2020年7月2日 環境福祉委員会
千田美津子県議の保健福祉部審査での質疑
(大要)


<請願陳情の審査>

〇受理番号第18号 東日本大震災津波をはじめ災害からの着実な復興等とふるさと振興推進等のための地方財政の充実強化を求める請願(採択)
〇受理番号第20号東日本大震災被災者の医療費窓口負担の免除継続を求める請願
(起立多数により採択)
〇受理番号第21号被災者の医療費・介護保険利用料などの免除措置の継続を求める請願
(起立多数により採択)

(千田委員)
 震災から9年経っていますが、沿岸地域の漁業を始め大変な状況になっています。それから被災者の生活再建の状況を見ると、今年5月31日現在で住宅再建ができた方は63%にとどまっています。9年、10年経とうもそういう状況にあります。それプラス、今のコロナの現状があるわけですから、みんなでこの現状を支え合う、それがなければ通院をやめなければならないという被災者の声はいっぱいアンケートに込められております。
 私はみんな厳しい中でありますが、そういう時だからこそこれは継続すべきだと考えており、採択を主張いたします。

〇受理番号第22号医療崩壊を防ぐために医師、看護師の増員を求める請願
(起立多数により採択)

<議案審査>

〇議案第2号 地域医療再生等臨時特例基金条例の一部を改正する条例(原案可決)

〇議案第14号いわて子どもプラン(2020〜2024)の策定に関し議決を求めることについて(原案可決)

・子どもブランの対する県の決意について

(千田委員)
 今回の子どもプランは2年前の子どもの生活実態調査が大規模にやられ、関係者の皆様の並々ならぬ努力とこうした形でプランに作り上げられたということに対して敬意を表します。そういうプランですから、岩手の「子どもプラン」の特徴をどのようにとらえているのか、それから県として子どもたちに対する頑張るぞという決意がどのへんに表れているのか、その点についてお聞きします。

(日向特命参事兼次世代育成課長)
 子どもの生活実態調査につきましては、今般の「いわて子どもプラン」の中にも調査結果を盛り込んでございます。この生活実態調査で明らかになった課題、それから方向性をベースに、特に子どもの貧困、それから一人親支援についての部分について記載をさせていただいているところでございます。生活実態調査で明らかとなった課題と方向性については、例えば子どもの教育支援、相談先の周知、それから仕事と子育ての両立など、そういう部分を盛り込んで作成をしてございます。特徴はそういうところかなと考えております。それから決意でございますが、最近の子どもをめぐる状況であるとか、支援を必要とする方々への対応というところが重要になってくるということですので、それらの記載を厚くしたところが特徴と考えてございます。

・子ども食堂の設置について

(千田委員)
 答弁をいただいた点が肝かなと思っております。「子どもプラン」をみて例えば26ページの子どもの貧困対策の推進というところで出てくる、子どもたちの声というのは学習支援、収入に関わらず約半数の子どもたちが無料で勉強を教えてもらえる場所があったら通いたいと、それからそのうち8割以上が住んでいる学区内で希望している、また27ページの子ども食堂についてもやはり同じ傾向で答えています。これらに対して今までも頑張って子ども食堂とか様々な形で県内でも広がってきているわけですけども、子どもたちの願いにしっかりと応えていくことが必要だと思います。
 この目標値ですが、30ページに例えば指標、学習支援事業に取り組む市町村数が2018年で現状値が21、それを33にすると、子ども食堂など子どもの居場所づくりも市町村単位で全市町村が取り組めるようにすると、そこは大事ですけども、子どもたちが望んでいることは学区内でやって欲しいと、ですから全市町村は1カ所やればいいということで満足せず、今、子供たちが最も必要とする、お金のある無しにかかわらず、そこを引き上げることが岩手の子供たちにとって非常に大事なことではないかなと思うので、この指標が低いと言ったらいいのか、別な観点での目標値が必要だなと思っているわけですがそのどうでしょうか。

(日向特命参事)
 子ども食堂でございますが、現在まだ全ての市町村で実施をされていないということもございます。まずは全ての市町村で最低限実施をしていただきたい。それからその場所、箇所数につきましても増やしていきたいということで、「いわて県民計画」にも記載をしているところでございます。なかなか地域条件によって、子ども食堂の設置というのが進まないということもございますので、県としましては子ども食堂を設置する際の設備等の補助なども予算措置をしているところでございますので、これからもPRをしながら、そのネットワークを通じて是非対象箇所数を増やせるように取り組んでいきます。

