2020年8月4日 文教委員会
学校における新型コロナ対策等に対する質疑(大要)
・学校における新型コロナウイルス対策について
【斉藤委員】
学習指導員の配置は、昨日の連絡本部会議での答弁では、47名の計画に対して23人、スクールサポートスタッフは533人の計画に対して224人の配置とお聞きした。こういう配置は、今すぐ配置が必要なことだと思うが、今後の見通しはどうなのか。懸念されるのは、任用期間が短く確保しにくいという話は聞いているが、そうした課題があるのかどうか。
【教職員課総括課長】
スクールサポートスタッフの配置は、配置予定数533人に対して224人、学習支援員の配置は、予算上54人に対して23人任用している(8月1日時点)。
現在も任用の手続き・募集等を行っているところである。特にスクールサポートスタッフについては、すべての学校に1人ずつの配置を基本にしているので、まさに小中高すべての学校ということで、なかなか元々人の確保が難しい地域もある。また、本人の勤務時間とか、学校が希望する勤務形態等とのミスマッチということもあるようである。いずれ、教育事務所だけでの募集だけではなかなか確保できないので、学校や市町村教委とも連携・協力して募集を行っており、今後も行っていく。
【斉藤委員】
まさに今学校でさまざまな取り組み、消毒だとかいろんな実務も増えているわけで、本当に早急に配置されてこそ意味があるので、ぜひしっかりやっていただきたい。
学校における新しい生活様式の取り組み、特にソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンス確保の取り組みは具体的にどうなっているか。
【保健体育課総括課長】
これまで学校における感染症対策については、国の学校再開ガイドラインだとか、学校の新しい生活様式などにおいて留意事項が示されており、各学校においてそれに基づく感染症対策に取り組んでいる。
学校における密集回避については、本県においては、児童生徒の間隔を1mを目安に、学級内で最大限の間隔をとるように座席配置をとることとしており、各学校ではこれに沿った対応をしている。
・夏休みの短縮の状況について
【斉藤委員】
夏休みの短縮の問題について、実際にどれだけの学校がどれだけの日数の短縮に、また短縮していない学校はどれぐらいあるか。
【学校教育課総括課長】
6月1日時点の調査では、小学校では県内302校中、「変更なし」が262校、「1〜5日以内で短縮」が40校で、そのうち「5日短縮」が3校ある。
中学校においては、151校中、「変更なし」が137校、「1〜5日以内で短縮」が14校、そのうち「5日短縮」が2校と把握している。
【斉藤委員】
多くは変更なしでやられていると。盛岡の場合には4日とか、よく聞くと、1学期の行事を秋以降に延ばしたということで、そうした新たに増える準備のためだと聞いているが、全体とすれば大きく変更なしに夏休みは対応されていると。
・修学旅行の対応について
【斉藤委員】
修学旅行について、現段階で中止を決めている学校はないということでいいか。
【学校教育課総括課長】
修学旅行については、感染防止対策を最優先とした上で、その教育的意義や児童生徒の心情等に配慮し、学校や市町村教委が適切に判断されているものと承知している。
各県立学校においては、全国の感染状況を注視しながら、現在実施時期や旅行先等について検討している。
なお、7月に入ってから新型コロナウイルス感染症の拡大等を踏まえ、宿泊を伴わない旅行的行事へと変更した小学校があるということ、また県立学校においては、修学旅行を中止した特別支援学校が1校あると把握している。
【斉藤委員】
私は可能な限り、修学旅行は生徒の希望を踏まえて実施していただきたいと思う。ただ、いま東京や関西、福岡など感染が急拡大しているのも新たな状況なので、そういうことをしっかり踏まえて、今までの発想ではなく、定番ところに行くということではなく、東北レベルでも身近な県内でも、体験的な修学旅行というのはあり得るのではないか。そうしたことも含めて、ぜひ可能な限り子どもたちの希望に応えるようにやっていただきたい。
・就学援助の取り組みについて
【斉藤委員】
いま生活福祉資金の申請が県内でも急増している。新たに生活が困難になっている家庭もあるのではないかと。この点で、新年度に入ってから就学援助は増加しているか。そういう新たな対象となり得る徹底はされているか。
【学校施設課長】
3月24日付の文科事務次官通知で、「新型コロナウイルスの関係で家計が急変し、年度の途中において認定を必要とする方々については、速やかに認定して必要な援助を行うよう配慮する」とされており、4月6日付の国の事務連絡により、「通常は前年の収入により判定している所得基準について、申請時の収入の状況で判断するなど柔軟な対応をすること」「制度自体を知らないために申請ができない事態を避けるために、保護者への情報提供に努めること」について、市町村に通知するよう要請があった。これを受け県教委では、各市町村に対して、4月以降4回にわたり、随時認定の柔軟な対応と保護者への情報提供について周知徹底を図っているところである。
これまで、具体的に各市町村においては、随時申請を受け付けることであるとか、申請時の収入で判断するなど、柔軟に対応することについて、市町村の広報誌だとかチラシの配布、ホームページで広く周知を図るなど、すべての市町村において具体的な対応をしていることを確認している。
4月以降、生活保護の部分について、厚労省の発表ですと、申請が増えているという報道もあり、その状況については、本県についても同じような動向と認識しており、今後さらに増加することも懸念されるので、ここはしっかりと中止して対応していきたい。
【斉藤委員】
就学援助は、修学旅行費もみられる。この間、入学準備金は入学前に支給されるようになった。修学旅行費も精算払いではなく、修学旅行前に概算払いにすると。これはいくつかの市町村で実施されているが、さらに拡充・徹底すべきではないか。状況について把握しているか。
