2020年8月3日 災害対策連絡本部会議
新型コロナウイルス対策に関する質疑(大要)


・県内で初めての感染確認―県の認識と対応について

【斉藤議員】
 7月末に4人の方の感染が県内でも確認されました。心からお見舞いを申し上げます。全国的な感染の急拡大の中で、出るべくして出たと受け止めておりますが、そこで2点お聞きします。
 1つは、7月以降、東京都を含め多くの都府県で過去最多を記録するなど、きわめて憂慮すべき事態となっている全国的な状況について、県はどう認識し、対応しているでしょうか。
 4人の方々の県内の感染者の感染経路の究明はどうなっているでしょうか。

【保健福祉部長】
 全国の1週間の累積陽性者数は、7月20日には3536人だったものが、8月1日時点では8027人と大幅に増加しております。東京都・大阪府・福岡県などの都市部のみならず、沖縄県や宮崎県・熊本県でも感染拡大が見られ、地方にも波及している状況にございます。感染の新たな波が来ていると認識しております。
 本県でも感染の拡大を想定して、これまで検査体制の充実や医療提供体制の整備などを進めてまいりました。
 そうした中、7月29日に県内1例目の陽性者が確認されたところであり、7月30日に開催した県の本部員会議において、積極的疫学調査の徹底と飲食店等における感染防止対策の徹底を確認し、感染防止対策を強化することとしたところでございます。
【総括新型コロナウイルス対策監】
 1例目の盛岡市の件については、感染経路は特定されております。
 2例目・3例目はほぼ同一ですが、感染経路はまだ特定されておりません。現在、他県と協力して調査を行っておりますが、いまだ協力が得られていない状況にございます。
 4例目の北上市の事例については、まさに今他県の方に感染経路の特定について協力をお願いしている段階です。

【斉藤議員】
 今日いただいた資料の2のところに「基準値」というのがありまして、「10万人当たり週2.5人を超えた場合に、都道府県による社会への協力要請を行う基準」とされています。もう1つの資料の中には、2.5人を超えた県が21都道府県あります。全国的にはそういう状況になっているのではないか。この基準は今でも有効ですか。有効だとしたら、国はまったくこういう問題に対応していないのではないかと思いますがいかがですか。

【保健福祉部長】
 国の4月の頃の専門家会議において、10万人当たり5人、または2.5人といったような数値が示されました。そういったことで2.5人を根拠に医療体制整備等を進めているところでございます。しかしながら今般、いわゆる第2波に関しました、第1波と違って若者が多い、また第1波より波が大きいといったようなことがあると認識しております。国では、まさに先週の分科会が開催され、今週も開催されると聞いていますが、こうした状況について、いわゆる数値的な部分についての評価はまだ示されていないところでありまして、私どもとしてもそういった根拠のあるようなデータ・数値というものは必要でありますので、そうしたものに関してはやはり国に求めていきたいと考えております。

・検査体制の強化について

【斉藤議員】
 今の全国的な急速な感染拡大を抑止する最大のカギは、徹底したPCR検査、戦略的な検査だと思います。東京都の状況を見ると、この1週間は感染者の16%が無症状者です。ですから、濃厚接触者だけ調べたら出てこないんです。そういう意味では、岩手県もこういうことをしっかり受け止めて、検査戦略をさらに拡大すべきだと思います。
 そこで、今回の事例について、第18回本部員会議で「積極的な疫学調査の徹底」ということが指摘されて、その通り実践されたことは評価したいと思います。これは、各医療機関等に徹底されているのでしょうか。

【総括新型コロナウイルス対策監】
 濃厚接触者に限らず、接触者についても拡大して調査するという方針については、各保健所に周知させていただいております。その中で、各保健所から各医療機関に対して協力を求めるという流れになっております。

【斉藤議員】
 その検査の考え方はぜひ徹底していただきたい。
 今日の新聞報道では、県内初の民間PCR拠点ということで1日360件可能だと。720件から8月末には864件まで検査できる体制が整うということで、これは評価したいと思います。
 和歌山県では、医療機関でクラスターが発生したときに、全関係者の検査をやりました。これは知事の決断です。こういう検査は岩手でもやられるべきだと。
 もう1つは、「世田谷モデル」といって、広範囲に感染震源地の徹底した検査をやろうとしておりますが、こうした取り組みに学んで、岩手県の検査もさらに拡大すべきだと考えますがいかがですか。

【総括新型コロナウイルス対策監】
 医療機関あるいは高齢者施設等において感染者が確認された場合においては、非常に感染リスクが高いということもありますので、無症状であってもPCR検査にかける必要があると認識しておりますし、国の分科会でもそのような専門的な見解を示されております。私どもとしてもそのような方向性で考えていきたいと思います。
 世田谷モデル、エピセンターについては、詳細には把握できておりませんが、研究させていただきたいと思います。

・医療提供体制について

【斉藤議員】
 1つは、重点医療機関・協力医療機関の設置・確保の県の計画は厚労省にも報告していると思いますがどうなっていますか。
 もう1つは、医療機関の最大の課題は減収対策です。県立病院で11億8千万円、岩手医大で11億円、先日盛岡市立病院で聞きましたら4〜5月で7千万円の減収と言っていました。この対応なしには第2波に対応できないと思いますがいかがですか。