(千田委員)
 まずは全市町村にと、それはそのとおりですがさっき言ったように、それがもっと前に進むように設備の補助だけでない支援が必要だと思います。話のあった子どもの居場所ネットワークいわてがかなりの活動をやっているとのことですが状況をお聞かせください。

(日向特命参事)
 現在ネットワークに加入している団体は、令和2年2月現在ですが29団体です。設立時の14団体でしたので徐々に増加してございます。このネットワークへの加入促進はそのとおり必要でございますが、このネットワークが子ども食堂を設置する際のノウハウを皆さんにお伝えするという役割を持っておりますので、ネットワークを通じてどういうやり方をすればいいのか、あるいは食品衛生の部分で注意すべき部分はどういうことなのかなどをお伝えして開設の支援をしていきたいと考えております。

・就学援助世帯や母子・父子世帯等への経済的支援制度の周知について

(千田委員)
 二つ目です。29ページの経済的支援の中に現状として左下に就学援助世帯や母子世帯、父子世帯の保護者に経済的支援制度の周知が行き届いていませんと書いています。その周知を図るという対処方針になっていますが、文書を出すだけでは周知にはなりません。忙しく、そういう家庭だからこそ、より綿密な優しい支援が必要なので、是非そこに必要な情報が届くような手立てを検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

(日向特命参事)
 現在は、例えば広域振興局保健福祉環境センターに自立支援員を配置して、様々な相談や情報発信等に努めているところでございます。これらに加え、今年度当初予算で措置いただいた、サポートセンターを設置しようと調整をしているところであります。サポートセンターは、例えば土曜日あるいは夜間等も毎日ではございませんが開設して相談を受け付けるということも想定してございますので、そういう取り組みを通じて必要な方に必要な情報が届けられるように努めてまいります。

・子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点設置について

(千田委員)
 最後になります。31ページに児童虐待の防止の際に市町村の体制強化が必要だということで、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点があげられており、それが少しずつは拡大しているようですがまだまだ広がってない部分もあります。
 子育て世代包括支援センターについて、県内での設置の現状と活動状況についてお聞きします。

(日向特命参事)
 子育て世代包括支援センターの設置状況は、令和元年度までに設置した市町村は12、本年度4月以降設置した市町村は7、今年度中の開設を予定している市町村は8あり、トータルで27市町村になる見込みです。
 その活動ですが、母子保健の分野で支援が必要な方々を早期に発見し、必要な支援を行うという役割を担っておりますし、場合によっては児童虐待の早期発見という部分も担うということでございますが、通常の活動の中で発見した場合は、例えば児童虐待の場合については要対協に繋ぐという役割を果たしてると考えてございます。

(千田委員)
 この包括支援センターは児童虐待の発生を予防するための活動も非常に大きいし、妊娠期から子育て期にわたって総合的な支援・相談を行うという点で、本当に重要な役割を担っていると思います。ですから、残りの市町村についても全ての市町村で設置されるように是非指導をお願いしたいと思います。
 子ども家庭総合支援拠点家庭支援拠点ですが、県内の設置状況についてお聞きします。これについては、要支援児童とか要保護児童への支援を含む、子ども家庭の支援全般を担うというための拠点を市町村に設置するもので、これも非常に重要な設置だと思いますがこの状況についてもお聞きします。

(中里子ども子育て支援室長)
 県内市町村における子ども家庭総合支援拠点の設置状況についてですが、平成30年度盛岡市で、昨年度遠野市で設置され、今年度は新たに宮古市、久慈市、矢巾町が設置いたしまして、あわせて現在5市町が設置をしてございます。また、来年度以降の設置に向けて準備をしている市町村もあり、令和3年度末には9市町村になる見込みでございます。

(千田委員)
 9市町村ということで、まだまだなので是非これは「子どもプラン」の中でも非常に大事な役割を担う拠点でありますので、是非県としても支援をお願いしたいと思います。

