2020年7月2日 農林水産委員会
高田一郎県議の質疑
(概要)


・岩手県手数料条例の一部を改正する条例について

[高田委員] 
 家畜伝染予防法の一部改正は、豚熱の発生予防と蔓延防止、アフリカ豚熱の侵入防止を徹底することが目的だ、一部改正で県及び家畜所有者の責務がどう見直されたのか。
 
[長谷川振興・衛星担当課長]
 県は飼養衛生管理の指導等に係る指針を踏まえて指導計画を策定する。違反者の公表など権限が強化される。家畜所有者は飼養衛生管理にかかわる責任者を選任するなど飼養衛生管理基準の順守に取り組むことにある。

[高田委員] 
 農場の防護柵の設置費用の支援を行ってきたが設置状況はどうなっているか。飼養衛生管理基準では防護柵だけでなく動力噴霧器などでの消毒の強化、防鳥ネットの設置、豚舎外での病原体防除対策などのハード・ソフト対策が家畜所有者に求められている。農場の負担が伴うがこれらへの支援が必要ではないか。

[畜産課総括課長]
 県内の136農場のうち123農場が設置済みとなっている。新型コロナで資材等の調達ができず遅れているが今秋にも残る農場で設置の見通しとなっている。
 病原体侵入防止に必要な設備等への対応は第一義的には家畜飼養者となる。国は家畜飼養者への支援を検討していると聞いているが国の動向を把握し対応していきたい。

[高田委員] 
 家畜伝染予防法の一部改正では知事の権限が強化されている。飼養管理の指針では『家畜所有者に対し飼養管理基準の順守について指導助言を経ないで勧告・命令ができる』具体的にどんな時に指導・助言を経ないで勧告・命令ができるのか。

[長谷川振興・衛生担当課長]
 飼養衛生管理基準の順守せず極めて悪質で緊急に対応しなければ豚熱など伝染性疾病などが蔓延する恐れがあるときなどである。極めて例外であり限定的だ。

[高田委員]
 家畜伝染予防法の一部改正で家畜防疫員の役割りや業務が大きくなるのではないか。獣医師の充足率はどうなっているか。

[長谷川振興・衛生担当課長]
 家畜衛生保健所の獣医師は特に業務が増加するとは思わない。特に水際対策が大事であり家畜防疫官の役割が大きくなる。家畜保健衛生所、食肉検査センターなどの獣医師は123名、必要とする獣医師は132名である。

・新型コロナ危機のもとでの畜産農家の実態と対策について

[高田委員]
 6月支払の牛マルキンは187,174円と公表された。全額補てん(9割)となるのか。仔牛価格はどこの肥育農家を回っても50万円前半の価格で『優良肉牛生産緊急対策事業が発動されないことにがっかりしている。5月は発動されなかったが6月分はどうなったのか。

[長谷川振興・衛生担当課長]
 肥育牛価格は6月は販売平均価格が91万円に対して生産平均価格は119万円となっている。9割交付となれば249,655円となる。しかし、基金が枯渇しており実際交付されるのは4分の3の187,174円となる。仔牛価格は50万円台となっているが『優良肉牛生産推進緊急対策』の全国平均価格が黒毛和種で奨励金単価によって60万円、57万円以下の場合が対象となっている。平均価格が60万を超えており6月も発動されない。

[高田委員]
 畜産農家は引き続き深刻な経営だ。肥育牛は四分の3交付となれば1頭当たり9万円の赤字になるのではないか。
 繁殖農家からは「エサ代、維持費の支払い、まもなく国保の切符が来る」「80〜90万円のいい種牛を高いときに導入したがこんなに下がるとは想定してなかった」と苦悩する農家の声が広がっている。部長は畜産農家の声をどう受け止めているのか。これまでの対策では畜産農家は持ちこたえることができないのではないか。
 5月から牛マルキンの算定がブロック制となり3万円も減額、6月交付は満額交付とならない。牛マルキンについて江藤農林水産大臣は国会で「様々な意見が出ていることは承知しているが正しい選択だった」と答弁している。大臣答弁をどう受け止めているか。国にどんな要望が行われているのか。

[佐藤農林水産部長]
 何か支援がないか支援制度について勉強した。国は様々な制度を作ったが支援制度の周知が必要だ。必要な対策があれば市町村やJAと連携して対応していきたい。新型コロナで落ち込んだ牛肉も回復傾向にもあるが消費拡大に取り組んでいきたい。
[藤代農政技監]
 牛マルキンの生産費は公平性がない。ブロック算定を見直すよう国に要請している。

[高田委員]
 繁殖農家は厳しい状況の中でも増頭に取り組み「生産基盤拡大加速化事業」に手を挙げている。繁殖牛の増頭奨励金は1頭24.6万円、乳用牛は27.5万円だ。要望調査が終わっているがどうなっているか。

[畜産課総括課長]
 4月から6月の希望では22地域から1600頭となっている。

[高田委員]
 厳しい畜産情勢の中でも増頭で頑張りたいという畜産農家を支援すべきだ。国の予算規模が54億円できわめてわずかだ。排除される畜産農家が出てしまうのではないか。しかも、@仔牛販売額の10%増A農家所得10%増という成果目標がある。コロナ禍の中で厳しい条件だ。国に対して予算の増額などを強く求めてほしい。

・持続化給付金、経営継続補助金について

[高田委員]
 持続化給付金、経営継続補助金の取り組みはどうなっているか。
 江藤農林水産大臣は6月17日の国会で「持続化給付金は昨年の売り上げを12で除して今年1か月でも売り上げが50%超えたら対象だ。米作農家も申請できる。経営継続補助金は99%の農家が対象だ」と答えている。この制度は課題を抱えているが制度を周知し柔軟な対応をすれば多くの農家や漁民が活用できると考えるが県の認識は。

[藤代農政担当技監]
 持続化給付金は申請が少ないが、経営継続補助金は多くの農家が活用できるものと考えている。