【学校施設課長】
修学旅行費の負担についても、最初に保護者が一時負担をしてからという形だと、やはりなかなか踏み出せないということもあろうかと思うので、昨年の秋に各市町村を対象として情報交換会・研修会を開催しているが、そのときに各市町村の取り組みの状況だとか現在の進め方について、横の情報共有を図るようにしており、実際に実績が出る前の段階―具体的に予算要求する段階から他の市町村の動向なども踏まえるような形での取り組みということを心がけているので、今回のコロナを起点にし、さらに一層そこが推進されればということを期待している。
【斉藤委員】
分かれば、いくつの市町村で実施されているか示していただきたい。
【学校施設課長】
保護者の負担軽減を考慮し、修学旅行前の概算払いに対応している市町村が増えてきており、具体的には昨年度5市町村だったものが、今年度は7市町村が実施予定である。
・少人数学級の実現について
【斉藤委員】
コロナ禍でいま学校現場の一番の矛盾になっているのは国の40人学級、少人数学級の実現だと思う。
この間大変大きな変化があった。1つは、少人数学級に抵抗していた政府が、骨太方針で「少人数指導の徹底」ということが出された。そして全国知事会長・市長会長・町村会長の連名で「少人数学級の実現を求める提言」も出された。文科大臣も国会答弁で「少人数学級の実現について検討する」と、そういう状況になっている。
先ほどソーシャルディスタンス・フィジカルディスタンスについて聞いたが、今の教室でフィジカルディスタンスを確保しようと思ったら20人規模の学級が必要だと思う。いま一番苦労している飲食店だってそのようにしている。50席を20席にしたとか、そうやって頑張っている。学校だけは40人学級がそのまま放置されているということは許されない。
少人数学級の実現に、県教委としても本気になって取り組んでいく必要があるのではないか。
【教職員課総括課長】
感染防止対策のための少人数学級とすることについては、岩手県を含めて全国的な問題で、全国的に検討すべき課題であると考えている。
本県では、6月10日の政府への予算要望において、少人数学級の拡大も含めて要望しており、今後も学校や地域の状況に応じた教職員配置が可能となるよう国への要望を続けていきたい。
【斉藤委員】
ぜひ最大の好機というか、政府も文科大臣も前向きの答弁をしている中で、これはもちろん財源が関わるので、日本教育学会の提言でも「10万人の教員の増員」「13万人の学習支援員・スクールサポートスタッフの増員」について、1兆3千億円あれば実現可能で、毎年1兆円の財源があれば可能だと、こういう具体的な提言もされているので、本当に今までにない取り組みを県教委としてもやっていただきたい。
・学力テストの問題について
【斉藤委員】
文科省は、今年は学力テストを中止したが、来年は5月に1ヶ月延ばして実施すると。とんでもない話である。いま新型コロナウイルスで学習の遅れや学力の格差が大問題になっているときに、来年は学力テストを実施すると。これは中止を求めていく必要がある。
そして県版の学習状況調査も今年は中止になった。これを契機に本気になって県の学力学習状況調査―テスト漬けの教育は改めると。
一番大事なことは、少人数学級で一人一人に行き届いた教育を進めることだと思う。それを保障してこそ学力も身につくと。これがこの間の少人数学級の取り組みの大きな教訓だと思う。そういう点で、県の学習状況調査見直しの検討状況はどうなっているか。
【学校教育課総括課長】
国の全国学調については、新型コロナウイルス感染症により学校教育に過大な影響が生じていることを踏まえ、令和3年度の調査については「可能な限り多くの児童生徒が同じ条件の下で参加できるようにする」等の理由により、1ヶ月遅らせて5月に実施する旨の通知が7月10日にあったところである。本県では、現時点で学習の著しい遅れはないものと認識しているが、今後の状況に応じて国とも連携しながら対応していきたい。
県の学習定着度状況調査については、現在市町村教委と、県の学習定着度状況調査のこれまでの活用方法や今後の調査のあり方等について、意見交換を進めてきており、これまでに、32市町村を訪問したところである。その中には「児童生徒一人一人のつまずきの把握や授業改善に活用している」といった意見や、「採点業務の負担が大きい」といった意見があった。県教委としては、引き続き残りの市町村との意見交換を行い、その結果を整理するとともに、調査のあり方について検討を進めていきたい。
・一時保護児童の教育の保障について
【斉藤委員】
先日、児童養護施設に行ってきたが、県の児童相談所から一時保護児童を受け入れているところだが、一番困っているのは「一時保護している児童の教育の保障」だと。一時保護している子どもの教育の保障は、やはり教育のレベルで考える必要があるのではないか。
私が訪問したところは、近くに特別支援学校があり、そこに通うとか、そこから先生を派遣してもらうとか、そういうことが可能ではないかという具体的な話も聞いたが、一時保護児童の教育の保障はどうなっているか。県教委としてはどのように対応しているか。
【学校調整課総括課長】
児童相談所に一時保護児童となった児童生徒については、その間の学習については、児童相談所の指導員が担当しており、学校としては、児童相談所に学習内容を提供したり、学習状況を把握したりして、児童相談所と連携しながら学習を保障している。また、学校と児童相談所が生活指導や学習指導に対して十分な連携・協力を行い、児童生徒の状況に適した学習環境が整えられ、適切な相談・指導がなされている場合には、出席扱いとしている。
また、児童生徒が学校に復帰した際、希望生徒の状況に応じて補習等を実施し、教育課程の修了や高校での単位認定等を適切に行うよう努めている。
今後県教委としては、一時保護した児童生徒について、福祉部局と連携しながら教育機会をできるだけ確保するよう努めるとともに、学校に対しても児童相談所とも連携を強化するよう働きかけていく。