2020年7月2日 文教委員会
文化スポーツ部に対する質疑(大要)
【斉藤委員】
新型コロナウイルス感染症対策で、国の二次補正予算では、文化芸術関係の支援策として580億円が盛り込まれた。この支援策の内容とスキームはどうなっているか。
【文化振興課総括課長】
コロナ対策をはじめとする、活動の継続に向けた取り組み等に必要な経費に対する支援として、@フリーランスについては、簡易な手続き・審査により20万円を限度とする活動費を。さらに積極的な取り組みを行う場合は150万円を限度に支援することとされている。A小規模な文化芸術団体向けては、動画による公演収録・配信などの活動費に対して、150万円を限度に支援することとされている。B中・大規模な文化芸術団体等に向けては、新たな市場開拓等への取り組みとして、舞台裏ツアーや役者との交流などのコンテンツ開発等のために行う150〜2500万円程度の事業に対する支援を行うことが予定されている。
これら国の支援制度については、今後募集要項等も示されることとなっていることから、積極的に情報収集を行い、文化芸術団体や関係機関に対して周知を図り、その活用を促進していきたいと考えている。
県としては、国の第一次補正を活用し、4月に議決いただいた文化施設の感染症防止対策として、サーモグラフィー等の整備を行ってきた。今後も現場のニーズを踏まえながら、地域住民の文化芸術活動の取り組みに対して、二次補正予算の効果的な活用を図りながら支援を行っていきたい。
【斉藤委員】
国がやっと二次補正で580億円の文化芸術団体・個人に対する支援策を示したと。ドイツの場合には、「文化芸術というのは私たちが生きるために必要だ」という形で、ただちに必要な支援策を実行し、文化の違いを感じたと、ドイツに行っている日本人の芸術家が話している。
遅まきながら580億円の補正予算が出され、3つの支援策が紹介されたが、6月臨時県議会の県の補正予算には盛り込まれていない。なぜかと調べたら、国の補正は県を通さないで委託事業者に委託し、そこから直接やるという、これは悪いパターンだと思う。何でも委託してしまい、県を通らないという問題があるが、県とすれば、県内にどれだけ今回の補正の対象になる団体・個人がいるのか、そういう方々の実態がどうなっているか、県がしっかり把握して、必要な支援が受けられるように援助を強めるべきだと思うがいかがか。
【文化振興課総括課長】
国の事業の対象については、個人、社団法人、財団法人、任意団体、NPO、営利法人まで幅広く活用できるというところである。個人の対象者については、国勢調査をもとに国では数字を持っている。平成27年の国勢調査をもとに試算すると、県内で芸術関連職業に就かれている方は1700人程度となっている。
関係団体からの要望については、これまでも直接文化芸術団体やNPO等にヒアリングを行い実態の把握に努めてきた。文化芸術関係者からは、主に三点ほど共通して出されている。@文化芸術の発表の機会が失われている、A文化施設等でイベントの制限があり、収容率50%以内ということで、イベントを開催しても採算が厳しい状況であること、B高齢者への影響も大きく、文化施設等で感染症対策を行ってはいるが、三密が怖くて施設の使用を躊躇している―という声を聞いている。
【斉藤委員】
今の答弁で、文化芸術に関わる方々が県内で1700人と、大変な規模だと受け止めた。個人がどれだけ特定されて把握されているかということはあるが、フリーランスという人たちは、団体に所属しているわけでもなくある意味孤立していると思う。こういう方々のネットワークをしっかり作って、県が直接支援するスキームではないが、国の支援策というのはオンライン申請だったり、事前審査があったり面倒である。そういう全ての対象者が支援策を受けられるような援助を県が独自に取り組む必要があるのではないか。必要なら県独自の予算も組んでやっていく必要があるのではないか。
岩手は文化芸術を大事にすると。この間、大震災のときにも郷土芸能などを重視して、岩手らしい復興に取り組んできたと思う。今回の新型コロナ危機で、震災以上に文化芸術団体は全県的に影響を受けているので、実態をしっかり把握して、文化芸術を新型コロナ危機から守り抜く、支援を強化すると。部長がそういうメッセージをしっかり示す必要があるのではないか。県のホームページにもそういうことを打ち出す必要があるのではないか。今後の支援についてどう考えているか。
【文化スポーツ部長】
やはりこういった時期でこそ文化の力というものが県民に元気を与えるものと考えており、まず我々にできるのは発表の機会を作っていくことだと思っている。毎年10月に岩手芸術祭を開いているが、これもコロナの状況により考えなければいけないが、適切な感染症対策を行った上でやっていくと。
我々もさまざまな形で直接訪問して事情を聞いてきており、県内にいる文化芸術コーディネーター等からも情報収集しているが、お話あったように、文化芸術関係者は裾野が広く、そういった方々の声をいかに拾っていくかと。そういったことについては仕組みづくりを今後また検討していきたい。
【斉藤委員】
岩手は文化芸術が豊かで、盛岡は演劇の街とも言われる。本当に我々が大切にしてきた文化芸術があるので、県がしっかり守ると。ポストコロナでますます岩手の文化芸術が輝くという展望を示していただきたい。
文化振興事業団の理事長さん、県民会館の館長さんから県民会館の状況を聞いてきた。この間の企画は、延期になったものもあるが、いわてジャズフェスティバルや宝塚歌劇団の月組全国ツアーなどほとんど中止だと。あわせて、自主企画もそうだが、それぞれの団体が県民会館の大ホールを活用してやるイベントというのが一番収入が大きいわけで、これも軒並み中止である。
いま、2000名の大ホールで1000名まで可能といっても、1000名では採算がとれないと。会館の使用料は昨年9700万円、今回はそれがほとんど見込めないという話も聞いてきた。
部長が言われたように、さまざまなイベントが再開されるように願っているが、収容の半分という制約がある中でかなり限られ、大きいイベントほど採算がとれない。県民会館のこうした状況や減収の状況に県はどう対応しようとしているか。
【文化振興課総括課長】
国から事務連絡が発出されており、「指定管理者が管理する公の施設における減収等について、地方公共団体と指定管理者との間で締結した協定に基づき適切に対応すべき」とされている。
県民会館の場合には、基本協定書の中にリスク分担があり、「自然災害等の不可抗力による管理運営業務の変更・中止・延期等は、県と指定管理者の協議事項」とされている。こうした通知・協定書等に基づき、全庁的な課題でもあることから、全庁的な対応状況も踏まえ、今後指定管理者と丁寧に協議を重ねながら適切に対応していきたい。
【斉藤委員】
適切に対応してほしいのだが、例えば県民会館にしても盛岡劇場にしても、舞台のメンテナンスを委託している業者、これは基本的に年間契約で、それでもメンテナンスをずっとしているわけにはいかないので何ヶ月間は休みになる。盛岡劇場のメンテナンスをしているアクト・ディヴァイスの方にも聞いたが、「年間契約で一定の補償はあるが、それでも3割減収だ」と。3割減収というのは持続化給付金の対象にはならない。そういう関係する団体も文化芸術団体の一部だと思うので、そうしたところもしっかり見て対応していただきたい。
【文化振興課総括課長】
お話があった通り、芸術文化を支えている業者に対してもきめ細かに丁寧に対応し、本県の文化芸術を盛り上げていきたい。