2020年7月6日 6月定例県議会最終本会議
請願の不採択に対する千田美津子県議の反対討論


<緊急経済対策として消費税率を5%に引き下げる事を国に求める意見書の提出を求める請願>

 日本共産党の千田美津子です。
 私は、請願陳情第15号について、委員長報告に反対の討論をいたします。
 請願陳情第15号は「緊急経済対策として消費税率を5%に引き下げる事を国に求める意見書の提出を求める請願」でありますが、私は総務委員会で不採択とした事に反対いたします。
 日本経済はいま、昨年10月の消費税増税による景気の落ち込みに新型コロナウイルスによる世界的にも深刻な打撃が加わり、大不況に突入しています。需要の激減と生産の停滞が重なり、実体経済が危機に直面しています。
 昨年10月から12月期のGDP(国内総生産)は、−7.1%となりましたが、これは新型コロナの影響を受ける前の数値であり、今年に入ってからの景気悪化はさらに深刻な落ち込みを示していることは、各種の指標からも明らかです。さらに重大な事は、新型コロナの打撃が世界各国に及び、世界経済が重大な危機に直面していることです。それもリーマン・ショックの時などと違い、金融面だけでなく、実体経済そのものの深刻な後退の危機が起こっている事です。
 日銀が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況判断は、大企業から中小企業まで軒並み大幅に悪化しました。新型コロナウイルスの感染拡大による外出や移動の制限、休業要請が、経済を急激に冷やしたことを改めて浮きぼりにしています。雇用の悪化や企業の倒産も歯止めがかかりません。国民のくらしと営業を応援し、日本経済を立て直す対策は、いよいよ待ったなしです。
 日銀の短観は、約1万社の大企業、中堅企業、中小企業を対象に、3カ月ごとに景気の現状や先行きを聞く調査であり、景況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた業況判断指数DIで判断しますが、今回発表された6月の調査で、製造業で見ると、大企業のDIが−34、中堅企業が−45となり、いずれも劇的な落ち込みです。3月の調査で、7年ぶりにマイナスになった大企業製造業は今回一気に26ポイントもの下落となり、6四半期連続で悪化しました。
 中堅企業製造業と中小企業製造業もそれぞれ28ポイントと30ポイントの悪化であります。自動車などの売り上げの落ち込みと、海外からの供給が滞ったことによる鉄鋼などの工場の操業停止が経済を直撃しました。非製造業でも、大企業は−17、中堅企業は−27、中小企業は−26となりました。それぞれ3月の調査に比べ、25、27、25ポイントの悪化と言う深刻な事態です。宿泊、飲食サービス業は特に悪くなりました。
 短観以外の経済指標も厳しさを示す数字ばかりです。5月の有効求人倍率は、第一次石油危機の1974年1月以来46年ぶりの大きな落ち込みとなりました。解雇や派遣切りなどで完全失業率も5月は3カ月連続で悪化しました。東京商工リサーチの調査ではコロナ関連の経営破たん(負債総額1千万円以上)が6月末までで294件にも達しています。
 地域経済への影響はさらに深刻で、県の景気ウォッチャー調査の最新版の現状判断指数は、4月には調査開始以来最低の14.3となり、今年1月の前回指数42.3から28ポイントも低下し、景況感の分かれ目とされる50を8期連続で下回り、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が前回の39%から88%と大幅に増加しており、事業者のほとんどが先の見通しを持てず、需要の縮小に伴う雇用情勢の悪化に懸念を示しています。
 このように、安倍政権のコロナ対策の立ち遅れによって、くらしと経済にもたらされた大打撃からの回復が進まないのは重大です。日本経済を再建するため、対策の手をこまねいている時ではありません。
 コロナの感染拡大の第2波に備えながら、日本経済を立て直すには、政府の責任による医療・検査体制の強化とともに、国民や中小企業にしっかり行き届く支援が必要です。雇用調整助成金や持続化給付金も一刻も早く届けるべきであり、消費税の5%への減税は家計を支えるためにまさに不可欠であります。
 ドイツでは、消費税にあたる付加価値税の税率を7月から半年間引き下げると決めました。日本でも、思い切った対策が欠かせません。
 共同通信社の3月28日の世論調査では、新型コロナウイルス感染拡大をめぐり、望ましい緊急経済対策について、「消費税率を下げる」が43.4%でトップとなりました。消費税の引き下げを求める国民世論は大きく広がり、それを反映するように、消費税減税を求める声は、政府与党の自民党の中からも聞こえており、3月30日には自民党の若手国会議員45人が声明を出し、その数は、自民党の衆参両院で国会議員100人以上にも上っております。
 このように、昨年10月からの消費税10%への増税が、現在の大幅な経済の落ち込みをもたらし、そこに新型コロナ禍が追い打ちをかけ、国民のくらしと経済にダブルパンチを浴びせたことは明らかです。
 以上のことからも、請願陳情第15号は採択すべきであり、総務委員会の不採択に反対いたします。

 以上で反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。