<この際質疑>

・コロナに感染した場合の精神疾患患者等への対応について

(千田委員)
 コロナ関連で2点お聞きします。コロナに感染した場合の精神疾患患者、あるいは認知症患者がどのようなところに入院することになるのか、それらについてどういう手筈になっているのかをお聞きします。

(菊池障がい保健福祉課総括課長)
 精神疾患などの方が感染した場合の入院先については、先ほど吉田特命参事から申し上げましたとおり、患者の搬送先については2次保険医療圏における調整を基本とて、その上で精神疾患があり2次医療圏を超えて入院が必要な場合には、精神科分野などそれぞれの専門的医師の助言をいただき入院等調整班において調整をすることとしております。それで精神分野について様々な経過が想定されますが、例えば精神疾患がある方が感染症による症状が重くて身体的な治療を優先すべきと判断され、人工呼吸器による対応が必要な場合には対応可能な基幹病院を優先すること、あるいは精神疾患についてもきちんとした入院加療を要すると判断された患者については、双方の治療が可能な病院に搬送するといったことを精神科分野の専門の助言をいただきながら、個々の患者の症状に応じて対応することとしております。

(千田委員)
 基本的には2次医療圏内で対応し、そこでダメな場合は調整班による調整ということで対応していくということだと思いますが、他県ではそういう場合にどこに入院させるか、きちんとルールを決めているところがありますが、そういうことではなくて個人々々、その都度々々の対応ということですね。岩手では精神科の先生方もそれでよしということで議論されてきたということでしょうか。

(吉田特命参事)
 岩手県においては、医療体制検討委員会において精神の分野で言いますと、岩手医大の先生が専門医として入っております。そこで議論を進めておりますが、患者の個々の症状がそれぞれ違うということがあり、あらかじめ決めておくということではなくて患者の症状を個々に見ながら、きめ細かく対応していくということで検討が進んでおります。

(千田委員)
 厚労省からの通達を見ると、障害児・者への医療の中で、精神科の入院患者や認知症患者の場合にも、きちんとそれらの確保、連携を行なっていくようにと。岩手県では大塚先生が入った中での個々の対応が必要だということで、きちんとルール化されているということなのでしょいうか。それから認知症も同じ扱いでよいのでしょうか。

(吉田特命参事)
 大塚先生の意見をいただきながら、入院搬送する調整班の方で調整を図るということにしているところで。認知症患者についても基本的には同様の対応でございます。

・コロナ休校時の放課後児童クラブの実情と対策について

(千田委員)
 分かりました。二つ目です。コロナで学校が休校しました。その時の子どもたちの状況を確認したいのですが、放課後児童クラブに行った子どもたち、あるいは学校で希望者を募ってそういう対応したところもあるようですが、3月時の対応はどうだったかの、わかる範囲内でお知らせいください。

(中里子ども子育て支援室長)
 学校休業時の放課後児童クラブでお預かりした子どもの人数ですが、3月の臨時休業の際には3月4日の時点で、県内400カ所の放課後児童クラブにおいて1万856人が午前中から放課後児童クラブを利用しています。学校との連携・協力については、一部の市町村において教員を応援職員として確保、手伝っていただくということがありましたし、放課後児童クラブで学校の施設を活用したところもあったと聞いております。放課後児童クラブについては、施設の面積などの事情からなかなか3密ではないか、ということも言われておりまして、国からも学校施設を活用するようにということもあり、市町村で教育委員会と福祉部局の方で連携を図って、学校施設も積極的に活用させていただきながら適切な対応をとるようにと県の方からも通知しているところでございます。

