2020年10月9日 環境福祉委員会
千田美津子県議の保健福祉部に対する質疑(大要)
・母子・父子・寡婦福祉資金の貸付状況について
(千田委員)
母子・父子・寡婦福祉資金、国保の2点についてお聞きします。母子父子寡婦福祉資金ですけども前年度確定によって補正繰入ということがありました。様々な調査でも母子家庭は大変な状況になっているという報告がありますが、この資金の貸付状況がどうだったか、それからどのように見ているかその点お聞きします 。
(日向特命参事兼次世代育成課長)
母子・父子・寡婦福祉資金の貸付状況でございます。平成29年の件数は361件、平成30年度は314件、令和元年度は285件ということで、貸付件数そのものは減少傾向でございます。貸付額も減少しているところでございます。
(千田委員)
先ほども言いましたが、大変だという声が聞こえてくるわけですが、この減少の理由ですが、それだけ所得を得る術がきちんとなっているのかどうか、これまでの実績ですが最近は雇用の状況も悪化しているということもあり、心配なので実績に対する見解と今年度の見通しをどのように持っておられるかお聞きします。
(日向特命参事)
貸付件数、額の減少ですが、私どもで確認したところ、多くが高校、大学等の修学資金を削った額が多いということですが、高校の奨学金、大学生に対する給付金等が創設されたということで、貸付額自体が減ってきているのではないかと考えております。今年度に入ってからの貸付状況は、特に増えたということはなく、奨学金の関係で今後とも件数、額とも減っていくのではないかとみております。相談内容としても、例えば奨学金と貸付金をどのように併用していくのかとか、将来負担を見越して貸付金を減らして、奨学金を活用しようという内容であるというところが多くなっていると聞いております。
(千田委員)
貸付よりは給付の方がいいわけですが、やはりそちらの充実によりこのように減ってきているということがいいことなので、先ほど話があったように給付金等で返還しないで済むような奨学金を含めて、そういう充実を今後ともお願いしたいと思います。
・国民健康保険税の滞納状況と、保険者努力支援交付金制度について
(千田委員)
2つ目国保ですが、保険者の努力支援交付金が3億円あります。これはその名のとおりだと思いますが、この中身ですね、県内市町村は滞納が減ったところはかなり多く、そういうのに対する支援金もあるのかなと思いますが、その中身について聞かせてください。
(福士健康国保課総括課長)
保険者努力支援交付金制度ですが、平成30年度から国の制度として国保事業を通じて市町村住民の健康づくりに活用いただいたり、国保事業の安定化に資するような医療費の適正化とか、このようなものに事業が用いられてきているところです。これらについては様々な評価、視点とかに基づいて例えば徴収率を高めていくとかそういったものに応じて点数化をされて県に対して交付金ということで国から交付されているものです。滞納についても市町村の方では負担公平制度という観点から適切な徴収、取り組みを行ってきているきており、年々滞納面でも改善されてきていると考えています。これが強制的な徴収とかという意味での努力支援制度というよりも、そういった取り組みを全体で促していく、あるいは全体で取り組んでいくということでの中で、市町村は適切に用いられている交付金として用いられているものと理解しています。
(千田委員)
様々な評価に基づいた国の交付金ですから、話があったように負担の公平性はもちろんですし、適切な徴収の下で滞納額が減ってきているというふうに理解していますが、ただ、例えばで生命保険を解約させられて納付するとか、そういう行き過ぎたことも自治体によってはあるわけです。払わなきゃならないのはそのとおりですが、それを交付金の名のもとに強制的にそれが強化された結果がこの3億円かなと勘ぐるわけです。県内の市町村の状況をどのように見ているか、そういう行き過ぎた徴収につながっているようなところははないでしょうか。
(福士健康国保課総括課長)
適切な保険料、保険税の徴収については、県としても市町村に対して負担能力のある方には適切に納めてもらうという考え方を改めて市町村に対して周知徹底を図っております。委員ご指摘のなかなか負担できないという声も県としても承知しております。これに対してはきめ細やかに市町村でも対応していただいていると理解していますが、そういう方々への丁寧な対応については改めて会議等の場で市町村に伝えていきたいと考えています。
(千田委員)
