2020年7月2日 文教委員会
教育委員会にかかる請願審査での質疑(大要)
<職員定数改善と義務教育費国庫負担2分の1復元を求める請願>
【斉藤委員】
この請願は当然採択されるべきだと思う。
やはり新型コロナ危機のもとで、教員を大幅に増員して、少人数学級を実現する機会にしなければならない。教員定数改善というのは、今まで以上に重要な課題になっている。
例えば、フィジカルディスタンス―身体的距離を確保することは、新型コロナ危機のもとで、学校はもとより国民全体共通の課題、新しい生活様式の一番重要な課題である。これは40人学級だったら絶対に実現できない。県立高校の場合は40人学級である。小中の場合は、岩手県は独自に35人学級にしているので20人規模の学級が多数だと思う。ただ、以前も指摘したが、31人以上を超えるような学級が300ぐらいある。そういう意味でいくと、新型コロナウイルスから子どもたちの命と健康を守るという点で、教員の大幅増員による少人数学級の実現というのは、まさに緊急の課題になっている。
その点で現状はどうなっているか。フィジカルディスタンスが守られている状況になっているか。
【保健体育課総括課長】
国のガイドラインなどにおいて、感染症対策の一つとして留意事項が示されている。新しい生活様式の中で、密集の回避ということで、人との距離はできるだけ間隔を空けてと。本県においては、感染レベル1の地域ということで、間隔を1mを目安に最大限間隔をとって座席を配置するようにということで対応しているが、これについてはさまざまな学校の事情がある。あくまでもマニュアルでは「目安」とされており、座席の間隔に一律にこだわるものではなく、頻繁な換気などを組み合わせて行うもので、それにより現場の状況に応じながら柔軟に対応することとなっている。
こういった学校の新しい生活様式に基づいて、各学校においては感染症対策に取り組んでいる。
【斉藤委員】
曖昧な答弁だった。曖昧ということは、率直に言えばフィジカルディスタンスは確保されていないというところも少なくないということだと思う。これは文科省の責任である。本来なら、こういう時期こそ20人規模の学級を保障して、子どもたちの命と安全を守るようにしなければならない。いま飲食店は、50席を20〜30席に減らしてやっている。それで大変な打撃を受けている。教室は子どもの命がかかっているので、今の時期こそ教員の大幅増員で子どもたちの命と安全を守る少人数学級は必要なのではないか。
日本教育学会が1兆3000億円で10万人の教員を増やす、学習支援員を増やす、ICT支援員を増やすと提案している。教育長は承知しているか。どのような見解・認識をお持ちか。
【教育長】
まずフィジカルディスタンスの確保については、文科省からガイドラインが示され、レベル1の地域についてはそのような対応でOKだということで、本県はそのような形で対応可能と判断している。
教員の増員に向けては、たしかに今回のような新型コロナウイルス感染症対策の場合、密を避けるというようなことについては当然必要だと思う。増員の要望についても承知はしていたが、なにせ国の方で今後どのような形で対応していくか大きな課題でもあると思う。6月には政府への予算要望の形で、定数改善計画の策定と合わせて教員の増員についてもお願いしているところである。そういった国の動き、国への要望等を通して学校現場における児童生徒の安心安全の確保ということに向けては努力をしていかなければならないと考えている。
【斉藤委員】
教員増の関わりで、国の補正で認められた教員増、学習支援員、スクールサポートスタッフについて、具体的に応募人員はいくらで、確保すべき人員はどのぐらいか。4月1日の段階では、学習支援員は8名、スクールサポートスタッフは25名ということだが、本来配置すべき数はどうなるか。そして、教員の増員は全国で3100人だが、岩手は何人の増員になって、どういう教員増を確保しようとしているか。
【教職員課総括課長】
学習指導員については、予算では47名分を措置しているが、この中には今後第2波などが発生した場合に対応する分も含まれている。そのうち8名を配置済みである。また、手続きをやっているので、あと2人は7月中には任用できる見込みで、計10人を見込んでいる。
スクールサポートスタッフは、全体で533人分を措置しており、各学校1人という計算になる。7月1日で25人を任用しており、7月中には45人をさらに任用できる見込みで、計70人を見込んでいる。スクールサポートスタッフについては、人材の確保が難しい地域もあり、学校とも連携しながら人材の確保に努めていきたい。
教員の加配については、今回の教員の加配は条件があり、本県では該当しないということで活用はしない予定である。
【斉藤委員】
学習支援員も全体の応募数がわずか47名と。533校あるわけなので、本当にこれでは対応できないのではないか。教員増については岩手は対象になっていないというのも残念な事態で、本当に抜本的な定数増が必要だと強調したい。
もう1つ、この請願の採択が必要だと思うのは、教員の超過勤務を解消するうえでも、教員増なしには解決できない。特に新型コロナウイルスのもとで仕事が増えている。フィジカルディスタンスをどう確保するか、消毒などの対応もある。例えば、スクールサポートスタッフが学校に1人配置されても、1人で全部やることはできない。多くは学校の先生の仕事になる。今まででさえ大変な超過勤務の中で、新型コロナ危機の中でさらに仕事が増えているのではないか。その実態をどう把握しているか。
【教職員課総括課長】
お話あったように、消毒作業など増えている部分もある。父兄や生徒へのこまめな連絡なども必要になっている。一方で、コロナ対策ということで例年行われている会議や行事の見直しも行われている。消毒作業などについても、学校でみんなで協力しながらあたっていると聞いているので、今回配置するスクールサポートスタッフについても、教員のいろいろな業務をサポートできるので、そういった中で負担軽減には大きな役割を果たしているものと考えている。
【斉藤委員】
新型コロナウイルスの関わりで仕事は増えている一方で、会議の見直しなどを行っていると。これは大いにこの機会を生かして、見直すべきものは思い切って見直すぐらいのことをやっていただきたい。
大きな2つ目の項目は、国庫負担制度の問題だが、2分の1から3分の1に国庫負担が減らされた。税源移譲でくるというが一般財源でくるので、岩手県全体でどうするかということになり、結局教育費をどう確保するかということは至難の業になってしまう。そういう意味でも、教育に国が責任をもつ、財政的にも責任をもつということは当然のことだと思うので、この請願をぜひこれまで通りしっかり採択していただきたい。