(千田委員)
 3月時点で400箇所の放課後児童クラブで1万856人ですか。そうすると1施設当たり20数人ですね。私も実際に放課後児童クラブに行ってどうだったのかということで聞いてきました。例えば90人定員のところがありますが実際に来た子どもたちは30人位。そして65人定員のところは20人位の子どもたちが来たと。親御さんたちがどうしても休めない、見ることができない子どもたちに限るよ、と協力要請をしたためにかなり協力をしてもらったと。それはすごく良かったなと思っていますが、逆に学校で預かると言ったのに対し学校にはあまり希望がなかったということで、子供たちはいろいろな遊び道具や様々なものがある放課後児童クラブを選択する、という子ども達が多く集中したということだったと思います。
 先ほど答弁のあった先生が手伝いに来てくれる、それから学校を利用して児童クラブをやるというか、そのへんはうまく学校、教育委員会と連携があり、素晴らしいことだと思います。それでそこまで行ったところはあまりなくてね、実際に例えば放課後児童クラブだと集会室があって、ホールがあって、小さな図書館があると、そういうところで65人学級、90人学級みたいな感じの中でやっています。一つの長テーブルに、普段だとコロナ前は10人位座って勉強していたそうですが、それがコロナ後は3人位にして、とにかく散らばるように、職員が目を配って頑張ってきたと。だから通常以上に職員の目配り、気の使い方が大変だったという話を聞きました。ですから地域や学校との連携がもっともっと必要だなということが非常に感じました。それから、実は児童クラブから言われたのは夏休みのことです。学校のプールが使用禁止ということで児童クラブにかなりの子どもたちが来るのではないか。定数通りに来れば90人の子供たちをどうやったらいいのかと非常に悩んでいたのが現実です。ですから3月の検証をしっかりやること、それから課題についてどうやったらいいかということを関係者が協議をしていくこと、それぞれの市町村に任せるのではなくて、県内ではこういうことで頑張りました、ということか3密を解消するためにこういうことをしましょうとか、そういう交流が非常に求められていると思いますが、それらについてはどうなっているでしょうか。

(中里室長)
 委員からお話がありましたとおり、先生の応援があった放課後児童クラブ、あるいは学校施設を活用したクラブは一部ということですので、これまでも岩手県学童保育連絡協議会の方から話を聞きながら、県内の学童の状況を把握しているところですが、こちらから好事例を紹介するところまでは至ってなかったと思いますので、今ご提案いただきましたとおり、好事例をご紹介するなどして取り組まれていないクラブにおいても学校施設等を利用して適正な運営がなされるように働きかけてまいります。

(千田委員)
 放課後児童クラブの運営は、市から委託をされているとか、団体とか保護者とか、そういう状況ですから連絡協議会はあるとは思いますけども、コロナの問題というのは県内の子供たち全部に関わることでありますし、やはり第2波、第3波のことを考えると学校が休みになるということも、休業になるということも予測されますのでこれの対応をどうするかという現実問題です。ですから是非話を聞くということもありますが、やはり岩手の子供たちをどう安全に、どう守りながら育てていくかということに繋がりますので。子どもプランの時にもありましたが、全体に関わって岩手の子供たちをどう育てていくかにつながります。是非、積極的に教育委員会と連携を取りながら対応をお願いします。

(中里室長)
 放課後児童クラブについては共働き家庭の増加で非常に利用人数も増えてきており、重要な役割を担っていると認識しています。子どもを安全に預かるということは市町村はもとより県においても大変重要な役割でありますので、そういったことを十分認識しながら積極的に取り組んでまいります。

(千田委員)
 2月議会でも放課後放課後児童クラブ等について質問をしたのですが、その時と違ってコロナがこのようになってくると、放課後児童クラブの施設が非常に狭いということが言えると思います。文科省は子どもたちの40人学級を崩そうとしないわけですが、放課後児童クラブはそれ以上に90人学級というような、そういう状況になっていまので、施設の老朽化、狭いというところの解消も含める。それから人的な体制も3密を解消するためには本当に子供たちを分散させる、多くのの職員体制、目が必要となります。これまでの基準よりももっと増やしていくということがコロナの問題では必要になってくると思いますので、そういった部分の改善についても是非対応をお願いしたいと思います。

(中里室長)
 コロナに関連して人的な体制については、放課後児童クラブの指導員についてはシフトの変更などにより、既存職員で対応した事業所もありますが、学校の先生、あるいは新しく職員を確保したという事業所もあります。指導員の確保が進まないことで色々な支障を及ぼしたというような報告を受けてはおりませんが、大きな支障を及ぼす恐れがある場合には確保が必要だということで、本年度第2号補正予算において、小学校の臨時休業に伴い午前中から放課後児童クラブをするために必要な人件費については運営費等の財政支援をする予算を県においても措置をしたところでございます。必要な人数が確保できるように市町村を支援してまいります。