いろいろ改正とかもありますが、滞納されされるというのは市町村にとっても大変なことですが、話があったように負担能力がある方については納めてもらうのは当然だと思いますが、やはり大変な方々、市町村では繰り返し納税相談に来るようにと働きかけもしてますが、なかなか応じられなかったりということで滞納が積み重なるということがあるので、その辺、行き過ぎたことがないように改めて通知についてはお願いしたいと思います。国保の累積滞納額を資料から見ていますが、滞納額が増えたのは元年度4つの自治体で、あとは全部10何%とかなり減っているところが多くなっています。これは払える国保税にしたためでしょうか。この原因といいますかどのように見ていますか。
(福士健康国保課総括課長)
累積滞納額については県でも承知しておりますが、個別の市町村あるいはどのよう方々がこれに該当しているか、どのように滞納額に変化が出てきてのか精緻なところまでは把握してございません。
・子育て支援対策臨時特例基金条例の一部の改正条例について
(千田委員)
条例の有効期限を延期をして充実をさせるということは大事なことですが、保育の無償化とかを進めていただきたいと思います。ただもう一つ保育所等緊急整備事業とか認定こども園整備事業もこの中に入っていますね。気になるのは待機児童が決して解消されておらず、この基金がもっとそういう部分に活用されないのか。今の話ですと3年間で4億円、残が3億円ということですから今待機児がどのような状況にあるか、それから待機児時解消への決意を聞かせいただきたい。
(中里子ども子育て支援室長)
待機児童の状況でございます。本年7月1日現在の本県の待機児童は58人であり、前年同期から127人減少しています。市町村が行う施設整備への支援ということで県も取り組んできましたが、施設整備の結果、定員が利用したいという数を上回る形になってございますが、保育士が不足するということで定員いっぱいいっぱいの保育ができない状況にある保育所、あるいは市町村があると聞いており、県としましては施設整備に加え保育士確保に向けた取り組みも進めてまいりたいと思っております。
(千田委員)
保育士不足の点については改善はされてきてても、他産業に比べて待遇面の改善がまだ低すぎると。そういう部分の充実強化も必要だと思います。それから年度当初で58人ということですが10月の数はまだ未発表で、たぶん増えていると思います。やはりこの施設整備についてはまだ不足をしていると。保育士不足もさることながら通える園がないということも市町村によってはありますので、その辺の拡充策をやっていただきたいと思いますが見通しはどうでしょうか。
(中里室長)
具体的な件数はすぐお答えすることはできませんが、施設整備についての市町村からの相談等も受けており、来年度以降も何件かずつ施設が増えるということは利用定員も増えていくと思っており、そちらの方も保育士の確保と同時に取り組んでまいります。
・福祉灯油の県内全域での実施を求める請願について
(千田委員)
交付対象世帯が増えているというのは、高齢者世帯とか障害者世帯とか非課税世帯とかあるわけですが、この辺はどのように見ていますか。
(阿部地域福祉課総括課長)
具体的な統計からひもといて分析はしてはいませんが、単身世帯も増えておりますし、高齢化率があがり高齢者人口も増えております。それから特に沿岸ですので依然として見守り世帯も4000軒程度あり、そのように捉えております。
(千田委員)
話があったように、単身しかも高齢世帯が増えているわけです。そして災害公営住宅のかなりの部分が高齢者一人世帯が占めているということもあり、やはり福祉灯油については継続をして実施すべきだと考えます。何年経っても、今そうでなくてもコロナそして消費税増税等とかで大変な状況になっていると。そういう状況を見ますと今今は灯油価格は去年よりは低くなっているとは思いますが、冬場になるとしっかりと上がります。そういう点からしても福祉灯油については継続すべきだと考えます。
・感染症指定医療機関、重点医療機関、協力医療機関の役割について
(千田委員)
コロナ問題でありますが、この間入院できるベッドの拡大なり、かなり準備が進められてきました。そこで現状について改めて伺います。
指定医療機関、協力医療機関、重点医療機関とそれぞれあるわけですが、それらの役割と、そこからどうなるんだとか、そういうのが理解できないのと、それから今後のそれらの拡充の見通しについてお聞きをします。
(吉田特命参事)
感染症医療指定医療機関でありますが、感染症患者を受け入れるためということで、新型コロナ発生前から指定しているものでございます。県内には9医療機関、ベッド数としては38床確保しているところでございます。
