましたが、最近では国の方からも隔週で40万枚ずつ配布になっておりますし、また市場の方も医療機関の方でも直接購入が可能になってきてるという話であり、県が直接サージカルマスクを購入する形での配布は今は様子を少し見ているところでございます。
 一方でN95と言われるような特殊な医療用の高性能マスクですが、これはやはり未だに供給増が整わないところもあり、国の方からもわずかずつではありますが入ってきています。まだ県内では感染者が確認されておらず、今のところは備蓄をしながら必要な所に配布していくという考えであります。それ以外の防護服等についても、少しずつではありますが国の方から供給が行われており、これにつきましてはいつでもすぐに医療機関に対応できるようにと、県の方で確保している状況です。

(千田委員)
 岩手県保険医協会が先月開業医を中心にアンケート調査した時に、N95マスクが1ヶ月以内になくなるが63%、防護服も同様になくなると87%の医師がそのように答えております。フェイスシールドも85%の方が1ヶ月以内になくなる、ゴーグルも82%の方がそういう状況だと。
 一定予算化されているので調達できているのかなと思っていたのですが、現実はそういう県内の末端まで届いていないという状況がありますので、是非私は医師会等の状況も確認しながらこれらの取り組みをもっともっと強めていただきたいし、国に対してもその取り組みをさらに強化をしていただきたいと思います。それから実際に担当している方に聞きましたら、マスクは2日に1枚くらいしか変えられないという状況も聞きましたので、やはり安全面という点でもそういうことでなくて使えるようにしなければならないなと思いますので、是非その点お願いしたいので最後に答弁いただきます。

(福士健康国保課総括課長)
 保険医協会からのそういう調べについては報道等を通じて我々も承知しております。このことについては医師会とも連携を密に、必要なところに必要な物資を届けるというような話も進めており、いずれ必要なところに配布できるように進めてまいります。