2020年6月11日 農林水産委員会
高田一郎県議の質疑(概要)
1.肥育牛経営体質強化体制整備事業について
<高田委員>
肥育牛経営体質強化体制整備事業は「肥育牛経営等緊急支援特別事業」で取り組む経営体質を改善するための事業費だが、この奨励金はさかのぼって交付されるのか。
<畜産課総括課長>
経営体質の改善に2つ以上のメニューにとり組めば1頭当たり2〜5万円の奨励金が交付される。390経営体2万頭を予定している。奨励金はさかのぼれるが国の予算との関係で4月からとなっている。
<高田委員>
「肥育業経営等緊急支援特別事業」は牛マルキンの生産者負担の猶予がある。農家負担は昨年は1頭当たり6,000円、今年は64000円と10倍以上になった。3月の交付金は128,315円だが満額交付されるのか。牛マルキンが都道府県算定からブロック算定(東北)になったことによる影響はどう把握しているか。
<畜産担当課長>
3月分は5月の交付となるが、ご指摘の通り128,315円の満額交付となる。
牛マルキンのブロック算定は、標準的な販売価格から標準的な生産費を差し引いた9割が交付されるものだ。生産費は都道府県別と従来と変わらないが販売価格はブロック単位となった。ブロック算定では販売価格1,016,876円、生産費は1,159,448円で差額は142,572円、これまでの県別算定では販売価格983,632円、生産費は1,159,448円で差額175,816円となり交付単価はマイナス29,919円となる。枝肉価格が今の状況が続けば基金が枯渇し、交付は4分の3になることも予測される。
<高田委員>
牛マルキンはTPP対策で法制化したものだ。9割補填でも赤字経営となるものだ。それなのに算定方式を変え、牛マルキン交付の4分の3交付となれば何のための制度なのか、畜産農家の経営安定を図る制度であり抜本的な見直しを国に求めるべきではないか。
<藤代農政担当技監>
国に要請していきたい。
2.漁業者への支援について
<高田委員>
いさだの不漁、ウニの漁獲制限、ホタテの貝毒など沿岸被災地の漁業は深刻ではないか。補正予算はホタテガイの学校給食の提供と販路開拓のみだ。漁民は震災、台風被害、不漁とコロナの四重苦ではないか。県はどう受け止めているのか。
大槌町はウニ漁業者に1人10万円の支援をしている。漁業共済もあるが皆が加入しているわけではない。漁民への支援が必要ではないか。
<石田水産担当技監>
漁民はご指摘の通り、震災や不漁そしてコロナなどで深刻な現状にあると認識している。第二次補正で「資源・漁場保全緊急支援事業」がある。国が不漁を余儀なくされている漁業者が行う藻場におけるウニ駆除、漁場の清掃などの取り組みを支援する事業だ。まずはこうした事業も活用することでさらに次の対策を打っていきたい。
3.県内農産物の県内給食施設へ活用、県産農産物の輸出への影響について
<高田委員>
「コメ加工品等輸出拡大緊急対策整備事業」など輸出対策に7400万円の補正となっている。農林水産部の補正額の26%だ。新型コロナで世界の消費動向に変化が起きているのか県産農産物の輸出への影響はどう把握されているか。製造業等の設備投資の支援となっているが事業の具体的に内容は。
<流通課総括課長>
農産物の輸出額は1月〜3月前年比で10%減、需要も変化して家庭用が増加している。本県の農産物も同じような傾向ではないかと考える。新型コロナ感染の世界的な流行に伴い各地で消費動向の変化及び物流の停滞が発生しており、本県の農林水産物・食品の輸出への影響が懸念される。コメ加工品はパックご飯などの家庭用または非常用のために備蓄品の食品として海外で関心が高まっている。輸出を行う製造業者などに加工施設の整備に要する経費を補助するものだ。
<高田委員>
給食施設への県内農林水産物がどう活用されているのか。和牛の消費量が岩手県が全国31位となっている。学校も給食センター化で食材が一般流通業者や学校給食会を通じて供給になっている。コロナを教訓に県内給食施設への地元農産物の調達を高める必要がある。実態調査を行うべきではないか。
<流通課総括課長>
岩手県の給食施設への県内産は学校給食が69.5%、給食施設全体では61.4%となっており全国的にも高い位置にある。引き続き実態把握に努め県内産を拡大できるように努力していきたい。