それから重点医療機関でございますが、病院または病棟単位でコロナ患者を受け入れられるような病院というところで、これはクラスターなどが発生した場合に、大勢の患者さんを入院できるような施設をあらかじめ確保していくというものでございます。現在、岩手県内では入院中の方が1名おりますが、フェーズ1という段階で指定としては3箇所、病床数としては重点医療機関として60床程度確保しているというところでございます。
それから協力医療機関でございますが、コロナの感染疑いのある方を受け入れられるように個室の病床を確保しておくということで、主に陽性か陰性かまだ確定していない段階で患者さんを受け入れられるような病院をあらかじめ指定しておくというもので、現在県内には11医療機関、病床数としては70床程度確保しているという状況でございます。
今後の拡充の見通しでございますが、感染状況に応じまして岩手県内はフェーズ0からフェーズ3まで感染状況を区分しておりますが、フェーズ3におきましては重点医療機関におきましては5医療機関、病床数としては140床程度、協力医療機関につきましては疑い患者を入れるという事で、状況により増える場合もありますが、そういった形で感染状況に応じて病床数を確保していくという計画にしております。
(千田委員)
特に重点医療機関については今3機関で60床、それが感染状況に応じて拡大していくとわかりました。それでいろんな課題について保健所を中心に話し合いがなされてきたとは思うんですが、地域医療体制検討会というのが2次医療圏ごとに開催されているようですが、ここでも役割というか、どういう実績になっているかここのてお聞きします。
(吉田特命参事)
医療体制については、県庁の方で医療体制検討委員会というものを設置し、方針について検討を進めてきたところでございます。現在まで5回開催してきており、各保健所においても県の方針に基づき、地域の中での検討会を設置しているところでございます。
これまでの実績としては、各保健所により開催回数は異なりますが、少ないところで3回、多いところで8回検討しており、主な検討項目としては地域における医療機関の役割分担、それから地域外来検査センターの設置等々について郡・市医師会、それから医療機関、そういった関係者が集まって検討会を開催してきたところでございます。
(千田委員)
そうだろうと想像はしていましたが、この検討会に参加している方に聞いたのですが、医療機関の役割分担を話し合ったことになっていると。それはそのとおりだと思います。ただ、例えば感染症指定病院はわかりますが、この地域に協力医療機関があるのかとか、重点医療機関はどうなのかとそういうのについては全く話し合われてない、提起もなければどうなっているのか全くわからなかったとの声があります。
奥州・金ケ崎でも患者が出たわけですが、一旦入院した方が重症になった場合は、あそこだよということは話されているようですが、それ以上のことが見えないという話を聞いて驚きました。奥州・金ヶ崎でも昨日まで5回開催したようですが、その辺の一番大事な県庁で決められたことが地域に下りていかない、そういうことがなぜ発生しているのかと疑問です。どのように認識されていますか。
(吉田特命参事)
重点医療機関、協力医療機関について保健所と本庁の方でもWEBを使った会議を頻繁に行っており、そういったところの指定状況等についても随時情報共有をしているところです。各医療機関までそれが周知徹底されているかという部分かと思いますが、基本的には地域における医療体制検討委員会においてそういった役割分担、地域の中で決定して調整してきたというところであり、まだ医療機関の方でそういった情報が提供がないというところについては、本庁の方で保健所と一体となってスムースの情報共有ができるように対応していきたいと考えております。
・奥州保健所長と一関保健所長の兼務解消を
(千田委員)
本当にいつコロナが出るかわからない、もうすでに出たのですが。現場の方々が次どうなるかフェーズによってそれらが描けない状況だと相当混乱をもたらすことになるので、やはり最低県で決めたことが体制検討会で十分にお知らせされて、この地域はどうしましょうとそういう議論はなされて、初めていい体制ができるのだと思います。それがきちんとなってなかったということで驚きましたが、答弁あったようにスムーズに、そしてもっと風通しが良くなるようなそういう状況を是非作っていただきたいと思います。
昨日の本会議でも保健所の体制強化をしていくのだ、との答弁がありました。それは非常に大事なことなので進めていただきたいと思います。保健所長が奥州と一関を兼務されています。それが原因だとは言いませんが、やはり奥州と一関にはきちんと保健所長を配置して、いざという時にそういう議論がきちんとできるようにすべきではないのかなと思います。前にも保健所長の配置については何か今年度途中に1人採用されるみたいな話がありましたが、やはり病床の確保と同時に,保健所長は地域の医療体制の充実の上で核になる方だと思うので、この日とこの日はいませんよということを言われると、不安を増してきます。体制充実の際は一番に頭に入れていただきたいのですが部長どうでしょうか。