【新型コロナウイルス対策監】
 救急患者の搬送困難事例を回避するため、新型コロナウイルス感染症を疑う患者を受け入れることが可能な医療機関として、協力医療機関を二次医療圏に1ヶ所程度、大規模クラスター発生などに対応し、中等症程度の感染者を重点的に受け入れる重点医療機関を県内数ヶ所程度指定する計画としております。
【保健福祉部長】
 減収補てんについて、岩手県保険医協会が開業医の会員を対象に6月に実施した調査によりますと、医科の84%、歯科の68%において、「5月の保険診療収入が前年同期より減少した」と回答しています。
 また県立病院の医業収益は、延期していた検査や手術の再開等により、入院患者等が徐々に回復していることなどにともないまして、減収幅は縮小傾向にあるものの、6月末累計では前年同期比で約13億5千万円の減収となるなど、県内の多くの医療機関において厳しい経営状況が続いているものと認識しております。
 このため県では、政府予算提言要望において、診療報酬の引き上げや包括支援交付金の拡充について要望しているほか、全国知事会においても7月に緊急提言を行うなど、医療機関の経営安定化に向けた措置を継続的に求めているところであります。
 医療機関に対するさらなる経営支援策については、引き続き全国知事会等の機会をとらえ、国に対して要望を行ってまいります。

【斉藤議員】
 重点医療機関は良いと思いますが、必要な医療体制やスタッフの支援・派遣がなければだめだと思いますが、その点はどうですか。

【新型コロナウイルス対策監】
 医療従事者の確保については、重点医療機関の指定に当たり、専門性の高い医療従事者を集中的に確保する必要がある、それから院内感染防止を実施している医療機関を指定する必要があるというところでございます。
 仮に、患者数が大幅に増えるという場合にあって、医療従事者を確保するにあたりましては、他の医療機関からの応援といった形で対応していくということでございます。

・経済、雇用対策について

【斉藤議員】
 9000事業者が対象となる家賃補助の支援の申請・支給の状況と対策はどうなっているでしょうか。

【経営支援課総括課長】
 現在32市町村で受付を開始しており、6月末現在の申請件数は1290件、支給件数は764件となっております。県では、令和2年度第3号補正予算において、連続する3ヶ月の売り上げが前年同期比で30%以上減少した事業者まで対象を拡大したところであり、それに29市町村が売り上げ要件の緩和を実施し、他の市町村においても前向きに検討いただいていることから、今後申請件数が増加していくものと考えております。
 今後も引き続き、広報媒体の活用や説明会の開催など、市町村や商工団体と連携して経営者への周知を図るとともに、補助制度の利用を促進してまいります。

【斉藤議員】
 市町村の宿割の取り組みは大きな効果を発揮していると思うけれども、すでに終了・完売したところが出ています。これは第二次の対策が必要ではないか。その際、県の2000円の補助は、地元の市町村に限定しないで、県民に広げて取り組む必要があると思いますがいかがですか。

【観光・プロモーション室長】
 市町村の地元の宿割については、2号補正予算で措置したものですが、県としては、市町村が行う地元の宿泊施設を利用する住民の宿泊料の助成に要する経費ということで補助しておりますが、市町村によっては、独自に助成対象を県民・全国に拡大しているところがあります。当面は、こういった地元の宿応援割、県でスタートした地元割クーポンにより、県内観光の需要喚起を図ってまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 雇用調整助成金はもっとも重要な取り組みの1つだと思いますが、対象となる事業者、いわゆる休業している事業者はどのぐらいあるのか。先ほどの答弁で、申請は1677事業所、支給が1259事業所で、あまりにも少なすぎるのではないでしょうか。その原因は何なのか。
 最後に、来年3月卒業予定の高校生の就職の状況と対策についてお聞きします。

【定住推進・雇用労働室長】
 雇用調整助成金については、支給申請書受理ベースで1677事業所でございます。その業種や実際に休業した方の数については公表されておりませんが、雇用調整助成金の相談窓口において、相談が多かった業種としては、宿泊業・飲食業・製造業・卸売小売業の順となっております。この1677事業所が多いか少ないかという評価も難しいと思うんですけれども、雇用調整助成金については、小規模事業者について申請手続きがかなり簡素化されましたが、雇用調整助成金の仕組み自体が、一旦払った後の申請になりますので、手続きが簡素化されて休業手当を払って、その方が申請まで来るというところのタイムラグもあると思いますので、今後もこの申請件数の伸びについては注意深く動向を確認しまして、必要に応じて周知についてはさらに進めてまいりたいと考えております。
【商工労働観光部長】
 岩手労働局によりますと、今年度の県内求人数は、7月20日現在で4495人となっており、前年同期比で1015人・18.4%の減となっております。また、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、採用選考期日等が例年より1ヶ月遅れるということであり、内定時期の遅れが懸念されるところであります。
 このため県では、岩手労働局と連携し、経済団体に対して求人票の早期提出や新規学卒者の積極的な採用について要請したほか、各地域においても、広域振興局がハローワーク・市町村とともに同様の働きかけを行っております。
 また高校生に対しては、これまでも各地域に配置している就業支援員が、管内企業の情報提供や生徒との面談・面接指導等を通じて就職支援を行っておりますが、今年度は各地域間の連携を一層強化し、広く県内企業とのマッチングを行うなど、生徒一人一人の希望に添った就職が県内において実現できるよう、きめ細かに支援してまいります。

【斉藤議員】
 ぜひ雇用調整助成金の対象となる事業者を把握して、20人以下はたしかに簡素になったけれども、それ以上はそうではないので、しっかりこの制度が使えるようにしていただきたい。
 高校生の就職については、リーマンショックのときには県内就職率は高まったので、その立場でやっていただきたい。

【商工労働観光部長】
 若者全般の県内への回帰もありますし、高校生等これからいろいろ進路について検討を深めていく時期になってきていると思いますので、そういった中で各地域に配置している就業支援員等を通じ、県内就業が促進されるように取り組んでまいります。