(野原部長)
今委員から保健所長の兼務発令について話がありましたが、最も切実に感じているのが私であります。私も2年前、本庁と県央保健所長を兼務でした。現役の方々、住民の方々の健康が守れるのかと緊張感をもって対応してきました。本当に兼務解消をしなくてはならないと切実に感じております。なかなか医師不足で、公衆衛生維持、他の診療科医師もそうですが、なかなか厳しい状況でございます。ありとあらゆる手を使って、つてがあれば私ども出向いてやっておりますし、奥州の仲本所長も外務省から岩手にいらしていただいて本当に兼務で勤務していただいておりますが、とにかくゆかりのある方、縁がある方などに声をかけて、また今年、若手年医師を採用いたしました。40代の医師も外国留学をから帰ってまいりまして、徐々に体制が整ってくると思います。いずれこの問題は一刻も早く解消すべく、私も先頭に立って解消に努めてまいります。
・第8期介護保険事業計画の策定について
(千田委員)
部長は一番切実に思っているということで心強く思いました。大変だと思いますがよろしくお願いいたします。
それでは2点目ですが、今、介護計画7期目ですが、今年度中に8期の計画を立てる時期に入っております。それで特別養護老人ホームの待機者の数を先日いただきました。これを見て第7期の施設整備が全部稼働すれば667人というベッドができますが、例えばこれまでに増えてはいますが早期入所が1年以内に必要な方があまり減ってないですね。平成30年度の4月に856人だったのが、翌年は890人に逆に増えている。そして今年4月には813人ということで77人減り施設に入ることはできたのだと思いますが、いずれ早期入所が必要な方を解消するための計画がこの間作られてきたと思いますが、それがうまくいってないという状況があると思います。いろいろな要因があるかと思いますが、なぜこういう状況になっているか、どのように考えているのかお聞きします。
(小川長寿社会課総括課長)
特別養護老人ホームの入所待機者の関係ですが、先ほど委員から話いただいたとおりこの3年間でいずれも800人台と早期入所が必要な方がおリ、若干の増減はありますけどもあまり減ってないという状況が続いております。一方その施設整備については配布資料にも書いておりますが、200とか毎年一定の数は整備しているんですけども、社会全体としてといいますか、後期高齢者の人口が岩手県は増えている状況にあるかと思っておりまして、その結果そういう部分も影響して、介護が必要な高齢者の数も増えているという状況もあると思っております。
一方で施設整備については一定の整備が進んでいると申しましたけども、昨今、市町村密着型29人以下の特別養護老人ホームの状況を見ると、市町村が公募をかけてもなかなか応募してくれる事業者さんが見つからないといった状況もあり、計画どおりに整備が進まないという状況も一方でございます。先ほど指摘いただいたとおり3年間で667床整備される見込みという部分もありますが、なお何百人という入所資格者がおりますので、県としては引き続き施設整備を支援を続けていきたいと考えてございます。
(千田委員)
基本は市町村の中でどうやったら解消できるかという計画を作って、それを具体に進めることになると思いますが、お話があったように応募する事業者がいないということも現実問題かなと思いますし、あと介護人材、私の地元でもあったんですが、施設は作ったが働く人が集まらないということで、開所まで遅れたりしているということがあります。ただ、いただいた表を見ると私も65歳を過ぎてるからですが、現実の問題でね本当にそういう点では、介護施設については安心してできる状況を作っていくことが県民の安心に繋がるという点からすれば、ぜひ市町村と連携をとって整備を進めるということがますます重要と思います。8期の計画を作るにあたり県として市町村にどういう発信をしようとしているのかをお聞きして終わります
(小川長寿社会課総括課長)
第8期の介護保険事業計画の策定にあたり、基本的には国の指針を踏まえつつ、やはり地域の要介護の方々の状況を踏まえて、必要なサービスが提供できるように作るということでお願いをしているところでございます。現在、まさにちょうどその時期であり、当課の職員が圏域、保健所とか市町村回ってヒアリングを行いながら、それぞれの市町村の計画の意見交換をしながら作成を進めている段階でございます。
引き続き市町村と連携を図りながら、第8期の計画をより県民の良いものになるように進めてまいりたいと考えてございます。